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上級者向け 受験マニアックス

2020年4月号 2020年首都圏入試を振り返る(私立・国立高校編)

この記事は2020年度の情報です。最新の情報は2023年4月号をご覧ください。

2020年の高校入試が終了しました。今回の受験マニアックスでは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の私立・国立高校の入試状況の振り返りをご紹介します。

各校の詳しい応募者数や受験者数、応募倍率等については、添付のPDFをご覧ください。

なお公立高校の入試状況の振り返りは、前号(3月号)でご紹介しております。

首都圏全体の私立高校入試状況

以下のグラフは公立中3生徒数と私立・公立高校の応募総数の前年比較です。

公立中3生徒数と私立・公立高校の応募総数の前年比較
  • 公立中3生徒数は、東京都は学校基本調査の数値から、公立中高一貫校の在籍数を差し引き、23区と多摩に分けています。神奈川、千葉、埼玉県は進路希望調査の数値です。それぞれ公立中高一貫校の内部進学予定者は含まれていません。
  • 私立の応募者総数は編集部のアンケートのデータを合計したものです。
  • 応募者総数は、推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。公立には二次募集等は含まれていません。私立は一部、二次募集等が含まれていない場合があります。

全地域、公立中学3年生が減少していて、公立高校の応募者総数も減少となりました。私立高校の応募総数は、東京23区では生徒数の減少にもかかわらず0.2%ですが増加しました。他の地域は、生徒数の減少率以上に応募者数も減少しています。公立高校の応募総数は、多摩地区では生徒数の減少とほぼ同率の減少、それ以外の地域では生徒数の減少率よりも大きな減少となりました。

3月号でもお伝えした通り、2020年度首都圏高校入試は、公立離れと私立志向の高まりが目立った結果となりましたが、私立高校の応募者総数を見ると、東京23区以外の地域は、昨年よりも減っています。他地域から東京都心部へ受験生が流れていることが、おそらく原因の一つでしょう。中学受験でも見られる傾向ですが、挑戦志向の強い生徒たちを中心に、東京の都心部の学校へと流れています。

しかし、もちろん全員が23区の高校に向かうわけではありません。人数的には地元の学校へ行く生徒の方が多いでしょう。私立高校の応募者総数が減少している一番大きな理由には、挑戦志向の低下があります。難関校に何校もチャレンジしたり、不合格になるリスクを承知でチャレンジ校を受ける受験生が減っています。そして、推薦、単願、第一志望優遇などの制度を活用し、確実に合格を決める受験生が増えています。また、公立を第一志望とする場合も、私立は確実に合格できる1校だけ受けるケースが増えています。もともと少数派だった挑戦志向のある生徒たちが、より少数になってしまったことが、私立志向が上がっても、私立への出願が増えない一番の理由といえるでしょう。

東京都・私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

東京都私立高校の応募者数(2018年〜2020年)

地域 23区 多摩 合計
区分 入試 20年 19年応 18年応 20年 19年応 18年応 20年 19年応 18年応
速報値 募者数 募者数 速報値 募者数 募者数 速報値 募者数 募者数
男子校 推薦 1,405 1,540 1,683 - - 90 1,405 1,540 1,773
一般 6,876 7,178 7,321 246 256 343 7,122 7,434 7,664
合計 8,281 8,718 9,004 246 256 433 8,527 8,974 9,437
女子校 推薦 3,536 3,726 3,898 990 1,228 1,098 4,526 4,954 4,996
一般 4,869 5,137 4,832 1,873 2,264 2,433 6,742 7,401 7,265
合計 8,405 8,863 8,730 2,863 3,492 3,531 11,268 12,355 12,261
男女校 推薦 15,072 14,371 14,371 4,050 3,790 4,330 19,122 18,161 18,701
一般 45,338 45,017 45,875 19,774 20,263 19,835 65,112 65,280 65,710
合計 60,410 59,388 60,246 23,824 24,053 24,165 84,234 83,441 84,411
合計 推薦 20,013 19,637 19,952 5,040 5,018 5,518 25,053 24,655 25,470
一般 57,083 57,332 58,028 21,893 22,783 22,611 78,976 80,115 80,639
合計 77,096 76,969 77,980 26,933 27,801 28,129 104,029 104,770 106,109
  • 一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
  • 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。
  • 神奈川県対応の書類選考型入試は、正式には一般入試の扱いです。宝仙学園は学力試験が行われないこともあり、ここでは推薦に含んでいます。桜美林は、一昨年までは宝仙学園と同様の扱いとしていましたが、昨年からコース改編に伴って受験動向が変化したため、コースアップ試験受験生は一般入試に、同試験未受験(入学辞退)は推薦に含んで集計しています。なお、この記事の神奈川県のページでは推薦とは別に集計しています。

推薦入試・一般入試を合計した都内私立高校の応募総数は、昨年より約750件減少した約104,000件でした。地区別では、23区が微増に対して、多摩地区は900件近い減少となりました。未公表校の結果や追加入試が今後公表されるとこれらの結果に上乗せされますので、23区は昨年をさらに上回りますが、多摩地区では昨年の水準に届くのは難しいかもしれません。

冒頭にも記したように、私立高校をいくつも併願する受験生が少数派になっているため、私立志向は高まっていても応募総数は減少傾向になります。
また、面倒見の良さや実学を身に付けることを看板にした共学中堅校などで、安全に入学できる手段として推薦の人気が高くなっています。男子校や女子校で推薦の応募者が増えていないのは、共学校志向が大きな理由です。

昨年12月の埼玉県の進路希望調査の結果では、県外の高校希望者が増えており、大半は都内の私立高校を希望していました。神奈川県では、昨年10月の進路希望調査の結果よりも実際の公立高校の出願者数が減っていて、進路希望調査以降、私立高校に志望先を変更した受験生も多く見られました。そのため、県外私立高校の受験生も増えたと考えられます。千葉県は1月早々に進路希望調査が行われ、その結果では県外高校の希望者数が公表されていませんが、やはり都内私立を希望する受験生が増えている模様です。こうした県外私立高校受験生の多くが、東京都内に向かった結果、都内私立高校の応募者数は都内の生徒数の減少とは異なり、小幅ですが増加した入試だったことになります。

