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上級者向け 受験マニアックス

2019年2月号 東京都と埼玉県(2回目)の進路希望調査結果/2019年度首都圏高校入試の全体傾向

今回は、東京都の教育委員会が発表した都内公立中学3年生の進路希望調査結果、および埼玉県の教育委員会が発表した県内中学3年生の2回目の進路希望調査結果(1回目の結果は1月号にて紹介済み)をご紹介します。各校の募集人員、希望者数、倍率の詳細については、添付のPDFをご覧ください。
あわせて、首都圏各都県の進路希望調査結果から見えてきた、2019年度首都圏高校入試の全体的な傾向を考察します。

東京都の公立中学校3年生の進路希望調査結果

発表:2019年1月8日
調査:2018年12月
対象:都内公立中学校3年生

1.全体的な傾向

卒業予定者数は、前年よりも男子が57名増加、女子が391名減少で、全体で0.4%の減少です。前年は大幅減でしたが、今年は微減に留まっています。東京都では現在の中学1年生が最少の生徒数で、その後は増加に転じる見込みです。

全日制都立高校(高専も含む)への進学希望者数は、男子が1.2%減、女子が1.3%減です。前年と比べて低下の度合いは穏やかになりましたが、依然として都立志向は下がっています。一方で全日制国立・私立・他県公立(うち多数派は都内私立希望)の進学希望者数は、男子が0.7%増、女子が1.4%増となりました。特に女子の間で私立志向が高まっていることがうかがえます。

また、都立以外定時制・通信制(ほとんど通信制)の進学希望者数は、男子が0.7%、女子が0.3%上がり、通信制私立高校の人気が上がってきていることがわかりました。

2.学科・課程別の人気動向

専門学科の人気は全体的に下がっていますが、国際バカロレアコースなどの国際系学科や、美術・舞台表現といった芸術系学科は高水準の倍率が続いています。

3.希望倍率が高い都立高校

都立高校学年制普通科の、男女別の希望倍率上位5校を紹介します。男女ともに、城東地区の学校が多く見られ、同地区では都立人気が高いことがわかります。

男子

1位の石神井は、2009年以来10年ぶりのトップで、トップ5への登場も10年ぶりです。2位の戸山は前年のトップです。3位の江戸川は、前年はトップ5圏外で一昨年は5位と、隔年現象で人気が動いています。4位の小岩と5位の南葛飾は、この10年で一度もトップ5に入っていなかった学校です。

石神井、小岩、南葛飾の3校は、希望者が大幅に増加しています。南葛飾は、人気サッカー漫画「キャプテン翼」の作者である高橋陽一さんの母校で、2018年3月に同漫画を模したユニークな銅像が完成したことで、関心を集めたようです。

男子に人気の高い都立高校ベスト5

順位 2019年度入試 2018年度入試
校名 希望倍率 校名 希望倍率
1 石神井 2.14 戸山 2.16
2 戸山 2.13 三田 2.08
3 江戸川 2.05 駒場 2.00
4 小岩 2.02 北園 1.99
5 南葛飾 2.00 豊多摩 1.93
女子

1位の小平は、前年はトップ5圏外で一昨年はトップと、隔年現象で人気が動いています。2位の東は、2011年に5位になって以来久しぶりのトップ5登場です。希望者は前年より減ったのですが、募集定員が削減されたことで倍率が上がりました。3位の小岩と5位の本所は、この10年でトップ5に入ったことはなかった高校で、希望者が目立って増えています。4位の三田は昨年トップでした。

女子に人気の高い都立高校ベスト5

順位 2019年度入試 2018年度入試
校 名 希望倍率 校 名 希望倍率
1 小平 2.41 三田 2.46
2 2.21 石神井 2.27
3 小岩 2.16 竹早 2.25
4 三田 2.14 小平南 2.24
5 本所 2.12 向丘 2.18
4.難易度別の希望動向

都立高校学年制普通科の、難易度別の人気を男女別に考察します。

男子

前年度は、難関校・上位校の希望者増加と、入りやすい学校の人気低迷が目立ちましたが、今年度は様相が異なり、難関校・上位校の希望者が減少して、比較的入りやすい学校の人気がやや上がっています。成績上位層の都立志向が弱くなっていて、私立に関心を向けている受験生が多くなっています。

