上級者向け 受験マニアックス
2023年12月号 2024年度中学入試の併願作戦
中学受験をする方は、そろそろ本格的に併願校を決める時期です。今回の受験マニアックスでは、併願校選びのポイントと、過去2年分(2022・2023年度)の先輩たちの併願データを紹介します。なお、お試し受験が中心の、地方校の首都圏入試はランキングから外しています。
併願校選びのポイントとアドバイス
首都圏の中学受験は1月入試と2月入試に分かれます。1月入試を行うのは、千葉県・埼玉県・地方の学校、2月入試を行うのは、主に東京都・神奈川県の学校です。中学受験においては、高い志望順位の学校の前に押さえとなる併願校の入試を受け、最低1校は合格を確保して自信をつけてから、大切な勝負に挑むことをおすすめします。
千葉県の受験生の場合は1月10日から受験できる埼玉県の入試や、12月から1月中旬に実施される茨城県の入試を、埼玉県の受験生の場合は11月から始まる茨城県や栃木県の入試を事前に受けてウォーミングアップをした上で、本命校の入試に挑めるようにすると良いでしょう。埼玉県西部や南部の受験生は、なかなか栃木県まで出かけにくいと感じますが、佐野日大は12月に都内の水道橋で入試を行いますから、こうした入試を活用したいものです。千葉県や埼玉県の学校と東京都・神奈川県の学校を併せて受ける受験生の場合は、1月中に1校は合格を決めることを考えましょう。東京都や神奈川県の受験生の場合は、早い時期に受けられる千葉県・埼玉県・地方の入試を活用して合格の経験を得た上で、本命校の入試を受けるようにしましょう。
併願校の組み合わせの点では、フレキシブルに選択肢を考えていただきたいと思います。第一志望校、第二志望校は動かせませんが、併願校については最初から「この学校とこの学校だけ」などと決めつけずに、あらかじめ何通りかの受験計画を用意した上で、状況に応じて臨機応変に選んでいくことが大切です。例えば「2月1日午前の入試が受かったら、2月2日午前はA校。2月1日午前の入試がうまくいかなかったら、2月2日午前はB校」あるいは「体調が良ければA校、悪かったらB校」というように、複数のパターンを用意しておきましょう。最近はインターネット出願によって入試の直前まで出願できるケースが増えていますので、臨機応変に実際の受験校を選び、お子さんにとってベストな展開をつくっていきましょう。
周りに流されず、自分に合う学校を冷静に選ぶことが大切
毎年この時期になると、雑誌やインターネットなどさまざまな媒体に入試予測情報が掲載されます。「人気が上がりそうな学校」の情報が出ると、「難しくなりそうだから避けよう」という動きや、あるいは「避ける人が増えそうだから、あえて志望校は変えない」という動きが出てきます。中学受験の情勢は、入試の直前まで流動しますので、入試予測情報に振り回されず、あくまで途中経過の参考意見と捉え、ご家庭でじっくりと受験する学校を考えていくことが大切です。それから、これは女子受験生に時折見られることですが、同じ本命校を目指す友達と同じ併願校を安易に選ぶ傾向が見られます。本人の性格やご家庭の方針によって合う学校は異なりますので、周りに流されず、自身が行きたいと思う併願校を探すようにしてください。
併願校は、実際に入学するかもしれない学校です。ぜひとも校風や内容にも目を向けて、選んでいただきたいと思います。迷ってしまう場合は、お子さんの通っている塾の先生にアドバイスを求めると、お子さんの個性や学力に沿った提案をいただけるでしょう。
最後まで粘り強く挑戦を続ける
最近の中学受験の模様を見ていると、挑戦志向よりも安全志向が強まっていると感じます。また、受験回数をなるべく減らしたり、なるべく早く受験を終わらせようとする傾向も強くなっています。しかし、中学受験は一生に一度のこと。後悔を残さないように、体調などに配慮しながら、粘り強く、希望をもって挑戦していただきたいと思います。
特に、志望順位の高い学校で複数回入試を実施している場合、1回目がうまくいかなかったとしても、意気消沈せずに2回目、3回目と挑戦していくと、合格がつかみ取れるケースが多くあります。早い日程で受けた第一志望校が不合格で、そのあと受けた第二志望、第三志望の学校に合格した場合でも、受験を終わらせずに第一志望校の2回目、3回目の入試を受け、妥協せずに最後まで努力を続けることが大切です。受験勉強の日々は親子ともに大変ですが、悔いが残らないように最後までお子さんをサポートしてほしいと思います。
2022・2023年度の中学入試併願校・併願入試の集計結果
私国立難関進学校、早慶・GMARCHレベルの大学附属校、進学校や大学附属であっても進学校カラーが強い学校などのカテゴリ別に、併願の傾向を紹介します。また、11月に行われた大手公開模試において人気上昇が目立った学校についても、併願校選びについてのコメントをしております。
あわせて、2022・2023年度の中学入試併願校・併願入試データをPDFにて紹介しています(データは、塾内模試「アタックテスト」の合否追跡調査の結果をもとに、独自に集計したものです)。
なお、ここで紹介するデータは、あくまでも昨年と一昨年の先輩たちの併願校選びの傾向です。一つの参考資料としてご覧いただき、実際に併願校を選ぶときには、お子さんの希望を聞いたり、塾の先生と相談をしながら、決めていただきたいと思います。
1.私立・国立難関進学校が第一志望
