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上級者向け 受験マニアックス

2017年2月号 中学受験へのアプローチ(新4・5年生向け)

今回は、これから中学受験を目指す皆さまに、どの時期にどのように過ごし、何を身につけていけばよいのかをご説明します。受験勉強を始める時期として最も多いのは4年生からです。4年生から徐々に、受験へ向かう準備を進めることをおすすめします。首都圏では、塾の新学年が2月にスタートするケースが多いため、ぜひこの時期に、生活や学習のスタイルについて、親子で考えてみてください。

新しいタイプの入試について

新4年生

1.塾に通うことに慣れる

中学受験を目指すお子さまの多くが、4年生から塾に通い始めます。まずは塾に通うことを習慣にしましょう。塾に入ったからといって、すぐに他の習い事をすべてやめて、受験勉強に全力投球する必要はありません。2月、3月は塾を体験する時期と考えて、無理のないように、塾通いを生活リズムの中に取り込みましょう。突然受験勉強中心の生活に切り替えると、息切れしてしまうこともあります。4月くらいから、「この曜日のこの時間は塾」というように、1週間のサイクルの中に塾を位置づけられるとよいでしょう。塾に通うことは、お子さまにとってかなり大きな変化です。段階的に塾の位置づけを確立していきましょう。

塾での学習内容は、受験生としての基礎学習が中心です。これは、ご家庭でカバーできる部分もあります。急に多くの日数を塾に通うことにとまどう場合は、最初のうちは家庭学習も併用し、徐々に日数や科目を増やすという選択肢もあります。4年生の間に、受験生として塾に通う生活リズムを構築することが大切です。

2.塾の選び方

塾の選び方で大切なのは、雰囲気が本人に合っているかどうかです。やさしくじっくりと教えてくれるところ、生徒をグイグイ引っ張っていってくれるところなど、いろいろな雰囲気の塾があります。雰囲気が合わないと、本人の気持ちが前向きにならず、力が伸びにくいこともあります。まずは本人に合った雰囲気の塾を選び、負担がないようにしたいものです。塾に通うことに慣れてきたら、レベルの高い塾に転換することもできます。

ただ、学校で習ったことの補習が中心で簡単すぎるところはよくありません。中学受験に対応できる、それなりのレベル以上の塾を選んでください。そのような塾では、学校で習うことを先取りして学習を進めています。お子さまの知的好奇心を刺激し、塾での学びが楽しいと思えるようなところを見つけましょう。

3.いろいろなことを体験する

4年生の間は、受験勉強がまだそれほど厳しくありません。夏休みや冬休みなどには、さまざまな非日常の体験をさせてあげてください。例えば、自然の中でのキャンプ、科学実験教室、外国人留学生との交流などです。インターネットで検索すると、さまざまな体験イベントの情報があります。本人がやりたいと思うものに、どんどん参加させましょう。体験を通して、興味・関心が広がり、新たな気づきを得ることができるでしょう。そして、自身の成長を感じ、自信を持ってもらいたいと思います。

その際に大切なのは、ただ「楽しかった」「面白かった」で終わりにするのではなく、「振り返り」を行うことです。何をしたのか、何ができるようになったのか、何に気がついたのかなどを、レポートの形でまとめてみましょう。慣れないうちは難しいと思います。下手な文章でもまとまっていなくても構いません。この「振り返り」を重ね、まとめる力、伝える力を育むことが、その後の勉強や受験の際に役立ちます。最近では、こういった力が求められる入試問題が増えているのです。負担に思わずに、親子で楽しく前向きな気持ちで取り組めるとよいかと思います。

4.どんな学校に行きたいかを考える

「そもそもなぜ中学受験に取り組むのか」を踏まえて、理想の学校像について考えましょう。偏差値をあまり気にする必要はありません。学力はまだまだ伸びます。

4年生の間は、塾の先生に質問して学校を紹介してもらう、合同相談会に参加するなど、積極的に情報を収集しましょう。そして、お子さまと一緒に、学校説明会や文化祭などの公開行事に行ってみてください。本人は遊び感覚でも構いません。そこで生徒を見て、「わが子がこんな中学生になったらいいな」と思えるような学校を探しましょう。

