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上級者向け 受験マニアックス

2018年2月号 中学入試の基礎知識/難関校に合格するために必要な力

この記事は2017年度の情報です。最新の情報は2022年2月号をご覧ください。

今回の受験マニアックスでは、小学4年生くらいまでのお子さんを持ちこれから中学受験に取り組もうと考えている皆さまに向けて、中学入試の基礎知識をお伝えします。また、難関校に合格するために必要な力とは何かをご説明します。

中学入試の基礎知識/難関校に合格するために必要な力

中学入試の基礎知識

中学入試が行われる時期

一般の受験生を対象にした入試は、都県ごとに開始日が決まっています。例年、埼玉県は1月10日、千葉県は1月20日、東京都・神奈川県は2月1日スタートとなっています。帰国生対象の入試や推薦入試は12月に行われることもあります。

入試の回数

入試を行う回数は、学校によって異なります。国立、私立難関校、公立中高一貫校は、1回しか入試を行わない学校が多いのですが、私立中堅校では複数回入試を行うケースが多くなっています。複数回入試を行っている学校を第一志望とする場合、何回も挑戦することができるわけです。

入試科目

以前は、4教科(国算理社)か2教科(国算)の入試が一般的でしたが、最近はそれ以外のタイプの入試も増えて多様化しています。大きく分けて以下の3タイプがありますが、難関校・上位校・有名校は教科型を行うことが多く、中堅校ではさまざまなタイプの入試を行う傾向が見られます。公立中高一貫校の入試は、教科横断型・総合型です。

(1)教科型

基本形は、国算理社の4教科ですが、学校によって、国算の2教科、国語または算数のみの1教科、算数と理科といった変則2教科などもあります。小学校で教科書の内容を勉強しているだけでは対処できないような発展的な出題が多く、学校の難度が上がるほどこの傾向が顕著になります。小学校の勉強と中学受験勉強は別物と考え、独自のノウハウを持つ進学塾や家庭教師に指導してもらった方が良いでしょう。子どもたちの伸びしろは大きく、時間をかけて丁寧に学習することで、発展的な問題を解くことができるようになります。尻込みせずに、きちんと準備をするようにしましょう。

(2)教科横断型・総合型

複数の教科の要素が含まれた資料や文章、実験結果などを読み、設問に解答していくタイプ。基本的に細かい知識は不要で、問題に含まれる情報やポイントを見抜き、それを自分でしっかり説明できる力が必要になります。普段から言いたいことや考えたことを文章にまとめる練習を重ねていると有利でしょう。難関校や上位校では、なかなか高度な内容の出題が多く見られます。問題の中に解くための情報が含まれているとはいえ、一から読み解いていると時間が足りなくなるケースもあるので、一般的な中学受験勉強をしっかりこなして知識を増やしておくことが必須です。

(3)得意なことを生かすタイプ

何か突出して得意なことを生かすタイプの入試で、英語、数学、理科などの1科目入試、プレゼンやパフォーマンス型の入試などがあります。

英語入試に関しては、難関・上位校の出題はかなりハイレベルなので、帰国生並みの英語力がないと合格は難しくなります。比較的入りやすい学校は、英語が好きで英会話スクールに行っているようなお子さんを受験生の中心として考えています。今まで身につけてきた英語力を発揮すれば合格の可能性も高くなります。

算数、理科などの1科目入試の問題は、かなり高度な内容も見られます。その科目が大好きで大人顔負けの知識や着眼点(例えば、算数の図形の問題で、補助線に気が付いたり、向きを自由に変えて取り組めるような頭の柔らかさ)を持っているようなお子さんであれば、どんどん挑戦してください。

プレゼン、パフォーマンス型の入試では、初対面の採点担当の先生に、自分の経験や今後の目標を説明します。面接というより口頭試問といった意味合いが強く、難しい面もありますが、表現することが得意なお子さんであれば、練習を重ねてアピール力を伸ばし、挑戦してください。

合格最低点

中学入試の問題は高度な出題も多いのですが、決して満点を取る必要はありません。私立中学では合格のボーダーラインの得点が50〜60%程度となっていることが多く、比較的簡単で得点しやすい「必ず取る問題」を落とさないようにすれば、合格への道が開けてきます。一方、国立や公立中高一貫校の合格最低点は公表されないケースが多いのですが、80%程度の得点が求められることもあります。

過去問の入手法

ほとんどの学校の過去問は、5年間分ほどがセットになって大きい書店の学習参考書コーナーで販売されています。学校で販売しているところも多くあります。

保護者の面接の重要性

以前に比べて、面接そのものを実施する学校が大幅に減っています。ただ、伝統ある私立女子校の中には、保護者同伴面接や受験生・保護者別々の面接を行っている学校もあります。面接があるからといって、あまり神経質になる必要はありません。服装も(私立小学校入試ではフォーマルな装いが目立ちますが、中学入試ではそんな必要はありません)失礼のない程度の服装で十分です。受験生本人も着慣れた服装で十分で、ジーパンでも問題はありません。受け答えも率直に質問者に向かってきちんと答えられれば大丈夫です。ただし、保護者同伴面接で、保護者が受験生の発言を遮ったり否定する、あるいは受験した学校のことをあまりに知らないと評価は低くなりがちといわれます。

