上級者向け 受験マニアックス
2019年12月号 併願作戦(6年生向け)
この記事は2019年度の情報です。最新の情報は2023年12月号をご覧ください。
2020年に中学受験をする方は、そろそろ併願校を決定する時期です。今回の受験マニアックスでは、併願校・併願入試選びのポイントと、2018・2019年度の先輩たちの併願データをご紹介します。
周りに流されず、自分でしっかり考える
実際に入学する可能性がある併願校選びにおいては、その学校とお子さまとの相性をしっかり考える必要があります。学校の雰囲気、教育方針、どんな活動に力を入れているかなどをしっかりと確認するようにしましょう。「第一志望が同じお友だちがここを選んだから」「偏差値が適当だから」といった理由だけで併願校を決めると、その学校に入学することになった時にお子さまが校風と合わなかったり、学校生活を十分に楽しめない、あるいはお子さまの「力」を存分に伸ばせないこともあるかもしれません。
最近は、雑誌やインターネット上等さまざまな媒体に入試予測情報が掲載されていて、簡単に情報を手に入れることができます。しかし、応募者数や難度の動きは複雑に絡み合っていて、「この学校が難化する」という情報が出ると、「じゃあ避けよう」という動き、反対に「避ける人が増えるだろうから受けよう」という動きが出てきます。入試当日まで情勢は流動しますので、一つの入試予測情報を信じ込むのではなく、「どれも一つの参考意見」と捉え、ご家庭でじっくり考えることが大切です。迷ったら、普段からお子さまが通っている塾の先生に相談すると、お子さまの学力や個性に沿ったアドバイスをもらえるでしょう。
中高一貫校を選ぶ理由
最近は「高い志望順位の中学校に合格できなかったら地元の公立中学に進んで、高校受験で再挑戦する」という受験生も少なくありません。大学合格実績だけを見ると、中学から一貫校に行っても、高校で入学しても、それほど学力的な違いは生じないと思うかもしれません。しかし、中高6年間の一貫教育には、探究活動や課外活動、海外体験などを通して、創意工夫する力、コミュニケーション能力、積極性、幅広い視野などが身につくという利点があります。生涯付き合える友人ができることも多いでしょう。中高一貫校の6年間で得るものは、これから先の長い人生の糧となるのです。ですから、「第一志望がダメだったら公立に行くから、併願校は考えない」、「進学する気はないのだから合格の成功体験さえ手にできれば併願校はどこでもよい」ではなく、「実際に行きたいと思える併願校を探す」という考えで、併願作戦を立てていただければと思います。
まず「1勝確保」で、プレッシャーを低減
中学受験は、お子さまにとって大きなプレッシャーがかかる体験です。過度なプレッシャーをかけず、お子さまの実力を発揮できるような併願校の組み合わせを考えましょう。「まだ1校も合格していない」という状況では焦りが出て実力を発揮しにくくなりますので、まずは高い志望順位の学校の前に抑えとなる学校の入試を入れ、最低1校は合格を確保してから大切な勝負に挑めるようにすると良いでしょう。
1月入試と2月入試の組み合わせ方
中学入試は1月入試と2月入試に分かれます。1月入試を行うのは、千葉・埼玉・寮制の学校、2月入試を行うのは、主に東京・神奈川の学校です。2月入試の学校を第一志望とする受験生の大半は、1月、2月の両方とも受験します。1月入試の学校を第一志望とする場合は、1月入試も2月入試も出願はしておいて、第一志望に合格したら2月入試は欠席することが多くなっています。
千葉・埼玉の学校に通えるご家庭の場合は、1月入試と2月入試でそれぞれ、挑戦校、学力順当校、安全校を設定することをおすすめします。1月入試で志望順位の高い学校の合格を確保できれば、2月入試では安全校の入試を欠席し、挑戦校と学力順当校のみを受験するという方法もあります。
東京や神奈川にお住まいで、千葉・埼玉の学校に通うのが難しいご家庭の場合、1月入試はいわゆる「お試し」の場になります。1月入試で確実に合格をして自信をつけ、良いモチベーションで2月入試に挑ませてあげたいものです。また、2月入試では、積極的に午後入試を組み合わせると、併願校選びの幅が広がります。複数の挑戦校を受ける場合は、挑戦校と挑戦校の入試日の間を空け、そこに学力順当校と安全校を組み合わせるとよいでしょう。