入試を複数回行う学校では、同校の別の回次を併願する傾向が強いです。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の順に、併願の傾向を紹介します。
東京都
- 男子御三家(開成、武蔵、麻布)、駒場東邦、筑波大駒場:前哨戦の1月入試では、埼玉の栄東が多く選ばれています。千葉の渋谷教育学園幕張を選ぶケースもあります。武蔵は、過去問題集が品薄気味になっているようで、希望者が増えていることが窺えます。
- 女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉):併願先としては男子同様に、1月入試の栄東が選ばれることが多くなっています。その他、埼玉の浦和明の星や東京の豊島岡女子を選ぶケースも多くみられます。
- 渋谷教育渋谷、筑波大附属:男女校の最難関校です。男子校や女子校と同様に、1月入試では栄東が選ばれることが多いです。渋谷教育渋谷は、同校の別回次を選ぶケースも多いです。筑波大附属の併願先としては、渋谷教育渋谷も選ばれています。男女校に固執せず、男子校や女子校の難関校を併願先として選ぶ受験生も多くなっています。
- 広尾学園:同校の別回次や栄東の他、難関校の麻布や市川、上位校の三田国際学園などが見られます。医進・サイエンスコースを目指す場合、同校の本科コースや広尾学園小石川を併願した上で、挑戦をしていただければと思います。その他、医進・サイエンスコースに学びの内容が近い学校として、芝浦工大附属などに視野を広げてもよいかもしれません。
神奈川県
- 栄光学園、聖光学院、浅野:神奈川県の男子校の最難関校です。併願先として、1月入試では栄東が多く選ばれています。また、互いに併願し合うケースも見られます。栄光学園は模試での人気が上がっていますので、押さえの学校をしっかり確保しつつ、挑戦していただければと思います。
- フェリス、横浜雙葉、横浜共立:神奈川県の女子校の最難関校です。フェリスの併願先としては、浦和明の星や淑徳与野がよく選ばれています。横浜雙葉と横浜共立の併願先としては、鎌倉女学院が選ばれるケースが多いです。2024年度入試では横浜雙葉が2月1日・2日の一般入試を2回にすることから、フェリスと横浜雙葉の2日といった、新たな併願が出るでしょう。
- 洗足学園:同校の別回次を選ぶケースが多いです。1月入試では栄東や浦和明の星が選ばれることが多くなっています。他、国府台女子も選ばれています。
千葉県
- 市川、渋谷教育学園幕張、東邦大東邦:千葉県の最難関校です。併願先として1月入試では栄東が多く選ばれています。その他、市川は昭和学院秀英、渋谷教育学園幕張は同校の別回次、東邦大東邦は同校の別回次や昭和学院秀英がよく選ばれています。東邦大東邦は模試で男子の人気が上がっています。市川あたりを組み込んで計画していただければと思います。
- 昭和学院秀英:同校の別回次や東邦大東邦、市川が多く選ばれています。模試では男子の人気が上がっています。また、千葉県内の学校で合格を勝ち取ってから、2月1日から始まる都内の難関校を目指す受験生も増えてきたようです。
埼玉県
- 栄東:毎年、受験生の数が日本一の学校です。これは、東京、神奈川、千葉の難関・上位校を目指すような受験生たちの主な併願先となっているためです。栄東を第一志望にする場合には、埼玉栄の医学クラスや難関大クラスなどを押さえにするとよいかと思います。
- 開智:併願校には同校の別の回次が圧倒的に多く、大宮開成や栄東も見られます。2024年度は系列校の開智所沢が開校、入試は開智と共同実施になりますから、同校との併願がかなり多くなりそうです。模試では女子の人気が上がっています。
- 浦和明の星:埼玉県最難関の女子校です。併願先には、東京の難関校・豊島岡女子が見られ、埼玉県内では栄東や淑徳与野があります。
2.早慶・GMARCHレベルの大学附属校が第一志望
入試を複数回行う学校では、同校の別の回次の併願が多くなっています。それ以外で多いのは1月入試の栄東、獨協埼玉、立教新座、淑徳与野、西武文理、市川などです。また、別の大学附属校を併願に選ぶケースも見られます。私立・国立難関進学校を志望する場合よりも、幅広い学力レベルの学校が選ばれています。
- 青山学院、早稲田実業、早大学院:これらの、入試を1回しか行わない学校では、立教系や明治系などの他大学の附属校を併願しようとする動きが見られます。附属校ではない学校では、広尾学園や国学院久我山、1月入試では栄東がよく選ばれています。
- 慶應義塾中等部、慶應義塾普通部、慶應義塾湘南藤沢:系列他校の併願が目立ちます。男子の場合は3校とも、女子は慶應義塾中等部と慶應義塾湘南藤沢の併願になります。系列外では栄東、立教新座、青山学院、大宮開成などが選ばれています。例年厳しい入試が繰り広げられますので、男子なら立教新座、女子なら学習院女子や香蘭女学校の2月1日の入試を併願校にして、しっかりと合格を確保していただければと思います。
- 立教女学院、学習院女子:両校とも模試では人気が上がっています。立教女学院は、恵泉女学園、栄東、日本女子大、淑徳与野などが併願先に選ばれています。学習院女子は面接を取りやめて受験しやすくなることも模試での人気につながっています。同校の別回次の他、淑徳与野、山脇学園などが選ばれています。
