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上級者向け 受験マニアックス

2023年10月号 2024年度首都圏公立高校の選抜の変更点

今回の受験マニアックスでは、首都圏公立高校の選抜の変更点をお届けします。各都県の選抜日程、神奈川県公立高校選抜制度の変更については、受験マニアックスの7月号で紹介していますので、あわせて確認してください。なお、首都圏私立高校の入試の変更点・第2弾については、次号で紹介する予定です。

東京都

東京都立高校学年制普通科が男女別定員を廃止し、男女合同定員へ
これまでの経緯

都立日比谷などの東京都立の学年制普通科高校は、全国で唯一、共学なのに男女別で定員が決まっていて、このため従来、男女別定員によって男女の合格ラインに差が生じることが問題視されていました。実際、2021年の一般入試では74校で男女の合格ラインに差が出ていて、男女合同定員なら合格だったのに不合格になった受検生が女子691名、男子95名出ていました。このように、不利になるのは主に女子で、人気校ほどその傾向が顕著でした。
そこで、東京都教育委員会は段階的に男女合同定員にすることを決定し、2022年度は学年制普通科全校で一般入試に10%の定員緩和を実施し、2023年度は同様に20%の定員緩和を実施しました。なお、2021年度までは42校のみで一般入試の10%の定員緩和が行われていました。
そして2024年度からは、一般入試だけではなく推薦入試も含めて、学年制普通科全校で男女合同定員にすることになったのです。なお、都立新宿などの単位制普通科や、専門学科・総合学科などは以前から男女合同定員です。

  • 定員緩和とは……例えば「10%の定員緩和」の場合、男女別の定員の各9割までを男女別の成績上位から合格とした上で、残りの1割は残りの受検生の男女総合成績の上位から順に合格とする制度。
2024年度一般入試の予測

2023年度に20%の定員緩和を行った時点で、男子が不利になった学校はゼロになり、女子が不利になった学校は9校になりました。男女の不公平さはだいぶ解消されたといえます。なお、女子が不利になった学校名と人数は、三田が23人、鷺宮が16人、竹台が12人、富士森が10人、神代が10人、広尾が3人、豊多摩が3人、竹早が2人、日本橋が1人でした。
不公平さが残った三田、鷺宮、竹台、富士森の4校では、来年は女子の合格者数が前述の人数分程度増えて、かわりに男子の合格者が減るかもしれません。

2024年度推薦入試の予測

推薦入試は昨年まで定員緩和の対象ではなかったので、来年度の入試で初めて男女の不公平さが解消されることになります。
筆者は、学年制普通科推薦入試の男女別応募倍率の推移から、推薦入試が男女合同定員になった場合の校種別のシミュレーションを行ってみましたので、結果を簡潔に紹介します。
まず進学指導重点校と進学指導特別推進校では、元々女子の倍率が男子よりも目立って高かったので、来年度は合格者の6割程度、場合によっては7割近くが女子になりそうです。進学指導推進校も、女子の倍率が男子よりも目立って高かったので、総じて合格者の過半数は女子になると思われます。ただ、推薦定員や男女別の応募数は学校によってさまざまなので、合格者の7割近くが女子になる学校から、ほとんど影響が出ない学校まで、学校による差が生まれそうです。
一方で、エンカレッジスクールは元々男女の応募倍率にあまり差がないので、男女合同定員になっても特に影響はなさそうです。学力向上研究校(エンカレッジスクールを除く)でも、女子の方が倍率はやや高いものの、男女ともに倍率が年々低下していることもあり、計算上は合格者の過半数は女子になりますが、男女合同定員化の影響はそれほどないと思われます。
その他、中間的な学力層が選ぶ学校では、女子の方が倍率は高いものの男女差は少なくなってきています。女子の合格者が増え男子の合格者が減るといっても数名の話になることが多く、全体としてはあまり大きな影響はなさそうです。

