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上級者向け 受験マニアックス

2018年9月号 2030年、フレッシュマンとして社会に羽ばたく君へ

2030年。今の小学5・6年生の多くは、大学を卒業して社会人1・2年目を迎えていることでしょう。
少し未来の世界で、みなさんが身の回りのいろいろな場で、主人公として活躍するために大切なことを考えてみましょう。

2030年の暮らし

2030年の世界では、科学技術が今よりずっと進歩していることでしょう。AIと呼ばれる人工知能が毎日の生活に活用されていて、家の照明、エアコン、お風呂などは自動でいつも快適にコントロールされているでしょう。一人暮らしをしている人もいると思いますが、AIが献立を考えてくれて、便利な調理器具が、何時に家に帰っても、手軽で美味しい料理を用意してくれるようになるでしょう。健康づくりでもAIが活躍して、例えば腕時計が体調のセンサーにもなっていて、カゼをひきそうな時に注意するように教えてくれたり、運動や食事のアドバイスをしてもらえるようになるかもしれません。

外出も、一般道路も含めたクルマの完全自動運転はちょっと難しいかもしれませんが、高速道路では、入り口で目的地を言うだけで、目的の出口まで、寝ながらでもゲームをしながらでも連れて行ってくれるようになることも、夢ではありません。

また、「男だから」「女だから」といった考え方が減って、男女ともが社会の第一線で活躍できるようになるとともに、日本で働く外国人はさらに増えて、会社などの仕事の場や街にいろいろな国の人がいるのが当たり前になるでしょう。みなさんのお隣さんも外国出身の人になっているかもしれません。いろいろな文化や習慣、ものの考え方を持った人たちと日々いろいろなコミュニケーションを取ることで、外国人の友人も増えるでしょうし、仕事の場だけでなく、休日にはこうした人たちと一緒にレジャーを楽しむことも珍しくなくなります。あなたの「世界」は、今の大学を卒業したばかりの人々や、あなたのお父さん、お母さんがその年齢だった時よりも、ずっと広がっているでしょう。

大きく変わる常識やマナー

みなさんのひいおじいさん・ひいおばあさんくらいの時代は、社会の変化が今よりもずっとゆっくりでした。第二次世界大戦で日本が負けて新しい世の中になったことで、社会の仕組みは大きく変わりましたが、大人になるまでに身につけた知識、常識、マナー、人との付き合い方などは、そのまま一生役に立った時代でした。

みなさんのおじいさん・おばあさんの時代は、高度経済成長といって、日本の産業が大きく伸びた時代です。家庭電化製品が普及し、生活は大きく変わりましたが、やはり、大人になるまでに身につけた知識、常識、マナー、人との付き合い方などは、あまり変えずに暮らすことができた時代でした。

そして、コンピューターや情報・通信の技術が進歩して、国と国の境を越えて人々の交流が盛んになってくると、社会の変化はさらにスピードを増してきました。知識や常識、マナー、人との付き合い方などが、それまでのものとはかなり変わった時代になってきました。みなさんのお父さん・お母さんが活躍している現代です。例えば、お父さん・お母さんが子どもの頃には携帯電話やスマホがまだ普及していませんでした。待ち合わせに遅れそうでも連絡ができなかったり、外出先でパパッと調べものをすることもありませんでした。YouTubeやLINEなどもなく、SNSで世界中の人とつながることもありませんでした。でも今はそれができます。お父さん・お母さんたちは次々と登場する新しいものを取り入れ、大人になっていったのです。

そしてみなさんが大人になった2030年には、世の中はもっと変わっていくでしょう。例えば、スマートフォンの使い方、公共の場でのルール、SNSの楽しみ方、家族や友だちとの連絡の取り方などもかなり変わっていくのではないでしょうか。新しい技術もどんどん生まれ、みなさんが仕事をするときはロボットが相棒として手伝ってくれる、そんな仕事のやり方になっているかもしれません。

大きく変わる時代には、新しいことを積極的に身につけ、利用していかないと社会の変化に乗り遅れてしまいます。社会の変化というと大げさに感じるかもしれませんね。「流行」といってもいいかもしれません。ロボットを相棒として、仕事を効率的にこなしていくことで、主人公として活躍できる場も広がっていくでしょう。

