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上級者向け 受験マニアックス

2023年2月号 宗教系の学校について

私立の中高一貫校の中には、仏教系、キリスト教系、神道系といった宗教系の学校があります。今回のマニアックスでは、宗教系の学校で学ぶ意義や宗教系の学校の教育内容、首都圏の宗教系学校の一覧などを紹介します。

宗教系の学校で学ぶ意義

日本人の多くは宗教にあまり関心がなく、特定の宗教について日常的に熱心に宗教活動を行っている人はあまり多くないようです。初詣や受験の必勝祈願は神社へ行き、結婚式は教会の牧師さんの前で挙げ、お葬式はお坊さんを呼んで仏式で行うなど、外国の方からは、一貫性がないように見えるのではないかと思います。また、教育基本法には「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない」とあり、国公立の学校では宗教教育をしてはいけないことになっています。結果、宗教について深く考える機会がないまま大人になっていく側面もあると思います。

しかし、歴史を振り返ると、日本でも世界でも、宗教は政治や文化などに大きな影響を与え、時には争いのきっかけになることもありました。いまの国際社会の成り立ちや、外国の人と日本人の道徳観・価値観・習慣の違いなどを考える上で、宗教についての基礎知識を持つことはとても重要です。宗教系の学校の先生方からよく聞かれるのは、「宗教について深く考えることは、歴史や文化、政治を理解する上でとても大切」「宗教系の学校は宗教の教えを押し付ける場ではなく、こういう考え方もあるのだということを知って視野を広げる場」という考えです。例えば、「家族や友達を大切にする」「困っている人がいたら助ける」といった価値観について、ただ「そういうものだから」と教えこまれるのと、背景にある宗教的観点を踏まえて理解するのとでは、特に高学年になってからは理解の深さが違ってくるでしょう。

宗教系の学校で学ぶ意義は、宗教についてしっかりと考える機会を持つことや自分の価値観を豊かにすること、「倫理性」や「他者のために」という姿勢が自然と身につくことだと思います。

入学したら信者になる必要はある?

宗教系の学校を志望校の候補に入れるときに気になるのは、「信者でなければ入学できないのか」「入学したら信者になる必要があるのか」という点ではないでしょうか。答えは両方ともノーです。信者になるかどうかは、もちろん個人の自由ですし、強制されるようなことは決してありません。

在学中に宗教系の行事に参加する機会は多いかと思いますが、卒業生からは「結構面白かった」「退屈なものもあった」など、屈託のない感想が聞かれます。そして大人になってからは「人生の良い経験になった」と感じることが多いようです。

宗教系の学校の教育内容

宗教系の学校の多くでは、宗教教育を道徳の代わりとして、正課の授業として行っています。その内容は、例えば、キリスト教の学校では聖書の内容を学んだり、仏教系の学校では僧侶でもある先生が宗派の教えを伝えたりする中で、努力することの大切さや人間関係の構築で気をつけること、そして人としての生き方などが、生徒の心に納得がいく形で定着するように授業が展開されます。このように書くと、「えらい人が滔々と話す」ようなイメージを持つかもしれませんが、生徒たちのホームルーム活動での1コマや、ニュースなどが題材となって、生徒から活発な意見が出るような授業展開も少なくありません。時には社会の矛盾があぶり出されることもあります。私立中高一貫校の宗教教育は決してカルト的なものではなく、人間性の成長を促す場です。

クラブ活動やボランティア活動といった課外活動に、宗教の教えが結びつけられることもあります。キリスト教系の学校では、クリスマスの時期にクリスマス礼拝やクリスマスミサが行われることが多いです。宗教色の強さは学校によってさまざまで、毎日のように礼拝や朝拝の機会が設けられる学校もあれば、たまに宗教行事がある程度、というところもあります。キリスト教系の学校では、校内での宗教系の行事だけでなく、日曜日には教会に行くように勧められることもあります。もちろん強制でありませんが、学校よりもさらに深く宗教に接する機会になりますし、居住地域とのつながりがあまり強くない中高一貫校の生徒たちにとって、貴重な地域のボランティア活動の機会につながることもあります。

カトリック系

伝統や礼儀作法を尊重したり、自分を律し鍛えることを大切にするところが特徴です。「他者のために尽くすには、自分の能力を磨く努力が必要」という考え方からしっかり勉強させる側面があり、伝統校も多いです。男女別学が多いのも特徴です。「宗教」や「道徳」「倫理」の授業はあっても、「聖書」の授業はありません。

