上級者向け 受験マニアックス
2022年5月号 合同相談会・説明会に行こう

写真提供:株式会社リンク
中学受験を考え始めたとき、志望校はどのように選べばよいのでしょうか。今回の受験マニアックスでは、志望校選びに役立てたい合同相談会・説明会について、内容や活用法をご紹介します。
合同相談会・説明会とは
合同相談会・説明会では、多くの学校が一同に会して、各ブースで学校の説明や質問対応を行います。最近は体験イベント、生徒によるプレゼンテーション、ステージ発表などが組み合わされるものも増えてきました。多くの学校の情報を一度に得られる機会ですので、志望校選びの第一歩として参加するご家庭が多くなっています。
中学受験生向けの合同相談会・説明会は、春から夏にかけて多く開催され、神奈川県の全私立中学が集結する大規模なもの、埼玉西部の私立中学が集まるもの、都内の女子校が集まるものなど、さまざまなタイプがあります。
現在、コロナ禍の影響もあり、合同相談会・説明会はほとんどが完全予約制となっています。60分~120分単位で区切られており、「午前●時の部」「午後●時の部」といったような形で開催されています。埼玉県などの一部では、時間ではなく学校ごとに予約するケースもあります。コロナ禍により本格化したオンライン合同相談会などでも、個別の質疑応答に対応している学校もありますが、あくまでも対面での合同相談会・説明会の前段階として捉えていただきたいと思います。相談する学校を絞るための判断材料として役立たてていただき、実際に志望校に位置付けるかどうかは、やはり対面で相談して決めていただきたいと思います。
開催情報は、「スクールポット中学版」の「合同相談会情報」でご紹介しています。ぜひご活用ください。
志望校の選び方
参加校が多い合同相談会・説明会の場合、どの学校に話を聞くか迷う方も多くいらっしゃるかと思います。そういった場合、選ぶ指標として最初にご提案したいのが「通学時間」です。自宅から学校までのドアツードアでなるべく1時間程度までになることがおすすめです。地図上では距離が近くても電車の乗り換えが多いと想像よりも時間がかかってしまうケースがあります。少々距離が遠くても乗り換えが少ない、あるいは同じホームで乗り換えることができると、案外遠くまで通っても負担感は少ないものです。階段の上り下りで別のフロアへ移動する必要がある場合は、なるべく1回で済ませられる経路で通学可能な学校を優先的に選びましょう。
また、通学時間以外の指標としては「進学カラーが強い学校」「グローバルな教育に力を入れている学校」「サイエンス教育を重視している学校」などの大まかな学校の特色です。保護者の皆さんがお子さんに提供したい教育カリキュラムのジャンルを優先度順に絞っていくことで、スムーズに学校選択を進めることができます。
6年生は「併願校」と出会う場所

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中学受験を考えている6年生の多くは、現時点(5月頃)で既に模擬テストや学校・塾等での進路指導を経て、第一志望など志望順位が高い学校が、ある程度ピックアップできていると思われます。一方、併願校については、まだ決めかねている方も多いのではないでしょうか。6年生のお子さんをもつ保護者の皆さんには合同相談会・説明会を併願校選びの場として捉え、積極的に活用していただきたいと思いっています。
コロナ禍の現状、個別の学校説明会の予約が取りづらいことが多いです。それでも志望順位が高い学校の場合は、多くの保護者の方ができる限り頑張って予約を確保されていると思います。しかし、併願校の場合は、どうしても手が回らなくなりがちで、併願校の研究が不十分なまま、標準的な併願パターンの通りに併願校を選択するご家庭も、特に昨年と今年は目立ちました。
合同相談会・説明会では、今まで志望校の選択肢になかった学校や偏差値を鑑みて候補に挙がらなかった学校でも、「いいな」と思えるような学校との出会いがあります。その際に大事なことは、第一志望校に期待している条件を、相談する相手の学校にも伝えることです。「校風」「大学合格実績」「通学のしやすさ」など、ご家庭によってさまざまな判断基準があると思います。こうした条件を直接学校に伝えることで、学校側から提示した条件に該当するか具体的な説明をもらうことができます。その上で、併願候補校として位置づけられるのかどうか、検討するのがよいでしょう。
また、学校に期待したい条件がうまくまとまっていない場合には、お子さんがどういう日常なのか、例えば「好きなことには時間も忘れて熱中して取り組むものの、宿題などはなかなか取り組まない」、「なかなか自分から手を挙げて、いろいろなことに取り組もうとしない」など親として気になっていることを率直にぶつけて、「こちらの学校では、こうした子をどのように成長につなげているのでしょうか」と質問してもいいでしょう。恥ずかしがらないで聞いてみてください。納得のいく回答があれば、お子さんに似合っている学校である可能性が高いと考えられます。
また、入試日程で候補を絞るという方法があります。入試日程のうち、いくつかがもう決定している場合、例えば東京都・神奈川県で、2月1日午前と3日の午前は、この学校を必ず受験する、と決まっているならば、併願校は1日午後、2日午前・午後、3日午後以降から選ぶことになります。この日程の学校から相談する学校を選ぶことになります。千葉県の場合は1月20日・21日・22日の午前中に入試が行われるケースが多いのですが、その中で絶対外せない日程はどれでしょうか。外せる日程や、23日以降から併願校を見つけていくことになります。埼玉県の場合には1月10日の午前・午後、1月11日の午前に入試日が集中しているため、その日程以外で入試を実施している学校を中心にして説明を受けるのがよいでしょう。
多くの学校が集まる合同相談会・説明会は前述した通り、思いがけない学校と出会うことができる絶好の機会です。保護者の皆さまには、ご自身が受験生だった頃の印象や記憶でお子さんの志望校候補を絞らないことが大切です。昔ながらの伝統校でも今の時代に合わせて柔軟に変化を続けています。かつての印象だけで判断するのではなく、今の姿をしっかりと理解した上で学校選びを行うことが大切です。
4年生・5年生は今後の受験プランの参考に

