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スクールポット中学受験版 - 首都圏学校情報検索サイト

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上級者向け 受験マニアックス

2022年6月号 これからの学校選択のトレンド

今年4月に行われた模試の動向から、来年にむけて、中学受験が拡大傾向にあることがわかりました。そうした状況のなか、どのような学校が受験生から選ばれているのでしょうか。今回の受験マニアックスでは、今年の春の中学受験状況や保護者のアンケートからみえてきた学校選択のトレンドについて紹介します。

中学受験は拡大基調を続けている

首都圏の中学受験大手公開模試「合不合判定テスト(四谷大塚)」「日能研模試」「首都圏統一模試(首都圏模試センター)」「サピックスオープン」の今年4月の受験状況がまとまりました。

一昨年は新型コロナウイルス感染症拡大の対応により、一部大手の塾が参加を見合わせるなどの理由から受験者数は大きく落ち込みました。しかし、昨年は回復し、さらに今年は昨年を上回る受験者数となりました。

図1 模試別の受験者数推移

図1 模試別の受験者数推移

図1は10年間の模試別の受験者数推移です。サピックスオープンは2014年からのスタートです。グラフでは一昨年、四谷大塚と首都圏模試が大きく減っていますが、コロナ禍による緊急事態宣言の影響です。

四谷大塚は2017年から受験者数が増加基調に変化、一昨年はコロナ禍で大幅に減ったものの、昨年はコロナ禍前を超えて、サピックスオープン新設前の2013年を上回る受験者数で、今年もさらに増えています。

首都圏模試は今年、厳密には若干の増加ですが、グラフのように横ばいと言ってよさそうです。日能研は一昨年、受験者数がやや減ったものの、コロナ禍の影響をあまり受けていないように見えます。昨年は増加、今年は減少しました。

サピックスは2017年以降、順調に受験者数を増やしています。一昨年のコロナ禍では受験者数が少し減りましたが、昨年、今年と再び増加しました。

図2 児童数と受験率の推移

図2 児童数と受験率の推移

グラフは1都3県の小6(2016年以降は制度化された義務教育学校6年を含む)児童数と、大手公開模試受験者数を児童数で割った受験率の推移を、2001年からの推移で表したものです。児童数は2006年がピークで、2010年もそれに近い児童数でしたが、それ以後減少し、2017年(2018年の受験生)が最少になりました。2018年以後、再び増加しますが、昨年は一昨年より減った29万6千人あまり、今年もやや減っていて、29万5千人あまりです。受験率は2008年まで上昇が続き、中学受験が拡大期だったことがわかります。しかし、2008年秋にリーマンショックが発生、学費がかかる私立中高一貫校受験が冷え込んだことをきっかけに、それ以後は下降します。2014年以降は再び上昇に転じていて、その後横ばいになった年や、一昨年の下降はありますが、昨年は14.6%、今年は14.8%です。少しずつではありますが拡大基調となっています。

4月は公立一貫模試がありませんから、大手公開模試の受験率は私国立中高一貫教育への受験生、保護者の支持と考えることができます。支持の理由は受験生、家庭によってさまざまですが、2023年度入試に向けても、少なくとも4月の段階では期待が強いことは確かです。

これからの学校選択のトレンド

来年に向けて、中学受験がますます拡大しているなか、学校選びのトレンドはどのようになっているのでしょうか。

前述の通り、4月の大手公開模試の結果から、四谷大塚とサピックスでは順調に受験者数が増加していることがわかりました。そのため、2023年度も引き続き、いわゆる伝統的な難関校、次いで上位進学校の人気が高いのは確かなことといえるでしょう。また、模試ごとに希望者数の増減はあるものの、難関校・上位進学校の併願先として評価が高い学校も見えてきました。パターン化されている例としては東京都の男子御三家(開成・麻布・武蔵)+駒場東邦の併願先には中央線を境にして北側は巣鴨、南側は世田谷学園を選択する傾向にあります。

一方、女子御三家(桜蔭・女子学院・雙葉)の併願先としては豊島岡などがあり、全体的には定番とされている学校は変わらないでしょう。

さらに学校選択のトレンドとして定番となってきているのが、有名大学の附属校と半附属校(内部進学者の他に他大学進学を選択する生徒が一定数いる学校の通称)です。一般的に有名大学の附属校として早慶やGMARCH(学習院、明治、青山、立教、中央、法政)、半附属校では日大などが挙げられます。その他、工学系大学の附属校や東京都市大学などの学校も同じグループに入れられるでしょう。

2023年入試に向けて、注目のキーワード

現時点で人気が上がりそうな学校として大きく三つのキーワードに分けることができます。

一つは学習指導要領にも記載されている「思考力・表現力・判断力」の育成に具体性をもって力を入れていることが説明されている学校です。もう一つは、「21世紀型の学力観」を前面に出している学校です。いわゆるグローバルに目を向けたSTEM教育やアクティブ・ラーニングなどの新しい学びのスタイルを取り入れています。詳細については以下のリンクを参照ください。

