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上級者向け 受験マニアックス

2022年7月号 2023年度首都圏中学入試の変更点(第1弾:2022年4月〜6月発表分)

この記事は2022年度の情報です。最新の情報は2023年7月号および2023年10月号をご覧ください。

今号では、来年度の首都圏中学入試について、現時点で発表されている変更点を紹介します。大勢が判明する秋頃に、第2弾を紹介する予定です。

新設開校

2022年度に新設する学校を紹介します。

【流通経済大学付属柏】(千葉県柏市)

「未来創造教育」として「グローバルコミュニケーション教育」、「ICT共創教育」、「流経リーダーシップ教育」を教育の3本柱としています。「グローバルコミュニケーション教育」では、真の国際人となるために、異文化や価値観の多様性について理解を深めながら、国際人としてのグローバル感覚を身につけていきます。「ICT共創教育」では、生徒自身のITリテラシーだけでなく、さらに「協働」を生徒の学びにつなげていきます。協働作業を通じて協調性や、仲間を尊重するなどの人間性の成長につなげていきます。「流経リーダーシップ教育」は、日常の活動のほか、海外の現地企業や大学などとの協力で、異文化の人々とともに働くチームワークや、その中でのリーダーシップを学んでいきます。進路面では国公立大や難関私立大学に現役で合格する力をつけて、上位四分の一は早慶上理以上、平均レベルの成績ならGMARCHは十分可能だと見込んでいます。

【東京農業大学第二高校中等部】(群馬県高崎市)

「『開拓と創造』の精神の育成」が教育目標で、「語学・グローバル教育」、「ICT・プログラミング教育」、「理科教育」が教育の3本柱です。「語学・グローバル教育」では、英検準2級は高校1年、2級は高校2年までに全員取得をめざします。また、海外体験を積み、海外大学進学も視野に入れます。「ICT・プログラミング教育」では、情報技術の基礎から学ぶとともに、プログラミングを学んで自己表現や問題解決につなげます。プログラミングのコンテストや情報の検定だけではなく、数学オリンピックや群馬イノベーションアワードなど、学外の様々なイベントにも挑戦します。「理科教育」は、東京農業大学の併設校として中高大の連携を深化させて実施します。自然現象の観察・考察力を養い、実験実習を中心とした予想→結果→考察のサイクルの確立で論理的に考える姿勢や実証精神を養います。進路面の目標は国立難関10大学、国公立医学部医学科、私大なら早慶など最難関私大への進学です。

大きく変わる学校

共学化やコース改編実施など、大きく変わる学校を紹介します。その他の学校の変更点については付録の「2022年4月〜6月に発表された変更点一覧」をご覧ください。

共学化
  • サレジアン国際学園世田谷
    女子校の目黒星美学園が共学募集となり、校名を変更します。本科クラスとインターナショナルクラスの2コース制でインターナショナルクラスはAdvanced(高い英語力の生徒)とStandard(英語に意欲があれば入学時の英語力は問わない)の2グループに分かれます。本科とインターナショナルはカリキュラムが異なります。
    全教科でPBL型授業を実践、本科クラスは学問と社会のつながりを意識しながら基礎学力の定着を図り、ゼミを実施して探究を進めます。中1で探究スキルを身につけ、中2から高2の4年間で主体的に研究、論文執筆やプレゼンテーションで成果を発表することで、ジェネリックスキルを獲得します。インターナショナルクラスは教科の授業のほか、6年間を通してサレジアン・アカデミック・プログラムで、プレゼンテーション、ディスカッション、ディベートの実践を積み上げます。

  • 芝国際
    東京女子学園が共学募集となり、校名を変更します。本科Ⅰ・Ⅱ類コースと国際生コースADVANCED・BASICクラスの3コース4課程で、本科と国際生はカリキュラムが異なります。探究、協働、創造型の新校舎で世界標準の学びを実現します。対話形式の授業やハイレベルなSTEAM教育、インターナショナルスクールとのコラボレーション、起業教育などに特色があり、こうした学びを実現するため、新校舎にはメディアセンターが配置されます。生徒個人だけではなく協働しての「課題の見つけ方」「資料の探し方」「まとめ方」を身につけ、実践する場になります。
    進学指導も充実、本科Ⅱ類は理系・医学部も視野に入れながら東大をはじめ、国公立・早慶上理・ICU・海外大学を目標、Ⅰ類は早慶上理・ICU・GMARCHなどを目標とします。国際生コースは海外大学や国内では国公立大、難関私大などが目標です。

  • 星の杜
    宇都宮海星女子学院が校名を変更、高校募集を共学化するとともに、2021・2022年度は休止していた中学募集を共学で再開します。アメリカの教育学者、ベンジャミン・ブルームの研究チームが提唱した教育の分類学(タキソノミー)をベースとした教育活動を行い、特に中学生は英語コミュニケーション能力、デジタル機器を使いこなす力、探究力の育成に重点を置きます。高校では外部からの入学生と混合となり、高2からグローバルラーニングコースとディープラーニングコースに分かれます。前者は全員在学中に3カ月~1年間の留学を実施、卒業後の進路も国内だけではなく海外大学もサポートします。後者は留学が希望制で、日々の学びでは探究力に磨きをかけ、自らの進路を開拓、現在増えている総合型や学校推薦型選抜で、志望大学でのさらに深い学びにつなげていきます。

  • 日本学園
    男子校の日本学園は2026年から明治大学の系列校となり共学化、校名を「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」に変更します。2023年度の中学入学生から、明治大学への内部推薦の対象になります。2023年度の中学校は男子120名募集で、この生徒たちが高校に内部進学する2026年度に、外部からさらに男女合計で160名が高校入学生として合流、内部進学生と高校入学生は混合のクラスで共学にする予定です。この合計280名が「明治大学付属世田谷」の1期生として、2029年度に明治大学へ内部推薦されます。「卒業生のおよそ7割(約200名)以上が、明治大学へ推薦入学試験によって進学できる教育体制の構築を目指す」としています。