2.学校別の状況

応募者数が増えた学校、難関・有名校、特筆事項がある学校などについてご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈23区・男子校〉
  • 足立学園:隔年現象で、各コースの応募者数は順番通り今年は減っています。合格最低点は探究と文理が昨年並みですが、総合は上がっていて難化、学力レベルの底上げが図られています。
  • 開成:応募者数は安定していて、今年も昨年並みでした。別格の存在だからこそ受験生が限られています。合格最低点は少し下がっていますが、出題の関係でしょう。今年も高難度の入試でした。
  • 科学技術学園:各コース合計の応募者数は一昨年、昨年と増えていて、昨年並みでした。人気が一段落したようです。公立よりも面倒見が良い私立として選ぶ生徒が以前よりも増えました。難度は各コースとも昨年並みだったようです。
  • 学習院:小規模な入試の学校で、一昨年は応募者増加、昨年は減少、今年は増加と隔年的に変化しています。合格最低点は昨年並みで、難化はしなかったようです。
  • 京華:各コースの応募者数は、一昨年が大幅増、昨年も増加が続きました。今年は減って、人気が一段落したようです。S特進と特進の合格最低点は昨年並みでしたが、進学は上昇して難化、学力レベルの底上げが図られています。
  • 佼成学園:各コースの応募者数は一昨年が減っていましたが、昨年は増加、今年は減少と、隔年的な変化です。各コースとも難度に変化はなかったようです。
  • 城北:応募者数は安定していて、今年も昨年並みでした。推薦の合格最低点は昨年が上がっていましたが今年は下がっていて、出題が難化したようです。一般は昨年並みで補欠も出ており、学校としての難度はあまり変わっていないでしょう。
  • 巣鴨:小規模な入試で、一昨年は合格者の入学鉄続きを公立高校の合格発表まで延納を認める制度を実施して応募者が大きく増加しました。昨年も少し増えていて、今年も増えていますが、小規模を脱していません。しかし、今年は合格最低点が上昇、難化しました。来春からは3科5科選択にする予定で、今年と違った入試になりそうです。
  • 日本学園:特進、総合進学、スポーツの3コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は、一昨年は大幅に増えて、昨年、今年と減っています。併願受験生も多いことから、各コースの難度は昨年並みだったようです。
  • 日大豊山:各回合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていて、今年は厳密には若干減ですが、昨年並みと言ってもよい水準で、人気の低下に歯止めがかかりました。推薦入試、一般入試の他に特進入試も実施していて、一般入試は昨年並みの合格最低点でしたが、特進入試は少し下がっています。出題の関係で、難度そのものはあまり変わっていないと思われます。
  • 保善:特別進学、大進選抜、大学進学の3コース制で、今年は推薦の適性検査を3科目から英国または英数に変更しました。各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていましたが、今年は昨年並みで、人気の低下に歯止めがかかりました。推薦は科目が変わったため、得点率で比較すると各コースとも昨年並みの合格最低点、一般入試も昨年並みでしたから、難度は変わっていないようです。
  • 本郷:2021年度からの募集停止を公表していて、今回が最後の入試でした。応募者数は大きく減っていますが、最後なので仕方がないでしょう。推薦は合格最低点が下がっていますが、出題の関係だと思われます。一般は昨年並みで、難度に変化はなさそうです。
  • 明大中野:スポーツ推薦と一般合計の応募者数が一昨年、昨年と前年並みを続けていましたが、今年は増加、人気が上がっています。合格最低点も上がっていて、やや難化したかもしれません。
  • 立教池袋:小規模な入試の学校で、入試科目が英語エッセイ・英語インタビュー(スピーキング)・自己アピール面接のため、受験生も限られます。昨年に続いて応募者は少し増えていますが、やはり小規模で、難度面でもあまり変わらなかったようです。
  • 早大学院:応募者数が安定していて、一昨年、昨年、今年とほぼ同じ応募者数が続いています。2017年の慶應義塾の入試日程変更の影響はもう見られません。合格最低点は本稿執筆時点で未公表ですが、今年も高難度の入試でした。
〈23区・女子校〉
  • 江戸川女子:応募者数は一昨年が減っていて、昨年が一昨年並み、今年は再び減っています。合格最低点は各類型とも昨年と大差なく、難度に変化は見られませんでした。
  • 蒲田女子:幼児教育とキャリアの2コース制でしたが、今年は特別進学コースを新設、3コース制になりました。各コースの応募者数は一昨年が前年とともに減少して小規模な入試になりましたが、昨年は増加して小規模を脱し、今年は再び減って小規模になりました。特別進学コースは従来よりも少し高い難度だったようですが、他の2コースは昨年並みの難度だったようです。
  • 神田女学園:アドバンスト、グローバル、フューチャーの3コース制で、各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。語学教育の成果が注目されてきました。一部を除いて、全体的に合格最低点が上がっているコースや入試が多く、少しずつ難化が進んでいるようです。
  • 慶應義塾女子:推薦の応募者数が安定していて今年も昨年並みでした。一般入試はやや減りましたが、昨年やや増えた分が減った程度の小幅な変動ですから、こちらも安定的と言って差し支えないでしょう。難関校志向だけでなく、慶應義塾大学の医学部狙いの受験生も見られます。例年同様にかなり高水準の入試でした。
  • 京華女子:特進、進学の2コース制で、別途特奨入試も行っています。各入試各コース合計の応募者数は、一昨年は前年並みでしたが、昨年、今年と減少して小規模な入試になりました。合格最低点は各コースとも昨年並みで難度は変わっていないようです。2023年に向けて校舎の新築等が検討されていて、発表されれば人気も変わるかもしれません。昭和初期建築の歴史的な価値がある現校舎は保存、別途活用の予定です。
  • 下北沢成徳:各コースの応募者数は、隔年現象から今年は順番通り減っています。併願受験生が多く、各コースともあまり変わっていないようです。
  • 十文字:各コースの応募者数は隔年現象が見られた学校で、今年は増える順番でしたが減っています。合格最低点は一般2月13日のスーパー選抜と選抜が昨年並みですが、それ以外は少し上昇していて、学校としては応募者が減ることを承知でレベルアップを図ったのかもしれません。各コースとも少し難化したと考えてよいでしょう。
  • 淑徳SC:Ⅰ類S、Ⅰ類A、Ⅱ類a、Ⅱ類bの4コース制で少人数が看板の学校ですから今年も小規模な入試で、各コースの難度にもあまり大きな動きは見られませんでした。
  • 潤徳女子:特別進学コースを特進コース、総合進学コースを進学コース、美術デザインコースを美術コースに改称しましたが、実質的な違いはありません。各コースの応募者数は、一昨年、昨年と大きく増えていて、今年は昨年並みで上がった人気が維持されています。各コースの難度は特に変化はしていないようです。
  • 女子美大付属:入試でも作品提出があるなど独特な存在で、それゆえ小規模な入試ですが、一昨年、昨年と推薦・一般合計の応募者が増えていて、今年も昨年並みです。合格最低点も昨年並みで難度は特に変わっていないようです。
  • 玉川聖学院:プロテスタント系の学校。原則中高一貫、高校募集は教会からの紹介中心の小規模な入試でしたが、一般に広く高校入試をアピール方針に転換、応募者数は増加が続いています。やはり難度は昨年並みだったようです。
  • 東京家政学院:アドバンストとリベラルアーツの2コース制で、少人数指導が特色ですから今年も小規模な入試でした。両コースの難度にもあまり大きな動きは見られませんでした。
  • 東京家政大附属:各クラスの応募者数は、一昨年は前年に続いて大きく減って小規模になりましたが、昨年、今年と大きく増えて以前の人気を回復してきました。合格最低点は一般入試2月13日のⅰ(進学)クラスがやや上がっていますが、得点分布の関係でしょう。10日の入試も含め、各クラスとも難度は変わっていないようです。
  • 東京女子学園:特進と進学のコース分けを国際教養と未来創造に改編しましたが、受験生への浸透は今一つだったようで、今年も小規模な入試でした。
  • 東洋女子:昨年は各コース合計で応募者が倍増以上と大幅に増えました。理由は大幅に奨学金制度を拡充し、年収約1,000万円の世帯まで実質的に学費を無料としたためです。都内に限らず近県の生徒も対象としました。しかし、今年は応募者が減っています。一般2回を廃止したことに加え、一部には国が就学支援制度のさらなる拡充を表明したことで、この点の優位性が失われたため、とする見解もありますが、多くの受験生が学校選択に迷っていた時期は、まだ2020年度予算案が編成過程で確定情報ではなく、それよりも昨年大きく増加した反動と、特に近県の競合私立各校が面倒見のアピールを強めたことの方が大きいと思われます。合格最低点は各コースとも昨年並みでした。難度に変化は見られません。
  • トキワ松学園:隔年現象が目立つ学校で、各コースの応募者数は順番通り減って、今年は一昨年以来の小規模な入試になっています。各コースとも難度は昨年並みでしょう。
  • 豊島岡女子:隔年現象が目立っていた学校で、応募者数は昨年減っていました。今年は増える順番ですが、昨年並みでした。2022年度からの募集停止を発表したことが影響しています。推薦の合格最低点は昨年並みでしたが、帰国と一般は少し下がっています。出題との関係もあり、補欠も出していますから、やや入りやすくなったかどうか、といったところでしょう。
  • 日大豊山女子:各コースの応募者数は一昨年が大きく増加、昨年は減少、今年は増加と隔年的な変化です。合格最低点は理数Sが下がっていますが、もともと受験者数が少ないことから得点分布の関係でしょう。A特進はやや上がり、N進学は上がっています。出題難度の関係はありますが、理数Sの動きから、N進学については学力水準の底上げが図られて、少し難化したと考えるのが自然でしょう。
