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上級者向け 受験マニアックス

2018年4月号 国立中学校

中学受験を考える場合その選択肢には、私立中学校、公立中高一貫校、国立中学校の3種類があります。今回の受験マニアックスでは、国立中学校とはどういったところなのか、国立の各中学校の特徴などをご紹介します。

国立中学校とは

1.他の学校との違い

国立中学校とは、地域の国立大学に附属した中学校です。その役割は三つあり、一つは、大学が新しい教育方法を研究開発する場と地域のモデル的な学校となること、二つ目は大学の教育実習生の受け入れ先となること、三つめはいじめや不登校など、現代的な教育課題に対応する教員養成の在り方に関しての研究に協力することです。

大学附属校ではありますが、高校が併設されている筑波大駒場なども含め、その大学に内部進学できるわけではありません。お茶の水女子大など、併設の高校から大学に特別な推薦枠がある学校もありますが、枠は小さく、慶應系などのように大学に内部進学することが原則や多数派になっている私立の付属校とは全く異なります。
最近研究が進んでいる新しい教育方法の例としては、アクティブラーニングや世界標準に準拠した教育課程などがあります。授業だけではなく、学級運営や行事などでも、多様な取り組みが試行されています。新しい教育方法が研究実践されていること、教育実習生がよく来ることは一長一短ですが、入学時点から学力レベルが高い生徒が多いので、変化に対応して鍛えられる面はあるかもしれません。

また、教員の構成では、上記の「地域のモデル的な学校」としての役割から、公立中学校との間で定期的に異動している学校も多く、異動が少ないために長く勤務していて、その学校の特色や教育方針を体現している名物先生がいる私立とはかなり違っています。

2.国立中学校の形態

国立の高校が限られた都府県にしか設置されていないことから、全国的に見ると、小学校・中学校の義務教育9年間が一貫となった学校が多く、中高一貫校や小中高一貫校は少数派です。東京都の国立中学校は例外で、8校全部が広い意味での中高一貫校か小中高一貫校です。東京学芸大学附属竹早、世田谷、小金井の3校は、それぞれの校地に高校が設置されているわけではありませんが、まとまって東京学芸大附属高校が設置されています。

東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の国立中学校一覧
都県 学校名 形態 種別
東京都 東京大学教育学部附属中等教育学校 中高一貫校 共学
東京都 東京学芸大学附属竹早中学校 小中高一貫校
(附属幼稚園もあり)
共学
東京都 東京学芸大学附属世田谷中学校 小中高一貫校 共学
東京都 東京学芸大学附属小金井中学校 小中高一貫校
(附属幼稚園もあり)
共学
東京都 東京学芸大学附属国際中等教育学校 小中高一貫校 共学
東京都 お茶の水女子大学附属中学校 小中高一貫校
(附属幼稚園もあり)
中学までは共学
高校からは女子校
東京都 筑波大学附属中学校 小中高一貫校 共学
東京都 筑波大学附属駒場中学校 中高一貫校 男子校
神奈川県 横浜国立大学教育学部附属横浜中学校 小中一貫校 共学
神奈川県 横浜国立大学教育学部附属鎌倉中学校 小中一貫校 共学
千葉県 千葉大学教育学部附属中学校 小中一貫校 共学
埼玉県 埼玉大学教育学部附属中学校 小中一貫校
(附属幼稚園もあり)
共学

神奈川県・千葉県・埼玉県の国立中学校について

小中一貫校ですから、高校受験をする必要があります。中学に入学する段階で、学力検査で選抜された生徒が入学してきていること、新しい教育方法の研究開発によって応用力が鍛えられる面もあるので、国立中学校出身者は地域のトップレベルの公立高校や私立の難関校に進学するケースが多く見られます。これが、「国立中学校はステータスが高い」「頭の良い子が多い」と思われて人気を集めている理由でしょう。しかし、新しい教育方法を開発する場として、エリートばかりではなく幅広い学力層を受け入れるべきだ、という声もあり、入学者選抜を筆記試験ではなく抽選にするべきだ、というような議論も度々起こっています。

一昔前の国立中学校は不動の人気やステータスを誇っていましたが、近年は「中高一貫教育を受けさせたい」と考えるご家庭が増えていて、人気や難度が下降気味です。この3県では地域の公立中高一貫校の人気が上がっていて、さらに地域に魅力的な私立の中高一貫校があることもあり、高校がない国立中学校をあえて選ぶ理由が薄くなっていると言えるでしょう。(ちなみに、横浜国立大学教育学部附属横浜には、県立光陵高校への連携進学枠がありますが、2018年度入試では定員割れでした)

東京都の国立中学校について

東京都は、神奈川県・千葉県・埼玉県とは異なり、8校ある国立中学校は全て高校(中等教育学校の後期課程)を備えています。しかし、学校毎の特色がかなりあり、高校への内部進学事情も異なります。以下、各校の概要と筆者の見解をご紹介します。

