Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

ツイッター フェイスブック

上級者向け 受験マニアックス

2023年8月号 私立中高一貫校の学費支援制度

私立の中高一貫校にお子さんを入れたいと考える場合、高額になりがちな学費の問題は避けられません。高校生になると、国や都道府県からの授業料補助制度を利用することができますが、中学の3年間は高校のような手厚い学費支援制度はなく、家計急変時の支援がメインとなっています。
このような情勢の中、東京都は新たに「私立中学校等授業料軽減助成金事業」をスタートしました。今回の受験マニアックスでは、首都圏の私立中学校に通う場合の学費支援制度について改めてまとめ、解説します。

国・各都県による学費支援制度

2019年度〜2021年度までの3年間は「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」が実施され、全国の年収目安400万円未満かつ資産保有額600万円以下の世帯に、年間10万円(授業料が10万円未満の場合はその額まで)が支給されていました。この実証事業は2021年度までで終了し、現在は国による支援制度はなくなっています。

東京都
対象:都内在住で私立中学に通う家庭

東京都では2023年度から「私立中学校等授業料軽減助成金事業」をスタートしました。これは、年収目安910万円未満の家庭に、私立中学に通う3年間、毎年10万円を支給するという制度です。対象は都内在住者で、私立中学は他県にあっても構いません。地方の寮制中学に通う場合も、住民票が都内にあれば対象となります。申請時期は9月で、審査で問題がなければ翌年1月頃に振り込まれます。年収目安910万円未満と対象となる層が広いことが特徴的な制度で、大きな変革だといえます。
高校とは異なり義務教育である中学は、公立だけで十分な生徒の受け皿があります。それにも関わらずこの制度をつくったのは、「都民が良質の中高一貫教育を享受することをサポートしたい」という東京都の思いの現れでしょう。もちろん、「東京都は財政力があるからできるが、他県では難しい」「10万円だけで私立中学の学費を賄うことはできない」「その予算で公立中学校の質を向上するべきだ」など、さまざまな意見が出ており、どれも一理あります。ただ、中高一貫教育の良さを東京都が認め、私立中学校に行くことを特別扱いせず支援するメッセージを出したことは、とても画期的で意味があることだと思います。
また東京都では、家計急変世帯への補助金として、各私立中学が決めた減免額を翌年に都が学校に支払っています。

神奈川県
対象:県内在住で県内の私立中学に通う家庭

家計急変時の学費をサポートするため、「私立学校生徒学費緊急支援補助金」という制度があります。対象は、県内在住で県内の私立中学に通う家庭です。神奈川県民でも、県外の私立中学に通う場合は対象になりません。保護者の勤務先の倒産、離婚で保護者が変わったなどの事情があり、控除後の所得額が基準額以内で、前の年よりも減少した場合に受給できます。標準世帯の場合の受給額は、控除後の所得額が136万円までなら年額16万8千円、182万円までなら年額14万9千円、494万円までなら年額9万円です。

千葉県
対象:県内在住で県内の私立中学に通う家庭

家計急変時の学費をサポートするため、「私立小中学校等家計急変世帯授業料軽減事業」という制度があります。対象は、県内在住で県内の私立中学に通う家庭です。千葉県民でも、県外の私立中学に通う場合は対象になりません。家計の急変で年収400万円未満かつ保有資産700万円未満になった場合、各私立中学が学費を軽減した際に、年額33万6千円を限度に、県から学校に対して補助を行います。

埼玉県
対象:県内在住で県内の私立中学に通う家庭

家計急変時の学費をサポートするため、「父母負担軽減事業補助金」という制度があります。対象は、県内在住で県内の私立中学に通う家庭です。埼玉県民でも、県外の私立中学に通う場合は対象になりません。家計が急変して年収目安720万円未満になった場合、年額33万6千円を限度に補助されます。家計急変の翌年になっても年収が改善されない場合は、年収400万円未満かつ保有資産700万円未満の家庭が継続申請できます。

茨城県
対象:県内の私立中学に通う家庭

茨城県では、2021年度まで国が行っていた実証事業の制度が県独自の制度として存続しています。
つまり、家計急変時に限らず、学費の捻出が難しい家庭に対して、支援制度を整えているのです。「私立中学校等授業料軽減」という制度で、年収400万円未満かつ保有資産700万円未満の場合、私立中学校が授業料を減額すると、年額33万6千円を上限に、県が学校に対して補助を行います。さらに、家計急変時の学費をサポートするための「家計急変者への授業料軽減補助」があります。私立中学校が授業料を減額することが条件で、月額2万8千円を限度に補助します。いずれも対象は、茨城県内の私立中学校に通う家庭です。県外在住者が茨城県の私立中学校に通う場合も、通学している学校が必要と認めれば対象になります。

栃木県
対象:県内の私立中学に通う家庭

家計急変時の学費をサポートするため、「家計急変世帯に対する私立小・中学校等授業料減免事業」という制度があります。対象は、栃木県内に設置されている学校法人に通う家庭です。県外在住者が栃木県の私立中学校に通う場合も、通学している学校が必要と認めれば対象になります。家計が急変して年収400万円未満かつ保有資産700万円未満になった場合、栃木県内の私立学校が学費を軽減した際に、月額2万8千円を限度に、県から学校に対して補助を行います。

