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上級者向け 受験マニアックス

2020年10月号 2021年度首都圏中学入試の変更点(第2弾:2020年7月〜10月発表分)

この記事は2020年度の情報です。最新の情報は2023年7月号および2023年10月号をご覧ください。

受験マニアックスの8月号では、2020年4月〜6月に発表された首都圏中学入試の変更点をご紹介しました。今回は、7月以降に発表された変更点をご紹介します。ぜひ、8月号とあわせてご確認ください。各校の変更点の一覧については、ページ末尾に添付のPDFをご参照ください。
なお、現段階で全ての学校の入試変更点が発表されているわけではありません。志望している学校の募集要項は、常にチェックするようにしましょう。

全体的な傾向

2021年度入試全体の特徴として、受験生がより受験しやすくなるような日程、科目の変更が中心となっています。中堅校では、難関・上位校の併願受験生が併願しやすく、ということを心掛けた変更が増えています。例えば女子校の山脇は2/2の入試を午後入試へと変更することで、2/2午前入試の難関・上位校の併願受験生を迎えようとしています。しかし、高い人気が続いている学校では、逆にレベルアップを図ってハードルを高くする動きも見られます。開智日本橋では、最上位コースであるGLC(グローバルリーディングクラス)コースの回数を絞ります。また、青稜では2/1午前の2教科入試を2教科・4教科選択入試に変更します。
日程変更以外の特徴としては、入試そのものをわかりやすくしようとする動きが見られます。東京成徳大では、従来実施していた「思考力型入試」を「適性検査型入試」へと切り替えます。「思考力型」と「適性検査型」の違いは実際のところ、非常に曖昧です。教科横断型という点では両方とも共通していますが、学校によって中身が似たような場合もあります。こうした状況を踏まえて、東京成徳大では混乱を避けるために呼び方を整理したということでしょう。

コースの改編や大きな変更点のある学校

茗溪学園

ACクラスを新設し、在来コースであるMGクラスとの2クラス募集へと変わります。進学実績を伸ばすというよりも、今までの体制を強化していくような意味合いでのコース改編と思われます。ACクラスからMGクラスへのスライド合格もあります。入試の仕組み自体も複雑な変更になっているように見えますが、基本は従来の入試にACクラスの入試がプラスされているという形です。
そのなかでも、ACクラス内にあるACグローバルコースでは、従来になかった算数1教科入試が登場したことが大きな注目点です。

西武文理

今まで特選と中高一貫の2コース制でしたが、基本的にはグローバルクラスに一本化され、成績上位生のみ、グローバル選抜というクラスに分けられることになります。従来は特選と中高一貫それぞれで入試を行っていましたが、来春の入試から一本化され、入試得点により、上位の受験生がグローバル選抜クラスに選ばれます。実質的には運用方法が変わっただけともいえるでしょう。もうひとつ大きな変更点として挙げられるのは、来年度に向けて各学校で増加傾向の算数1教科入試を西武文理では廃止します。グローバルコースを全面に打ち出していくためには総合力が大切、という考え方です。ただし、英語1教科入試は存続します。
また西武文理では他の学校に先駆けて、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス罹患者向けの代替入試を2/7に設けました。今年度の中学入試でも新型コロナウイルス等の対応を謳った入試はありましたが、事前に準備をしていたというよりも緊急的な対応でした。現段階では西武文理以外で正式な発表はありませんが、各学校それぞれ新型コロナウイルス等の対応は万全を期していくでしょう。

世田谷学園

新たに理数コースを設置します。在来のコースは本科コースとなります。入試は基本的に変更はありませんが、理数コースでは4教科入試の算数・理科のみ2倍の傾斜配点となります。もちろん、本科希望の場合は従来通りの配点です。世田谷学園は今年度、人気が集中し大学進学実績も高かったため、来年度に向けて更なるレベルアップを図った上でのコース改編かと思われます。

ユニークな入試を実施する学校

芝浦工大付属

来年度より「特色入試」が導入されます。そのなかでも特に注目なのが、選択科目として出題される「言語技術」です。言語技術とは「国語」という幅広い概念ではなく、「日本語のスキル」として、読み取り理解や自分で表現することに重きを置いた内容となっています。
日本人が英語を学ぶとき、まず主に単語や文法、構文、あるいはスピーキングやリスニングなどの技術面を学び、ある程度英語力がついてから物語などに親しみ、その次のステップとして高校の後半や大学などで英米文学を鑑賞するのが一般的です。しかし、日本の国語教育では小学校の低学年から、ひらがなやカタカナ、漢字、熟語、ことわざなどの学習と並行して、物語を読んで、感想文を書く、あるいは登場人物の心の動きを読み解くなど、文章の鑑賞の部分まで含めた学習をしています。母語の教育ですから当然ですが、鑑賞に重きを置くあまり、正確に読み取ることや表現する力が不十分なまま成長していくケースも残念ながら見られます。そこで技術的な部分と鑑賞する部分の2つの面をしっかりと区別して学んでいこう、というのが言語技術の考え方です。
言語技術は授業としてはいくつもの学校ですでに実施されていますが、入試の科目として出題されるのは今回が初めてとなります。また特色入試のなかには算数の教科もありますが、こちらは他校でも「算理融合問題入試」などとして実施されています。