- 中央大学附属:立教新座、西武文理、大宮開成、栄東などが選ばれています。同校の志望者は附属校志向が強いので、多摩地区の法政大学や明治大学付属八王子、多摩地区に限らなければ法政大学第二なども視野に入れると良いでしょう。
- 法政大学、法政大学第二:法政大学は、模試では男女とも人気が上がっています。特に男子は系列の法政大学第二が男子の募集定員を削減することで影響が出ているのでしょう。同校の別回次の他、大宮開成、国学院久我山、中央大学附属などが選ばれています。法政大学第二は男子の定員が削減され、女子は増えることから、模試では女子の人気が上がっています。併願先には、同校の別回次の他、中央大学附属横浜、大宮開成、栄東などが見られます。
- 明治大学付属八王子(旧校名:明治大学付属中野八王子): 同校の別回次が多く選ばれています。他に、中央大学附属、明治大学付属中野、西武文理などが選ばれています。同校の別回次や他の附属校なども併願しつつ、受験校カラーが強い学校にも視野を広げ、八王子学園八王子や工学院大附属なども考えていくとよいかと思います。
- 学習院:模試では幅広い学力層の男子で人気が上がっています。併願先には、同校の別回次の他、立教新座、栄東などが選ばれています。
- 日本学園:2026年度から共学化して明治大学の系列校となる学校で、2023年度の中学入学生から明治大学への内部推薦の対象になるということで、一気に人気が上がっています。受験生の学力層も上がっていて、2024年度はさらに学力上位の学校との併願が増えるかもしれません。
- 青学浦和ルーテル:模試では女子の人気が上がっています。併願先には、同校の別回次の他、青山学院、獨協埼玉、東洋大学京北などが選ばれています。
3.進学校、附属大学があっても進学校カラーが強い学校〈上位校〉
このカテゴリはほとんどの学校が複数回入試を行っているため、同校の別の回次を併願する傾向が強くなっています。千葉と埼玉の学校は都内の学校を第一志望とする場合の前哨戦として併願されていることも多く、併願先データには都内のいろいろな学校の名前が見られます。学校の数が多いため、男子校、女子校、男女校に分けて併願の傾向を紹介します。
男子校
- 海城、城北、巣鴨、早稲田:御三家など最難関校の押さえとして受験されるケースが多くなっています。1月入試の併願先としては栄東がよく選ばれています。また、これらの学校間で併願しあうケースも多く見られます。
- 桐朋:1月の受験校では栄東がよく選ばれています。その他、同校の別回次、立教新座などが選ばれています。同校を第一志望とする受験生が併願校を選ぶときは国学院久我山なども候補に入れていただきたいと思います。
- 芝:模試では、中堅層の人気が上がっています。1回は受験生が分散するので例年とあまり変わらない入試になりそうですが、2回は御三家の併願者も多いことから厳しくなりそうです。例年の併願校である海城や成城のほか、視野を広くして高輪あたりも併願候補に入れると良いでしょう。
- 本郷:本郷を本命とする受験生は同校の別回次を併願するケースが多くなっています。その他、栄東、立教新座などが選ばれています。
- 攻玉社、世田谷学園、高輪、東京都市大付属、成城:5校とも模試では人気が上がっていて、中でも高輪と成城は第一志望の受験生が増えています。御三家など最難関校の押さえとされていることも多いですが、この5校間で併願をしあうことも多くなっています。これは、このグループの中で確実に合格をしようという動きでしょう。1月入試では栄東も選ばれています。東京都市大付属はⅠ類、Ⅱ類のコースのうち、Ⅰ類を押さえにして受験パターンを決めていくことが多いようです。
- 鎌倉学園・逗子開成:模試では両校とも人気が上がっています。鎌倉学園と逗子開成で併願しあうケースがよく見られ、栄光学園と聖光学院の併願先になることも多くなっています。両校のどちらかを本命校にしている受験生は、藤嶺藤沢なども併願校として組み込んで、確実に合格を確保していただきたいと思います。
- サレジオ学院:模試での人気が上がっています。併願先には、同校の別回次や栄東などが選ばれています。
女子校
- 鴎友学園女子、大妻、富士見、共立女子、吉祥女子:それぞれ各校の別の回次を併願するパターンが多くなっています。1月入試では富士見や吉祥女子は埼玉県の学校が中心で、他の3校は埼玉県の他に千葉県の学校も見られますが、地理的な面からです。大妻は模試での人気が上がっていますので、視野を広くして併願校を選んでいただければと思います。
- 白百合学園:併願校には栄東や浦和明の星といった埼玉県の学校が選ばれている他、毎年のことですが雙葉との併願が多くなっています。
- 恵泉女学園、香蘭女学校:両校とも別回次が多く選ばれているほか、相互の併願も少なくありません。恵泉女学園を本命にする受験生は、同じくミッション系の女子校でゆとりを持って受験できそうなところ、例えば玉川聖学院などを併願校の候補に入れても良いかもしれません。香蘭女学校は2月1日の入試を2科4科選択から4科のみに変更しますが、併願校はあまり変わらないと思われます。
- 品川女子学院:模試では上位の学力層からの人気が上がっています。同校の別回次を併願するパターンが多いほか、実践女子学園、香蘭女学校なども選ばれています。少し視野を広く持ち、和洋九段あたりも併願校候補に入れてみてはどうでしょうか。