プロテスタント系

カトリックと比べると、自主性や個性を尊重する特徴があり、「自主・自律」の精神を大切に考え、自分から勉強する姿勢を養うことに力を注いでいます。生活面も生徒の自主性に任せる部分があり、明るく自由な雰囲気の学校が多くなっています。一方、礼拝や聖書をとても重んじていて、日曜日に教会に行くことが奨励される、毎朝礼拝がある、週1回聖書の授業がある、数多くの宗教行事があるといった側面もあります。

仏教系

宗教的な行事として在校中に総本山を訪れる学校もあり、駒込は比叡山研修へ、芝は知恩院参拝へ、世田谷学園は永平寺参禅へ参加します。また、お釈迦様の誕生日を祝う花まつりなど、学校ごとにさまざまな年間行事が行われています。中には、毎朝自由参加で座禅を組む、施設内の寺に朝のお参りをするといった学校もあります。宗教色をそれほど感じない学校も多く、受験生や保護者の方から「仏教系だとは意識していなかった」と言われることも多いです。大学合格実績に力を入れている進学校が結構あります。

なお、神道系は、中高では目立った宗教活動は見られないようです。

志望校を選ぶ皆さんへ

これから先、グローバル社会で活躍するためには、基礎的な宗教の知識は欠かせないものです。日本では、宗教を自分とは縁遠いものだと考え、時にタブー視する人もいますが、宗教を信じる信じないの話ではなく、どういうものなのか、その背景にある価値観や倫理観を理解することは、海外の人たちを理解する上でも、とても大切です。保護者の皆さんには、お子さんが18歳で成人するまでに、宗教について基礎知識を身につけたり、自分なりに考えてみたりする機会を持つことの意味について、改めて考えていただきたいと思います。お子さん自身の視野を広げる場と捉え、宗教系の学校も選択肢の1つとして候補に入れていただければと思います。

首都圏の宗教系学校一覧

仏教系(宗派別)

時宗…………藤嶺藤沢
浄土宗………芝・淑徳・淑徳巣鴨・淑徳SC・淑徳与野
浄土真宗……武蔵野大学・千代田国際・国府台女子学院
曹洞宗………駒沢学園女子・世田谷学園・鶴見大附属
真言宗………成田高校付属・宝仙学園理数インター
天台宗………駒込
日蓮宗………立正大学付属立正・東京立正
日蓮正宗……創価
立正佼成会…佼成学園・佼成学園女子
臨済宗………鎌倉学園
霊友会………明法

キリスト教系
カトリック系

〈東京都23区〉
暁星・光塩女子学院・サレジアン国際学園・サレジアン国際学園世田谷(2022年度まで目黒星美学園)・白百合学園・聖心女子学院・聖ドミニコ学園・雙葉(四谷)
〈東京都多摩地区〉
晃華学園・サレジオ(小平)・東京純心女子・東星学園
〈神奈川県〉
栄光学園・カリタス女子・函嶺白百合学園・湘南白百合学園・サレジオ学院・聖光学院・聖セシリア女子・清泉女学院・聖ヨゼフ学園・聖園女学院・横浜雙葉
〈埼玉県〉
浦和明の星女子
〈栃木県〉
星の杜(2022年度まで宇都宮海星女子)
〈その他 首都圏入試実施校〉
静岡聖光学院(静岡県)、函館ラ・サール(北海道)、不二聖心女子学院(静岡県)、盛岡白百合学園(岩手県)

プロテスタント系

〈東京都23区〉
青山学院・恵泉女学園・香蘭女学校・頌栄女子学院・女子学院・女子聖学院・聖学院・玉川聖学院・東洋英和女学院・普連土学園・立教池袋・立教女学院
〈東京都多摩地区〉
桜美林・啓明学園・自由学園・明治学院
〈神奈川県〉
青山学院横浜英和・アレセイア湘南・関東学院・関東学院六浦・捜真女学校・フェリス女学院・横須賀学院・横浜女学院・横浜共立学園
〈千葉県〉
三育学院
〈埼玉県〉
青山学院大学系属浦和ルーテル学院・聖望学園・立教新座
〈茨城県〉
茨城キリスト教学園

神道系

〈東京都〉
國學院久我山
〈栃木県〉
國學院栃木



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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