競争倍率について

一部の人気校では5倍、10倍といった数字も見られますが、実質的には高くても3倍程度までの学校が多くなっています。私立中学では、合格しても入学しない受験生の数を見越して募集定員より多めに合格者を出すことがよく行われます。一方で国立や公立中高一貫校では、合格者が入学しない場合は不合格者から繰り上げることが多くなっています。

入学願書(入手〜出願)

秋になると、各中学校が入学願書を配布します。国立や公立中高一貫校は無料の場合が多く、私立中学は以前は500円程度の学校が多かったのですが、最近では無料にするところが多くなっています。入学願書を入手したら必要事項を記入し、受付期間中に受験料とともに学校に提出します。受理されると受験票が交付され、入試当日はその受験票を持参します。難関校や人気校では出願を書留による郵送で行うケースもあり、この場合は受験票が返送されてきます。また、最近増えてきたのは手軽な「インターネット出願」です。名前の通りインターネット上で出願を受け付ける方法で、夜間も土日祝も、さらに入試日の直前まで申し込みができるのが特徴です。

※インターネット出願については、スクールポット中学受験版で詳しく紹介していますので、ご参照ください。

受験料

受験料は、国立で5,000円、公立中高一貫校で2,200円、私立中学で20,000〜30,000円程度が標準です。少数ですが1万円台もあります。複数回入試を行う私立中学では2回以上申し込んだ受験生に対し、割引を行うケースもあります。

入学願書以外の必要書類

最近では少数派ですが、小学校校長の公印を押した調査書が必要となる学校があります。また、調査書の代わりに通知表のコピーが必要な学校もあります。他、指定医療機関での健康診断書が求められる学校もあります。千葉県・茨城県の私立中学の推薦入試では推薦書が必要となり、帰国子女の場合は保護者の海外赴任証明や海外の小学校の在籍証明が必要です。

遠い学校も受験できるか

国立中学は通学区域を指定していて、学区外からは出願ができません。公立中高一貫校は市区や都県在住が出願資格となっていて、やはり地域外からは出願できません。一方で私立中学では、通学区域は設定されていません。遠距離や長時間通学を容認する学校もありますが、通学時間の目安が決まっていたり、遠距離の場合に事前面接が行われたり、有料の特急電車の利用を禁じている学校はあります。一般的に、難関校や有名校ほど遠くから通う生徒が多い傾向があります。

合格後に必要な手続き

合格したら、合格発表の場で合格証と入学手続書類を受け取ります。最近は多くの学校がインターネットで合格発表を行いますから、この場合は合格を確認したうえで、学校に合格証や入学手続書類を受け取りに行くことになります。

入学手続き書類に必要事項を記入したら、私立中学であれば期日までに数十万円ほどの手続時納入金を添えて手続きします。以前はこの期日が発表の翌日に設定されていることが一般的でしたが、最近は「より受けやすく」ということで数日〜数週間先になっている学校も増えてきました。現金を持って出かけるのは不用心ですから、銀行等で振り込んで振込記録を提出する学校も多く、インターネットで振り込みができる学校も増えています。なお、国立や公立中高一貫校では、手続時納入金は不要です。

また、国立、公立中高一貫校、私立の全ての学校の入学手続書類(または出願書類)には、地元教育委員会に地元の公立中学に進学しない旨を届ける「就学免除届け」が入っています。期日までに居住地の教育委員会に提出してください。

私立中学の費用

私立中学に通うための費用は学校によって異なりますので、一概には言えません。筆者の感覚として、初年度納入金(中学1年生の1年間にかかる学費や積立金、教材費などの合計)は、少なくとも70〜80万円ほど必要になるケースが多いようです。もちろん、中にはもっと高い学校もあります。2年次、3年次には、初年度納入金の5〜7割程度を納入する学校が多いようです。

お子さんに合う学校の見つけ方

お子さんに合う学校は、保護者の方と本人でじっくりと選ぶものです。選ぶポイントは、教育方針、カリキュラム、進学実績、校風、環境、施設、部活動、通学時間、学費などさまざまな要素があります。

何よりも必要なことは、学校説明会や学園祭見学などを活用して、実際に学校を見に行くことです。学校の雰囲気、教員・在校生の様子などは、実際に足を運ばないとわかりません。在校生の姿を見て、保護者の方は「何年後かにうちの子がこういう風になっていたらいいな」、本人は「ああいう中学生になりたいな」と思える学校を選んでいただきたいと思います。また、説明会で納得のいく説明があるか、教員は熱心か、学校の雰囲気に馴染めそうかどうかも、現場でぜひ確認してください。

筆者は、中高一貫校を卒業した後の何よりの宝は、一生ものの友人だと感じています。人生の一番多感な時期をともに過ごし、損得の感情なしに付き合い、勉強や部活で苦楽をともにした友人は、大人になっても腹を割って話せる大切な仲間となります。また、同じ学校を選んだということで各家庭の考え方にも共通項が多く、深い付き合いになりやすい面もあります。先述したような条件を踏まえて学校選びをするのはもちろん大切ですが、大前提として、お子さんが生涯の友人に出会えるような、お子さんの雰囲気に合う学校を選びたいものです。