  • 富士見丘:グローバル、アドバンストA、アドバンストBの3コース制です。以前は普通の都立高校の併願校でしたが、グローバル化対応を強く進めています。各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年減ったため小規模な入試になりましたが、今年は増加して小規模を脱しました。各コースの難度はあまり変わっていません。
  • 文京学院大女子:5割には達しないものの比較的併設大学への内部進学率が高い学校で、理数キャリア・国際教養それぞれT・Aクラスとスポーツ科学の5コース制です。各コース推薦・合計の応募者数は昨年まで隔年現象が見られ、今年は増える順番でしたが減って小規模な入試になりました。合格最低点は各コースとも昨年並みで、難度は変わっていません。
  • 村田女子:段階的に改革を進めていて、昨年はグローバルリーダーコースを新設するなどの変更があり、今年は商業科のスーパーライセンス、ビジネスライセンスコースを募集停止とし、普通科のみとするとともに、普通科の特進コースを進学コースとして出願基準を引き下げました。各コース推薦・一般合計の応募者数は昨年並みの小規模な入試で、各コースの難度も昨年とあまり変わっていませんが、商業科主体の学校が急速に変わる途中段階ですから仕方がないでしょう。広尾学園と教育連携を行っていて2021年度は共学化、校名を「広尾学園小石川高校」に変更、休校中の併設中学の再開も予定されていますから、さらに変わった入試になるでしょう。
〈23区・男女校〉
  • 青山学院:一昨年は応募者数が少し増えて、昨年は一昨年並み、今年は再び増えていて人気が上がっています。一般入試は2月12日ですから比較的欠席が多く見られ、合格最低点は未発表ですが、今年も補欠を出していますので難度は昨年並みだったようです。
  • 岩倉:全国でも珍しい鉄道関係の教育を行う運輸科があります。一昨年、昨年と、各コースの応募者数が増えていますが、今年は昨年並みで高い人気が続いています。併願受験生が多く、難度面は各コースとも昨年とあまり変わっていないようです。
  • 上野学園:特進α、特進β、総合進学、音楽の4コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は、一昨年は増加、昨年は減って今年は増加と、隔年的な変化になってきました。合格最低点は、合格者が少ないコース・回次を中心に、一部上下が見られますが、総じて各コースとも昨年並みの難度だったようです。
  • かえつ有明:グローバル対応が有名な学校ですが中高一貫が中心で高校募集は小規模です。推薦・一般合計の応募者数は昨年並みですが、合格最低点は上昇、高学力生の受験が増えたようで少し難化したようです。
  • 錦城学園:一昨年は応募者数が少し減っていましたが、昨年は2倍以上と大きく増えて、今年は昨年並みです。もともと男子校から共学化した学校で、女子の方がやや高学力の学校でしたが、今年もその傾向は変わっていません。合格最低点は併願優遇や推薦は昨年並みですが、フリー受験は上がっていて、少し難化したようです。
  • 共栄学園:特進、進学の2コース制で、両コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年が増加、昨年は厳密には少し減ったものの、一昨年並みと言ってよい状態でしたが、今年は減っています。併願受験生が他校に流れたのかもしれません。合格最低点は両コースとも昨年並みで、難度に変化は見られませんでした。
  • 京華商業:一昨年は推薦・一般合計の応募者数が減少、昨年、今年は前年並みが続いています。全体的な商業系の人気低迷の影響を受けている中では健闘していると言えるかもしれません。合格最低点は昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 國學院:一般入試を3回に増やして大人気になり、一昨年も応募者数はやや増加、昨年も一昨年並みでしたが、今年は減りました。人気が一段落したのでしょう。1回と2回は合格最低点が少し下がっていて、少し入りやすくなったかもしれません。3回は昨年並みでした。
  • 國學院久我山:一昨年は応募者が減少、昨年は少し減りましたが概ね昨年並み、今年も昨年並みでした。合格最低点は男子文系が少し下がってやや入りやすくなったようですが、男女の理系は昨年並みで難度変化は見られません。
  • 駒込:今年は理系先進、国際教養コースで推薦と一般入試の科目を一部変更しましたが、一般入試では選択でポートフォリオによる特色入試を実施しました。21世紀型学力観や、大学入試改革で中教審が示した方向性を強く意識したものです。応募者数は、一昨年は減りましたが、昨年は一昨年並み、今年は増えています。難度面では各コースとも昨年並みだったようです。
  • 駒澤大学:推薦・一般合計の応募者数が一昨年は少し減って、昨年は一昨年並み、今年は増えました。一昨年は桐蔭学園の影響を受けての減少でしたが、人気は回復してきました。合格最低点は昨年並みで、難度に変化はなさそうです。
  • 駒場学園:特進、国際、進学、食物調理の4コース制です。一昨年は各コース推薦・一般合計の応募者の減少が目立ち、昨年も一昨年並みの応募者数でしたが、人気が反転して今年は大きく増えました。増加の中心は進学コースです。併願受験生が多いことから、難度面では各コースとも昨年並みだったようです。
  • 桜丘:特待、特進、クリエイティブリーダーズ(CL)の4コース制で、今年は特待入試と特進入試を一本化しました。一昨年までCLコースでは選択で思考力入試も行っていましたが、高校入試では定着せず、今年の変更で3科または5科の選択だけに統一されました。一昨年は各コース推薦・一般合計の応募者数が増加、昨年は一昨年並み、今年は減っています。併願受験生が他校に流れたのかもしれません。特待認定も含め、合格最低点は各コースとも一般併願が少し下がっていますが出題の関係でしょう。1月の推薦はあまり変わっておらず、各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 品川翔英:小野学園女子から校名を「品川翔英」に変更して、共学化しました。各コースの応募者数は昨年の4.4倍と、大幅に増えています。入試問題も変わったため、合格最低点の単純比較はできませんが、特進・総進は昨年と並みの難度で、国際教養、理数選抜は特進よりも1ランク上の難度だったようです。
  • 芝浦工大附属:以前は板橋に校舎があった男子校でしたが、豊洲に移転してから女子クラスを新設、1年次は別学で2年時から共学になっています。高校入学生は内部進学率が高い学校です。応募者数は、一昨年が前年並み、昨年は男女とも増加して小規模を脱しましたが、今年は昨年の反動で減少、再び小規模になっています。今年は一般入試を2月10日動かして他校と併願しにくくなったことが理由で、男子の減少が目立ちました。合格最低点は下がって、少し入りやすくなったようです。なお、来春から同校は併設中学を共学化しますが、高校募集は現在のスタイルを維持する予定です。
  • 淑徳:一昨年は各コースの応募者数が減少、昨年は一昨年並みでしたが、今年は増えました。以前は進学校としての評価が上がって難化したため、少し敬遠ムードが見られましたが払拭したようです。両コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 淑徳巣鴨:隔年現象が目立つ学校で、今年は順番通り応募者数が減っています。アルティメットとプレミアムは合格基準点が引き上げられたようで、少し難化していますが、他の各コースは昨年並みで、難度は特に変化していません。
  • 順天:一昨年、特進の募集を停止したことからイメージアップが図られて、各コースの応募者数は大きく増えましたが、昨年は減って、今年は千葉・埼玉向けの推薦入試を増設したこともあって再び大きく増えました。併願受験生が多いことから、各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 城西大城西:一昨年、昨年と応募者数の増加が続いていましたが、今年は出願基準等の運用を厳しくしたようで、減っています。ただ、合格最低点も昨年とあまり変わっておらず、難度面は昨年とあまり変わっていないようです。
  • 昭和第一:一昨年まで安定した応募者数でしたが、昨年は増加、今年は昨年の反動からか減っています。各コースとも合格最低点は昨年並みで、難度は特に変化していないようです。
  • 杉並学院:昨年まで隔年現象で応募者数が増減していて、今年は減る順番でしたが、昨年並みとなりました。人気が上がっているようです。合格最低点は各コースとも昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 駿台学園:一昨年は応募者数が減っていましたが、昨年は増加、今年は減って隔年的な変化になってきました。各コースとも併願受験生が多いこともあって、難度はあまり変わらなかったようです。
  • 成城学園:中高一貫色が強く、一昨年応募者が減ってからは小規模な入試になっています。応募者数は昨年並みで、補欠も出ていますから難度に変化はなさそうです。
  • 正則:一昨年は推薦・一般合計の応募者数が増加、昨年は大きく減って、今年も減っています。昨年の減少はキャパシティの関係で入学者を絞ったためですが、その影響が今年も続いています。合格最低点は昨年並みで、難度は変わっていません。
  • 青稜:一昨年の応募者数は前年並み、昨年、今年は少し減っています。中高一貫色が強く、高校受験生が少し引いているのかもしれません。合格最低点は昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 専修大附属:一昨年、昨年、今年と応募者数の増加が続いて人気が上がっています。合格最低点は昨年並みですから、難度はあまり変わらず、ボーダーライン付近が厳しくなった入試でした。