考察:東京都が男女別定員を取り入れてきた背景

東京都立高校が男女別定員を廃止して男女合同定員に移行したことは、マスコミでも大きな話題になりました。新聞やテレビの報道では、「男女別定員は不公平」「女子がかわいそう」といった抗議の声が目立っていました。確かに、都立高校の選抜だけを切り取ると不公平に見えますが、実は背景には都立高校がたどってきた歴史があります。
元々、歴史のある有名な都立高校の多くは男子校で、第二次世界大戦後に共学化しました。よって、共学化当初の都立高校の募集定員は男子が女子の2倍、3倍といったケースもあり、女子の高等教育があまり重視されていない実情がありました。そこから、女子にも教育の機会を提供しようということで徐々に是正され、男女別定員の差が解消されていったのです。
なお、この数十年の都立高校の男女の定員は、女子の方が男子よりも1割程度少ない傾向が続いています。これだけ聞くと、「女子の方がチャンスが少ない」「男女差別だ」などと思うかもしれませんが、実はここには事情があります。都立高校の男女別の定員は、地域ごとの公立中学校の中学3年生の男子と女子の数に応じて決められており、公立中学の生徒の男女比は男子の方が1割程度多いのです。理由は、中学受験の時点で女子の方がたくさん私立中学に進学していることです。こうした背景を全く鑑みず、「高校受験では女子は圧倒的に不利だから、女子は中学受験をしておいた方がいい」などと発信しているケースもみかけますが、それはちょっと違うのではないかと思います。
今後、従来と比較して男子に厳しい状況になっていきますが、中学入試と違い高校入試では、受験生の十分な受け皿は用意されていますので、収まるべきところに収まっていくといえるでしょう。男子生徒には、「大変だ!」と大騒ぎするのではなく、「頑張って勉強して志望校を目指そう」と奮起していただきたいと思います。

都立高校の入試制度変更

2024年度は、入試のしくみには大きな変更はありません。新型コロナの影響で中止されていた推薦入試の集団討論は、必要と判断した学校に限って復活します。復活するのは日比谷、深沢、西、鷺宮、竹早、北園、篠崎、東大和南、調布南、永山、足立工科、町田工科、東久留米総合です。また、コロナ前は文化・スポーツ等特別推薦で、大会実績や記録などを出願資格として求めている学校・種目がありましたが、コロナの5類移行が5月の連休明けからだったこともあって、来春も出願資格に含めず、「実績等を証明する書類等の写し」の提出も求めないことになりました。