群馬県

2023年度から学費支援制度を改訂することになっていて、11月頃に公表をする予定です。2022年度までは、家計急変時の学費をサポートするための制度があり、対象は県内の私立中学に通う家庭で、月額1万4千円が上限でした。

私立中学による学費支援制度

多くの私立中学では、家計が急変した家庭をサポートするための、学費や施設費等も含む校納金の減免制度、相当額の給付制度があります。対象となる所得基準や減免・給付額、期間等は学校によって異なります。詳しい内容は、各校にお問い合わせください。
募集要項やパンフレットに制度の記載があったり、アンケートに「制度がある」と回答した学校は次の通りです。なお、学費等について貸与制度(大学を卒業して就職したら返済開始)がある学校もありますが、貸与制度のみの学校は除いています。

◎東京都23区

青山学院、麻布、足立学園、跡見学園、上野学園、江戸川女子、桜蔭、鷗友学園女子、大妻、大妻中野、開成、開智日本橋学園、かえつ有明、学習院、学習院女子、川村、神田女学園、共栄学園、暁星、国本女子、慶應中等部、京華、京華女子、恵泉女学園、光塩女子学院、攻玉社、麴町学園女子、佼成学園、佼成学園女子、香蘭女学校、国学院大久我山、国士舘、駒込、桜丘、サレジアン国際学園、サレジアン国際学園世田谷、実践女子学園、品川翔英、品川女子学院、芝、芝浦工大附属、芝国際、渋谷教育学園渋谷、十文字、順天、城西大附属城西、城北、女子学院、女子聖学院、女子美術大付属、成城、成城学園、聖ドミニコ学園、世田谷学園、瀧野川女子学園、玉川聖学院、多摩大目黒、千代田国際、帝京大系属帝京、貞静学園、田園調布学園、東京家政学院、東京家政大附属女子、東京女学館、東京成徳大、東京都市大付属、東京農大第一、東京立正、東邦音大附属東邦、東洋英和女学院、トキワ松学園、豊島岡女子学園、獨協、中村、日本学園、日大第二、日大豊山、日大豊山女子、広尾学園、広尾学園小石川、富士見、富士見丘、雙葉、普連土学園、文化学園大杉並、宝仙学園理数、本郷、三輪田学園、武蔵、武蔵野、明治大学付属中野、目白研心、八雲学園、立正大付属立正、早稲田、早大高等学院中学部、和洋九段女子

◎東京都多摩地区

桜美林、大妻多摩、啓明学園、晃華学園、工学院大附属、駒沢学園女子、サレジオ(小平)、自由学園、聖徳学園、成蹊、創価、玉川学園、帝京八王子、東京純心女子、東京電機大、東星学園、桐朋、桐朋女子、日体大桜華、日大第三、八王子学園八王子、八王子実践、藤村女子、法政大学、武蔵野大学、武蔵野東、明治学院、明治大学付属八王子(現明治大学付属中野八王子)、明治大学付属明治、明法、和光、早稲田実業

◎神奈川県

青山学院横浜英和、浅野、栄光学園、神奈川学園、神奈川大附属、鎌倉女学院、カリタス女子、関東学院六浦、北鎌倉女子学園、公文国際学園、慶應義塾湘南藤沢、慶應義塾普通部、サレジオ学院、自修館、逗子開成、聖光学院、清泉女学院、洗足学園、桐蔭学園、日本大学、法政大学第二、聖園女学院、山手学院、横浜共立学園、横浜女学院、横浜雙葉

◎千葉県、埼玉県、茨城県

市川、光英VERITAS、国府台女子学院、芝浦工業大柏、渋谷教育学園幕張、専修大松戸、千葉明徳、日出学園、浦和明の星女子、大妻嵐山、開智、開智未来、自由の森学園、城北埼玉、獨協埼玉、茨城、茨城キリスト教学園、開智望、土浦日大

※この他、栃木県・群馬県など、ここに載っていない学校でも制度がある学校はありますので、学校にお問い合わせください。

高校段階の学費支援制度

高校段階では、国の就学支援金に加え、各都県独自の学費補助制度があります。各都県私立高校の学費データなど、詳しくは受験マニアックス高校受験版の2023年6月号で紹介していますので、ぜひご覧ください。

学費支援制度の積極的な活用を

中高一貫校に通う6年間は、心も体も大きく成長する時期です。この時期に質の高い教育を受けて興味関心を伸ばしたり、多彩な経験を積むことは、一生の財産になります。筆者は、魅力を感じる中高一貫校に通いたいという思いを、東京都が支援する姿勢を見せたことは、意味のあることだと思います。私立の中高一貫校に通いたいけれど費用面が心配という場合には、制度をフルに活用してください。なかには、遠慮したり祖父母の支援を頼ったりして、支援対象になっているのに申請しないご家庭もありますが、もったいないことだと思います。せっかく用意されている制度は有意義に活用し、お子さまの可能性を存分に伸ばしてあげてください。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

一覧に戻る

ページトップ