新しい時代に向けて、共学化が進む

そして、三つ目のキーワードとなるのが「共学」です。昨今、女子の共学志向が高まっており、特に中堅校にその傾向が見られます。東京23区で見てみると、30年前の1992年と2022年を比べると、男子校は38校から27校に、女子校は78校から54校に減りました。一方、男女校(共学+男子部・女子部の併設校を含む)は10校から53校に増加しています。女子校が最多の状況が続いていましたが、2023年度に新たに2校(目黒星美学園→サレジアン国際学園世田谷、東京女子学園→芝国際)の女子校が共学へと転換するため、男女校の数が女子校を上回ります。

男子校の減少については、明大明治や早稲田実業のように、建て替えや校地整備などの理由で23区内から多摩地区に移転したというケースはあるものの、基本的には大学の附属校を中心にして、共学化が進んでいます。大学としては、附属校の共学化により、内部進学の女子学生を増やしていきたいという狙いがあるでしょう。すでに共学化が予定されている学校として、男子校の日本学園が、3年後に明治大学の系列校となって共学化されることが決定しています。男子校の共学化に関しては、大学側の意向とともに大学進学に対する保護者の期待も一つの要因として挙げられるでしょう。

女子校の共学化の傾向

一方、女子校の共学化には、戦後女子校が担ってきた役割が、一応の完成段階に達したことが背景にあると考えられます。

戦後の学制改革で現在の高等学校(新制高校)が1948年にスタートしましたが、当時は中学校を卒業して高校へ進学する生徒が、男子が約36%、女子が約18%と、現在から考えれば信じられないくらい少なく、特に女子の場合、約5人に1人しか高校へ進学しませんでした。公立高校では段階的に男子校や女子校(旧高等女学校)の共学化が進みましたが、女子の進学率向上が社会的にも求められる中で、私立女子校の新設校も登場しました。ちなみに、昨年マスコミで大きく取り上げられた、都立高校普通科の男女別定員制による合格ラインの不公平は、戦後女子の高校進学率を男子よりも優先して引き上げるために制度化されたものが、70年以上を経て、逆に女子に不利に働くことが多くなったために起きたことで、今春の入試から段階的に解消に向かっています。

新制高校のスタートから20年、1968年ごろになると、高校の進学率では男女差がなくなってきました。高度経済成長で男子の大学進学率は上昇、女子でも大学進学のニーズが高まってきます。当時の社会情勢では、女子では短期大学が多数派でしたが、短期大学+4年制大学の進学率は、男子の4年制進学率と比べると、やはりまだ大きな差がありました。共学校で女子の進学対策に取り組んだことはもちろんですが、私立女子校でも進学対策だけでなく、女子短大を高校が併設するケースも見られ、女子の進学率向上に大きな役割を果たしました。そこからさらに20年後の1988年ごろになって、ようやく大学進学率で男女が肩を並べるようになります。

1996年に女子の短期大学進学率と4年制大学進学率が逆転しました。また、社会では企業でも女性の役割が高まっていき、多様性のある働き方の第一歩が示されるようになっていきます。「育児・介護休業法」が施行され、企業は育児や介護での休暇を認めなければならないことになったのもこのころです(1995年)。女子の進学率の向上が、ある意味、一つの段階を達成したことでターニングポイントを迎えたようです。

1995年、女子校の青蘭学院が共学化、現在の青稜になりました。1996年には渋谷女子高校が共学の中学校(現在の渋谷教育学園渋谷)を開校します。この共学化が、現在につながる女子校の共学化の源流かもしれません。その後少しずつ女子校の共学化が進んでいきます。共学化をさらにブラッシュアップしたのが、2007年の順心女子学園の共学化(現在の広尾学園)や、女子校に新たに共学部を設置した宝仙学園(理数インター)です。これらの学校は新しい時代の要請に応えるという形での共学化を謳っています。この動きは2022年の星美学園の共学化(現・サレジアン国際学園)や千代田国際の中学募集の再開など、グローバル教育やPBL(問題解決型学習)に取り組む学校にもつながっていきます。

女子校ならではの教育は、現在でも意義があることですが、新たな時代に対応する形での共学化により、高い人気になっている学校が多いことを見ると、受験生や保護者の意識が変わってきたことは確かです。難関校といわれる御三家各校、あるいは豊島岡女子や洗足学園、鷗友学園、吉祥女子などの各校は、女子校だから、という理由だけでなく、進学実績をベースとした教育内容が評価されての人気です。新しい時代に求められるスキル、人間力の育成に期待する保護者の視点に立つと、やはり大きな改革を行って、先進的な教育内容の学校が来年度に向けても人気が集まると思われます。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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