  • 大東学園:普通、福祉の2コース制です。一昨年まで各コース推薦・一般合計の応募者数は安定して推移していましたが、昨年は減って今年はやや増えました。難度は両コースとも変わらなかったようです。
  • 大東文化大第一:特進、選進、進学の3コース制で、今年は一般併願を3科5科選択から3科のみに変更しました。都内ではなかなか5科入試は定着しにくいようです。各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年が増加、昨年は一昨年並みで、今年はやや増えていますが昨年並みと言ってもよい水準ですから人気は安定しています。やはり併願受験生が多く、難度面は各コースともあまり変わっていないようです。
  • 多摩大目黒:一昨年、昨年と応募者が増えていましたが、今年は人気が反転、減りました。併願受験生が他校に流れたのかもしれません。難度面はあまり変わっていないようです。
  • 中央学院大中央:各コースの応募者数は一昨年が前年並みでしたが、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。併願受験生が多く、各コースとも昨年並みの難度でしょう。
  • 中央大学:一昨年、昨年と応募者数は少しずつ増えていましたが、今年はまとまって増えました。人気が上がっています。合格最低点は男女とも昨年並みですから、難度面はあまり変わらず、ボーダーライン付近が厳しくなった入試でした。
  • 中央大学杉並:応募者数は一昨年、昨年と、男子を中心に増加していましたが、今年は男女とも増えています。一昨年、昨年の男子の増加は2017年の慶應義塾の日程移動の影響の回復過程でしたが、今年の状況を見ると、影響は脱したようで、同校自身の人気による応募者の増加です。一般入試の合格最低点は昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 帝京大帝京:各コースの応募者数は一昨年まで減っていましたが、昨年、今年と増加しています。学校によれば不透明な大学入試改革が理由ではないか、とのことです。各コースとも合格最低点は昨年とあまり変わらず、難度に変化は見られません。
  • 東京:一般2回を5科から1科選択とし、3科から1科選択の3回を新設しました。翠嵐・一般合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていましたが、今年はこうした施策が功を奏して増加しました。合格最低点は昨年並みで難度に変化は見られません。
  • 東京実業:文理、ビジネス、機械、電気、ゲームITの5コース制で、同校も各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていましたが、同校は今年も減っています、専門系の比重が高く、人気に陰りが出ているのでしょう。各コースとも難度はあまり変わっていないようです。
  • 東京成徳大:特進、進学選抜、進学の3コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は昨年まで減少が続いていましたが、今年は少し増えて人気の低下に歯止めがかかりました。合格最低点は各コース各回とほぼ昨年と同じで、難度に変化は見られませんでした。
  • 東京都市大等々力:中高一貫色が強く、好調な進学実績から難化が進むにつれて高校募集が縮小、推薦入試を廃止したこともあって小規模な入試になりましたが、昨年、今年と応募者が再び増加、小規模を脱しました。少し難化したようです。
  • 東京農大第一:応募者数は一昨年が増加、昨年が一昨年並み、今年は再び増加して人気が上がっています。一般入試は合格最低点が上がり、少し難化したかもしれません。
  • 東洋:各コースの応募者数は一昨年まで安定していましたが、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。合格最低点は各コースとも上がっています。少し得点しやすい出題だった面はありますが、全体にやや難化しているようです。
  • 東洋大京北:一昨年の応募者数は前年の約8割増、昨年は一昨年並み、今年は再び約5割増と、段階的に大きく増えています。2015年に男子校から共学化した学校で、以前の京北高校のイメージはもうありません。今年の増加は併願優遇入試を増やしたことが一因ですが、学校の好イメージが前提です。難度面では少し難化しているようです。
  • 豊島学院:スーパー特進、特進、選抜進学、普通進学の4コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年が減少、昨年、今年と前年並みが続いています。一昨年、スーパー特進コースを新設したことによる難化敬遠ムードはまだあまり解消されていないようです。合格最低点はスーパー特進と特進が昨年並みですが、選抜進学と普通進学は少し下がっていて、少し入りやすくなったようです。
  • 二松学舎大附属:特進、進学の2コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年が大幅に増加、昨年、今年と減っています。人気が一段落したように見えますが、キャパシティの関係で入学者を絞るべく出願基準を厳しくしたことが減少の理由です。合格最低点が下がっていますが、入りやすくなったわけではなく、出題が得点しにくくなった影響で、かえって少し難化したかもしれません。
  • 日大櫻丘:今年は2月12日に一般入試Bを新設、10日のAとあわせて2回実施にしました。各コースの応募者数は一昨年が減少、昨年は一昨年並みてせしたが、今年は大幅に増えています。併願の組み合わせが増えたことを歓迎する受験生に支持されています。本稿執筆時点で合格最低点は未公表ですが、各コースとも少し難化したかもしれません。
  • 日本工大駒場:隔年現象が目立つ学校で、今年は順番通り各コースの応募者数が減りました。併願受験生が多く、募集定員を削減したコースもあって、各コースとも難度は変わっていないようです。もともと工業高校に後から普通科ができた学校ですが、来春からは工業系のコースを募集停止とし、進学カラーを強めますので、今年とは違った入試になるでしょう。
  • 日体大荏原:アカデミック、総合、体育の3コース制でしたが、今年は総合コースを進学コースに改称しています。今年は各コース推薦・一般合計の応募者が増えています。一昨年は減少、昨年は一昨年並みでしたから、人気が上がっています。難度面では各コースとも昨年並みでしょう。
  • 広尾学園:昨年は入りやすかった本科の募集を停止したため、応募者は半減しました。中高一貫が主体で、高校入学は最上位生レベルに絞る、というわけです。今年は応募者が増加、医進・サイエンスの合格最低点は上がって難化しています。インターナショナルは性格上合格最低点が未公表ですが、こちらも難度は高めだったようです。
  • 文化学園大杉並:一昨年は共学化で各コースの応募者数は増加、昨年も人気が続いて増加しましたが、今年は人気が一段落して減っています。入試科目が特殊なダブルディプロマは昨年並みの難度、特進と進学も合格最低点は昨年と変わらず、難度は変わっていません。
  • 宝仙学園:共学部理数インターと女子部保育の2コース募集です。共学部は、一昨年は推薦・一般合計の応募者が増えていましたが、昨年は一昨年並み、今年は減っています。通常の3科の他に日本語リスニングとプレゼンテーションといったユニークな入試も実施していますが、高校入試ではなかなか受験生に浸透していないようです。難度面は昨年とあまり変わっていないようです。女子部は昨年、進学コースの募集を停止して保育コースのみ、しかも1クラスのみの募集です。推薦・一般合計の応募者数は昨年並みですが、今年は一般入試の学力テストを廃止してプレゼンに切り替えましたので、難度のコメントは控えます。
  • 豊南:特進、選抜、進学の3コース制で、応募者数の隔年現象が見られる学校で、昨年は減りましたが小幅、今年は増える順番で、やはり小幅の増加で安定傾向が強くなってきました。合格最低点は特進、選抜は昨年並み、進学は一般1回が上昇、他の回は昨年並みです。一般1回は都内生の一般入試第一志望や併願優遇が多く、学力面で底上げを図ったようです。進学の他の回は昨年並みで、難度に変化はなかったようです。
  • 武蔵野:特進ステージ、進学ステージの2コース制で、各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていましたが、今年は大きく増えました。昨年は減った併願の男子受験生が戻ってきただけでなく、女子も増えて人気が回復しました。併願が多く、難度面は両コースとも変わっていないようです。
  • 武蔵野大千代田:一昨年、女子校から共学化した学校。共学の国際バカロレア(IB)、文理探究(IQ)、グローバルアスリート(GA)の3コースは国際性を強く意識した内容になっていることもあって、一般的な公立高校併願の受験生は少なく、小規模な入試でしたが、特にリベラルアーツ(LA)コースが共学化したことで、公立併願受験生が出願しやすくなっていて、今年は大幅に応募者が増加しました。各コースの合計では昨年の2.5倍になって、小規模な入試を脱却しました。新設のメディカルサイエンス(MS)はIQ並みの難度だったようですが、他のコースは昨年とあまり変わっていないようです。
  • 明治学院:プロテスタント校。昨年は例年の一般入試1回の2月10日が日曜日だったため、11日に移しましたが、今年は10日に戻しました。影響は一般1回ほど大きくはありませんが、推薦や一般2回も日程を動かしています。応募者数は、一昨年は減っていましたが、昨年は少し増えて、今年はまとまって増えました。推薦と一般2回の増加が目立ちます。本稿執筆時点で合格最低点は未公表ですが、2回は難化したかもしれません。1回は昨年並みの難度でしょう。
  • 目黒学院:各コースの応募者数は、一昨年がやや減っていて、昨年は大きく増加、今年は減って隔年的な変化です。難度面では各コースとも併願の受験生が多いことから、あまり変化していないようです。