- 東洋英和女学院:同校の別回次の他、共立女子、普連土学園、東京女学館などが選ばれています。ミッション系の学校ですが、過去2年の併願校データを見ると、ミッション系にこだわらない選び方が見受けられます。東京女学館や共立女子などを組み合わせ、しっかり併願校で合格を決めていただきたいと思います。
- 頌栄女子学院、東京女学館:両校とも模試で人気が上がっています。頌栄女子学院は、併願先には、香蘭女学校、普連土学園、大妻中野、共立女子などが選ばれています。東京女学館は、同校の別回次を選ぶケースが多くなっています。他に、香蘭女学校、恵泉女学園などがよく選ばれています。
- 普連土学園:模試で幅広い学力層からの人気が上がっています。同校の別回次を併願するケースが多く見られるほか、香蘭女学校、跡見学園なども選ばれています。
- カリタス女子:模試で人気が上がっています。併願先としては、同校の別回次がよく選ばれています。恵泉女学園、田園調布学園なども選ばれています。併願校として、少し距離は遠いですが捜真女学校あたりを押さえにして、確実に合格を確保していただければと思います。
- 国府台女子:模試で幅広い学力層からの人気が上がっています。同校の別の回次や和洋国府台女子、江戸川女子などの女子校が多く選ばれています。
- 淑徳与野:同校の別の回次や栄東、大宮開成などが選ばれています。2024年度に医進コース入試を始めますが、併願校はあまり変わらないと考えられます。
男女校
- 国学院久我山:同校の別回次が多く選ばれています。栄東、明治大学付属中野、日本大学豊山なども選ばれています。女子部では吉祥女子や大妻中野も見られます。
- 淑徳:同校の別回次がよく選ばれています。また、地理的に埼玉の学校との併願が多くなっています。男子校、女子校、男女校を意識せずに選ぶ傾向が見られます。
- 東京都市大学等々力:模試では男女とも人気が高くなっています。同校の別回次を併願するケースが非常に多い学校です。併願校で確実に合格を決めるために、品川翔英やサレジアン国際世田谷、文教大付属あたりを候補に入れるとよいかと思います。
- 三田国際学園:模試では女子の人気が上がっています。同校の別回次を併願するケースが多くなっています。その他、青稜、大宮開成、専修大学松戸などの名前も見られます。
- 芝浦工大附属:模試では男女ともに人気が上がっていて、特に男子の第一志望の希望者が増えています。同校の別回次を併願するケースが多くなっています。他には、専修大学松戸、獨協埼玉なども選ばれていますが、思い切って、東京電機大や工学院大附属など、多摩地区の学校も併願先として検討してはいかがでしょう。
- 頴明館:同校の別回次を併願するケースが非常に多い学校です。他に、帝京大学、工学院大附属、東京電機大なども選ばれています。八王子学園八王子なども併願校として考えてもよいかと思います。
- 学芸大世田谷:東京農大第一、栄東、攻玉社などが選ばれています。
- 神奈川大附属:模試では、幅広い学力層の女子からの人気が上がっています。併願先には同校の別回次が多く選ばれています。他に、中央大学附属横浜もよく選ばれています。
- 関東学院:同校の別回次を併願するケースが多くなっています。他に、法政大学第二、鎌倉学園、山手学院なども選ばれています。系列校の関東学院六浦を併願候補に入れてみるなどして、併願作戦を組み立ていただければと思います。
- 公文国際学園:鎌倉学園、関東学院、湘南学園などが多く選ばれています。帰国生の受け入れが多いという特徴を持つ学校ですので、比較的帰国生の受験が多い学校、例えば桐蔭学園や森村学園などを併願校にしてみるのも一手だと思います。
- 山手学院:同校の別回次を併願するケースが多いほか、鎌倉学園もよく選ばれています。押さえの学校として、湘南学園あたりを考えてみてもよいかと思います。
- 芝浦工大柏・専修大学松戸:両校ともそれぞれ別回次が多く選ばれています。また、お互いに併願しあうケースも多くなっています。芝浦工大柏は模試で男子の人気が上がっています。両校を高い志望順位で考えている場合は、麗澤なども組み合わせて考えてください。
- 大宮開成:模試では男子の希望者が増えています。同校の別回次を併願するケースが多く、他には栄東や淑徳与野がよく選ばれています。大宮開成を本命校とする場合、同校の別回次に挑戦するとともに、押さえの学校として浦和実業や埼玉栄あたりを考えていただければと思います。
- 星野学園:同校の別回次が圧倒的に多く選ばれています。他には大宮開成や淑徳与野が選ばれています。
4.進学校、附属大学があっても進学校カラーが強い学校〈中堅校〉
ほとんどの学校が複数回入試を行っていて、同校の別回次を併願することが多くなっています。東京都や神奈川県では、併願校をあまり遠くない地域から選ぶケースが多いです。千葉県、埼玉県の学校についても、前段(3.進学校、附属大学があっても進学校カラーが強い学校〈上位校〉)と比べて同じ県内の学校を併願する傾向が強くなっています。都内や神奈川県の学校の前哨戦として併願されることが多い学校では、併願校にバリエーション豊かな都内校が見られ、第一志望の受験生が多い学校では、併願校に都内校の名前はあまり見られなくなっています。1月入試の併願校としては、地方寮制の学校が選ばれるケースが多くなっています。また、地理的に千葉や埼玉に近い学校では、千葉や埼玉の1月入試と組み合わせるケースもよく見られます。
男子校