東京や神奈川だけでなく、千葉にお住まいでも、1月10日からの埼玉の入試が「お試し」の場になりますが、埼玉にお住まいで県内の学校の志望順位が高い場合、「お試し」の場の設定に困ることがあるかもしれません。栃木や茨城の学校、少数ですが1月8日ごろに入試を行う寮制の学校を活用したいものです
筆者からのアドバイスと近年の傾向
併願作成を立てるときに大切なのは、最初から「こことここだけ」と決めつけるのではなく、状況に応じてフレキシブルに動くことです。
2月1日以降は、複数の学校の受験を同じ日程で考えておきましょう。例えば「2月1日の午後入試が受かったら、2日の午前はA校。1日の午後入試がうまくいかなかったら、2日はB校」というように、事前にいくつかのパターンでスケジュールをしっかり組んでおくことが重要です。最近はインターネット出願が広がっていますので、前日の夜でも出願できるケースが多いのです。その時の状況に応じて、併願校を臨機応変に選び、ベストな展開をつくっていきましょう。
また、最近は入試を複数回実施している学校が多いのですが、早い日程で第一志望の学校に不合格で、第二、第三志望の学校に受かった場合、「もういいや」と妥協してしまうケースが増えています。さらには、本人があきらめるのではなく、保護者の方が疲れてしまって、中学受験への挑戦を早仕舞いしてしまう様子も多々見受けられます。これは非常にもったいないことです。初志貫徹の心を持ち、途中で妥協せずに、第一志望の学校に合格するための努力は最後まで続けていただければと思います。
保護者の方も色々と忙しくて息切れしてしまうかもしれませんが、手取り足取りつきっきりでいる必要はありません。受験会場までの送り迎えをやめて一人で向かわせるなど、受験生本人の自主性を尊重することも大切だと考えます。
目立って希望者が増えている学校は要注意校
目立って希望者が増えている学校名は、10月末現在の模試動向から次の通りです。あくまでも「10月」ですから、今後変わっていくとも考えられます。参考としてご覧ください。
巣鴨、学習院、東洋大京北、芝浦工大附属、城北、富士見、暁星、高輪、山脇学園、青山学院、目黒日大、攻玉社、世田谷学園、香蘭、恵泉女学園、成城学園、青稜、桐朋、法政大学、洗足学園、日本女子大附属、法政大第二、湘南白百合、昭和学院秀英、青学大浦和ルーテル
また、他校に影響を及ぼしそうな入試変更点がある学校について、以下にご紹介します。
- 暁星・湘南白百合学園:長く一回入試だったが、いよいよ2020年に複数回入試を行う。他校併願で暁星や湘南白百合を選ぶ受験生が大きく増えると思われる。
- 富士見・田園調布学園:2020年より午後入試を実施。いずれも算数一科入試。両校とも同じ学力レベルの併願受験生や、さらに上位の学校からの併願受験生の増加が見込まれ、新しいパターンの併願の動き方が出てくると思われる。
- 青山学院:2020年はプチサンデーショックとなり、入試日が2月2日から2月3日に変更される。男子では今まで青山学院か明大明治などと悩んでいた受験生が青山学院を併願するようになる。2月3日の青山学院男子の人気は上がると想定される。一方、女子の人気はそれほど変わらないと思われる。
- 明大明治:2020年から定員を男女別にする。背景には、近年女子人気が上がっていて、女子の合格数が多数になり、バランスが取れなくなってきたことがある。おそらく女子の難度は上がり、厳しい状況になりそう。反対に男子は入りやすくなる可能性がある。
- 青学大浦和ルーテル:2019年4月に青山学院大学の系属校になった学校。今年は系属校となったことで人気が浸透し、希望者が増えている。男女別では女子人気が先行している。
2018・2019年度の中学入試併願校・併願入試の集計結果
私国立難関進学校、早慶・GMARCHレベルの大学附属校、進学校や、併設大学があっても進学校カラーが強い学校などのカテゴリ別に、併願の傾向をご紹介します。あわせて、2018・2019年度の中学入試併願校・併願入試データをPDFにてご紹介します。(データは、各学習塾で実施している塾内模試「アタックテスト」の合否追跡調査の結果をもとに、独自に集計したものです)
なお、データに登場する併願校には、昨年までと難度があまり変わらない学校もあれば、難度が大きく変わる学校もあります。特に、共学化、有名大学の附属校化などの大きな改革があった学校は、一気に人気と難度が上がる可能性があり、要注意です。データはあくまで併願校選びの一助とし、お子さまの希望を聞いたり塾の先生と相談をしたりしながら、併願校を決めるようにしてください。
1.私立・国立難関進学校が第一志望
