上級者向け 受験マニアックス
2020年1月号 2020年地域別入試予測
この記事は2019年度の情報です。最新の情報は2021年1月号をご覧ください。
2020年の中学受験の動向はどうなるのでしょうか。2019年の入試結果、入試変更点、模試の志望状況などからの分析をご紹介します。参照した模試は、2019年10月、11月の首都圏模試センターの統一合判と四谷大塚の合不合判定テスト、小社の塾内模試アタックテストが中心で、必要に応じて日能研模試、SAPIXオープンの状況も加味しています。
以下に、全体のトピックスを東京23区、東京多摩地区、神奈川県、千葉県、埼玉県の順に掲載します。
※ 毎年のことですが、こうした予測を読んで、特に併願校を中心に、受験校の組み立て方を変更する受験生もいます。「2019年11月時点の情勢」とお考えください。
全体のトピックス
1.中学受験志向の高まり
群馬県を除く首都圏1都5県の小6児童数は、昨年より約1,900名増加しています。また、受験マニアックス2019年11月号でもお伝えしましたが、2018年に続き、各模試のトータル受験者数は目立って増加しています。このことから、首都圏の中学受験率が確実に上がることがうかがえ、2020年度に向けて、中学受験志向が本格的に高まっていると言えるでしょう。
2.受験生の志向
各模試の結果では、難関・上位校に根強い人気が集まっています。例年通りの厳しい入試が続くと思われますので、しっかりとした準備をしてください。また、グローバル教育、アクティブラーニング、STEM教育、国際バカロレアなど、新しい価値観での取り組みに力を入れている学校も、受験生から支持されている様子がうかがえます。
中堅校や中堅までの学校は、希望者が増えている学校、昨年並みの学校などさまざまです。学校による人気の違いも目立っています。
3.早々と諦めないで挑戦を
早々と白旗を上げてしまうのではなく、一生に一度の中学受験ですから、最後まで初志を貫いてほしいと思います。入試回数が多い学校は、1回目で不合格でも2回目、3回目……と根気強く挑戦を続ければ、合格を勝ち取れる可能性は十分にあります。また、受験マニアックス2019年12月号でもお伝えしましたが、併願校については状況に応じて柔軟に考えておくことが大切です。特に2月1日以降は複数の学校の受験を同じ日程で考えておき、その時の状況に応じて実際の受験校を選んでいきましょう。
実力は入試の直前まで伸びます。しっかりと勉強を続け、最後まで諦めずに入試に挑むことで、道は拓けてくるでしょう。大変な部分もありますが、粘り強くがんばっていただければと思います。
4.新設校
2020年度から、茨城県の県立太田第一、鉾田第一、鹿島、竜ヶ崎第一、下館第一高校に併設中学校が開校して一貫教育が始まります。現在県内に3校ある一貫校の実績を、全県で享受できるようにと増設されるもので、3校から全13校に増設していくための第一弾です。中学受験志向が見られる地域だけでなく、ほとんど見られない地域にも新設されますので、中学受験がどのくらい拡大するか注目される動きです。
私立では開智望中等教育学校が新設されます。小学校の卒業生が内部進学することに伴った開校ですが、外部からの一般募集も行います。国際バカロレア(IB)の認定校で、小学校ではPYPプログラム(初等教育のプログラム)を実施してきましたが、2020年度以降は中高段階でも国際バカロレア(IB)プログラム(MYP、中等教育プログラム)を取り入れていく予定です。
5.大きな変更点
- 品川翔英(現・小野学園女子中):女子校から共学になり、校名を「品川翔英中学校」に変更。
- 聖ヨゼフ学園:女子校から共学に。国際バカロレア(IB)の試行を開始。
- 暁星、湘南白百合学園: 長く1回入試だったが、2020年より複数回入試を行う。
- 富士見、田園調布:2020年より午後入試を実施。いずれも算数一科入試。
※ 2020年度首都圏中学入試の細かい変更点については、受験マニアックス2019年7月号、受験マニアックス2019年10月号をご参照ください。
受験生のお子さまと保護者の方へ
受験生のお子さまには、あきらめない姿勢とポジティブな思考で、受験に臨んでもらいたいと思います。大切なことは、がんばってきた自分を信じることです。試験会場では「周りの人は自分よりも優れているのではないか」と気になってしまうかもしれません。しかし、それは他の受験生も同じことで、みんなプレッシャーを抱えています。周りは気にせずに、自分のペースで試験に臨んでください。また、実際の出来不出来に関わらず、多くの場合、試験直後は打ちのめされて、不安な状態になります。前回の試験の影響を長引かせず、自分の努力を信じて、次へと気持ちを切り替えることがとても大切です。
保護者の方は、お子さまの受験に入れ込みすぎず、冷静な部分を持ち続けることが大切です。実は、受験に没頭するあまり途中で息切れしてしまい、お子さまよりも先にギブアップしてしまうケースも多く見られます。保護者の方が疲れたら、「6年生だし、あなた自身の受験なのだから、自分1人で入試に行ってらっしゃい」と、お子様を送り出す(実際にそこまでするご家庭は多くありませんが)くらいの気持ちを持ってください。
合格にしても不合格にしても、中学受験の結果が、その後の人生を大きく左右するわけではありません。お子さまにとって、人生の貴重な経験と考えて、取り組んでいただければと思います。