女子

前年度は、難関校人気は維持され、中堅校から入りやすい学校の希望者が減っていました。しかし今年度は、難関校・上位校の希望者が減り、中堅上位レベルの学校の希望者はやや増加、中堅下位レベルの学校の希望者は大きく減少しています。比較的入りやすい高校や入りやすい高校の希望者も減っています。昨年に続いて「入りやすい都立離れ」が顕著になったほか、成績上位層の都立志向が弱くなっています。

埼玉県の中学3年生の進路希望調査(第2回)結果

発表:2019年1月11日
調査:2018年12月
対象:県内中学校3年生
※第1回の進路希望調査結果は、1月号にて紹介済みです。

1.全体的な傾向

中学校(私立・国立も含む)の卒業予定者数は63,498名で、前年よりも977名減少です。前年に続く大幅減少となっています。高校進学希望者は63,187名で、前年より953名減っています。高校進学希望率は、前年と変わらず98.7%です。

進学希望先別に見ると、県内の全日制公立高校への進学希望者数は44,392名で、第1回調査より2,560名減、前年同時期より1,187名減でした。一方、県内の全日制私立高校への進学希望者数は10,205名で、第1回調査より1,720名増、前年同時期と比べると125名減でした。県外の全日制私立高校の進学希望者数は3,993名で、第1回調査より933名増、前年同時期と比べると198名増でした。第1回調査時には全日制公立高校を希望していた生徒の中から、県内外の私立に希望を変更した生徒が多く出ています。

公立中学の3年生のみのデータを見ると、公立高校希望率は2017年度から連続して下がっていて、今回は前年より減少具合は緩やかになりましたが、やはり減少が続いています。一方、県内私立高校の希望率は前年に大きく上がり、今回は小幅ながらさらに上昇しています。県外私国立(多くは都内の私立)の希望率も、前年度、今年度と連続して上がっています。

2.希望倍率が高い公立高校

希望倍率が高い普通科公立高校をご紹介します。
表は、希望倍率1.5倍以上の高校を倍率順に並べたものです。

順位 今 回 前年度
校 名 倍率 順位 校 名 倍率
1 市立浦和 2.5 1 市立川越 2.31
2 市立川越 2.37 2 市立浦和 2.24
3 川口市立 2.37 3 川口市立 2.19
4 浦和西 2.11 4 越ケ谷 2.14
5 越ケ谷 2.02 5 浦和西 2.07
6 上尾 1.95 6 南稜 1.96
7 所沢北 1.81 7 所沢北 1.953
8 1.72 8 上尾 1.945
9 川口 1.71 9 大宮 1.81
10 川越南 1.69 10 川越南 1.78
11 南稜 1.664 11 大宮光陵 1.73
12 大宮 1.66 12 川口 1.68
13 市立浦和南 1.64 13 市立浦和南 1.67
14 所沢 1.61 14 越谷北 1.6
15 越谷南 1.56 15 所沢 1.59
16 深谷第一 1.55 16 草加南 1.555
17 川越女子 1.54 17 鳩ケ谷 1.551
18 鴻巣 1.52 18 与野 1.547
19 県浦和 1.51 19 県浦和 1.539
20 所沢西 1.5 20 草加東 1.538

1位の市立浦和は前年2位、2位の市立川越は前年1位で、順位が入れ替わりました。3位の川口市立は、2018年4月に川口総合・市立川口・県陽の3校が統合して誕生した高校。前年も3位で、高い人気が続いていることがわかります。4位の浦和西は前年の5位、5位の越谷は前年の4位、6位の上尾は前年の8位、7位の所沢北は前年も7位と、これらの高校の人気は安定しています。8位の蕨も比較的人気の高い学校で、前年は高倍率を敬遠されて倍率が下がりましたが、今回は募集定員削減の影響で倍率が上がっています。9位の川口は前年12位、10位は前年と変わらずの川越南でした。

表に登場する20校のうち14校は前年も登場していて、人気校は比較的固定化していると言えるでしょう。

3.難易度別の希望動向

難易度別に普通科公立高校の人気を考察してみます。

もっとも希望者数が多いのは中堅上位校ですが、前年と比べると希望者は大きく減っていて、受験生は上位校や中堅下位校など周辺のレベルの公立高校に流れたり、県内外の私立を選択しているようです。また、難関校と入りやすい学校は希望者がやや減っています。難関校の希望者が絞られた背景には、有名大学附属校志向もあります。