  • 目黒日本大学:2019年度から日大の準付属校になり、校名を日出から変更、日大に内部進学できるようになりました。昨年は各コースの応募者数はあまり変わりませんでしたが、出願基準の引き上げで難化した入試でした。今年も応募者数は昨年並みで、各コースの難度も昨年並みだったようです。
  • 目白研心:スーパーイングリッシュ、特進、総合の3コース制です。一昨年、昨年と各コース推薦・一般合計の応募者数が減っていましたが、今年は人気が反転、増加しました。難度面では各コースとも昨年とあまり変わっていないようです。
  • 安田学園:各コースの応募者数は、一昨年は少し増えて昨年は減少、今年は再び増えました。S特待入試を一般入試に変更したことも増加の理由です。合格最低点は各コースとも昨年並みで、難度に変化はなかったようです。
〈多摩地区・男子校〉
  • 桐朋:明法が共学化したため、多摩地区唯一の男子校になりました。一昨年は前年に慶應義塾の入試日程変更の影響で減った応募者数が回復、昨年、今年と前年並みの応募者数が続いていますが、合格最低点は上がっています。昨年下がったので揺り戻しでしょう。少し難化したかもしれません。
〈多摩地区・女子校〉
  • 共立女子第二:特進(AP)、総合進学(S)の2コース制で、昨年は応募者が少し増えましたが、今年は減っています。合格最低点は昨年並みでしたが、学校によれば学力上位の受験生が増えたとのことです。
  • 駒沢学園女子:各コースの応募者数は一昨年がやや増加、昨年は倍増の人気でしたが、今年は一段落したようで減っています。以前は小規模な入試の学校でしたが、今年は応募者が減っても小規模には戻っていません。各コースともに難度は昨年とあまり変わっていないようです。
  • 白梅学園:一昨年、各コースの応募者数が減っていましたが、昨年は増加、今年は少し減って隔年的な変化です。減少の中心は一般入試の進学各コースで、併願受験生が他校に流れたのかもしれません。難度面は各コースともあまり変わっていないようです。
  • 藤村女子:今年は進学コースを総合進学コースアドバンストクラスに、総合コースを総合進学コースグローアップクラスに変更し、S特、特進、総合進学アドバンスト、総合進学グローアップ、スポーツ科学特進、スポーツ科学の6コース制になりました。総合コースでも進学カラーを強めようという狙いがあります。一昨年は各コース合計の応募者数が少し増えて、昨年は一昨年並み、今年は減っていて、受験生にコースの改称の浸透が不十分だったのかもしれません。同校も各コースとも、難度は昨年並みでしょう。
  • 文華女子:選抜・進学の2コース制です。両コース合計の応募者数は、一昨年が増加、昨年は減少、今年は昨年並み、厳密には若干減でした。併願優遇の受験生が多いこともあって、両コースとも難度はあまり変わっていないようです。
〈多摩地区・男女校〉
  • 桜美林:推薦入試を廃止したときに増設した一般入試を、2回に減らしました。各回合計の応募者数は一昨年が大きく減っていましたが、昨年は大幅増加、今年も少し増えています。入試回数を減らしても応募者が増えるのは人気の表れです。合格最低点は各コースとも昨年並みで、難度に変化はなかったようです。
  • 錦城:応募者数は、一昨年は少し減っていましたが、昨年は2倍以上と大きく増えて、今年は昨年並みです。もともと男子校から共学化した学校で、女子の方がやや高学力の学校でしたが、今年もその傾向は変わっていません。合格最低点は併願優遇や推薦は昨年並みですが、フリー受験は上がっていて、少し難化したようです。
  • 啓明学園:一昨年は推薦・一般合計の応募者が増えていましたが、昨年、今年と減っています。広報活動が強化されて応募者の増加が見られましたが、人気が一段落したのでしょう。難度面は昨年と変わっていないようです。
  • 工学院大附属:グローバル化対応を強く打ち出していて、一昨年は各コース合計の応募者数が大幅に減り、昨年も少し減りましたが、今年は大きく増えました。学校の方針が地域に浸透してきたからでしょう。合格最低点はコースによって上下いろいろありますが、入りやすいハイブリッド文理は2回の一般入試とも上昇していて、全体に難度が少し上がった入試でした。
  • 国際基督教大:プロテスタントの学校で日曜日には教会へ行くルールがあり、昨年は日曜日に重なったため、一般入試を例年の2月10日から11日に動かしましたが、今年は10日に戻しました。一昨年は応募者が減りましたが、昨年は少し増えて、今年は再び減っています。昨年増えた一般入試が今年の減少の中心です。本稿執筆時点で合格最低点は未公表ですが、もともと高難度ですから入りやすくなることはなかったでしょう。
  • サレジオ高専:全国で3校しかない私立の高専のサレジオ高専は、昨年は応募者が減っていましたが今年は増えています。性格上、難度はあまり変わっていないようです。
  • 聖徳学園:ICTの多用で有名な同校は、難関国公立、文理進学の2コース制です。各コース推薦・一般合計の応募者数は、一昨年まで増加が続いていましたが、昨年は減少、今年は厳密には若干減ですが、昨年並みと言ってよいでしょう。難度面では両各コースとも昨年並みでした。
  • 成蹊:安定した応募者数が続いていましたが、昨年、今年の応募者数は減って、小規模な入試になっています。推薦は昨年新設したものですが、高倍率が予想されたことや、併願受験生が他校に流れたことなどが理由でしょう。一般入試の合格最低点は男子が昨年並み、女子はやや下がっていますが、入りやすくなるほどではありません。
  • 聖パウロ学園:各コースの応募者数は昨年増加して小規模な入試を脱しましたが、今年は少し減って小規模な入試でした。難度面では各コースともあまり変わっていないようです。
  • 大成:特別進学、文理進学、情報進学の3コース制で、各コース推薦・一般合計の応募者数は一昨年、昨年と減りましたが、今年は昨年並みで人気の低下に歯止めがかかりました。合格最低点は換算されるためわかりにくいのですが、併願受験生も多く、各コースの難度はあまり変わっていないようです。
  • 中大附属:一昨年、昨年の応募者の増加が続いていましたが、今年は減っています。昨年の高倍率が敬遠されたのでしょう。人気は一段落です。一般入試の実質倍率は緩和しましたが、難度面ではやや入りやすくなったかどうか、といったところでしょう。
  • 帝京大学:一昨年が応募者減、昨年は一昨年並みで、今年は少し減りました。推薦を実施しておらず、少し敬遠傾向が出ているのかもしれません。合格最低点も下がっていて、少し入りやすくなったかもしれません。
  • 東京電機大:一昨年は応募者数が増えていて、昨年は一昨年並み、今年は減っています。理工系に力を入れている学校ですが、校名から理工系だけ、という印象を持たれている面もあるでしょう。一般入試の合格最低点は男女とも下がっていて、少し入りやすくなったかもしれません。
  • 八王子学園:各コース合計の応募者数は一昨年が少し減っていて、昨年は一昨年並み、今年は再び少し減っています。中高一貫のカラーが少しずつ強まってきてことが影響しているのかもしれません。合格最低点(同校ではBラインと呼称)は各コース第一志望、併願とも昨年並みで、難度も昨年並みでした。
  • 八王子実践:各コースの応募者数は、一昨年が前年並み、昨年は減りましたが、今年は大きく増えました。一部で出願基準をこき上げていますが、新しいコース制を歓迎する受験生が多いのでしょう。難度面では特進選抜は特進よりも少し上の難度、他のコースは昨年とあまり変わっていないようです。
  • 法政大学:一昨年は応募者数が大幅に増加、昨年、今年と減っています。合格最低点は推薦が男女とも昨年並み、一般は女子が昨年並み、男子はやや下がっていますが、入りやすくなるほどではなく、難度は昨年並みでしょう。
  • 武蔵野大学:昨年、校名を「武蔵野女子学院」から「武蔵野大学高等学校」に改称し、コースも改編しました。今年はハイグレード選抜コースをさらにハイグレードコースに、インターナショナルコースはPBLインターナショナルコースに変更しました。2段階で以前の体制から新体制に切り替えを図っています。各コース合計の応募者数は2.6倍に増えました。応募者数の最多は本科コースで、A推薦だけで本科コース全体の募集定員を大きく上回る人気です。合格最低点は、各コースとも昨年より少し下がっていますが、共学化で出題をかなり変えたのでしょう。難度はあまり変わっていないようです。
  • 明大中野八王子:一昨年が応募者大幅増加、昨年は減っていて、今年は再び増加しました。明大明治から流れた受験生も見られました。合格最低点は推薦、一般とも昨年並みで、難度に変化はなさそうです。
  • 明大明治:今年から男女別定員に変更しました。女子の人気が高まるにつれて、合格者の男女の得点力差が目立つようになったため、男女の人数のアンバランスを抑える目的でしょう。応募者数は一昨年、昨年と前年並みが続きましたが、今年は減っています。男子の減少の方が多いのですが、女子も含めて男女別定員で不利になると考えた受験生がいたのでしょう。合格最低点は推薦が男女とも昨年並み、一般は男女とも下がっていて、男子の下がり幅が大きくなっています。男子は少し入りやすくなっていて、女子もやや入りやすくなったかもしれません。
  • 明星:昨年に続いて今年も応募者の増加が目立ちます。人気が上がっています。併願受験生も多いようで、各コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 明法:中高一貫の男子校でしたが、2019年度から高校のみ共学化しました。グローバルサイエンス(MGS)と本科の2コース制ですが、今年はMGSに特待のS-MGSの合格ランクを作りました。一昨年、昨年と各コースの応募者が増えましたが、今年は減って、人気が一段落しました。併願受験生が多く、MGS、本科とも難度は昨年並みだったようです。
  • 早稲田実業:一昨年は応募者が減り、昨年は増えて今年は再び少し減って隔年的な変化です。男子が減少の中心で、今年は早大学院や慶應技術に流れた受験生が少し多かったのかもしれません。合格最低点は男女とも昨年並みで、今年も高難度の入試でした。
  • 推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。一部、二次募集等が含まれていない場合があります。

