上級者向け 受験マニアックス
2022年8月号 私立中高一貫校における学費支援制度について
この記事は2022年度の情報です。最新の情報は2023年8月号をご覧ください。

振り返ってみると、拡大を続けていた首都圏の中学受験は、2009年以降の数年間、縮小に転じました。2008年秋のリーマンショックが原因で景気が冷え込み、私立中高一貫校の学費支払いに不安を感じた保護者が増えたからでした。その後、いわゆる「高校無償化」が2010年度からスタート、国の就学支援金や各都県の学費支援制度が順次拡充してきて、現在は中学段階においても各県や各校でさまざまな取り組みが行なわれるようになりました。中学段階では、高校のような一定額の学費支援ではなく、家計急変時の支援制度になります。今回の受験マニアックスでは、私立の中学校(中等教育学校前期)段階での家計急変時の対応を紹介します。
中学段階の学費支援
中学段階での学費支援は、各県で実施されている制度と学校独自で実施するものがあります。
関東各県で行われているほか、東京都では保護者が申し込む制度がないものの、学校が学費を減免すると、学校に対して翌年補助する制度があります。
■神奈川県の制度
対象:県内在住で県内の私立中学に通う生徒
「私立学校生徒学費緊急支援補助金」という名称で実施されています。家庭の事情があり、控除後の所得額(給与所得では総収入金額から給与所得控除額を差し引いた後の金額、自営業等では総収入金額から所得税法により算出した必要経費を差し引いた後の金額)が基準額以内で、前年よりも減少した場合に受給できます。
標準世帯の場合、控除後の所得額が136万円までなら年額16万8千円、182万円までなら年額14万9千円、494万円までなら年額9万円が受給できます。
■千葉県の制度
対象:県内在住で県内の私立中学に通う生徒
2022年度から「私立小中学校家計急変世帯授業料軽減事業」が創設されました。家計が急変し、年収400万円未満かつ保有資産700万円未満になっている場合、年額33万6千円を限度に補助を行います。
■埼玉県の制度
対象:県内在住で県内の私立中学に通う生徒
「父母負担軽減事業補助金」という名称で実施されています。年収目安720万円未満の家庭を対象に、世帯の所得が前の年の半分以下に減少した場合に受給できます。2022年度から上限額が引き上げられ、年額33万6千円になりました。
■茨城県の制度
対象:県内在住で県内の私立中学に通う生徒
「家計急変者への授業料軽減補助金」という名称で実施されています。学校からの案内で申請し、月額2万8千円を限度に補助します。
また、家計急変ではありませんが、低所得世帯への支援制度が別にあります。「私立小中学校等授業料軽減」で、年収400万円未満かつ保有資産700万円未満の場合、年額33万6千円を限度に補助を行います。年額18万円が限度でしたが2022年度から拡充されました。
■栃木県の制度
栃木県でも2022年度から制度ができる予定で、予算措置も講じられていますが、問い合わせたところ、「制度設計中で、年度内には改めて案内する」とのことでした。
■群馬県の制度
対象:県内在住で県内の私立中学に通う生徒
家計急変を対象とした「私立高等学校等授業料減免事業補助金」があります。学校からの案内で申請し、私立中学生は月額1万4千円を限度に補助します。
私立中学の家計急変対応
多くの私立中学では、家計が急変した家庭を対象に、学費や施設費等も含む校納金の減免制度、相当額の給付制度があります。学校によって対象となる所得の基準や減免・給付額、期間等に違いがあります。
各校へのアンケートの回答や募集要項・パンフレット等に記載がある学校は次の通りです。内容は各校にお問い合わせください。なお、学費等について貸与制度(大学を卒業して就職したら返済開始)がある学校もありますが、貸与制度のみの学校は除いています。