各校の選抜内容の変更
推薦の内容、配点
  • 日比谷:集団討論実施、個人面接200点→個人面接・集団討論計200点
  • 三田:調査書300点→100点、個人面接150点→250点、小論文150点→250点
  • 雪谷:作文200点→小論文200点
  • 駒場:作文180点→小論文360点
  • 深沢:集団討論実施、個人面接240点→個人面接・集団討論計240点
  • 西:集団討論実施、個人面接240点→個人面接・集団討論計240点
  • 鷺宮:集団討論実施、個人面接200点→個人面接・集団討論計300点、作文300点→200点
  • 竹早:調査書400点→500点、集団討論実施、個人面接200点→個人面接・集団討論計200点
  • 北園:集団討論実施、個人面接200点→個人面接・集団討論計300点
  • 篠崎:集団討論実施、個人面接300点→個人面接・集団討論計400点、作文200点→100点
  • 東大和南:集団討論実施、個人面接250点→個人面接・集団討論計250点
  • 調布南:集団討論実施、個人面接200点→個人面接・集団討論計200点
  • 永山:集団討論実施、個人面接225点→個人面接・集団討論計225点
  • 国分寺:個人面接130点→150点、小論文270点→250点
  • 農業:都市園芸・食品科学・緑地計画とも推薦枠35%→40%
  • 杉並工科:製作物200点→作文200点
  • 足立工科:集団討論実施、個人面接400点→個人面接・集団討論計400点
  • 町田工科:集団討論実施、個人面接300点→個人面接・集団討論計300点
  • 橘:推薦枠30%→40%
  • 東久留米総合:集団討論実施、個人面接400点→個人面接・集団討論計400点
文化・スポーツ等特別推薦
  • 大森:吹奏楽・男女3名廃止、バレーボール・男子3名女子3名廃止
  • 蒲田:文化・スポーツ等特別推薦(美術・男女2名)廃止
  • 大田桜台:文化・スポーツ等特別推薦(卓球・男女5名)廃止
  • 世田谷総合:ダンス・男女2名廃止
  • 石神井:柔道・女子2名新設、バレーボール・女子2名新設、バスケットボール・男子3名→男子3名女子2名
  • 第四商業:硬式野球・男子3名→男子5名
  • 杉並総合:サッカー・男子2名女子4名→女子4名
  • 杉並工科:柔道・男女3名新設、バスケットボール・男子3名新設
  • 板橋有徳:ラグビー・男子3名新設
  • 足立東:文化・スポーツ等特別推薦(吹奏楽・男女4名、陸上競技・男女4名、地域貢献・男女2名)廃止
  • 墨田川:剣道・男女3名→男女2名、バスケットボール・男子2名廃止
  • 本所:文化・スポーツ等特別推薦(バスケットボール・男女4名、ハンドボール・男子3名、ローイング・男女2名)新設
  • 墨田工科:硬式野球・男子電気科2名機械科1名自動車科1名建築科1名→男子全科計5名、ものづくり・女子5名新設、ラグビー・男子2名新設
  • 篠崎:陸上競技・男女2名新設
  • 江戸川:ソフトボール・女子2名→女子3名
  • 紅葉川:硬式野球・男子2名→男子4名
  • 小岩:硬式野球・男子2名→男子4名、ハンドボール・男女2名→男女3名
  • 南葛飾:サッカー・男子3名→男子5名
  • 葛飾総合:文化・スポーツ等特別推薦(吹奏楽・男女2名、バスケットボール・女子2名、バレーボール・女子2名)新設
  • 科学技術:文化・スポーツ等特別推薦(理科研究・男女2名)廃止
  • 松が谷:剣道・男女3名→男女2名、硬式野球・男子3名→男子2名、サッカー・男子3名→男子2名、陸上競技・男女2名新設
  • 富士森:吹奏楽・男女4名→男女5名、硬式野球・男子5名→男子6名、サッカー・男子4名→男子5名
  • 小川:文化・スポーツ等特別推薦(硬式野球・男子3名、バレーボール・男子3名女子3名)新設
  • 山崎:文化・スポーツ等特別推薦(アーチェリー・男女2名)新設
  • 上水:硬式野球・男子4名→男子3名、バスケットボール・女子3名→男子2名女子3名、陸上競技(中長距離)男女3名→男女2名
  • 武蔵村山:バスケットボール・男子1名新設
  • 拝島:文化・スポーツ等特別推薦(硬式野球・男子4名)新設
  • 五日市:剣道・男女3名廃止、硬式テニス・男子1名廃止、バスケットボール・女子2名廃止
  • 保谷:ソフトボール・女子4名→女子3名
  • 小平南:バスケットボール・男子3名女子2名→男子3名
  • 東村山西:サッカー・男子3名廃止、空手・男子2名新設
  • 久留米西:硬式野球・男子4名→男子3名、バスケットボール・女子4名→女子5名
  • 東村山:吹奏楽・男女3名廃止、硬式野球・男子3名廃止、サッカー・男子2名廃止、バスケットボール・男子2名廃止、陸上競技・男女2名廃止
  • 田無工科:バドミントン・男女2名廃止
  • 府中西:硬式野球・男子3名新設、ハンドボール・男女4名→男女5名、ラグビー・男子3名→男子5名
  • 若葉総合:陸上競技・男女6名→男女4名
一般入試(学力検査に基づく選抜)
  • 練馬工科:実技350点→作文350点(分割前後期とも)
  • 大島海洋国際:個人面接300点新設
  • 一橋:個人面接300点新設(分割前後期とも)
  • 浅草:個人面接300点新設、作文300点取りやめ(分割前後期とも)
  • 八王子拓真:集団面接300点新設(分割前後期とも)
  • 砂川:集団面接300点新設、作文300点取りやめ(分割前後期とも)
都立高校の学科改編

東京都教育委員会は、2022年2月に策定した「Society5.0を支える工業高校の実現に向けた戦略プロジェクト Next Kogyo START Project」に基づき、既存の工業系学科のリニューアルを行います。

科学技術高等学校(東京都江東区)

既存の「科学技術科」の一部を改編し、新たに「創造理数科」を創設します。東京都教育委員会によると、「理数系分野の幅広い素養と情報活用能力等を高いレベルで併せもち、それらを生かして新しい価値を生み出すことのできる人材を育成」するとのことです。昨年は第一弾として進学指導重点校である立川高校に創造理数科がスタートしましたので、科学技術高校は2校目となります。理数分野に深い関心を持って積極的に取り組んできた子を集め、学校全体のレベルアップも図りたいといった思惑があるのでしょう。昨年、トップレベル校である立川高校の創造理数科は大人気になりましたが、来年に向けて科学技術高校の創造理数科がどれほどの人気を集めるのかは、未知数といったところでしょう。

