上級者向け 受験マニアックス
2014年6月号 学校説明会の見方・受け方
この記事は2014年度の情報です。最新の情報は2017年8月号をご覧ください。
春から秋にかけて中学受験生を対象に開かれる「学校説明会」。子どもに合う学校を見極めるポイントを紹介します。
結果の数字しか言わないのは時代遅れ
国公立大に何名、早慶上智に何パーセント……。私立中高一貫校の最大の特徴である大学合格実績ですが、結果の数値だけを前面に打ち出したPRは時代遅れになりつつあります。
最新トレンドは①グローバル化対応(英語力) ②理系対応 を上手にPRする学校です。
①グローバル化対応 「英語はツール」といえる力を育てようとしているか
理系進学と文系進学とで目指す「英語力」が変わってきます。理系の場合、大学に進学して学部レベルから実験レポートを英語で発表できる、そんな力を育てようとしているかを見てください。文系の場合は、「読む・聞く・書く・話す」の4技能を今までとは異なるアプローチで伸ばそうとしているか。スコアや資格以外にも「到達させたい力」を語れるかを見ましょう。
文系・理系、どちらに進むにしても「英語を学ぶ」のではなく「英語で何をするか」を生徒に考えさせるような姿勢が明確になっていれば、英語の実践力を育てようとする一歩先を行く学校といえます。
②理系対応 女子校は3分の1以上を目安に
女子校の「理系進学に力を入れている」学校をみるときに、栄養学や薬学などいわゆる「手に職系」だけをPRしている学校は、やはりトレンドに乗り遅れているといえるでしょう。これからはあらゆる分野の理系進学を選択させる学校が注目を集めます。
目安として生徒の3分の1以上が理系志望の女子校は、生徒の希望を叶えられる体制が整っている「信頼できる学校」とみていいでしょう。理系志望が3分の1以下の場合、生徒が理系に進みたくてもできない要因、つまり「科目数が不足している」「補習体制が十分でない」などあるかもしれません。今後のカリキュラムを変更して対応していくのかを確認する必要があります。
男子校・共学校の場合は理系進学について不安材料はそれほどありませんが、男の子を持つ保護者は「国語力」「表現力」をつけさせるプログラムを持っているかをきっちり確認してください。朝読書や多読以外にも、体系化された指導内容を持っていればOKです。
成長予測を語れる学校に注目
冒頭で「数字しか言わない学校はダメ」と書きましたが、逆に、数値で表現してほしい点もあります。それは学校の「成長予測」です。たとえば生徒の偏差値の伸びと、その先何年間かの見通し、大学合格者数の予測値といったようなものです。
じつは学校は、生徒の成績や実力テストの結果を毎年記録して「高校3年までにどのくらい伸びるか」を予測するデータを蓄積しています。コース編成やカリキュラムの進度を考えるためです。保護者向けの学校説明会では数値予測はあまり語られませんが、学校の将来性を知るうえでは大切です。
「こちらの学校は○○というプログラムがありますが、将来、何割ぐらいの生徒が、このような力を身につけて社会で活かせると予測されますか?」こうした質問の仕方が得意なのはお父さんです。ぜひ一緒に参加したり、他のお父さんの質問を参考にしたりして、お母さんも質問力を高めていってください。
子どもに"似合う"学校か
そのほかに学校を見るポイントをいくつかあげます。
- 探究型の学習プログラムは必須
- 学習に遅れがちな生徒のために補習や講習があるか
- 授業に「物足りなさ」を感じる優秀な生徒に対する補習や講習があるか
- 入学後の宿泊行事が「友達づくり」に加えて「自分で勉強する力」を育てようとしているか
毎年、お伝えしていることですが、学校説明会では「インプレッション(印象)」を大切にしてほしいと思います。在校生を見て「入学して2~3年後にはあんな感じの生徒になる。その姿が自分の子どもに"似合うかどうか"」を感じとってほしいのです。そこでフィーリングが合う学校をいくつか見つけてから、どのような教育がおこなわれているかを詳しくみていっても遅くはないのです。