上級者向け 受験マニアックス
2017年10月号 2018年度首都圏高校入試の変更点(第2弾:2017年6月〜9月発表分)
この記事は2017年度の情報です。最新の情報は2023年7月号および2023年11月号をご覧ください。
コース設定について
各校の入試変更点から見えてきた、コース設定の3つの傾向をご紹介します。
1.難関大学合格を重視
学力上位層の充実を図り、難関大学合格を目指すコースを新設するケースです。
〈例〉
昭和第一学園:特別選抜コース新設
細田学園:選抜Gコース新設
関東国際:普通理系コース→文理コース
東京純心女子:コース制を実施。5教科を鍛える叡智探究特進プログラムと、看護医療系、芸術系等を目指す叡智探究セレクトデザインに
2.英語と理系を重視
英語を重視するコースの新設および、元々英語を重視していた学校が英語と理系を合わせた力を伸ばすコースを設けるケースです。
〈例〉
郁文館: 特進コースに、英語を重視するe特進クラスを新設
大森学園:普通科英語コースを新設
明法:GSP(グローバル・スタディ・プログラム)参加希望者向けの入試を新設
郁文館グローバル:グローバルサイエンストラック(トラックはコースと同義)を新設
工学院大附属:ハイブリッドサイエンスコースを新設。(工学院大附属ではこの他帰国生向けのハイブリッドインターコースを一般生でも受験可としたり、従来の文理特進・文理普通コースを英語重視のハイブリッド文理先進・ハイブリッド文理コースに改編するなど、グローバル化対応が加速します)
3.専門性を重視
実学志向で専門性が高いコースの新設もあります。
〈例〉
小野学園:進学子供・福祉(C)コース、進学食物・栄養(F)コースを新設
品川エトワール:ネイチャースタディコース(自然をキーワードに、農業や食品について学ぶコース)を新設
白鵬女子:フードコーディネートコースを新設
入試科目について
入試科目については新しい動きが出始めており、以下の2つの方向性が見られます。
1.科目の選択なし・進学志向
入試のボリュームを増やし、全ての受験生に3教科を受験してもらう方向性です。幅広い学力をしっかり見ることが目的で、背景には進学志向の高さがあるといえるでしょう。
〈例〉
埼玉栄:英国社or英理数の選択を廃止し、国数英に統一
2.多様性のある入試(科目選択型・新しいタイプの入試など)
一方で、科目選択型や新しいタイプの入試(思考力入試や教科横断型入試など)も増えています。これは、得意なことを生かして受験をしてもらおうという新たな動きです。2020年の大学入試改革を意識した、21世紀型教育に対応する入試を目指す取り組みといえるでしょう。
〈例〉
桜丘:一般入試CL3科→英国or英数or思考力、特進3科→英国or英数。思考力入試は、例えば映像を見て問いに答えるといった趣向を凝らした内容
東京女子学園:進学コースの併願優遇で、3科から1科選択に
聖パウロ:一般入試3科→2科選択
工学院大附属:新設のハイブリッドサイエンスコースだけでなく、各コースとも思考力入試を導入
自由ヶ丘:併願優遇で、教科横断型資料を読んで意見等を表現する適性検査型入試を導入
その他のトピックス
1.アスリートを応援する動き
武蔵野大学付属千代田高等学院が、GA(グローバルアスリート)コースの新設を発表しました。これは、日本代表クラスのアスリートの活動を応援することを目的としたコースです。学校内ではスポーツ指導は行いませんが、遠征時は公休扱いになる、個別の学習フォローアップがある等、アスリートを支える体制を充実させます。募集は推薦のみです。2020年の東京オリンピックが近づいてきた今、注目される動きです。
2.中村が高校募集を再開
中村が高校募集を再開します。国際科のみで1年の海外留学が必須、定員は20名の予定です。
3.入試相談を受けている生徒への新たな対応
湘南学院が、事前の入試相談を受けている生徒の学力検査をなくし、基本的に書類選考のみとすることを発表しました。上位コースチャレンジ受験希望者のみ学力検査を行います。今後他校でも、入試相談を受けている生徒についてある程度の学力が保証されている場合に、選考方法を変えていく動きが出てくるかもしれません。
2018年度首都圏高校入試の変更点一覧
受験マニアックス7月号でご紹介した内容と6月以降に発表された内容を合わせた、2018年度首都圏高校入試の変更点一覧をご紹介します。