東京女子学園

今年新設し、メディアでも話題となったスマートフォンの持ち込みを認める入試が、来年度の入試では実施回を増やすことになります。スマートフォンより情報を検索して課題を仕上げるといった内容です。また大きな変更点として、同校では帰国生入試の実施回が7回に増えます。そして、帰国生入試・一般入試ともに、2教科入試から国語、算数、英語、あるいはスマートフォン持ち込み可能な入試の中から1つを選択する形式に切り替わります。これは従来の2科4科の標準型のパターンを脱する動きとなります。

さて、ICT機器(スマートフォンも立派なICT機器です)を用いた入試ですが、東京女子学園が回数を増やす一方で、富士見丘はタブレットを用いた入試の実施回を減らします。実際の受験生の状況を踏まえた変更です。青稜は午後入試でタブレットを使った入試を新設します。しかし、タブレットについては公平性を考慮し自前の物は持ち込み禁止となっており、学校側がすべて用意します。

オンライン入試と三密対策について

来年度の入試において、東京都の私学協会はオンライン入試の自粛を決めました。ただし例外として帰国生入試ではオンラインの活用を認めています。この協会の発表により、すでにオンライン入試の実施を決めていた学校で募集要項を変更する動きが見られます。例えば宮城県の秀光の東京入試では、オンライン入試を早い時期に発表していましたが、やむを得ない場合にのみ、オンライン入試を実施する、と変更になりました。
東京都の場合は面接主体の帰国生入試を除けばオンライン入試は実施されませんが、神奈川、千葉、埼玉などの他県では併用可であったり、明確なルールができていないケースもあります。しかし、技術的な課題もあって、広がっているとはいえません。

また東京都では、これまで学校外に受験会場を設けることは行わない、という申し合わせが私立各校にありましたが、この方針についてはやむを得ない場合、他の会場でも実施可能になりました。コロナ禍における三密を避ける意味で、キャパシティが足りない場合などは、学校の近隣に会場を設けることが可能になります。
前述したタブレット入試を行う青稜では国際フォーラムを会場としています。青稜は東急大井町線の下神明駅が最寄りの学校ですが、十分に間隔が空けられる広々とした空間という条件を考慮した上で、有楽町にある国際フォーラムが会場として選ばれています。このように各学校それぞれ、三密の対策をした上で、学校あるいは外部会場で入試が行われるということをご理解ください。

受験生の方へ

来年度は、やはり三密を避けるため、入試当日の門前激励(学習塾によって、入試当日学校に出向いて受験生の激励、応援をすること)の自粛をもとめる学校が出始めました。受験生の皆さんの中には、先輩の時のように塾の先生が応援に駆けつけてくれて、温かい声援に送られて試験会場に入っていく姿をイメージしていた方も多いかと思います。しかし、残念ですが来年度は自粛となる可能性が高いので、入試前、塾の最終日に教室で激励をもらって入試に臨むことになりそうです。

保護者の方へ

三密を避けるという理由で、校内のキャパシティの関係から保護者控え室を作らない動きも出始めています。現段階では公式に発表していない学校でも、おそらく模試の数字などを参考にして、年末くらいまでには発表になるかもしれません。お知らせの方法も大々的にではなく、インターネット出願をした際の登録アドレスにメールでお知らせが来る可能性もあります。
4教科入試の場合では、試験が終わるまで3時間半ほどの時間がかかります。自宅が学校に近い場合は一度帰宅することができますが、もし片道1時間ほどの距離となると、帰宅してから迎えに行くまでのスパンが短くなり、保護者の方にとって大きな負担となってしまいます。保護者の皆さまには、そうした場合に備えて、あらかじめ学校付近で待機できる喫茶店等を調べておくことをおすすめします。
理想としては、お母さま、あるいはお父さまのどちらかにお子さまの付き添いを任せきりにするのではなく、例えば朝はお父さまが入試会場まで送り、終了時刻にお母さまが迎えに行って午後入試に連れていなど、ご家族で分担して、少しでも体力的な負担を軽減しながらお子さまの受験に関わっていただければ幸いです。

2021年度首都圏中学入試の変更点一覧

7月以降に発表された、2021年度首都圏中学入試の変更点一覧をご紹介します。8月号に添付のPDFと合わせてご参照ください。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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