中野工科高等学校(東京都中野区)

現在の「キャリア技術科」を「食品サイエンス科」に改編します。東京都教育委員会によると、「『食品』『環境』など学校の特色を一層強化し、技術の進化等に対応できる人材を育成」するとのことです。

杉並工科高等学校(東京都杉並区)

現在の「機械科」「電子科」「理工環境科」の3つの学科を統合し、「IT・環境科」とします。東京都教育委員会によると、「IT教育等を実践しながら進学も見据えて、環境にかかわる素養をもったIT人材を育成」するとのことです。

北豊島工科高等学校(東京都板橋区)

現在の「総合技術科」を「都市防災技術科」に改編します。東京都教育委員会によると、「『防災』等の都市課題の解決を通じて課題解決能力を育み、社会で活躍できる人材を育成」するとのことです。今年、関東大震災から100年の節目を迎え、防災意識を高めていきたいという都の意向が感じられる改編です。

神奈川県

公立高校の選抜制度の変更について

神奈川県の公立高校の選抜制度の変更については、7月号で詳しく紹介していますので、あわせてご確認ください。
面接の実施校は昨年までより大きく減少し、全日制の普通科では舞岡、上矢部、市立橘、愛川、横浜旭陵の5校のみになりました。総合学科は麻生総合のみ、専門学科は吉田島、商工、藤沢工科、市立川崎(昼間の定時制普通科は実施せず)、横須賀南で、学科で異なるケースでは市立横浜商業・国際学、市立橘・国際、厚木北・スポーツ科学、上矢部・美術が面接を実施します。クリエイティブスクール全校や昼間定時制の横浜明朋、相模向陽館、市立横浜総合は実施します。
第1次選考での調査書の評定(内申)と学力検査の比率は、川和のように2023年度までは4:4で見ていたのを4:6と、なくなった面接の分を丸々学力検査に載せた事例もありますが、評定(内申)と学力検査に半々で比重を上乗せした学校も出ています。
細々とした変更点は多いのですが、この選抜制度の変更については、実質的にそれほど大きな影響はないのではないかと予想されます。

公立高校の改編について

2024年4月、厚木東高校と厚木商業高校が統合して厚木王子高校になります。2校は元々隣接しており、厚木東高校の敷地内に建築される新校舎を中心に整備されます。普通科と総合ビジネス科を併設することで多彩な学びを展開し、キャリア教育にも力を入れるとのことです。

千葉県

マークシートの導入

千葉県公立高校入学者選抜において、2024年度からマークシート式の解答が導入されることになりました。これは、採点ミスの再発防止策として検討され、実施に至ったものです。解答用紙は、記述式解答部分とマークシート式解答部分が混在しているものになります。マークシート式の部分は機械によって採点され、記述式の部分は採点者によって採点されます。
千葉県ホームページでは、「マークシート式及び記述式問題の解答用紙の例及び注意事項」が公表されていますので、合わせてご確認いただければと思います。なお、例示されたサンプルと実際に用いられる解答用紙とでは、作問や採点システムの関係で見た目などが少し異なるものになるかもしれません。ご留意ください。

マーク式解答の基本は、マーク欄を濃くはっきり塗りつぶすことです。簡単に聞こえますが、マークシートを取り入れている学校の試験監督の先生の話によると、試験の前にさんざん言っても、「線を引くだけで塗りつぶしていない」「はみ出している」「塗りつぶす範囲が小さい」「輪郭をなぞっているだけ」「塗りつぶし方が薄い」といった塗り方が散見されるそうなので、十分に注意してください。
また、特に間違えやすいのが、分数の分母と分子を答える場合です。分子を先、分母を後に塗ることが原則ですが、頭の中では「●分の●」と分母を先に読むので、逆に塗りつぶしてしまうケースも多く見られるそうです。解答にマイナスがつく場合や、ルート記号の外と中を答える場合も、塗りつぶす場所や順番に注意が必要です。