- 足立学園、京華、佼成学園:いずれも模試では人気が上がっています。併願先には各校の別回次のほか、足立学園では春日部共栄など、京華は日本大学豊山、獨協、高輪など、佼成学園は日本大学第二、国学院久我山などの名前が見られます。有名な附属校や進学校の併願校として位置づけられています。
- 城西川越、城北埼玉:いずれも同校の別回次の併願が多くなっています。この他、獨協、日本大学豊山など中堅どころの男子校と併願するケースも多いです。都内校との併願も見られ、都内校の前哨戦として両校が選ばれていることが分かります。
女子校
- 江戸川女子、大妻中野、大妻多摩:各校ともそれぞれの別回次の併願が多くなっています、また、比較的幅広い学力層の学校から、同じような校風の女子校を選ぶケースも多くなっています。大妻中野は2024年度入試から2科4科選択入試を4科のみに変更しますが、併願校はあまり変わらないでしょう。
- 田園調布学園:模試では人気が上がっています。同校の別回次を選ぶケースが多くなっています。他に、実践女子学園、香蘭女学校なども多く選ばれています。神奈川県寄りだと横浜女学院、東京都寄りだとトキワ松なども併願校として考えてみると良いでしょう。
- 三輪田学園:模試では、幅広い学力層からの人気が高くなっていて、第一志望の受験生も多くなって、いささか人気が過熱気味です。同校の別回次を併願にするケースが多い学校ですが、1月入試なら千葉県の和洋国府台女子などの他、都心に位置してアクセスのよい和洋九段なども併願校候補に入れるとよいかと思います。
- 山脇学園:模試では学力上位層からの人気が上がっています。同校の別回次を併願にするケースが多い学校ですが、しっかり押さえになる学校を併願して、受験作戦を考えていただければと思います。
- 跡見学園:模試での人気が上がっています。跡見学園の一般入試と特待入試を併願する受験生がとても多くなっています。千葉の和洋国府台女子も多く選ばれています。千葉や埼玉の学校を併願校に入れ、1月入試できちんと押さえの学校の合格を決めていただきたいと思います。
- 実践女子学園:実践女子学園を本命とする受験生は同校の別回次を併願にするケースがとても多いです。おしゃれさや華やかさを感じる渋谷に立地する学校ですが、場所のこだわりをなくして、広い視野で併願校を探していただければと思います。
- 桐朋女子:模試では中堅層からの人気が上がっています。併願先には恵泉女学園がよく選ばれているほか、大妻中野や昭和女子大附属の名前も見られます。独特な入試を行う学校なので併願校選びに苦労しがちですが、佼成学園女子や大妻多摩なども併願校として検討していただければと思います。
- 神奈川学園、聖セシリア:両校ともそれぞれの別回次を併願することが多くなっています。このグループの学校では、同じレベルかやや下のレベルの他の女子校を選ぶケースが多く見られます。1月入試の併願先としては、地方寮制の学校がよく選ばれています。聖セシリアは、模試での人気が高くなっています。
- 京華女子、玉川聖学院、中村:模試では人気が上がっています。併願先では、各校ともそれぞれの別回次が見られる他、京華女子なら千葉日大第一や千代田国際など、玉川聖学院では実践女子学園など、中村はかえつ有明、和洋国府台女子、日本大学第一などが見られます。こうした学校の併願に選ばれています。
男女校
- かえつ有明:同校の別回次を併願するケースがとても多くなっています。グローバル色の強さに魅力を感じ、挑戦したいと考える受験生が多いのでしょう。帰国生では広尾学園や開智日本橋などが多く選ばれています。
- 順天、青稜、桜美林、東京電機大:各校の他の回次の併願が多くなっています。東京電機大は、模試で幅広い学力層の男子からの人気が上がっており、第一志望の受験生も多くなっています。なお、順天は11月29日に、2026年度から北里大学の附属校になることを公表しましたが、遅い時期の公表のため、2024年度入試では、併願受験生がさらに少し増える可能性はあるものの、人気で難度面に大きく影響するようなことはなさそうで、影響が出るとしても2025年度入試でしょう。
- 安田学園:先進特待の入試のみになって、以前よりワンランク難化しています。同校の別回次がよく選ばれているほか、千葉日大第一、専修大学松戸、獨協埼玉などが選ばれています。難化を考慮にいれ、1月入試の併願校をしっかり選んでいただければと思います。
- 駒込:2月2日以降だと、同校の1日を併願にするケースが非常に多い学校です。他に、東洋大学京北、日本大学豊山、獨協埼玉などの名前も見られます。同校を第一志望校として挑戦する場合には、郁文館なども併願校として考えていただきたいと思います。
- 淑徳巣鴨、桜丘、東京成徳大、帝京大帝京:淑徳巣鴨と桜丘は、人気の上昇とともに難化傾向も見られました。両校ともそれぞれの別回次を併願するケースがとても多くなっています。淑徳巣鴨なら東京成徳大など、桜丘なら成立学園などを併願校として検討してみてはいかがでしょう。東京成徳大や帝京大帝京も、それぞれの別回次の併願が多くなっていますが、模試では男子の人気が上がっています。淑徳巣鴨や桜丘の人気、難化の影響を受けて東京成徳大や帝京大帝京に受験生が流れているのかもしれません。
