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上級者向け 受験マニアックス

2014年9月号 私立中高一貫校での就学支援金制度/併設型中高一貫教育の解説

トピック1 
私立中高一貫校でも「就学支援金制度」は適用されます

高校になるとかえって学費が安くなる

2010年、「高校の授業料無償化」が実施されました。これは公立高校に対する制度で、私立高校生向けには「就学支援金制度」が創設され、2014年度からはこの2つの制度が「就学支援金制度」として一本化されています。
私立高校の場合、国が補助する就学支援金に自治体が独自に「上乗せ」をし、家庭の所得格差が子どもの学力格差とならないよう、教育費の家庭負担を軽くする取り組みが行なわれています。
私立中高一貫校に進学すると、こうした学費の支援制度は適用外と思っているご家庭も多いようですが、それは違います。2010年度から始まったこの制度は正式には「就学支援金制度」といいます。私立中高一貫校で中学から高校に内部進学する場合でも申請すれば適用されます。
私立中学校の3年間の学費は国からの支援がありませんから、私立中高一貫校は初期の負担は大きいものの、高校入学時の負担は小さくなり、お得な面もあるのです。

年収で補助額は異なる

まず、基本となる国からの補助額は次の通りです。これは全国一律です。

世帯年収の目安と補助額
250万円未満程度 年間297,000円
250万円~350万円未満程度 年間237,600円
350万円~590万円未満程度 年間178,200円
590万円~910万円未満程度 年間118,800円
910万円以上程度 対象外
就学支援金制度(国の制度)
      
都県独自の上乗せ分をチェック

さらに都道府県が独自で定める追加の補助金があります。これは私立高校に通う場合に、家庭の教育費負担を重くしないための措置です。

東京都

世帯の年収に応じて、都の上乗せ分の金額が決まっています。都内在住であれば隣接県の私立高校に進学しても、都の上乗せ分を受給できるのが特徴です。例えば東京都在住の生徒が千葉県の私立高校に通う場合は、東京都の制度、あるいは千葉県の制度のどちらを利用するかを選べます。両方の補助金をもらうことはできません。比較して有利な方を選ぶことになるでしょう。

東京都の制度
神奈川県

県内在住で県内私立高校に通う場合のみ支給されます。世帯の年収に応じて、県の上乗せ分の金額が決まっています。年収750万円未満の世帯すべてに入学金補助99,000円を一律に補助しています。低所得の世帯には修学旅行や教材など使い道が決まった補助金が支給されます。

神奈川県の制度
千葉県

県内私立高校に通う生徒のみに支給されます。ただし居住地は県外でも構いません。千葉県内全日制私立高校の最高授業料は39万6000円です。年収が350万円未満の世帯については、国の補助金と足して私立高校の授業料が無償となるまでの額を県が補助し、入学金補助もついています。年収350万円~640万円未満の世帯については、授業料の3分の2から就学支援金を引いた額が補助されます。つまりこの層では授業料の3分の1は家庭負担になります。低所得の世帯には授業料以外の教育費が支給されます。

千葉県の制度
埼玉県

県内在住で県内私立高校に通う場合のみ支給されます。年収500万円未満までのすべての世帯に対して、国の補助金と合わせて年間37万5000円になるよう県が上乗せします。この金額は県内私学高校の授業料平均が約37万5000円であることから算出されたものと考えられます。この金額を上回る授業料の私立高校に通う場合の超過分は、家庭負担となります。年収609万円未満の世帯には入学金補助一律10万円が支給されます。教材費や制服に使える「施設費等補助」も年収により支給されます。

埼玉県の制度
初年度は「立て替え」に注意が必要

この制度の利用にあたっては注意点もあります。中学3年の終わりから高校1年にかけては、まとまった額のお金を準備する必要があるということです。というのも、就学支援金の支給額は前年分の世帯年収をもとに計算します。具体的な額が決定するのは高校進学後になります。それまではいったん所定の入学金や授業料を払っておき、納めすぎた分を年度の後半以降に相殺するケースが多いのです。

また、実際の補助金は国や県から直接家庭に振り込まれるわけではありません。授業料から補助金分を差引いた額を、学校が保護者に請求します。高校入学手続き時に「入学金補助が出る」、4月に振り込む「授業料が安くなる」わけではありませんので、注意してください。

授業料支援 都県比較

トピック2 
私立の中高一貫教育は昔から

都内の私立中高一貫校の合同説明会場を訪れると「2015年度から併設型中高一貫教育になります」と、うたっている学校があります。初めて中学受験に臨む保護者の方にとって「今まで中学と高校でバラバラの教育をしていたのだろうか?」という誤解を招きやすいので、ここで解説しておきます。

じつは今回の「来年度から併設型中高一貫校になる」というのは、国や都道府県に対して書類上の手続きを済ませたことを指しています。平成11年に文部科学省が「中高一貫教育」を正式に認めてから、公立学校でも中高一貫教育が認められるようになりました。その制度にならおうと東京都の私立中高で今年度、東京都へ認可申請を行なったのです。

男子校の麻布・開成・武蔵、女子校の桜蔭・女子学院・雙葉、といった「御三家」をはじめ、歴史ある私立中高は創立当初から、中学と高校のカリキュラムの連続性を考え、さまざまな工夫を凝らしてきました。比較的歴史の浅い学校でも同じように、その伝統にならって教育を行なってきました。

むしろ「実態」「運用」面では私学は国の制度に先んじて、中高一貫教育を実践してきたのですから、生徒の発達段階や一人ひとりに合わせた効果的なカリキュラム編成こそ、私立中高の持ち味なのです。手続き上のキャッチフレーズに惑わされず、その学校のよさをしっかりと見極めることが大事です。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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