神奈川県・私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

神奈川県私立高校の応募者数(2016年〜2020年)

区分 推薦入試 一般入試
年度 20速報 19年 18年 17年 16年 20速報 19年 18年 17年 16年
男子校 302 501 417 371 445 2,436 2,661 2,911 2,780 3,336
女子校 699 700 721 633 673 1,240 1,503 2,071 2,110 2,289
共学別学校 4,414 4,078 3,834 3,579 3,579 31,235 33,458 34,800 36,677 37,455
合計 5,415 5,279 4,972 4,583 4,697 34,911 37,622 39,782 41,567 43,080
区分 書類選考入試 オープン入試
年度 20速報 19年 18年 17年 16年 20速報 19年 18年 17年 16年
男子校 650 1,089 801 771 853 183 240 181 207 158
女子校 599 475 481 567 492 145 117 108 106 123
共学別学校 9,805 8,829 8,423 5,716 5,302 1,822 1,831 2,250 1,656 1,797
合計 11,054 10,393 9,705 7,054 6,647 2,150 2,188 2,539 1,969 2,078
区分 合計 オープン入試は、オープンやフリーと銘打った入試をカウントしていて、以前はオープンと銘打たなかったのに、現在はオープンと銘打つようになった学校は、その時点からオープンに含めており、慶應義塾のようにオープン型でもオープンと銘打たない学校は一般入試として集計しています。
年度 20速報 19年 18年 17年 16年
男子校 3,571 4,491 4,310 4,129 4,792
女子校 2,683 2,795 3,381 3,416 3,577
共学別学校 47,276 48,196 49,307 47,628 48,133
合計 53,530 55,482 56,998 55,173 56,502
  • 一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
  • 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