入試を複数回行う学校では、同校の別の回次を併願する傾向が強いです。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の順に、併願の傾向をご紹介します。
【東京都】
まず男子校について。男子御三家(開成、武蔵、麻布)、海城、駒場東邦、筑波大駒場の併願先として、前哨戦の1月入試では、埼玉の栄東が圧倒的に多く選ばれています。千葉の渋谷教育幕張を選ぶケースもあります。また、2月1日に御三家や海城、早稲田を受験する場合、2月2日に神奈川の難関校を組み合わせるケースが少し減ってきました。2月2日、2月4日、2月5日の上位校と組み合わせて、上位校で確実に合格を決めようという考えの受験生が増えているようです。
次に女子校です。最難関レベルの女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)などの併願先としては、1月入試の栄東が選ばれることが多くなっています。また、同じく埼玉の浦和明の星を選ぶケースも目立っています。また、2月2日、2月3日、2月4日の上位校の入試で、合格を確保しようという受験生が多くなっています。
男女校の最難関校は、渋谷渋谷、筑波大附属、学芸大世田谷ですが、併願パターンは大体決まっています。1月入試では栄東が選ばれることが多いです。男女校に固執せず、男子校や女子校の難関校を併願先として選ぶ受験生も多くなっています。
【神奈川県】
男子校最難関の栄光学園、聖光学院、浅野では、この3校内で併願校に選び合うケースが多く見られます。1月入試では栄東も選ばれています。また、東京と同様に、2月3日、2月4日、午後入試などで、東京都市大付属、サレジオ学院などの上位校の合格を確保しようとするパターンが多くなっています。
女子校では、フェリス、横浜雙葉、横浜共立など最難関校の入試日が2月1日に集中しています。従って、2月2日以降に入試を行う学校、例えば洗足学園や鎌倉女学院などと組み合わせて、絶対に合格を確保しようとするケースが多くなっています。また、女子校にこだわらず、男女校を併願先に選ぶ受験生も増えてきています。
【千葉県】
千葉県の最難関校、市川、渋谷教育幕張、東邦大東邦の併願先として多いのは栄東です。また、千葉県内の学校で合格を勝ち取ってから、2月1日から始まる都内の難関校を目指す受験生も多くなっています。
【埼玉】
栄東は、毎年の受験生の数が飛び抜けて多い学校です。来春もおそらく合計1万人を超える入試になるでしょう。これは、東京、神奈川、千葉の最難関校を目指すような受験生たちの主な併願先となっているためです。
開智の併願校には、同校の別の回次が圧倒的に多く、栄東も見られます。栄東と異なり、県内の受験生が比較的多いのが特徴です。
県内最難関の女子校・浦和明の星の併願先には、東京の女子御三家の女子学院や東京の難関校・豊島岡女子が見られ、栄東もあります。
2.早慶・GMARCHレベルの大学附属校が第一志望
入試を複数回行う学校では、同校の別の回次の併願が多くなっています。それ以外で多いのは栄東、獨協埼玉、立教新座、淑徳与野、西武文理、神奈川大附属、市川などです。また、別の大学付属校を併願に選ぶケースも見られます。私立・国立難関進学校を志望する場合よりも、幅広い学力レベルの学校が選ばれています。
また、青山学院、慶應中等部、慶應湘南藤沢、早大学院など、入試を1回しか行わない学校では、系列校を併願しようとする動きが見られます。慶應系列だと、男子の場合は慶應中等部、慶應普通部、慶應湘南藤沢の組み合わせ、女子の場合は慶應中等部と慶應湘南藤沢という組み合わせが見られます。
3.進学校、併設大学があっても進学校カラーが強い学校〈上位校〉
このカテゴリはほとんどの学校が複数回入試を行っているため、同校の別の回次を併願する傾向が強いです。千葉と埼玉の学校は都内の学校を第一志望とする場合の前哨戦として併願されていることも多く、併願先データには都内のいろいろな学校の名前が見られます。学校の数が多いため、男子校、女子校、男女校に分けて併願の傾向をご紹介します。
【男子校】
海城、芝、城北、巣鴨、本郷、早稲田は、御三家など最難関校の抑えとして受験されているケースが多くなっています。1月入試の併願先としては栄東が選ばれています。また、これらの6校間で併願しあうケースも増えています。