①東京大学教育学部附属中等教育学校(略称:東大附属)
  • 双子や三つ子を受け入れ、習熟度などについて研究報告を行っているのがユニーク。大学の研究機関らしく、その他にも色々と新しい教育の取り組みを行っている。
  • 自主性を尊重していて、のびのびとした雰囲気。自分から進んで勉強やさまざまな活動に取り組める生徒には向いている。一方、面倒見の良さやこまやかな指導を求める生徒には合わない面もある。
  • 大学進学も自主性に任されているので、中には難関大に合格する生徒もいるが、学校として難関大に向けて取り組んでいるわけではない。
  • 「東大」の名前はついているが、決して東大に内部進学できるわけではない。
②東京学芸大学附属竹早中学校(略称:学芸大竹早)
③東京学芸大学附属世田谷中学校(略称:学芸大世田谷)
④東京学芸大学附属小金井中学校(略称:学芸大小金井)
  • いずれも小中高一貫校。小学校から中学校へは基本的に内部進学できるが、中学から高校に進学する際の受け入れ枠は半数ほどしかなく、約半分の生徒は高校進学時に外に出る。学力レベルの高い生徒が多く、この3校の出身者の多くは、都立のトップレベル校、私立の最難関レベル校などに合格している。
  • 外部の高校を受験する可能性があるので、中学の3年間は結構ハードに勉強を行う。覚悟をした方が良い。しかし、よく言えば自主性を尊重する姿勢のため、高校受験勉強、大学受験勉強では自発的な取り組みが求められる。
  • 都立の中高一貫校が台頭してきたこともあり、学芸大系列の国立中学校の人気は沈静化してきている。学芸大竹早の受検層は都立小石川に、学芸大世田谷の受検層は都立桜修館に、学芸大小金井の受検層は都立武蔵や都立三鷹中等、都立立川国際に流れる傾向が見られる。しかし、附属高校から大学への進学実績は華々しく、東大合格者も出しているので、固定の人気は保っている。
⑤東京学芸大学附属国際中等教育学校(略称:学芸大国際)
  • 他の学芸大系列校とは性格が異なる。高度な英語教育やグローバル教育が特色で、帰国生を積極的に受け入れている。
  • 国際バカロレアの中等教育相当の課程・MYP(Middle Years Programme)と、国際的な大学入学資格が取得可能な課程・DP(Diploma Programme)の認定校。国際バカロレア導入推進の牽引役の立場にある。
  • 帰国生や元々英語が得意な生徒が多いが、そうでない生徒も入学後に相当英語力が鍛えられる。探究心・思考力・表現力など、21世紀型の学習の場数も多い。しかし、私立の国際バカロレア認定校、スーパーグローバルハイスクール、スーパーサイエンスハイスクールなど、独特で突出した取り組みを行っている学校と比較すると、研究開発の側面が強いことから、少し弱い印象もある。
  • 海外留学派遣実績が高く、留学経験を積みたいと考えるご家庭には向いている。
⑥お茶の水女子大学附属中学校(略称:お茶の水女子大附属)
  • 小学校・中学校は共学で高校からは女子校。女子は基本的に内部進学で高校に上がれるが、男子は高校受験をして外部の学校に行かなければならない。中学校の応募者・在籍者は女子が圧倒的に多い。
  • 高校からお茶の水女子大学への特別推薦枠(10名程度)があり、高校・大学の7年間の教育で、お茶の水女子大らしい「文化的創造を導くリーダー的な女性」を育成する取り組みも行われている。
  • 高校の入学選抜では、外部からトップレベルの女子生徒が集まってくる。中学から高校に内部進学する生徒にも、外部から来る子に負けないようにと、しっかりした教育がされている。
  • 「自主自律」をモットーに掲げていて、学校行事などを生徒に任せている面もある。しっかりした女性を育てて社会に送り出すことを目指している。
⑦筑波大学附属中学校(略称:筑波大附属)
  • 首都圏の共学のトップ校に君臨し続ける学校。中学も高校も入学選抜はかなり難関。
  • 都立の中高一貫校人気の影響で以前と比べると応募者数はやや減っているが、根強い人気は保っている。
  • 中学から高校へは基本的に内部進学できる。高校の入学選抜には、トップレベルの学力を持つ生徒たちが集まる。
  • 独自のカリキュラムで新しい教育に取り組むとともに、生活指導にも力を入れていて、国立中学校の中では面倒見も良くなってきている。広報活動にも熱心で、ご家庭や社会への説明責任を果たすことを重んじている。
  • 大学合格実績も立派で、東京大学をはじめとする国公立大学、早慶などの私立難関大学の合格者を多く出している。
⑧筑波大学附属駒場中学校(略称:筑波大駒場)
  • 国立中学校で唯一の男子校。
  • 中高一貫カラーが非常に強く、中学と高校の敷地や建物が一緒。中学から高校へは基本的に内部進学できる。
  • 東京大学への高い進学率を誇る超トップレベル校。中学も高校も入学選抜は別格的な最高難度で、応募者はかなり絞られて減ってきた。一部のコアな層だけが受検に挑んでいる。
  • 学内には「やはり東大」の独特な雰囲気があり、早慶に受かったとしても浪人して東大を目指す生徒が多い。この特性を理解・覚悟してから進学先に選ぶべき。
  • 独特の存在で、都立中高一貫校の影響は全く受けていない。

まとめ

中高一貫教育の魅力が注目されている今、神奈川県、千葉県、埼玉県の国立中学校の進学先としての魅力は弱まり、公立中高一貫校や私立中高一貫校の人気に押されている状況です。

東京の国立中学校は中高一貫教育を行っていますが、学芸大系の3校は高校から外に出る可能性があり、お茶の水女子大附属の男子は内部進学ができません。また、東京の国立中学校はそれぞれ独特な個性を持っているので、それぞれの学校の中身をしっかりと把握し、その学校に魅力を感じてお子さまに合っているなと思ったら、進学先の候補に選ぶようにしましょう。「国立だから私立よりステータスが高いでしょ」という安易な考えで進学すると、教育内容のミスマッチや、お子さまの力をしっかりと伸ばせない事態を引き起こしてしまいます。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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