推薦・一般・書類選考・オープンを合計した県内私立高校の応募者数は、昨年より約2,000名減っていて、公立中学校の卒業者数の減少以上に、私立高校の応募者数が減っています。神奈川県では一部の難関・上位校の一般入試とオープン入試を除いて、基本的に私立複数校受験は認められていませんから、実際の受験者数も増えていないことになります。公立高校も受験者数は減っていて、マニアックス前号で紹介したように今年も定員割れの学校が出ています。

では、公立離れが進み私立志向が上がっているにも関わらず、私立高校の応募者数が減っているのはなぜでしょうか。県内ではなく都内の私立高校を選ぶ受験生が増えているためでしょう。中学受験でも見られる傾向ですが、特に挑戦志向の強い生徒たちが、東京の都心部へと流れています。

神奈川県では「書類選考」という入試が一般入試の中の1つの形態として確立しています。高校が求める基準(基本的には内申で)をクリアして出願をすれば、学科試験はもちろん、面接もない(三浦学苑のみ面接あり)入試のため、試験を受けに学校に行く必要はありません。中学校の評価を信頼します、というもので、出願したら自動的に合格します。また、今年は推薦入試でも書類選考を実施する学校が表れました。神奈川県の推薦入試は、ルール上学力テストは実施しませんが、作文などを課す学校は少数派で、多くの学校が面接のみです。書類選考の実施により、その面接も実施しない、ということになります。応募者数が昨年より約2,000名減っているのに対して、受験者数は約2,600名減っており、その差の分が書類選考の増加になります。

書類選考入試の広がりによって、入試直前まで一生懸命勉強するというスタイルは決して多数派とは言えないのが現状です。日常の学校生活の延長線上で自分のレベルに合った学校を受験し、併願の学校もおさえた状態で高校受験を臨んでいます。神奈川県の書類選考入試の増加には、他地域同様に挑戦志向の低下、あるいはリスクを避けようとする動きのあらわれと見てもらえればと思います。

2.学校別の状況

応募者数が増えた学校、難関・有名校、特筆事項がある学校などについてご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈神奈川県・男子校〉
  • 鎌倉学園:応募者数は、一昨年、昨年と増加が続きましたが、今年は減っていて、人気が一段落しました。書類選考が減少の中心です。合格最低点は下がっていて、出題の関係もありますが、少し入りやすくなったかもしれません。
  • 慶應義塾:2017年に一般1次を2月10日に変更して応募者が激減、一昨年は少し回復、昨年は減って、今年は昨年並みでした。日程変更で早大学院などとの併願ができなくなり、難関校受験生の挑戦先は分散しています。合格最低点は公表されていませんが、今年は海外体験などで優れた受験生が多かったようで、2次を受験した帰国生は全員合格しています。難度面では昨年並みで、今年も高水準でした。
〈神奈川県・女子校〉
  • 英理女子学院:「高木学園女子」から昨年改称し、理系教育や国際教育の重視、難関大学進学対応など、新しいタイプのコースを新設しました。今年は昨年並みの応募者数ですが、内訳をみるとiグローバル部が増加、キャリア部各コースが減少しての昨年並みです。iグローバル部は昨年並みの合格最低点で難度に変化は見られません。キャリア部も各コースとも入試相談が中心ですから昨年並みの難度でしょう。
  • 鎌倉女子大:国際教養コースを新設、在来のコースはプログレスとして、2コース制に改編しました。応募者数は、一昨年は前年並み、昨年は減って小規模な入試になりましたが、今年はコース改編が歓迎されたようで増加、小規模を脱しました。難度面では、プログレスは昨年並み、国際教養は1ランク上の難度だったようです。
  • 相模女子大:特進、進学の2コース制で、各コース推薦・一般の応募者数は一昨年が増加、昨年が大きく減少、今年は昨年並みですが厳密には若干減っています。併願受験生が共学の他校に流れているのかもしれません。両コースとも入試相談が中心ですから、難度はあまり変化していないようです。
  • 日本女子大附属:一般入試はオープンのみを行っている学校です。応募者数は、一昨年、昨年と増加しましたが今年は減っていて、小規模な入試になっています。人気は一段落しました。合格最低点も下がって、少し入りやすくなったようです。
  • 緑ヶ丘女子:昨年、各コース推薦・一般合計の応募者が減って小規模になりました。今年は少し増えていますが小規模のままです。聖和学院は以前から小規模な入試の学校で、今年も変わりませんでした。両校の各コースとも難度に変化がなかったようです。
〈神奈川県・男女校〉
  • 麻布大附属:各コースの応募者数は、一昨年は桐蔭学園の影響も受けて減少が目立ちましたが、昨年は大きく増加、今年は昨年並みで人気を維持しています。難度面では大多数が入試相談の受験生ですから、各コースとも難度は昨年並みですが、2回実施されたオープン入試は進学コース合格も含めて高倍率で厳しい入試になっています。
  • 柏木学園:各コースの応募者数は一昨年まで安定していましたが、昨年は増加、今年は昨年並みで、上がった人気を維持しました。入試相談が前提ですから、各コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 慶應湘南藤沢:帰国生と首都圏以外在住者向けの一般入試のみで、地元の通常の受験生は出願できません。応募者数は一昨年が大きく減少、昨年は一昨年並みで、今年は増えました。帰国生の男子と全国枠の女子が増えています。合格最低点は本稿執筆時点で未公表ですが、今年も高水準で厳しい入試でした。
  • 湘南工科大附属:一昨年は各コースの応募者数が前年並み、昨年は増えて、今年は少し減りました。併願受験生が少し他校に流れたのかもしれません。各コースの難度は昨年並みだったようです。
  • 立花学園:各コースの応募者数は、一昨年は前年並み、昨年は増加、今年は昨年並みで人気を維持しました。小田急沿線から広く受験生が集まるようになってきたようです。やはり各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 中大附属横浜:一昨年は応募者数が大きく減っていて、昨年は大きく増加、今年は昨年並みでした。今年は募集定員を削減したのに応募者は減っていませんから、高い人気が続いています。オープン入試は実質倍率が上昇しましたが、合格最低点は昨年並みで、難度そのものはあまり変わらないものの、ボーダーライン付近が厳しくなったようです。
  • 桐蔭学園:一昨年、男子部・女子部を統合して共学化、コースもプログレス、アドバンス、スタンダードの3コースに改編して大人気になり、各コース合計の応募者数は5千人を超えて、県内や都内では桐蔭学園に受験生が流れて応募者が減った学校も見られました。昨年はレベルアップを図って出願基準を引き上げたため、各コース推薦・一般合計の応募者は大きく減りましたが、今年も減っています。それでも3千名近い応募者数は県内トップです。プログレスは出願基準が変わっていませんが、アドバスとスタンダードは今年も引き上げられていて、オープン入試は実質倍率が緩和していますが、プログレスは昨年並みの難度、アドバスとスタンダードは少し難化した入試でした。
  • 桐光学園:男女別学で、推薦入試は行っていません。一般入試もオープンです。一昨年は男女合計で前年並みの応募者数で、桐蔭学園の改革の影響は受けず、昨年は応募者が増加、今年は昨年並みで、人気は少しずつ上がっているようです。1回は男女とも合格最低点が上昇、2回はやや下がったものの昨年並みと言ってよい水準ですから、今年の1回は少し得点しやすい出題だったのでしょう。難度は男女とも昨年並みだったようです。
  • 日大藤沢:一昨年は推薦・一般合計の応募者数が少し増えていましたが、昨年は大きく減って、今年は増えました。入試相談中心ですから、難度はあまり変わっていないようです。
  • 日本大学(日吉):各コースの応募者数は、一昨年が前年並み、昨年は減りましたが、今年は大きく増加しました。他の難関大学の附属校が難化する中で、同校に志望を変更する受験生も増えています。各コースの合格最低点は昨年並みで、難度はあまり変化していないようです。
  • 法政大第二:推薦は行わず、一般入試で書類選考と学科です。一昨年は応募者数が男女とも前年並み、昨年は減っていて、男子は今年も少し減りましたが、女子は若干増えています。共学になってから5年目ですが、女子が入ってくることで男子の難化が続いているイメージがあり、少し敬遠されているのかもしれません。学科入試の合格最低点はやや上がっていますが、難化したというほどではなかったと思われます。
  • 法政大国際:一昨年、共学化し、国際バカロレアのコースもつくりました。推薦入試は行っておらず、第一志望の書類選考と一般入試です。共学化時にグローバル色が大変強くなったことから、一昨年は共学化にもかかわらず各コース合計の応募者数が減少しましたが、昨年、今年と少しずつ増えていて、認知度が高まってきました。今年は学科入試の合格最低点が上昇、少し難化したようです。
  • 山手学院:各コース合計の応募者数は、一昨年は前年並み、昨年は増加、今年は減っています。昨年は人気が上がりましたが、書類選考を行っていないため、避けるムードも少し見られます。オープンの合格最低点は昨年並みですから、理数・普通とも難度はあまり変わっていないようです。
  • 横須賀学院:選抜コースをS選抜に、進学コースをA進学に改称しました。2コース制は変わっていません。各コース推薦・一般合計の応募者数は昨年まで隔年現象が目立っていて、応募者が増えていました。今年は減る順番ですが、さらに少し増えて人気が上がっています。ただ、オープンのアビリティ入試は減っていて、入試相談を経た入試を選ぶ受験生が多数派です。改称しましたが、各コースとも難度は昨年並みでしょう。
  • 横浜:共学化と同時にコース名を特進はプレミア〈特進〉、文理はアドバンス〈文理〉、特性はアクティブ〈特性〉と、3コース制になりました。3年前から予告していたこともあって大人気になり、各コースの応募者数は昨年の3.6倍に増加しました。女子が男子より多く、男子も共学校志向の受験生が集まっていて、男子校志向の受験生より共学校志向の受験生の方が多いことを示しました。各コースとも難度は昨年とあまり変わっていませんが、多くの入学者があったことから、来年はおそらく基準を引き上げるでしょう。
  • 横浜翠陵:一昨年は桐蔭学園人気の影響を受けて、各コース推薦・一般合計の応募者数は大きく減りました。昨年は増加、今年は昨年並みで、桐蔭学園の影響は脱したようです。入試相談が多いため、各コースとも難度はあまり変わっていません
  • 横浜創英:一昨年、昨年と各コースの応募者数が増加、今年は昨年並みでした。新校舎の建設が進んでいて、今年から使用を開始することもあって人気が上がっていましたが、難化傾向も出ていて人気が一段落したのでしょう。合格最低点は文理と普通の一般がやや下がっていて、オープンは少し上がっています。出題との関係ですが、やや難化したかどうか、といったところでしょう。特進は難度に変化はなかったようです。
  • 横浜隼人:各コースの一昨年は桐蔭学園人気に押されて応募者が大きく減りましたが、昨年は増加、今年は減って、隔年的な変化です。入試相談が多いため、各コースと難度は昨年並みのようです。
  • 横浜富士見丘:完全中高一貫の女子校でしたが、高校募集を再開、昨年は女子とは別に男子の理数特進クラスを設置、女子はグローバル&サイエンス・スタンダードの2クラス募集、2年生からは理系の女子と男子が共学、文系・グローバル系は女子のみの編成です。同校では共学化としていますが、共学と別学が混合した独特なスタイルです。中高一貫主体で、今年は各クラス合計の応募者が少し減り、昨年に続いて小規模な入試でした。
  • 推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。一部、二次募集等が含まれていない場合があります。