2030年の仕事

AIの利用

テレビや新聞、ネット記事などで、「10年後に消える仕事」というトピックスを目にしたことはありませんか? AIの進歩により、今ある職業の何割かは機械がするようになると言われています。例えば、スーパーマーケットのレジ係、ホテルなどの受付、電話オペレーターなどです。AIができることはAIに任せ、人間は機械にはできない仕事、つまり、発想する力や工夫する力が必要な仕事をする人が多くなるでしょう。

そして、どんな仕事においても、AIをうまく使いこなすことで、「さすがプロ!」といわれるような仕事ができるようになります。AIに情報を集め、整理したり、調べ物をさせて、人間はその結果を利用して、もっと発想や工夫が必要な仕事をするわけです。こうした仕事のやり方で効率が上がり、空いた時間は趣味など好きなことを楽しめるようになるでしょう。自分なりの考えや工夫をもって、やりがいを感じながら生き生きと働き、プライベートも充実させられるというわけです。働く時間や働く場所ももっと自由になり、「メリハリをつけて働いて1カ月のバカンスを取る」「会社には必要な時だけ顔を出し、自宅やお気に入りのカフェで仕事をする」といった働き方も広まるかもしれません。朝早くから夜遅くまで会社にいたり、目の前の仕事を機械的にただひたすらこなす、といった働き方はなくなっていくでしょう。

いろいろな国の人たちと協力する

2030年の世界では、いろいろな国の人たちと一緒に仕事をすることが当たり前になります。自分とは違う習慣や考え方を持っている人たちと話し合いをして、さまざまなことを決めていくのです。昔から「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、一人では解決できないことも、何人かの考えを合わせることで乗り越えられます。それが、自分にはない考え方を持った、世界各国出身の仕事仲間ならなおさら、みなさんの活躍の場は広がっていきます。ですから、仕事をする上では、自分の意見を伝える力、人の意見を聞く力、お互いに協力するコミュニケーションの力などの高い人が、仕事の場や街での暮らしなど、さまざまな場で主人公になっていくでしょう。

今小学生の皆さんは、自分と趣味が同じだったり気が合う「仲良しのグループ」と過ごすことが多いかと思います。仲が良い友だちを大切にすることはとても大切ですが、何事をするにもそのグループ内だけで済ませるのではなく、いろいろな個性を持つ同級生、上級生や下級生、先生、地域の人などと一緒に活動して、いろいろな習慣や考え方があることを知っていただけたらと思います。

年齢よりも実力

昔の日本の職場には、「年功序列」という考え方がありました(今も一部の仕事の場には残っています)。「先輩の方がえらい」「出世は入社年の順番」「後輩は先輩の言うことにぜったい従うべき」といったものです。しかしこれは古い考え方で、これからの時代には合っていません。社会の変化が大きくなれば、今までの考え方ややり方でうまくいくとは限らないからです。2030年のみなさんの仕事の場にも、「長く会社にいる人の方がえらい」「入社したばかりなのに勝手な意見を言うな」などという人がいるかもしれません。しかし、仕事で大切なのは年齢ではなく実力です。年上の人たちの経験や意見は大切ですが、こうした人たちに遠慮して消極的にならずに、若いエネルギーや感性を生かし、自分の意見をしっかりと発信することができる人が、主人公になっていくのです。

転職するのが当たり前?

これから先、日本人の寿命はさらに伸び、みなさんの世代は100歳以上まで生きることが普通になるかもしれません。70歳、80歳でも元気で、仕事に、趣味に、レジャーに、積極的に取り組んでいく時代になるでしょう。そうなると、最初に就職した会社でずっと同じ仕事をする、という働き方は少なくなるかもしれません。「次はこういうことに挑戦したい」「今の実力があればあの仕事ができる」などと考え、何回も会社を変えて、自分の実力をどんどん伸ばしていくようになるのです。中には、「働いてから学びたいことができて、大学や専門学校に戻って勉強しなおしてから、それを生かした仕事につく」「大人になってから海外留学をする」「自分で会社をつくって新しい仕事を始める」という人もいるかもしれません。働き方は、現在よりもっと自由になるのです。だからこそ、常に成長しようという気持ちを持つこと、自分でしっかり考えて積極的に行動できる人が主人公になっていくわけです。

