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上級者向け 受験マニアックス

2018年11月号 9月の模試受験状況と来春中学受験の傾向

9月の三大模試(首都圏模試、日能研模試、四谷大塚)とSAPIX模試の受験者数データがまとまりました。その結果から見えてきた中学受験の盛り上がり、難関校・上位校志向について解説します。さらに、一方で人気に陰りや停滞が見られる女子校や中堅校への進学について、筆者の見解をご紹介します。

15年ぶりに三大模試全ての受験者数が増加

表1は、今年と昨年の9月の三大模試(首都圏模試、日能研模試、四谷大塚)の受験者数を集計した結果です。

表1 9月の三大模試の受験者数(2017年・2018年)

 

男子

女子

合計

9月

17年

18年

17年

18年

17年

18年

首都圏模試

6,011

6,101

6,665

6,763

12,676

12,864

日能研模試

6,067

6,278

5,785

6,108

11,852

12,386

四谷大塚

7,439

7,547

6,434

6,678

13,873

14,225

合計

19,517

19,926

18,884

19,549

38,401

39,475

今年の受験者数を昨年と比べると、全体では1,074名・2.7%増となっています。模試別に見ると、首都圏模試は188名・1.5%増、日能研模試は534名・4.5%増、四谷大塚は352名・2.5%増と、なりました。三大模試全ての受験者数が前年を上回ったのは、2003年以来実に15年ぶりです。男女別で見ても、全ての模試で受験者数が昨年より増加しています。これらのことから、中学受験が拡張傾向であり、盛り上がりを見せていることがわかるでしょう。

なお、三大模試の他にSAPIX模試も受験者を集めています。公式の数字は非公開ですが、今年9月の受験者数は昨年9月より500名近く増え、6,000人を超えたと推定されます。

難関校・上位校志向の受験生が増加

模試の特色として、四谷大塚とSAPIX模試には難関校志向の受験生が、首都圏模試には中堅校志向の受験生が集まるといわれています。日能研模試はその中間の位置づけですが、実際には模試を受験する段階で、難関校・上位校を志望校として記入する受験生も少なくありません。

図1は、この10年間の三大模試とSAPIX模試の受験者数の推移を表したものです(SAPIX模試は四谷大塚との合計の推定数)。

図1 9月の三大模試とSAPIX模試の受験者数の推移(2009年〜2018年)
図1 9月の三大模試とSAPIX模試の受験者数の推移(2009年〜2018年)

※SAPIX模試の受験者数は四谷大塚との合計の推定数

四谷大塚とSAPIX模試の受験者数が、昨年、今年と連続して伸びています。また、日能研模試の受験者数は、ここ数年横ばい傾向でしたが、今年は目立って増加しています。以上のことから、難関校や上位校を志望する受験生が増えていることがわかります。一方、首都圏模試の今年の増加率は他の模試よりも緩やかです。中堅校を志望する受験生もやや増加しているものの、中学受験の盛り上がりを牽引しているのは、難関校・上位校志向の受験生であるといえるでしょう。

男女別模試受験者数の伸び率

図2は、9月の三大模試とSAPIX模試(推定)の合計受験者数の前年対比伸び率を、男女別に表したものです。

図2 三大模試・SAPIX模試(推定)合計受験者数の前年対比伸び率(男女別)
図2 三大模試・SAPIX模試合計受験者数の前年対比伸び率(男女別)

前年対比伸び率は、グラフが始まる前年、2008年からマイナスが続いていましたが、昨年にようやくプラスに転じ、今年も増加が続きました。男子は2017年に2.9%増となり、2018年はさらに3.0%増です。女子は2017年に0.5%増となり、2018年は4.2%増です。

表1のように日能研模試と四谷大塚では女子の増加人数が男子より多く、女子は昨年よりも難関校・上位校志向が強くなっているようです。男子は日能研模試で大きくふえています。男子は元々女子よりも難関校・上位校志向が高いことから、2019年度の中学入試は難関校・上位校志向も続くでしょう。

女子校離れの現状と女子校を選ぶ理由

受験マニアックスでは以前から女子校離れの傾向を伝えてきましたが、今年の模試の状況や合同説明会・相談会の様子を見ていると、中堅レベルや比較的入りやすいレベルの女子校の人気低下に拍車がかかってきたと感じます。また、これまでは不動の人気を誇っていた最難関レベルの女子校でさえ、共学校の人気におされている面が出始めています。