4.県内私立高校の人気の傾向

希望者が多い県内私立高校をご紹介します。県の発表では、私立中学在籍生の内部進学も含めた希望者数となっていますので、併設中学がある学校は、中3生の在籍人数(前年5月1日現在)を差し引いて表を作りました。併設中学がない学校はそのままの数字です。

順位 今 回 前年度
校 名 希望者数 校 名 希望者数
1 早大本庄 375 星野 410
2 埼玉栄 364 浦和学院 408
3 浦和学院 344 花咲徳栄 356
4 浦和実業 295 埼玉栄 349
5 東京農大第三 293 早大本庄 323
6 叡明 278 浦和実業 272
7 花咲徳栄 277 川越東 266
8 星野 271 武蔵越生 260
9 川越東 257 正智深谷 256
10 昌平 246 浦和麗明 226

今回のトップは早大本庄で、元々人気の高い学校ではありますが、トップになったのは2012年の前後期一本化以降では初めてです。県内よりも県外からの受験生が多い学校ですが、2019年度入試では県内の受験生の支持を集めています。有名大学附属校人気が反映された結果でしょう。

トップ10には元々人気の高い学校が名を連ねていて、県内私立の人気校は固定化していると言えます。前年は表に登場していなかった東京農大第三と叡明も2016年度には登場していて、昌平は前年の11位でした。なお、8位の星野は前年から希望者数が大きく減っていますが、前年に難化していて、その水準が受験生に浸透した結果でしょう。

2019年度首都圏高校入試の全体傾向

1.公立の人気低下と私立の人気上昇

首都圏の各都県とも、前年度に続いて公立の人気が下がっている傾向が見られます。前年度は、主に比較的入りやすい学校の希望者が減っていましたが、今年度は中堅レベル以上の公立高校でも、希望者減少が見られます。中堅以上の学力層の受験生の間に私立人気が広がっています。

2.東京志向の高まり

神奈川県と埼玉県の進路希望調査結果を見ると(千葉県は本記事作成時点ではまだ発表前)、県外(多くは東京)の私立高校を希望する受験生が増えていることがわかります。両県とも、全国で実施されている就学支援金のほかに、県独自の授業料等の補助制度があります。しかし、県内の私立高校だけしか適用されず、東京の私立高校に通うと国の制度の分しか支給されません。それでも都内私立を選ぶ受験生が増えているのです。この背景には、都内の有名大学附属校人気があります。2020年の大学入試改革を控え、また、有名私立大学の一般入試の定員が厳格化されていることを踏まえ、大学入試に真っ向から挑むことに不安を感じる生徒や保護者が増えているのでしょう。「高校入試の段階で、有名私立大学進学の道を確保しておきたい」という安全志向の表れです。

3.通信制私立高校の希望者が増加

首都圏の各都県では、通信制私立高校への進学を希望する生徒が増えています。少し前までは、「不登校」「健康上の理由」「学力不足」といったやむを得ない事情で選ばれるイメージのあった通信制ですが、中堅レベル以上の受験生の中にも、「積極的に通信制に行きたい」と考える人が増えているのです。

その理由の一つは、「自分らしい高校生活を送りたい」というものでしょう。全日制の公立高校の多くは、時間割や授業スピード、指導スタイル等が画一化されていますが、通信制では自身の得意不得意、興味関心にあった学習計画を立て、自由なスタイルで自主的・能動的に勉強することができます。また、時間割や通学スタイルを自由にアレンジできるので、スポーツ、芸術活動、文芸活動、ロボットづくり等々、情熱を傾けること、夢中になっていることと勉強が両立しやすくなっています。実際に、オリンピックを目指す高校生アスリートなども通信制高校を選んでいます。

また、インターネット環境やIT機器が発達したことから、いつでもどこでも動画配信で授業を受講でき、メールなどで先生とも頻繁にやりとりを行うこともできます。「大学進学には向かない」「一人で黙々と学習しなければならない」といったマイナス面が消えつつあることも、通信制高校人気に一役買っているのでしょう。

もちろん、まだ大多数の生徒は全日制を選んでおり、通信制人気は小さな波ではあります。しかし、従来型の「型にはまった」教育に一石を投じる一つの動きとして、注目を続けたいと思います。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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