マークシート式の解答をスムーズにミスなく埋めるためには、練習が大切です。千葉県の公立高校を受検する人は、マーク式解答をすでに取り入れている私立高校などの過去問を手に入れ、解答用紙を実物大にコピーして、何度も練習をしておくとよいでしょう。一口にマークシートと言っても、その内容や見た目は出題によって変わってきますので、さまざまなタイプのマークシートに触れて、たくさん練習しておくことをおすすめします。

(2023年10月16日 追記)
2023年10月13日に、千葉県教育委員会が、令和6年度の解答用紙サンプル(令和6年度千葉県公立高等学校入学者選抜における解答用紙サンプルについて)を公開しました。上記の「マークシート式及び記述式問題の解答用紙の例及び注意事項」と合わせてご確認ください。

公立高校の改編

2024年度からは、行徳と市原が地域連携アクティブスクールに改編されます。地域連携アクティブスクールとは、「勉強が苦手」「中学校にあまり行けていなかった」など、中学校では十分力を発揮できなかったけれども、高校では頑張ろうという意欲を持った生徒に、面倒見のよい「学び直し」や職業観や勤労感を育てる「実践的なキャリア教育」を行う新しいタイプの学校です。
また、匝瑳は普通科・理数科から総合学科に改編されます。

各校の選抜内容の変更

来年度に向け、選抜の変更点はそれほど多くありませんが、志願理由書の廃止、普通科・理数科別募集からくくり募集になる、といった内容が目立ちます。以下に、変更がある学校を記します。

  • 幕張総合・総合:志願理由書廃止
  • 八千代・体育:志願理由書廃止
  • 松戸南:志願理由書廃止
  • 行徳:地域連携アクティブスクール転換に伴い、学力検査5科→3科、自己表現→作文、志願理由書廃止
  • 市立柏・普通:面接廃止
  • 匝瑳:普通科・理数科から総合学科への転換のみで面接実施は変更なし
  • 成東:普通科・理数科別募集→くくり募集
  • 長生:普通科・理数科別募集→くくり募集
  • 天羽:作文を自己表現の中の選択に変更
  • 市原・普通・園芸:地域連携アクティブスクール転換に伴い、学力検査5科→3科、作文新規実施

埼玉県

公立高校の改編

埼玉県では「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策」に伴って、和光、岩槻北陵、皆野、鳩山、八潮、浦和工業の6校が、2024年度に一気に募集停止になります。在校生がいなくなった2026年度から、和光は和光国際と、岩槻北陵は岩槻と、皆野は秩父と、鳩山は越生と、八潮は八潮南と、浦和工業は大宮工業と統合することになっています。この6校はいずれも比較的入りやすい学校で、2023年度の入試でも浦和工業の設備システムを除いて、応募段階で定員割れを起こしていましたが、これまでこれらの学校を目指していた生徒の行き場がなくなってしまうことになります。これら6校を受検していた学力層の間で、今後いろいろな動きが出てきそうです。