社会の変化に応じた柔軟な教育改革、多様性の尊重などが叫ばれている今、女子校の中でも特に伝統的で保守的な印象が強い学校は、「時代の変化に対応していない」「守りに入っている」など、マイナスのイメージで見られているのかもしれません。また、「みんなが共学を志望しているから」という理由で、周りに流されて女子校を避ける風潮もできています。

子どもには一人ひとり違った個性があります。女子校の伝統的で落ち着いた雰囲気を堅苦しく感じ、共学校で多様な仲間とワイワイ過ごす方があっている子も入れば、反対に女子校の方が伸び伸びと過ごせて、学力面でも精神面でも成長できる子もいます。特に、おとなしくて人見知り、主張が苦手でおっとりしているタイプの子は、共学校に行くと周りの勢いに押されて埋もれてしまいがちです。一方の女子校には、控えめな生徒の個性も尊重し、中高の6年間かけて、細やかな指導でじっくりと主体性や積極性を身につけてくれるという一面があります。

先入観を持ったり周りに流されたりせず、見学会や相談会でしっかりと情報を集め、「共学校と女子校のどちらがあっているのか」をしっかり考えて、志望校を選んでいただければと思います。

志望順位の低い私立か、地元の公立中学か

筆者は受験生の保護者の方から「志望順位の高い学校が不合格だった場合、本来の希望よりも学力レベルが低い私立中学に行って意味があるんでしょうか?」と聞かれることがあります。

4〜5年前までは「中学受験に挑戦した以上、公立に進むのは恥ずかしいから、とにかく私立に行く」という風潮が色濃くありました。しかし最近は、「中学受験をしても、高い志望順位の学校に合格できなかったら地元の公立中学に進む」というケースが増えてきました。これは、公立中高一貫校が増えて人気が上がったことが要因の1つです。公立中高一貫校の応募倍率は、以前よりは下がってきましたが、5倍、10倍といった学校は少なくありません。「不合格で当たり前。落ちても堂々と公立中学に行く」というわけです。保護者の皆さんも「第一志望、第二志望の学校がダメだったら、公立中学に進んで3年間勉強を頑張り、高校受験でまた難関校・上位校を目指せば良い」と思うかもしれません。

しかし筆者が現実を見ていると、高校受験での再挑戦には難しい面があると感じます。中学受験に向けて一生懸命勉強をしてきた子が公立中学に入ると、勉強が優しく感じられ、あまり頑張らなくても定期テストで良い点が取れます。そして、クラブ活動や友達づきあいが忙しくなってくると、周りに流されて次第に勉強の習慣がなくなり、定期テストの点数も下がってきます。そしてあっという間に高校受験を迎え、中学受験で抑えとして合格したレベルの中高一貫校にすら手が届かなくなっているケースも多々あります。もちろん中には、公立中学でも気を緩めずに頑張れる子もいますが、正直なところ少数派です。

公立中学と比べ、私立の中高一貫校には、6年間を通した独自の教育カリキュラム、先生が6年間の精神的な成長をサポートしてくれる、高校受験に気を取られずに海外留学や課外活動など多彩な経験を積める、といった利点があります。志望順位が低かったとしても、中堅レベル以上で学力向上や人間力育成に熱心な学校であれば、行く意味はあると考えます。

一点、入学するか否かのポイントとしていただきたいのは、中高一貫教育に注力しているかどうかです。高校からの入学生がいない、もしくは内部進学生よりも少数派であったり、高校入学生と内部進学生が別カリキュラムで学ぶ体制になっている学校ならば、6年間を通じて子どもの力を伸ばしてくれるでしょう、逆に、高校からの入学生が多数派だったり、高校入学生と内部進学生が同じカリキュラムで学ぶような学校は、中学と高校の教育が分断され気味で、中高一貫校の利点を活かせていないこともあると思います。

中学選択時には、偏差値だけで判断せずに、その学校に入って6年間でどれだけ成長できるのかという「伸びしろ」を大切に考えていただければと思います。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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