攻玉社、世田谷学園、高輪、東京都市大付属についても、御三家など最難関校の抑えとされていることも多いですが、この4校間で併願をしあうことが多くなっています。これは、このグループの中で確実に合格をしようという動きでしょう。1月入試では栄東も選ばれています。東京都市大付属はⅠ類、Ⅱ類のコースがありますので、Ⅰ類を抑えにして受験パターンを決めていくことが多いようです。
成城は、以前は比較的入りやすいと言われていましたが、最近急速に難化しています。最後の抑えの安全校として考えていると思わぬ結果になることもあるので、ご注意ください。
神奈川の鎌倉学園と逗子開成はお互いに併願し合うケースが見られます。サレジオ学院の併願先には、同校の別回次や栄東が選ばれています。県内の難関校である栄光学園、聖光学院の併願先としてこれらの学校を選ぶ受験生は多いと思われますが、絶対確実に合格を確保したい受験生の中には、鎌倉学園、逗子開成の他、中堅校の藤嶺藤沢などを組み合わせていくケースも増えるかもしれません。
【女子校】
鷗友学園、大妻、富士見、共立女子、吉祥女子は、同校の別の回次を併願するパターンが多くなっています。白百合学園の併願校には栄東や淑徳与野といった埼玉の学校の他、雙葉の名前も見られます。
恵泉女学園、品川女子学院、東洋英和、普連土学園、晃華学園についても、同校の別回次を併願するケースが見られます。また、やや進学色は弱くなっていて、校風で併願校を選ぶ受験生も多くなっています。例えば、キリスト教系の学校の場合に併願先にもキリスト教系を選ぶなどです。最近の傾向として、「あまり入りやすい女子校は選びたくない」という受験生が増えてきて、一定のレベルから上の学校のみで併願校を選ぶケースが目立つようになっています。
神奈川の鎌倉女学院、湘南白百合は、フェリス、横浜共立、横浜雙葉といった県内難関校の代表的な併願先でしたが、以前と比べるとこの典型的な組み合わせ方は減ってきています。カリタスと洗足学園は、都内の女子校との併願が多い学校です。来春も、都内の進学実績が高い女子校との併願が多くなるでしょう。
千葉と埼玉に関してはこのカテゴリの女子校が非常に少ないのですが、千葉の国府台女子は同校の別の回次や近隣の女子校が多く、埼玉の淑徳与野では同校の別の回次や栄東が見られます。
【男女校】
学校によって併願校選びのパターンが異なります。主な学校の併願の傾向をご紹介します。
- 広尾学園:同校別の回次や栄東の他、難関校の渋谷渋谷、中堅校の三田国際が見られる。
- 国学院久我山:同校の別の回次が圧倒的に多い。
- 淑徳:地理的に埼玉の学校との併願が多い。男子校、女子校、男女校を特に意識せずに選ぶ傾向が見られる。
- 都市大等々力・東京農大第一:同校の別の回次の他、中堅どころの人気校が多い。
- 帝京大学・頴明館:両校とも多摩地区の中では進学実績が高い学校。進学校志向の高い受験生が集まっていて、23区内の学校や埼玉の西武文理が見られる。
- 学芸大竹早:栄東や埼玉栄など、埼玉の学校が見られる。
- 学芸大小金井:東京電機大、中央大附属、城北、大妻中野、国学院久我山が多く選ばれている。
- 神奈川大附属・山手学院・桐光学園:同校の別回次が多い。
- 芝浦工大柏・専修大松戸:同校の別回次が多い。お互いに併願しあうケースも多い。1月入試校を併願する場合は、比較的距離が近い獨協埼玉が選ばれることが多い。
- 西武文理:同校の別回次の他、都内校の名前がよく見られる。これは、都内校の前哨戦として両校が選ばれるケースが多いため。
- 星野学園:同校の別回次が圧倒的に多い。
4.進学校、併設大学があっても進学校カラーが強い学校〈中堅校〉
ほとんどの学校が複数回入試を行っていて、同校の別回次を併願することが多くなっています。東京や神奈川では、併願校をあまり遠くない地域から選ぶケースが多いです。千葉、埼玉の学校についても、前段(3.進学校、併設大学があっても進学校カラーが強い学校〈中堅校〉)と比べて県内校を併願する傾向が強くなっています。都内や神奈川の学校の前哨戦として併願されることが多い学校では、併願校にバリエーション豊かな都内校が見られ、第一志望の受験生が多い学校では、併願校にあまり都内校の名前が見られなくなっています。
【男子校】
芝浦工大附属、獨協、藤嶺藤沢、城西川越、城北埼玉は、いずれも同校の別回次の併願が多くなっています。この他、聖学院、日大豊山など中堅どころの男子校と併願するケースも多いです。埼玉の城西川越と城北埼玉は同校の別の回次が圧倒的に多いのですが、都内校との併願も見られ、都内校の前哨戦として両校が選ばれていることが分かります。
【女子校】