各校の選抜内容の変更

埼玉県の公立高校の選抜では、面接の廃止がやや目立っています。以下に、変更がある学校を記します。

  • 浦和西:調査書特別活動50点→120点、調査書合計点240点→310点、1次選抜調査書点336点→335点、1次選抜合計836点→835点、2次選抜定員38%→40%、2次選抜調査書点216点→217点、2次選抜合計716点→717点、3次選抜2%廃止
  • 県立川口:2次選抜定員20%→19%、3次選抜新設1%
  • 上尾橘:調査書評定中1:中2:中3=1:1:3→1:1:2、評定満点225点→180点、1次選抜調査書点480点→408点、1次選抜合計1080点→1008点、2次選抜調査書点600点→510点、2次選抜合計1200点→1110点
  • 桶川:2次選抜定員37%→38%、3次選抜3%→2%
  • 朝霞西:2次選抜定員15%→20%、3次選抜廃止
  • 所沢商業・全科:面接廃止、1次選抜満点1150点→1000点、2次選抜満点1300点→1100点
  • 日高・全科:面接廃止、1次選抜満点1000点→900点、2次選抜満点1250点→1100点
  • 富士見:調査書評定中1:中2:中3=1:1:2→1:1:3、評定満点180点→225点、面接廃止、1次選抜調査書点510点→400点、1次選抜合計1110点→900点、2次選抜定員20%→30%、2次選抜調査書点680点→800点、2次選抜合計1280点→1300点、3次選抜廃止
  • 豊岡:面接廃止、1次選抜満点885点→835点、2次選抜満点765点→715点
  • 秩父農工科学:調査書特別活動80点→100点、その他25点→35点、調査書合計点330点→360点、面接廃止、1次選抜調査書点495点→504点、1次選抜合計1095点→1004点、2次選抜調査書点600点→720点、2次選抜合計1260点→1220点
  • 小鹿野:面接廃止、1次選抜合計1050点→1000点、2次選抜合計1150点→1100点
  • 羽生実業・全科:面接廃止、1次選抜合計1050点→1000点、2次選抜調査書点500点→800点、2次選抜合計1100点→1300点
  • 吉川美南・全日制総合:面接廃止、1次選抜満点950点→900点、2次選抜定員25%→30%、2次選抜満点1200点→1100点、3次選抜廃止
  • 吉川美南・昼間定時制:面接廃止、1次選抜満点950点→900点、2次選抜定員25%→30%、2次選抜満点1200点→1100点、3次選抜廃止
  • 宮代:調査書特別活動80点→100点、調査書その他40点→20点
埼玉県男女共同参画苦情処理委員、県立男子校・県立女子校の共学化を勧告

今年の8月、埼玉県男女共同参画苦情処理委員は県教育委員会教育長に対して、「県立の男子校、県立の女子校は共学化を実現するべき」という内容の勧告を出しました。これは、昨年4月に「県立の男子高校が、女子が女子であることを理由に入学を拒んでいる。女子の入学は当然認めるべきだ。女子差別撤廃条約に違反している事態は是正されるべきだ」という苦情が寄せられ、調査、審議された結果の勧告です。勧告では、来年8月末までに、どのような措置をとったか、あるいはどのような措置をとる予定かを、報告するように求めています。

埼玉県立の男子校は、浦和、春日部、川越、熊谷、松山の5校で、いずれも旧学区制では学区のトップ校です。埼玉県立の女子校は、浦和第一女子、久喜、春日部女子、川越女子、熊谷女子、鴻巣女子、松山女子の7校で、旧学区のトップ校もありますが、トップ校ではなく保育科や家庭科がある学校もあります。中でも浦和と浦和第一女子は、名門と称される県内トップの高校です。
なお、東京都と神奈川県の公立高校は全て共学化されており、千葉県は千葉女子と木更津東の2校だけが女子校として存続しています。首都圏の中で、埼玉県は特に公立の男子校や女子校が多い環境だといえます。

実は、20年ほど前にも県立の男子校・女子校を共学化すべきだという運動が起こったことがあるのですが、「各校の伝統があって反対意見が多い」という理由で、そのままになったことがありました。15年ほど前、やはり地域のトップ校を巻き込んだ公立高校の共学化が行なわれた宮城県では、「我が校には歴史と伝統がある」という声が上がり、在校生やOB・OGの反対集会、街頭デモも行われました。埼玉県でも反対の声が上がることが予想されます。
また、現在は浦和と浦和第一女子が不動の県内トップ校に君臨していますが、仮に共学化されると、現在難度面では浦和が浦和第一女子より少し高いことから、おそらく浦和がトップ校になり、浦和第一女子が2番手校という位置づけになります。トップ校志向が強い受検生や保護者は「トップ校の椅子」が減ることを懸念しますから、男子校、女子校のままにしておいてほしいと考える人が多いかもしれません。
公立高校に限らず私立高校でも、全国的に共学化は進んでいますが、全体的には共学化すると「元男子校」には男子だけでなく多くの女子受験生も集まり、「元女子校」は、女子校のイメージが強く残っていると、なかなか男子が集まりにくく、男女比の極端なアンバランスさが生じたり、学力レベルが徐々に低下していく、といった現象が見られます。そのため、「元女子校」の共学化では、今までの学校像を大きく変えるような改革がセットになるケースが少なくありません。

具体的な方針が示されるのは来年の8月なので、2024年度の受検生には直接の影響がない話ですが、現在の中学2年以下の生徒や保護者にとっては、関心が高い話題かと存じます。県政や県教育委員会、そして何よりも県民の皆さんがどのような判断をしていくのか、今後の動向が注目されます。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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