難関校に合格するために必要な力

時間内に問題を解く力

難関校の入試問題は高度で、合格するためには、高度な問題に正解する力が必要になります。しかし、いくら難関校でも全ての難問を解かなければ合格できないわけでありません。

①  解ける問題と解けない問題を見極める力
②  解ける問題を確実に解く力
③  基本問題は確実に得点する力

の3つの力が大切になります。

また、いくら高度な問題を解く力があっても、時間内に半分しか進まないのでは合格にたどり着けません。時間内で高度な問題に対処するためには、①の見極める力を鍛えたり、問題や資料を効率よく読み解く力を身につける必要があります。こうした力は短期間で伸びるものではなく、日常的なトレーニングで少しずつ身につけるものです。入試まで時間があるうちに、日々少しずつ練習しましょう。

課題点を見つけ出す力

難関校の入試問題で近年増えているのは、提示された資料(図や条件の記述、実験・観察の様子、統計データや地図、登場人物の発言)などの状況を見極めたり、性質を見抜いて、正しい着眼点を持って解答を導き出すような問題です。着眼点が正しければ正解できますが、着眼点を見落とすと正解にたどり着けません。

こうした問題に対処するには、日頃から広い視野を持っていろいろなものに接することが大切です。博物館に行って見識を広める、図書館で興味のあることを調べる、体験学習のプログラムに参加するなどといったさまざまな経験を経て視野が広がり、「どこに着眼したら良いか」という課題発見能力が鍛えられます。受験直前になってからこういった経験を積むことは難しいので、時間に余裕がある4年生くらいまでに、できるだけさまざまなチャレンジをさせてあげたいものです。5年生くらいからは本格的な受験勉強が始まりますが、机に向かう勉強だけではなく、日頃からテレビや新聞を見てニュースに興味を持ったり、たまには博物館や体験講座に出かけたりといった柔軟性を持ちたいものです。

今の時代の難関校入試で求められているのは、ひたすら長時間机に向かって知識を詰め込み、試験当日にその知識を再現して解答用紙を埋めるような再現能力ではありません。細かい知識は忘れてしまってもまた身につけることができますが、問題を解く着眼点については、日頃の経験がものをいうのです。

表現する力

近年増えてきているのは、解答に至った過程を説明したり、自分の考えをまとめて書かせる問題です。ところがかなり力があるお子さんでも、説明したり考えをまとめて書くことを苦手にしているケースはあり、筆者が塾現場で授業をした中でも「難しい問題は解けてもどうやって解いたかは説明できない」「良い答えを書いているのにどうしてそう考えたのかが説明できない」というお子さんをずいぶん見受けました。

このような、説明したり表現する力は、日常生活を通したトレーニングで少しずつ身につけておきたいものです。「どこへ行きたい」「あれが欲しい」「こうしたい」という会話の中で、お子さんがその理由や根拠を考え、説明できるように導いていくと良いでしょう。口頭で説明ができるようになったら、次はそれを文章や図などにまとめる練習をします。これは練習量がものをいいます。低学年の頃から日頃の出来事を文章で表現したり、調べ学習の結果を簡単なレポートにまとめたりする練習を積んでおくと良いでしょう。

積極性・探究心・自主性

難関校に共通する特徴として、「手取り足取りの学習指導はあまり行わない」「校則があまり細かいところまでは規定されていない」「勉強以外のクラブ活動や課外活動が盛ん」といったことが挙げられます。これは、学校が生徒に「積極性・探究心・自主性」を求めており、実際にそういう力を備えた生徒が入学しているためでしょう。入試問題も、塾などで習ったことをそのまま書くのではなく、「積極性・探究心・自主性」が旺盛でないとクリアできないような出題が多くなっています。

こうした力は、一朝一夕の訓練で身につくものではなく、中学入試を迎えるまでの経験や成長過程の影響が大きいものです。ご家庭において、何事でも積極的に挑戦させ、目標をクリアしたら精一杯褒めること、好きなこと・夢中になれることにとことん取り組むこと、普段から身の回りのことや自分で言い出したことは責任を持ってやり遂げることで、積極性・探究心・自主性が育まれます。

保護者の方へ

難関校を目指すご家庭では、お子さんの受験に一生懸命になりがちですが、保護者の方が入れ込みすぎて気持ちの余裕がなくなると、お子さんが辛い思いをしてしまいます。たまにはご友人と出かけて一息つくような時間を設け、ご自身の生活も大事になさってください。お子さんの人生ですから、「本人の希望で受験する」「常に親は一歩引いて見守る」くらいの気持ちでいていただければと思います。

これまで多くの受験生を見てきましたが、保護者の方が何もかも管理して勉強だけに集中してきたお子さんよりも、自分でメリハリをつけてスケジュール管理を行い勉強以外のお手伝いなどもこなしているお子さんの方が、難関校に合格するケースが多いと感じます。積極性、自主性、自己管理力など、バランスよくトータルの力を身につけることが大切です。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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