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上級者向け 受験マニアックス

2018年5月号 2018年度中学入試の出題傾向

今回の受験マニアックスでは、2018年度中学入試の出題傾向を教科毎にご紹介し、来年度に向けての対策などをご紹介します。

2018年首都圏入試を振り返る

国語

中学受験生の保護者の方は国語について、「小説・随筆・評論などの文学的な文章を読解するもの」という概念をお持ちかもしれません。しかし最近では、「コミュニケーションツールとしての日本語を幅広く学ぶもの」という方向にシフトしていて、2018年度の入試でもジャンルを問わない多様な出題が見られました。例えば開成ではグラフが含まれる問題が出され、話題になりました。他にも、世論調査、往復ハガキといった一風変わった題材も見られます。今後も多様な出題が続くと考えられますので、日頃からジャンル・形式を問わず、さまざまな文章に触れるようにしていただきたいと思います。

また、出題テーマも多様化していて、サラ金、離婚、家事放棄といった、現代社会が抱える問題を取り上げた文章も見られました。「子どもには少し重いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、学校側は「12歳なりに社会で起きていることに関心を持ってほしい」と考えています。ご家庭では、「子どもだから」といって社会問題からシャットアウトすることなく、日頃からニュースを見たり新聞を読んだりさせて、家族でフランクに話ができる環境を作りたいものです。

続いて形式的な傾向です。選択問題では、選択肢の文章が長くなっている傾向が見られます。中には四つの選択肢がそれぞれ100文字程度あるような出題もあり、全てに目を通すだけで時間がかかりがちです。また、「正しいものを全て選びなさい」という複数選択型問題も増えていて、選択問題の難度は上がっています。日頃からこういった問題に対処する練習を重ねておく必要があります。

記述問題は相変わらず増加傾向ですが、正解が1パターンではなく、自分の経験や考えを交えて答えさせるような問題が増えています。また、細かい体裁にはあまりこだわらなくなっていて、例えば「●文字以内で答えなさい」ではなく「●文字程度で答えなさい」とするなど、形式よりも内容を重視するようになっています。日頃から、自分なりの考えを文章で表現する練習を積んでおきましょう。

算数

出題分野の傾向を見ると、数の規則性が増えていました。例えば、「0.142857142857142857……の小数点以下164桁目の数字は何でしょう?」と問うような問題です。142857という6個の数字が繰り返されていることに気がつけば、164を6で割り、余りは2だから二つ目の「4」と答えることができます。学校側が洞察力を求めているのでしょう(実際の出題はこんなにわかりやすくはありませんが…)。また、難関校や上位校では、今年も複雑な平面図形や立体図形を組み合わせて長さや面積を求める問題、立体の切断面についての問題などが見られました。こちらは発想の柔らかさを求めているのでしょう。一方で減っているのは、つるかめ算、旅人算、植木算といった古典的な特殊算です。昔からの定番で、解き方がすでに開拓されているためでしょう。

出題のパターンは大きく二つに分かれています。一つ目は、途中経過は見ずに正解かどうかだけを採点するパターン。難関校や上位校でよく見られ、途中の計算一つを間違えただけで得点はゼロになってしまいます。基本的な計算はできることが大前提なので、毎日計算練習を重ねて計算力をつけることが大切です。二つ目は、解答用紙に途中経過も書かせて、考え方や計算が合っていれば部分点を少しずつ加算するパターン。中堅校で多く見られます。考え方や途中の計算を評価してくれるので、最後の解に辿りつかなくても諦めずに取り組むことが必要です。また、算数の問題を解くときに、途中経過をきちんと整理して書き出す練習をしておきましょう。

算数の平均点は大体の学校でそれほど高くなく、合格者の平均点が50点以下という学校もたくさんあります。従って、最初から「全部の問題を解こう」「満点を目指そう」などとは考えず、「できない部分があってもいい」「解けるところは絶対に落とさないように見直しをする」といった考えで挑むと良いでしょう。