2030年の世界で主人公となるため、今やっておきたいこと

夢中になれることを持つ

中学・高校時代には、一人で時間を忘れて夢中になって取り組めることを持ち、そういう時間をつくるようにしましょう。絵を描くことでも、読書でも、トレーニングでも、料理でも、楽器の練習でも良いでしょう。何かに夢中になって自分なりにいろいろと考えた経験が、めまぐるしく変わる社会で新しいことを身につけていく原動力になります。

将来を思い描ける環境を

2030年の世界で、主人公となるために大切な学年は高校2年生でしょう。それまでに、興味のあること、夢中になれることを見つけ、「将来こういう道に進みたい」「そのために大学でこんな勉強をしたい」ということを、簡単で良いので考えておきましょう。中高一貫校を選ぶ際には、OB・OG(卒業生)とのつながりが強く、OB・OGが学校に来て話をしてくれたり、職場訪問をする機会が設けられている学校を選ぶと良いでしょう。先輩たちの成功談や失敗談を聞いたり、かっこよく活躍する姿を目にすることで、自分の将来像が描きやすくなります。

友だちと学び合う

一人でコツコツと勉強することは大切ですが、友だちと一緒に学ぶこともとても大切です。わからないことを教えあったり、力を合わせて正解にたどり着くことで、みなさんのコミュニケーション能力や実力は上がっていきます。また、他の人にわかりやすく説明をすることは、自分の理解を深める上でとても役に立ちます。ぜひ、友だちと協力してあれこれ話しながら学ぶ時間をつくるようにしてください。

言いたいことは言う

2030年に活躍する主人公になるためには、自分の意見をはっきり言い、違うと思ったらそう伝える習慣をつけることが大切です。友だちとケンカやトラブルになることもあるかもしれませんが、そうなったら大変でもしっかり話し合い、解決の方法を探しましょう。話し合いの後はお互いをより理解でき、前よりも友情や信頼が深まることも多いでしょう。もちろん、自分が言うだけでなく、他の人の考えもしっかり聞き、深く考えることが必要です。

保護者の方には、「生意気でいい」「出る杭になっていい」という気持ちを持っていただければと思います。子どもの頃からしっかりと自己主張をすることが、お子さんのアピール能力、コミュニケーション能力を育むのです。「生意気や屁理屈を言わないで」と、抑えつけてしまいがちですが、それはお子さんの「伸びしろ」をつぶしてしまいかねません。その意味で注意したいのは、「大人しくて勉強はできるけれど、あまり積極的にみんなの前で発言しない子」「自分の意見を言うのが苦手な子」です。社会に出た時に、周りの人の自己アピールに圧倒されてしまったり、就職の時に筆記試験は通っても面接で落とされてしまう可能性もあります。すでに現在でも、難関大学出身で成績もよいのに就職で苦労するのは、こうしたタイプの学生になりつつあります。

特に男の子の場合、10代になるとだんだん口数が少なくなり、黙々と過ごす子も出てきます。「子どもには子どもの世界がある」「反抗期だから仕方がない」などと考えがちですが、自己主張しないことと自分の世界に没頭したり、反抗期になっていることとは違います。いつもおしゃべりをしていればよい、ということではなく、自己主張するべき時にはしっかり主張する、ということです。ですから、お子さんには「言いたいことははっきり言おうね」「違うと思ったら我慢しないで言おう」と、普段から伝えてあげてください。また、もしお子さんの意見が明らかに間違っていたら、一方的に「ダメ」というのではなく、どうしてダメなのか理由をしっかり説明して、納得するまで話し合うようにしてください。

進学先選び

進学先を選ぶときには、ここまでに説明してきたことを実現できるような学校を選ぶようにしましょう。つまり、探究活動に力を入れていて、OB・OGとのつながりがあり、友だちと協力して学べる環境があり、自分の意見を言うことを後押ししてくれるような学校です。

進化する世界で、自分も進化を続けよう

2030年。今よりも科学技術が進歩し、働き方が自由になり、みなさんができることは増えているでしょう。便利で自由な時代を楽しむためには、自分の考えをしっかり持ちつつ、周りの人と協力をすること、社会の変化に対応するため自分も挑戦や成長を続けることが大切です。残念な話ですが、日本は他の国と比べて、大人になってから勉強をする人が少ないと言われています。これからの時代に主人公となって活躍する人には、大人になっても積極的に学び、新しい知識や能力を身につけていく習慣を持つことが必要です。

これから中学生になるみなさんが、充実した学生時代を過ごし、社会に出て時代の主人公として楽しく活躍されることを願っています。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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