◎東京23区
青山学院、麻布、足立学園、跡見学園、上野学園、江戸川女子、桜蔭、鷗友学園女子、大妻、大妻中野、開成、開智日本橋学園、学習院、学習院女子、川村、神田女学園、共栄学園、暁星、国本女子、慶應中等部、京華、京華女子、恵泉女学園、光塩女子学院、攻玉社、麴町学園女子、佼成学園、佼成学園女子、香蘭女学校、国学院大久我山、国士舘、駒込、桜丘、サレジアン国際、実践女子学園、品川翔英、品川女子学院、芝、渋谷教育学園渋谷、十文字、順天、城西大附属城西、城北、女子学院、女子聖学院、女子美術大付属、成城、成城学園、聖ドミニコ学園、世田谷学園、瀧野川女子学園、玉川聖学院、多摩大目黒、千代田国際、帝京大系属帝京、貞静学園、田園調布学園、東京家政学院、東京家政大附属女子、東京女学館、東京女子学園(2023年度から芝国際)、東京成徳大、東京都市大付属、東京農大第一、東京立正、東邦音大附属東邦、東洋英和女学院、トキワ松学園、豊島岡女子学園、獨協、中村、日本学園、日大第二、日大豊山、日大豊山女子、広尾学園、広尾学園小石川、富士見、富士見丘、雙葉、普連土学園、文化学園大杉並、宝仙学園理数、本郷、三輪田学園、武蔵、武蔵野、明治大学付属中野、目黒星美学園(2023年度からサレジアン国際世田谷)、目白研心、八雲学園、立正大付属立正、早稲田、早稲田大学高等学院中学部、和洋九段女子
◎東京多摩地区
桜美林、大妻多摩、啓明学園、晃華学園、工学院大附属、駒沢学園女子、サレジオ(小平)、自由学園、聖徳学園、白梅学園清修、創価、玉川学園、帝京八王子、東京純心女子、東京電機大、東星学園、桐朋、桐朋女子、日体大桜華、八王子学園八王子、八王子実践、藤村女子、法政大学、武蔵野大学、武蔵野東、明治学院、明治大学付属中野八王子、明治大学付属明治、明法、和光、早稲田実業
◎神奈川県
青山学院横浜英和、浅野、栄光学園、神奈川学園、神奈川大附属、鎌倉女学院、カリタス女子、関東学院六浦、北鎌倉女子学園、公文国際学園、慶應義塾湘南藤沢、慶應義塾普通部、サレジオ学院、自修館、逗子開成、聖光学院、清泉女学院、洗足学園、日本大学、法政大学第二、聖園女学院、山手学院、横浜共立学園、横浜女学院、横浜雙葉
◎千葉県、埼玉県、茨城県
市川、国府台女子学院、芝浦工業大柏、渋谷教育学園幕張、千葉明徳、日出学園、浦和明の星女子、開智、開智未来、自由の森学園、獨協埼玉、茨城、茨城キリスト教学園、開智望、土浦日大
※この他、栃木県・群馬県など、ここに載っていない学校でも制度がある学校はありますので、学校にお問い合わせください。
高校段階の学費補助
高校段階では国の就学支援金と、都県で実施している独自の学費減免制度があります。各都県私立高校の学費データなど、詳しくは受験マニアックス高校受験版の2022年6月号で紹介していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
今回紹介した各県の制度は、「直接の学費」の支援です。海外修学旅行、教材費、実習費などは対象にならない場合もあります。学校が実施している制度では、「学費」だけでなく他の経費も含む場合もあります。このように書くと、やはり私立の中高一貫教育は高いと感じるかもしれません。しかし、冒頭に記したように、以前は支援制度自体が各校の裁量の範囲だけだったものが、2010年度以降順次拡大し、6年間トータルの経費面では私立中高一貫校を選択するハードルがかなり下がったのも事実です。制度を利用することは決して恥ずかしいことではありません。マスコミでは今後の景気や物価について、不安になるような報道もありますが、中高一貫教育で得られる経験はとても大きく、お子さまにとって大きな財産となります。万一のときには制度に頼る前提で、積極的な学校選びをしていただきたく思います。