理科

全体的な傾向としては、基礎知識だけを問うのではなく、思考力や洞察力を見る出題が増えています。グラフや図などで与えられた様々なデータをしっかり読み取り、基礎知識を生かして考えを発展させて解答するといったものです。大前提として基礎知識をしっかりと身につけるとともに、色々なデータを使った問題を解いて練習を積むと良いでしょう。また、入浴剤や野菜といった身近なものがテーマになることもあるので、日頃から身の周りの事象に関心を持ち「どうしてこうなるんだろう」と考える習慣を持つようにしましょう。

出題分野では、物理・化学・生物・地学の4つがまんべんなく出題されています。中でも物理は増加傾向で、電気と力学がよく見られます。電気は時代の変化に伴って出題内容がかなり変わってきており、最近はLED、半導体、太陽電池、コンデンサなどがよく出題されます。しっかりと理解しておくようにしましょう。保護者の皆さんが子ども時代にはなかった内容です。力学問題では、趣向を凝らした複雑な出題が多く見られます。とにかくたくさんの問題を解き、慣れておくことが必要です。

化学では、基本的な化学反応を知っているだけではなく、与えられたデータからこの条件の場合はどうなるか答えるといった出題がみられます。また、ガスバーナーやアルコールランプといった基本的な実験器具の使い方についての出題も例年出ていますので、しっかりと理解するようにしてください。

生物でも、実験や観察データが与えられて、そこから考察して解答する出題が多くみられます。例えば、植物に光をあてる時間と育ち方、カエルの孵化と気温の関係などです。一時期は、あまり身近ではない植物が出てくるなど奇をてらった問題もありましたが、最近は一般的な動物や植物をテーマにした出題が主となりました。

地学分野でよく出題されているのは、太陽と月と地球の関係、火山や地震といったプレートテクトニクス、地層に関する問題などです。こちらもデータを読む問題が増えています。原理をしっかりと理解しておくようにしましょう。

理科では、最近話題になったことを取り上げた時事問題が出題されることもあります。特に天体分野では、JAXAや日本人宇宙飛行士の活躍などがあると、よく出題に反映されます。他にも、異常気象、生物の異常発生やヒアリなどの外来生物、ノーベル賞受賞などがよく出題されます。普段からニュースに関心を持ち、出題されそうな事柄はチェックしておくようにしてください。

社会

全体的な傾向として、地名・人名・用語などを問う単純な知識問題の割合は減り、グラフや表などの資料を提示して、そこから読み取れることや、読み取った結果から考えて答える問題が増えています。細かい知識よりも、資料を読み取り考察する力が求められています。資料のタイプで圧倒的に多いのは統計資料で、その他にも、地形図、写真、絵画、漫画、雑誌などさまざまな種類が見られます。出題テーマも多様化していて、香川県の観光地と観光客の数、在日アメリカ人が多い都道府県、ハワイやブラジルの日系移民など、小学生には馴染みが薄いテーマも出題されています。こうしたことを知識のみで覚えて答えようとしても難しいですから、資料を読み取る力が求められるわけです。記述問題では、原因や理由を考えさせる出題が増えています。

また、分野を融合した問題も増えています。例えば、地図を見てある地点で起きた歴史上の出来事について答えるといった、地理と歴史を融合させた問題などです。地理は地理、歴史は歴史という縦割り式の勉強をしているとなかなか対応できないので、分野融合型の問題を色々と解いて練習を積む必要があるでしょう。

社会では時事問題が多く出題されますが、最近の傾向として、政治色が強かったり子どもには重たいと感じられるテーマが増えています。例えば、ロヒンギャ、イギリスのEU離脱、ふるさと納税の問題、天皇問題、国連の核兵器禁止条約等々です。こういった社会の動きと子どもを隔絶することなく、日頃からニュースを見たり新聞を読む習慣をつけて社会問題に関心を持たせ、ご家庭内で話す機会を設けたいものです。次年度に向けては、憲法改正が取り上げられる可能性が高いので、第9条や前文の内容について理解を深めておくと良いでしょう。また、歴史分野は時事問題とは縁遠いと思われがちですが、遺跡に関する新たな発見がされたり、歴史的文書が見つかったりすると、入試問題に反映されることもあります。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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