上級者向け 受験マニアックス
2020年5月号 私立高校の授業料補助制度について
この記事は2020年度の情報です。最新の情報は2023年6月号をご覧ください。
国と都道府県はそれぞれ、私立高校に通う場合の授業料補助制度を設けています。今回の受験マニアックスでは、国、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県のそれぞれの補助制度の概要、年収と授業料自己負担額のシミュレーションの2020年度最新情報をご紹介します。(7月1日千葉県の補助制度、授業料支援都県比較追記)ぜひ実態を知り、活用していただければと思います。
国の就学支援金
私立高校に通う場合の国の就学支援金について紹介します。こちらは全国共通です。世帯年収が590万円(目安)までが拡充されました。590万円以上になると補助額が下がります。各都県では、国の就学支援金に上乗せする形で、独自の補助制度を設けています。
東京都の補助制度
対象:都内在住。都内に住んで近隣の県の高校に通う場合にも支給される。
年収と授業料自己負担額のシミュレーション(東京都の制度)
授業料の例 (年額) |
世帯年収 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
生活保護 | 〜250万円 | 250〜350万円 | 350〜590万円 | 590〜760万円 | 760〜910万円 | 910万円以上 | |
350,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 350,000円 |
400,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 400,000円 |
461,000円 ※年収910万円未満の世帯への 授業料補助額上限 |
0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 449,000円 |
500,000円 | 39,000円 | 39,000円 | 39,000円 | 39,000円 | 39,000円 | 39,000円 | 500,000円 |
550,000円 | 89,000円 | 89,000円 | 89,000円 | 89,000円 | 89,000円 | 89,000円 | 550,000円 |
- 2020年度の制度・データに基づく。
- 東京都内全日生私立高校平均授業料は460,546円
- 授業料以外の奨学給付金として、生活保護世帯には52,600円が、年収270万円未満の世帯には98,500円(23歳未満の扶養されている兄弟がいる場合は138,000円)が支給される。
- 年収に関わらず、都内私立高校に通う生徒を含め、私立高校生または大学生等を3人以上抱える世帯には、59,400円までの都の補助額が支給される。
神奈川県の補助制度
対象:県内在住で県内の私立高校に通う生徒。
東京都と同様に、国の就学支援金との差額分をここまで支給します、という制度です。年収750万円未満のすべての世帯に入学金補助が給付されるのが特徴で、2020年度は年収270万円までの世帯の入学金補助が10万円から20万8,000円に拡充されました。
年収と授業料自己負担額のシミュレーション(神奈川県の制度)
授業料の例 (年額) |
世帯年収 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
生活保護 | 〜250万円 | 250〜350万円 | 350〜700万円 | 700〜750万円 | 750〜910万円 | 910万円以上 | |
350,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 156,800円 | 231,200円 | 350,000円 |
400,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 206,800円 | 281,200円 | 400,000円 |
444,000円 ※年収700万円未満の世帯への 授業料補助額上限 |
0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 250,800円 | 325,200円 | 432,000円 |
460,000円 | 16,000円 | 16,000円 | 16,000円 | 16,000円 | 266,800円 | 341,200円 | 460,000円 |
500,000円 | 56,000円 | 56,000円 | 56,000円 | 56,000円 | 306,800円 | 381,200円 | 500,000円 |
- 2020年度の制度・データに基づく。
- 神奈川県内全日制私立高校平均授業料は438,684円
- 年収270万円~750万円未満の世帯には、入学金補助100,000円が別途支給される。年収270万円未満の世帯には、入学金補助208,000円が別途支給される。
- 授業料以外の奨学給付金として、生活保護世帯には52,600円が、年収270万未満の世帯には103,500円(23歳未満の扶養されている兄弟がいる場合は138,000円)が支給される。
千葉県の補助制度
対象:県内の私立高校に通う生徒。居住地は県外でも良い。
年収640万円未満の家庭には、国の就学支援金との差額で授業料が無償になるように支給され、年収640万円以上750万円未満の家庭は授業料の三分の二の額まで支給されます。固定の金額ではないため、図は県内最高額で示しています。また、年収350万円未満の家庭には15万円を上限として入学金の補助があります。
年収と授業料自己負担額のシミュレーション(千葉県の制度)
授業料の例 (年額) |
世帯年収 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生活保護 | 〜270万円 | 270〜350万円 | 350〜590万円 | 590〜640万円 | 640〜750万円 | 750〜910万円 | 910万円以上 | |
300,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 181,200円 | 300,000円 |
350,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 2,000円 | 231,200円 | 350,000円 |
400,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 52,000円 | 281,200円 | 400,000円 |
450,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 102,000円 | 331,200円 | 450,000円 |
522,000円 ※千葉県内全日制私立高校の 授業料最高額 |
0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 174,000円 | 403,200円 | 522,000円 |
- 2020年度の制度・データに基づく。
- 千葉県内全日制私立高校平均授業料は326,400円
- 年収350万円未満の世帯には、150,000円を限度として入学金の補助が別途支給される。
- 授業料以外の奨学給付金として、生活保護世帯には52,600円が、年収270万未満の世帯には103,500円(23歳未満の扶養されている兄弟がいる場合は138,000円)が支給される。
埼玉県の補助制度
対象:県内在住で県内の私立高校に通う生徒。
生活保護世帯に、授業料と国の就学支援金の差額全額が支給されるほか、年収590万円~720万円の世帯には、県内私立高校の平均授業料目安と国の就学支援金の差額分が支給されます。このほか、年収609万円未満の家庭に入学金補助が10万円、年収500万円未満の家庭には、施設費等補助20万円が給付されます。
年収と授業料自己負担額のシミュレーション(埼玉県の制度)
授業料の例 (年額) |
世帯年収 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生活保護 | 〜270万円 | 270〜500万円 | 500〜590万円 | 590〜609万円 | 609〜720万円 | 720〜910万円 | 910万円以上 | |
270,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 151,200円 | 270,000円 |
320,000円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 201,200円 | 320,000円 |
396,000円 ※年収590万円未満の世帯への 授業料補助額上限 |
0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 18,000円 | 18,000円 | 277,200円 | 378,000円 |
420,000円 | 0円 | 24,000円 | 24,000円 | 24,000円 | 42,000円 | 42,000円 | 301,200円 | 420,000円 |
470,000円 | 0円 | 74,000円 | 74,000円 | 74,000円 | 92,000円 | 92,000円 | 351,200円 | 470,000円 |
- 2020年度の制度・データに基づく。
- 埼玉県内全日制私立高校平均授業料は379,058円
- 年収609万円未満の世帯には、入学金補助100,000円が別途支給される。
- 年収500万円未満の世帯には、施設費等補助200,000円が別途支給される。
- 授業料以外の奨学給付金として、生活保護世帯には52,600円が、年収270万円未満の世帯には、103,500円(23歳未満の扶養されている兄弟がいる場合は138,000円)が支給される。
4都県の比較
以下のグラフは、国の就学支援金と合算した各都県の年収ごとの支給金額を比較したものです。埼玉県の生活保護世帯と千葉県の640万円未満は、県内最高額で示したため、高額になりますが、多くの学校はこれより低額ですから、全体としては東京都の補助制度が一番手厚いといえるでしょう。