- 芝国際:2023年度から女子校の東京女子学園が共学化し、校名を変更した学校です。2023年度入試では男女ともに大人気で激戦の入試でしたが、定員拡大もあって、模試では落ち着いた人気です。同校の別回次が併願先としてよく選ばれています。併願校選びの傾向は、従来の東京女子学園とは大きく変わりました。
- サレジアン国際世田谷、サレジアン国際(赤羽):サレジアン国際世田谷は2023年度から女子校の目黒星美学園が共学化し、校名を変更した学校です。模試では共学校志向の女子の人気が高まっていて、男子の人気が女子を追いかけていく状況です。併願校選びの傾向は、今後徐々に変わっていくでしょう。系列校のサレジアン国際は、サレジアン国際世田谷より1年早く、2022年度に、星美学園(女子校)から共学化しました。模試では男子の人気が上がっていて、共学化が男子受験生に浸透してきました。併願先としては、東洋大学京北、日本大学豊山、芝国際などが選ばれています。
- 日本工大駒場:近年人気の上昇が続いていますが、今年の模試でもさらに男子の人気が上がっていて、要注意の学校です。併願先には同校の別回次を選ぶケースがとても多くなっています。
- 郁文館、文化学園大杉並、文教大付属、宝仙学園、多摩大目黒、城西大城西:模試では、郁文館と文化学園大杉並は男子の、文教大付属は女子の、宝仙学園、多摩大目黒、城西大城西は男女とも人気が上がっています。それぞれ、各校の別回次を併願するほか、郁文館は浦和実業、東海大学付属浦安、足立学園など、文化学園大杉並は日本大学第二、日本工大駒場、埼玉平成など、文教大付属は目黒日大、日本大学豊山など、宝仙学園は国学院久我山、日本大学第二、東京農大第一など、多摩大目黒は青稜や獨協など、城西大城西は日本大学第二、東洋大学京北、日本大学豊山などが併願校に表れていて、各校を高い志望順位で考える受験生だけでなく、有名な学校の併願先として選ばれるケースも多いことがわかります。
- 聖徳学園、武蔵野大学、多摩大聖ヶ丘:聖徳学園と武蔵野大学は、模試では男子の人気が上がっていて、多摩大聖ヶ丘は女子の人気が上がっています。各校とも、それぞれの別回次の他、聖徳学園なら成蹊、日本大学第二、日本学園、大妻多摩などが、武蔵野大学なら明治学院、大妻中野、東京電機大などが、多摩大聖ヶ丘なら桜美林、桐光学園、日本大学第三などが併願校に見られ、こうした学校の併願先になっています。
- 湘南学園:藤嶺藤沢、日本大学藤沢、鎌倉学園といった地理的に近い学校がよく選ばれています。関東学院六浦や自修館などを併願候補校として組み立てるのも方法だと思います。
- 桐蔭学園:模試では男子の人気が上がっています。志望順位が高い受験生は、同校の他の回次を併願先に選んでいます。他に、桐光学園、中央大学附属横浜なども選ばれています。桜美林などを併願校にするか、あるいは男子校や女子校の進学校も含めて併願校を考えてみてはと思います。
- 森村学園:模試では女子の人気が上がっています。併願先には、同校の別回次、神奈川大学附属、桜美林、中央大学附属横浜などがよく選ばれています。他に、横浜翠陵や文教大付属など、居住地に合わせて併願校を選んでみてはいかがでしょう。
- 横浜創英:教育改革を推進し、とても人気が上がってきた学校です。模試では男女ともに希望者が増えています。併願先としては、以前とは大きく変わって、三田国際学園、関東学院などがよく選ばれるようになってレベルアップしました。同校を第一志望とする場合は、ぜひサイエンス科と本科を併願し、サイエンス科が無理でも本科に入学することを考えてみるとよいかと思います。
- 日出学園:同校の別回次、かえつ有明、東洋大学京北などが選ばれています。都内の学校も同時に受験してみたいという場合には、安田学園や駒込などを含めて、併願作戦を組み立てるのもよいかと思います。
- 麗澤:同校の他の回次を併願することが多く、専修大学松戸もよく選ばれています。1月入試を併願する場合は、比較的距離が近い獨協埼玉を選ぶケースが多くなっています。
- 昭和学院、東海大学付属浦安:このところ高い人気が続いている昭和学院ですが、2024年度入試に向けても、模試では男女とも人気が上がっています。併願校には東洋大学京北、開智日本橋などがよく選ばれていて、千葉方面からのこうした学校の併願先になっています。東海大学付属浦安は、模試では女子の人気が上がっています。併願先には、同校の別回次の他、日本大学第一、浦和実業などが選ばれています。
- 流通経済大柏:開校2年目を迎える同校ですが、模試では女子の人気が上がっています。初年度だった2023年度入試では春日部共栄や専修大学松戸が併願校として多く選ばれていました。
- 春日部共栄、東京農大第三:同校の別の回次を併願するケースが多くなっています。また、都内校や県内の栄東を志望する場合の最後の押さえとして、これらの学校が選ばれていることも非常に多いです。春日部共栄は模試で男子の希望者が増えています。
- 昌平:同校の入試前に1校は合格を確保したいとして、佐野日大を併願するケースが見られる他、開智や大宮開成、専修大学松戸などの併願先としても選ばれています。
- 埼玉栄:模試では男子中堅層からの人気が高くなっています。ただ、栄東の受験生の併願先になっているケースが多いので、進学クラスはそれほど難易度が高くありません。医学クラスや難関大クラスを目指す場合は難易度が上がりますが、ぜひ進学クラスも併願して受験していただき、進学クラスに進むことになったら、そこで勉強をしっかり頑張っていただきたいと思います。