コース・クラスの変更や帰国生入試の新設
  • 安田学園
    総合コースの募集を停止し、先進コースのみの募集に変更します。

  • 国立音大附属
    音楽コースを演奏・創作コース、文理コースを総合表現コースに改称します。

  • 上野学園
    普通コースのアドヴァンスト・プログレスのクラス分けとりやめ。

  • 横浜雙葉
    一般入試とは別日程で海外帰国生入試を12月に新設します。

全体的な傾向

全体的な入試の傾向として、まず一つに入試の早期終了傾向があります。遅い日程まで挑戦を続けようという受験生は減りつつあり、特に東京都や神奈川県など、2月1日から一般入試が始まる地域では、来春も遅い日程まで挑戦する受験生が減っていくかもしれません。ですが、特に志望順位が高い学校については、最後まで諦めずに挑戦を続けることで繰り上げ合格のチャンスも広がりますので、粘り強く入試に臨んでいただければと思います。

もう一つの傾向としては、主に千葉県や埼玉県での中学受験の裾野の広がりです。難関校や上位校をめざす中学受験ばかりでなく、入学時点での偏差値が低くても、6年間でしっかり生徒を成長させている学校が選ばれています。今春の入試でもその傾向は見られましたが、来年度に向けても裾野の拡大は続いていく見込みです。

入試の変更の全体的な特徴としては、教科選択の幅が広がっていることが挙げられます。算数1教科入試を設定した学校ならば、算数と国語のどちらかの教科選択が可能になるケースや、2教科・4教科型の入試の場合ならば、2教科・4教科の他に、2教科+英語を追加するケースなどの例があります。

また、総合型入試やプレゼン型入試といった従来の2教科・4教科に分類されないタイプの入試は増加傾向にありますが、実際のところ、こうした新しいタイプの入試から入学する生徒の数は、多くの学校でそれほど多いわけではありません。やはり難関・上位校などの有名校では、従来型の入試しか実施していなかったり、新タイプの入試を行っていても、従来型の入試での定員が多く設定されています。新タイプの入試で、こうした分野に強い生徒が入学することで、従来型に強い入学生との間で、相互刺激による幅広いスキルや学力、姿勢の向上が図られます。一方、基礎学力にやや不安がある生徒が入学する可能性もあることから、新タイプ入試で求める力は入学後の生徒指導で対応すると考えたり、新タイプ入試で入学する生徒数をフォローアップできる範囲に留めようとしているわけです。

しかし、新タイプ入試で求める力は時代の流れの面も強いため、こうした入試に挑戦しようとする受験生は、もし基礎学力でやや不安があったとしても、6年間で十分カバーできますから、「得意を生かして入学するんだ」という前向きな気持ちで挑戦して下さい。

これからの英語入試

これからの入試において注目されるのが、「英語入試」です。江戸川学園取手では今年度の入試から英語が必須科目になるなど、英語入試を行う学校が増えています。それにともない、大きく二つの課題が出てきました。

一つは入試科目の選択です。幼い頃から英語を習ってきたお子さんが、中学受験に臨む際には、英語入試を受けたほうが有利なのか、それとも従来型の2教科・4教科入試を受けたほうがいいのか、判断に迷うケースが増えています。特に4教科入試の場合には、理科や社会などで学習負担が大きい部分もあります。多くの模試では、英語を選択した場合の合格可能性が示されないため、迷うことになります。模試側の立場だと、まだまだデータ不足なので英語を使った判定ができないのです。そこで一つの目安として参考になるのが「英検2級」です。他の検定であれば「2級レベル」です。仮に難関・上位校受験の際に、英検2級レベルの力があるのならば、英語入試は有力な科目選択候補になります。「3級レベル」ならば、英語はしばらくお休みをして、理科・社会に力を入れた方が有利でしょう。「準2級レベル」ならば問題に対する相性などの問題もあるため、学校ごとに出題傾向を聞いて判断することをおすすめします。

中堅校では、「英検準2級レベル」なら英語入試を積極的に検討し、「4級レベル」なら2教科・4教科の入試に向けた準備に力を入れて、「3級レベル」なら、過去問を見て検討する、このような判断基準をおすすめします。

もう一つの課題は、小学生の時点で英語嫌いになってしまうお子さんが現れるようになってきたことです。現在の学習指導要領では、2020年から小学校で英語が完全実施になっています。英語が教科化されたことで、小学3年生からコミュニケーション能力を重視した英語を学ぶことになりましたが、小学5年生からは教科化し、従来からイメージされてきたような、しっかりとした文法事項を勉強しないまま英語を学習し、その結果、6年生になって英語嫌いになってしまうケースが出てきました。このようなお子さんは当然英語入試を選ばずに、2教科・4教科型での入試を選ぶことになります。今後の学校選択では、英語に苦手意識のある受験生の気持ちをほぐし、英語はゼロからのスタートでも大丈夫、といった配慮をアピールする学校が選ばれることも増えていくと思われます。確かに、グローバル化する社会では、保護者の皆さんが中学生や高校生だった時よりも高い英語力が中高生に求められるようになりますが、英語は積み上げがものを言いますから、お子さんの英語への意識によっては、英語に苦手意識のあるお子さんに、どのくらい丁寧に指導をしてくれるかを、学校選びの一つのポイントにしていただきたいと思います。

2022年4月〜6月に発表された変更点一覧

現段階(2022年7月時点)で判明している2023年度首都圏中学入試の変更点一覧を紹介します。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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