学校を探す時に考えたいのは、学校と家庭のパートナーシップです。お子さまの成長は、学校とご家庭の双方によって支えられています。すべて学校に任せっぱなしはよくありません。学校の先生が、気軽に相談しやすい雰囲気か、質問をした時にきちんと対応してくれるかを考慮し、学校と家庭を切り離すのではなく、二人三脚のパートナーシップを組める学校を選んでください。

新5年生

1.本格的な受験勉強を進める

5年生になると、いよいよ本格的な受験勉強が始まります。塾の勉強のボリュームが増え、帰宅時間が遅くなったり、お弁当を持っていくようになることもあります。お子さまにとって、生活リズムの変化は大きなハードルです。ご家庭でしっかりとサポートし、受験勉強を組み込んだ生活リズムを確立させていきましょう。

勉強法として心がけたいのは、計算・漢字・語句のトレーニングをコツコツと進めることです。これは、受験の土台となる大切な部分です。10分でもよいので毎日続けましょう。「継続は力なり」です。

学習量が多くて、驚いてしまうこともあるかもしれません。いきなりすべてをこなすことが難しければ、優先順位をつけて学習を進めましょう。優先すべきは、先述した計算・漢字・語句と、4教科の基礎知識です。これらを身につけておけば、応用問題は後回しにしても取り返しがつきます。

勉強が特に大変になるのは秋頃です。それまでに、生活リズムと学力の土台をつくっていきましょう。

2.スケジュール管理を身につける

順調に学力が伸びている子を見ると、スケジュール管理や、勉強のオンオフの切り替えが上手だなあと感じます。5年生のゴールデンウィークくらいまでに、徐々に自分でスケジュール管理ができるようになるとよいでしょう。

具体的には、1日、1週間の時間の使い方を決めていきます。「何時から何時はご飯、そのあとテレビ、お風呂に入って何時からは勉強」、「何曜日は塾、何曜日は習い事、週末は朝10時までに基礎学習を済ませる」など、勉強以外の遊びや楽しいことも含めてスケジュールを組み、その通りに生活できるようにしていくのです。最初はゆるめのスケジュールでも構いません。ただ、決めた以上はしっかり守ることを心がけましょう。スケジュールをこなせるようになると、お子さまは自信をつけ、「もっとできるかな」と高みを目指すようになります。一番よくないのは、際限なくだらだらしてしまうことです。

また、受験生だから特別扱いをして、「お手伝いはしなくていいよ」、「部屋の片付けをしなくていいよ」などと、家庭での役割を無くしてしまうのはよくありません。受験勉強以外も、やるべきことはしっかりやることで、一日の生活にメリハリが生まれます。

3.塾の見直し

5・6年生の2年間は、じっくりと一つの塾にお世話になることをおすすめします。ですから、5年生の始めには、通っている塾が本人に合っているのかを見直し、場合によっては塾替えをしましょう。合格実績はもちろん大切ですが、本人との相性も大切です。無理はないか、逆に物足りなくはないか、授業の雰囲気は合っているかを見極めましょう。中には、「友達がいるから」という理由で「この塾がいい」という子もいるので、見極めが必要です。

4.体験と振り返り

4年生に引き続き、長期休業中などに、無理のない範囲でさまざまな体験をさせてあげてください。そして、体験したことをレポートにまとめましょう。4年生からの取り組みが実を結び、振り返りの習慣が身についてくる頃です。