- 西武文理:模試では男女とも人気が上がっています。併願先には、同校の別回次の他、明治学院、中央大学附属、日本大学第二など幅広い学校が選ばれています。
5.中堅大学の附属校で、内部進学率が比較的高い学校
- 成蹊:同校の別回次、西武文理、明治学院、立教新座などが併願先に選ばれています。成城学園や聖徳学園も候補に入れて、合格を確保していただければと思います。
- 日本女子大:模試では人気が上がっています。同校の別回次の他、恵泉女学園、大妻多摩、香蘭女学校などが併願先に選ばれています。
- 昭和女子大附属、成城学園、明治学院、日本大学第二、日本大学(日吉)、日本大学藤沢、日本大学第一、日本大学豊山、日本大学豊山女子、日本大学第三、目黒日大:同じ学校の別の回次を併願するケースがとても多くなっています。これらの学校を第一志望とする場合は、それぞれの所在地と学力レベルにあわせた進学校が併願先として選択されています。日大系では、特に都内では他の日大系の学校を併願する動きも見られます。また、GMARCHレベルの大学附属校の併願校として選ばれるケースも多くなっています。模試では、日本大学第二は男子の第一志望の希望者が増えています。明治学院、目黒日大も男子の希望者が増えています。日本大学第一は、男子の幅広い学力層からの人気が上がっています。なお、マスコミでは日大の大学や経営陣について、いろいろな報道が見られますが、中学入試の学校選択には大きな影響は見られません。区別して考えている受験生が多いのでしょう。
6.公立中高一貫校
アタックテストは私国立中学校受験向きのテストなので、公立中高一貫校のデータは多くはありません。ここでは併願選びのおおむねの傾向を紹介します。
都内の場合は、1月入試で埼玉の学校を併願するケースが多くなっています。都内東部の都立白鴎高附、都立両国高附のような学校は、挑戦校としては栄東や広尾学園、安全校としては安田学園を選ぶケースが多くなっています。多摩地区など都内西部の学校では、八王子学園八王子などが選ばれています。
公立中高一貫校の私立併願校選びは実に幅広いものになっています。主な学校の併願の傾向について以下に紹介します。
東京都
- 区立九段:浦和実業、埼玉栄、共立女子など幅広い学校が選ばれている。2024年度から男女別の定員枠を撤廃するが、男子は少し敬遠するかもしれない。
- 都立白鴎高附:専修大学松戸、開智日本橋、昭和学院などが選ばれている。
- 都立両国高附:模試では女子の人気が上がっている。併願先は、安田学園や栄東、江戸川女子などが選ばれている。
- 都立小石川:栄東や市川、渋谷教育渋谷、渋谷教育学園幕張などが選ばれている。
- 都立桜修館:大宮開成、青稜、広尾学園などが選ばれている。
- 都立大泉高附:武蔵、立教新座、栄東などが選ばれている。
- 都立武蔵高附:栄東、城北、武蔵、宝仙学園などが選ばれている。
- 都立三鷹:東京電機大、芝浦工大附属、東京都市大付属などが選ばれている。
- 都立立川国際:模試では一般枠の女子の人気が上がっている。併願状況は多彩。大妻中野、日本大学第二、桐朋、吉祥女子などが見られる。
- 都立南多摩:帝京大学、穎明館、神奈川大学附属といった進学校との併願が多い。
神奈川県
- 市立南高附:関東学院、鎌倉学園、鎌倉女学院、横浜共立などが選ばれている。
- 市立サイエンスフロンティア高附:神奈川大学附属、山手学院、法政大学第二などが選ばれている。
- 県立相模原:専修大学松戸、神奈川大学附属、鴎友学園女子、桐光学園、洗足学園などが選ばれている。
- 市立川崎高附:東京都市大学等々力などが選ばれている。
千葉県
- 県立千葉:東邦大東邦、市川、栄東、芝浦工大柏などが選ばれている。2024年度から男女別の定員枠を撤廃するが、女子は少し敬遠するかもしれない。
- 県立東葛飾:芝浦工大柏、渋谷教育学園幕張、麗澤などが選ばれていて、地元志向の強さがうかがわれる。2024年度から男女別の定員枠を撤廃するが、あまり影響はなさそう。
埼玉県
- 県立伊奈学園:模試では男子の人気がやや上がっている。淑徳与野、春日部共栄などが選ばれている。
- 市立浦和:学習院、成城、城北埼玉、立教新座などが選ばれている。
- 市立大宮国際:淑徳与野、大宮開成、埼玉栄などが選ばれている。過去問題集が品薄気味になっているようで、希望者が増えていることが窺えます。
併願校選びのパターン
12月に入ると、2024年度中学受験に向け、第一志望校、第二志望校、併願校などを具体的に決める時期になります。下の図は、併願校の組み方についてのパターン例です。
上図「併願作戦の最悪パターン」は、受験校全てがレベルの高い学校という無理のあるパターンです。横一線に高難度の学校を次々と受験すると、1校も合格できない可能性が高くなり危険です。
理想は、「理想形はステップアップ型」のように徐々にレベルを上げていくステップアップ型です。まだ入試に慣れておらず緊張も大きい初日は、ケアレスミスも起こりやすくなります。最初は少々失敗しても大丈夫なハードルの低い学校から入試を始めることで、後半の入試では本来の実力を発揮しやすくなります。
しかし実際にはステップアップ型のスケジュールを組むのは難しく、反対に難度の高い学校から始まって徐々にレベルが下がっていくパターンも案外見かけます。この場合、最初に不合格になる可能性が高く、翌日は沈んだ気持ちで入試に臨まなければならないので実力が発揮しづらく、追い込まれるプレッシャーがのしかかってきます。