都内の跡見学園、江戸川女子、大妻中野、田園調布学園、三輪田学園、山脇学園、大妻多摩については、同校の別回次の併願が多くなっています、また、比較的幅広い学力層の学校から、同じような校風の女子校を選ぶケースも多くなっています。
神奈川の神奈川学園、聖セシリアについても、同校の別の回次を併願することが多くなっています。清泉女学院は、鎌倉女学院の定番の併願先として選ばれることが多いです。このグループの学校では、同じレベルかやや下のレベルの他の女子校を選ぶケースが多く見られます。1月入試の併願先としては、寮制の学校がよく選ばれています。
【男女校】
開智日本橋、かえつ有明、順天、青稜、三田国際、安田学園、桜美林、工学院大附属、東京電機大、八王子学園といった都内校、関東学院、湘南学園、桐蔭学園、森村学園といった神奈川の学校では、同じ学校の他の回次の併願が多くなっています。近年はグローバル教育が注目されているため、開智日本橋、かえつ有明、三田国際などグローバル色の強い学校同士を組み合わせて併願する動きも出始めました。1月入試の併願校としては、地方寮制の学校が選ばれるケースが多くなっています。また、地理的に千葉や埼玉に近い学校では、千葉や埼玉の1月入試と組み合わせるケースもよく見られます。
千葉県の成田高附属、八千代松陰、麗澤は、同じ学校の他の回次を併願することが多いです。麗澤では1月入試を併願する場合、比較的距離が近い獨協埼玉を選ぶケースが多くなっています。
埼玉の大宮開成、春日部共栄、埼玉栄、昌平、東京農大第三でも、同校の別の回次を併願するケースが多くなっています。また、都内校や県内の栄東を志望する場合の最後の抑えとして、これらの学校が選ばれていることも非常に多いです。
5.中堅大学の附属校で、内部進学率が比較的高い学校
昭和女子大、成城学園、日大第二、成蹊、明治学院、日本大学(日吉)、日大藤沢、日大第一、日大第三は、同じ学校の別の回次を併願するケースがとても多くなっています。これらの学校を第一志望とする場合は、それぞれの所在地と学力レベルにあわせた進学校が併願先として選択されています。また、GMARCHレベルの大学附属校の併願校として選ばれるケースも多くなっています。
6.公立中高一貫校
アタックテストは私国立中学校受験向きのテストなので、公立中高一貫校のデータは少なくなっていますが、ここでは併願選びのおおむねの傾向をご紹介します。
都内の場合は、1月入試で埼玉の学校を併願するケースが多くなっています。都内東部地区の都立白鷗高附、都立両国高附のような学校は、挑戦校としては栄東、安全校としては獨協埼玉を選ぶケースが多くなっています。多摩地区など西の方の学校では、星野学園や西武文理などが選ばれています。
公立中高一貫校の私立併願校選びは実に幅広いものになっています。主な学校の併願の傾向について以下にご紹介します。
- 区立九段:1月入試では栄東や埼玉栄、立教池袋や専修大松戸などが選ばれている。2月入試では品川女子学院が見られる。
- 都立白鷗高附:1月入試では浦和実業学園や獨協埼玉などが選ばれている。2月入試では明大中野が多かった。
- 都立両国高附:1月入試では栄東や市川が選ばれている。2月入試では広尾学園が多かった。
- 都立桜修館:広尾学園、東京農大第一などとの併願が目立つ。渋谷渋谷の名前も見られる。
- 都立大泉高附:栄東、立教新座、城北などとの併願が目立つ。
- 都立富士高附:宝仙学園理数インター、浦和実業学園、栄東などとの併願が目立つ。
- 都立武蔵高附:栄東、国学院久我山、武蔵、吉祥女子などが多い。
- 都立三鷹:国学院久我山、大妻中野などとの併願が多い。
- 都立立川国際:併願状況は多彩。立教女学院、国学院久我山、洗足学園などが見られる。
- 都立南多摩:穎明館、桐朋といった多摩地区の進学校との併願が多い。
- 市立南高附:穎明館、早稲田実業、西武文理などとの併願が多い。
- 県立相模原:神奈川大学附属、森村学園などとの併願が多くなっている。
- 市立川崎高附:攻玉社、東京農大第一や世田谷学園との併願が目立つ。
- 県立千葉:県内の東邦大東邦、市川、渋谷教育幕張、昭和学院秀英との併願の他、都内の男女御三家の併願先として選ばれているケースも目立つ。
- 県立東葛飾:市川、専修大松戸、土浦日大などが選ばれていて、地元志向の強さがうかがわれる。
- 市立稲毛高附:昭和学院秀英、東邦大東邦など県内の学校が多く選ばれている。
- 県立伊奈学園:城北、武蔵、城西川越との併願が多い。
- 市立浦和:栄東、開智中との併願が目立つ。