その振り返りの習慣を学習にも応用し、例えば1ヶ月に1回各教科について、どういう勉強をしてどこまでできるようになったのか、どこが足りていないのか、などを自分で振り返れるようになると、かなり心強いです。「長時間・大量の勉強をしているからOK」ではなく、成果を見つめることが大切です。中には、自分の好きな教科や単元の勉強ばかりに身を入れ、受験に必要な力が身についていない子もいます。すぐには難しい面もありますが、できるところから取り組んでみてください。

5.あこがれの学校を決めていく

これまでに集めた情報や見学会などで感じたことを踏まえ、5年生のうちに5校程度の「志望校グループ」をつくりましょう。偏差値はまだそれほど気にしなくて構いません。大切なのは、本人が行きたいと思う気持ちです。

「絶対にこの学校に行きたい」というあこがれは、受験勉強の一番の原動力になります。強いあこがれを持つと、人が変わったように勉強をするようになり、学力が驚くほど伸びることがあります。あこがれを持ち、モチベーションを高めるために、学校説明会や公開行事には積極的に出かけましょう。そのためなら、塾を休んでも構わないと思います。

最近では情報があふれていて、志望校をなかなか決められないというケースが多くなっています。志望校選びの一般的なポイントは以下の通りです。

  1. 【校風】
    自由な校風がよいのか、規律が厳しい方がよいのか、お子さまに合った校風の学校を選びましょう。最近は自由な校風を好むご家庭が多いようですが、実情はご自分の目で確認してください。見学に行った時に「自由をはき違えているのでは」「自由すぎてだらしない」などと感じたのであれば、その学校は志望校から外した方がよいでしょう。

  2. 【教育方針】
    学校の教育方針は、文面だけでは抽象的でわかりにくいものです。説明会で、教育方針を達成するための具体的な取り組みについての説明があったか、その内容に興味を持ち同意できるか、を考えてください。具体的な説明がなく、質問してもはっきり答えてくれないような学校は、考え直した方がよいかもしれません。

  3. 【教育内容】
    中高一貫校の中には、独特な教育内容がある学校もあります。それに興味・関心が持てるか、支持できるかを考えましょう。

  4. 【生徒の様子】
    公開行事などに行った時に、実際の生徒の様子を見て、生き生きしているか、楽しそうかを確認しましょう。

  5. 【部活動】
    入りたい部活動があるかどうか、確認しましょう。中には、「あの学校の何部に入りたい」ということが、大きなモチベーションになるお子さまもいるでしょう。

  6. 【大学合格実績】
    「国公立大学〇名合格」「難関私立大学〇名合格」などの、一部のトップレベルの子の結果だけを参考にするのではなく、どれくらいの割合の生徒が有名私立大学に合格しているのかを指標にするのがよいでしょう。特に、国公立大学の合格者数を華々しく紹介し、私立大学についてはあまり教えてくれないケースは要注意です。国公立大学合格者数の数を増やすために、実際には行かないような、遠方の入りやすい国公立大学の学部を受けていることもあるのです。私が考える一つの目安を以下にご紹介します。
    (早慶上智+GMARCH+芝浦工大の現役合格者数合計)÷卒業生数=0.65以上
    首都圏で中高一貫校に通うならば、少なくとも0.65以上は欲しいところです。実際には一人で複数校の複数学科に合格することもありますので、この数値が1を上回る学校もあります。大学合格実績を重視するのであれば、ハードルを上げて0.8以上などとするのもよいでしょう。

  7. 【21世紀型教育への対処】
    2016年12月号でもご紹介したように、今後の日本では、思考力や表現力、活用力、課題を自ら発見し解決する力、英語コミュニケーション力などが求められていきます。2020年にはこういった力を重視するような「大学入試改革」が行われることになっています。こういった21世紀型教育への対処ができているかどうかも、学校選びのポイントになります。「大学入試を突破するために」という目先の目標ではなく、「これからの社会で活躍する人材を育成するために」というポリシーを持った学校を選びましょう。21世紀型教育についての説明があり、その説明に説得力があると感じられるとよいでしょう。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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