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4年生・5年生の皆さんには、これからの受験作戦を考えていく上での出会いの場として合同相談会・説明会を活用していただきたいと思います。昨今ではWebサイト上に10〜15分ほどの学校紹介の動画を掲載している学校も多く見られるようになりました。もちろん動画をチェックすることも大事なことではありますが、それだけでは、学校の中身をすべて感じることはできません。どうしてもテレビを見ているような感覚になりがちです。ぜひ合同相談会・説明会に参加していただき、先生方の生の声を聞くことをおすすめします。
まだ4年生、5年生だと、どういった基準で学校を絞っていこうか考えがまとまっていないご家庭も多いと思います。こうした時期だからこそ、「よく聞く校名」「知り合いが子どもを通わせている」といったことだけにこだわらず、幅広く学校を見ていただきたいと思います。具体的な志望校のピックアップは5年生の秋から6年生の始め頃でも十分間に合います。中学受験をするということは、高校と合わせた中高6年間の過ごし方を選ぶことになります。長い期間をかけて、じっくりと教育に取り組める環境にお子さんを置くことで、お子さんは一回りも二回りも大きく成長します。将来のお子さんの姿をイメージするのは難しいかもしれませんが、「こんなふうになったらいいな」という理想や夢を、漠然としたイメージでも構いませんので、それぞれの学校担当者に伝えていただきたいと思います。その上でイメージに近い学校があれば、個別の説明会を予約し、実際に学校で学ぶ生徒たちの姿を見ることをおすすめします。きっと具体的な志望校選びにも役立つことでしょう。
独特な「校風」をどう捉えるか

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私立中学校の中には、宗教活動に熱心だったり、礼儀作法に厳しかったりと、その学校独自の校風を持っているところがあります。男子校・女子校というのも、言うなれば独特な校風の一つでしょう。
一方、公立の中学には、それほど独特な校風はありません。また、公立中学から高校受験をする場合は、あまり個性が強くない校風の学校が選ばれやすくなっています。特に、上のお子さんが公立中学に進学したご家庭の場合、保護者の方には「学校はそれほど強いカラーがないもの」という先入観が生まれるかと思います。
独特な校風を持つ学校にあまり接してこなかった方が、合同相談会・説明会で特殊性のある私立中学校の生徒発表などを聞くと、「えっ」と戸惑いを覚えることもあるでしょう。特に宗教絡みの内容だと、その傾向は強いと思います。「この学校に行ったら、感化された考え方を持つようにならないか?」と、不安になるかもしれません。
しかし、子どもたちの世界は学校の中だけで完結するわけではありません。メディアやインターネットから日々さまざまな情報を得たり、ご家庭はもちろん、他校の友人や習い事仲間、地域の人などと触れ合い、考えの幅を広げていきます。
私立中学校側にも、「世間知らずで偏った考え方の人間を育てよう」という考えは毛頭ありません。その学校が大切にしている伝統や概念を、人間性を豊かにするプラスアルファのポイントとして伝えている、と考えると良いかと思います。具体的な例を挙げましょう。「毎朝校門に入る前に一礼する、帰りは校門を出たら振り返って一礼をする」という指導を徹底している学校の場合。社会人になった時に、訪問先で自然とお辞儀ができて礼儀正しく振る舞えることでしょう。
合同相談会・説明会で、独特な校風を持つ学校の在校生に質問できる機会があったら、「こういう決まり事ってどう思いますか?」「堅苦しいと思ったことはないですが?」などと聞いてみるのも良いでしょう。「最初は戸惑ったけどすぐに慣れました」「やってみると面白い」など、子どもたちが柔軟に捉え対応していることがわかる返事が返ってくるかと思います。
まとめ
合同相談会・説明会は、たくさんの学校について情報を集めるとても良いチャンスです。それまであまり考えていなかった学校について、「うちの子の雰囲気にぴったりだな」「この取り組みはすごく良いな」といったうれしい発見をしたり、お子さん自身が「先輩が素敵だったからこの学校に絶対行きたい!」と憧れの気持ちを抱き、受験勉強に前向きに取り組むきっかけになることもあるでしょう。
これからの時期、たくさんの合同相談会・説明会に、ぜひ親子そろって出かけてみてください。そして、「いいな」と思う学校を見つけたら、次はその学校に出かけて、説明会や公開行事に参加してみましょう。