実際の併願校出願スケジュールを組み立てる際には、最初は難易度が低く合格の可能性が高い学校からスタートして、難易度に振り幅を設け、ジグザグと複数の学校を受験できるように計画していきましょう。
また、パターンを複数想定しておくことも大切です。合格を確保した日の翌日はレベルの高い学校に挑戦してみる、不合格になった日の翌日は安全校に出願を変えて落ち着いて入試に取り組むなど、柔軟に出願校を変えていくようにするとよいでしょう。また、志望順位が高い学校については、複数回入試があったら何回も挑戦を続け、最後まであきらめないでいただきたいと思います。
志願理由書の書き方について
中学受験の出願時、一部の学校では志願理由書を併せて提出することが求められます。志願理由書とは、「どうしてこの学校に入学したいのか」について、保護者の方が書くものです。
入試の結果、合格不合格のボーダーラインにいる場合、学校が志願理由書の内容を読んで「この子に入学してほしい」と思えば合格になることもありますし、その反対も起こり得ます。保護者の方は、しっかりと内容を吟味し、志願理由書を書くようにしてください。
志願理由書の書き方のポイントは、以下の3点です。
- その学校を気に入った点、入学したいと思った理由を具体的にしっかり書く。
- 本人の良いところをしっかり書き、入学後に長所を発揮してさらに伸ばしたいと書く。
- 謙虚は美徳ではない。
一昔前は、「貴校の方針に大賛成ですので、貴校らしくうちの子を育ててください」といった書き方がよいとされていた風潮もありました。しかし最近の学校は、独自の閉鎖的な存在ではなく、生徒やご家庭、そして社会とつながりあって、生徒を育てていこうという考え方を持つようになっています。学校側は、入学後に積極的に試行錯誤を重ねながら成長し、活躍できる人を求めています。ですから、お子さんの良いところをしっかりアピールし、その学校に入ってどう成長し何ができるのかをしっかりと記入することが大切なのです。
また、日本人はどうしても「謙虚は美徳」という考えを抱きがちです。中には、「うちの子はここが欠点で、こちらの学校にお世話になって直していただきたいと思いました」などと書いてしまう保護者の方も見受けられます。これでは学校側に良い印象が与えられませんので、「謙虚は美徳ではない」ということを肝に銘じて、お子さんが入学後に活躍できることを伝えるようにしましょう。
中学受験を成功させるポイント
最後に、中学受験を成功に導くポイントを紹介します。
- 第一志望校は譲らない
本当に行きたい学校であれば、最後まであきらめずに挑戦を続けましょう。複数回入試を行っている場合は、例え1回目が不合格でも2回目、3回目と挑戦し、最後まで食らいつく意欲を持ってください。 - 併願校は柔軟に考える/高校受験でのリベンジより魅力を感じる中高一貫校へ
併願校選びの際には幅広い視点を持つようにしてください。偏差値や通学時間だけで単純に考えるのではなく、教育内容や校風にも目を向けて、実際に行きたいと思う学校を候補にしましょう。
また、中学受験の結果、残念ながら第一志望校が不合格になると、地元の公立中学に進学して3年後の高校受験で挽回しようとするご家庭があります。しかし公立中学に進学すると、学習意欲が減退したり部活動に熱中して思うように学力が伸びないケースも多く、高校受験でリベンジを果たせる例は希少です。また、偏差値を出す時の母集団が違うという面もあるのですが、同じ学校でも中学受験時より高校受験時の偏差値が大幅に上がることが多々あります。
中高一貫校の魅力は、6年間をかけてじっくりと一人ひとりの力を伸ばしてくれる点や、STEAM教育、グローバル教育など多彩な学びを展開している点です。中学受験をする以上、「中高一貫校に必ず入る」という心意気を持って、併願校を受験していただきたいと思います。 - 2月1日からは午前午後で複数校の出願を計画する
東京都と神奈川県の中学の一般入試が始まる2月1日から数日間は、首都圏中学入試のピークであり、多くの受験生にとって正念場となります。そこで、2月1日からは、午前と午後のそれぞれ、複数の出願校候補を考えておき、フレキシブルに出願していくようにしましょう。事前に出願スケジュールを固めて早めに出願する必要はありません。入試直前まで受け付けてくれるインターネット出願をうまく活用して、臨機応変な出願を行いましょう。 - 実力は直前まで伸びる。だから粘る
お子さんの実力は入試直前まで伸びます。だからこそ、複数回入試で最後まであきらめずに挑戦したり、臨機応変な併願スケジュールを組み立てることが大切なのです。最近は中学受験の早じまい傾向が強くなっていて、1校受かるともう終わりにしようという気持ちになりがちですが、本当にいきたい学校があるのであれば、どうか最後の最後まで粘ってみてください。
中学受験の時期は受験生自身も保護者の方も大変なことが多いですが、苦労が報われる春を目指し、前向きな気持ちで日々を過ごしていただければと思います。保護者の方はお子さんの可能性を信じて、最後までしっかり応援やサポートをしてあげてください。ただ、保護者の方がお子さんの受験に入れ込みすぎると、過度なプレッシャーを与えてしまったり、途中で息切れしてしまったりすることもあります。冷静な部分をもち続け、適度な距離感でお子さんを支えることを心がけてください。