千葉県・私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。
千葉県内私立高校の今年の応募総数は53,000件弱で、昨年より2,000件近く減っています。未公表の入試を合計すると、最終的には53,000件台の半ばになりそうです。

千葉県私立高校の応募者数(2016年〜2020年)

区分 20年速報値 19年 18年 17年 16年
前期 51,353 52,895 54,418 52,294 53,082
後期 1,364 2,048 2,474 2,617 3,561
52,717 54,943 56,892 54,911 56,643
前期の割合 97.4% 96.3% 95.7% 95.2% 93.7%
女子校の割合 3.3% 3.1% 3.2% 3.4% 3.1%
  • 一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
  • 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

以下のグラフは、応募総数を公立中3生徒数で割った1人あたりの私立高校の応募数です。今年は昨年とほぼ変わらない1.09でした。

公立中3生1人あたり私立高校応募数

首都圏全体として公立高校人気が下がり私立志向が上がっている状況下、公立中3生徒数の減少が一番少ないにも関わらず、神奈川や埼玉よりも応募者数の減少率が高くなっています。その背景には、後期入試を取りやめる学校が増えたということがあげられるでしょう。特に今年は多くの受験生が集まっていた市川と昭和学院秀英が後期入試を廃止しました。同時に、全体的に挑戦志向が下がって、私立高校を何校も受験せず、単願などで確実に合格できる所だけ受験するケースが増えていることも背景にあるのでしょう。

2.学校別の状況

応募者数が増えた学校、難関・有名校、特筆事項がある学校などについてご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈千葉県・女子校〉
  • 国府台女子:昨年まで各コース合計の応募者数は隔年的に変化していて、今年は順番通り増えています。これに伴って、普通・美術デザインコースの単願A以外は合格最低点が上がりました。出題内容との関係もありますが、併願は少し難化したかもしれません。
  • 和洋国府台女子:ファッションテクニクス科の募集を停止し、普通科和洋コースを新設しました。ファッションテクニクス科がファッションに特化していたのに対して、ファッションだけに留まらず、和洋女子大の各学部と連携を強め、内部進学を目標とするコースです。各コース合計の応募者数は、昨年は増えていましたが、今年は若干減りました。和洋コースはファッションテクニクス科だった昨年よりやや応募者が増えています。進学コースの単願が減っていますから、受験生の一部が和洋コースに流れたのでしょう。合格最低点は未公表ですが、和洋コースはファッションテクニクス科よりも少し高く、普通コースとあまり変わらない難度だったようです。特進・普通コースは昨年並みでしょう。
〈千葉県・男女校〉
  • 市川:後期を廃止しました。昨年は前期単願も3教科から5教科に変更して段階的にレベルアップを図ってきた仕上げです。今年は後期がなくなっただけでなく、前期も少し応募者が減りました。後期がなくなって不合格でも再挑戦する機会がなくなったことで、受験生が一部他校にながれたのでしょう。合格最低点は昨年並みで、難度は特に変化していないようです。
  • 芝浦工大柏:一昨年、昨年と各コース合計の応募者数が増えていましたが、今年は昨年並みです。合格最低点はジェネラルラーニングの2回が下がっているほか、グローバルサイエンスも含め、各回とも小幅の上下がありますが、出題難度の関係でしょう。各コースとも難度はあまり変わっていないようです。
  • 渋谷幕張:一昨年が応募者やや減、昨年は少し増えて、今年は減っています。合格最低点は帰国が昨年並み、一般は少し下がっていますが、別格的な高難度の学校ですから、入りやすくなったわけではありません。
  • 昭和学院:創立80周年を迎えたことから、コース編成を一新しました。特別進学・総合進学の2コース制でしたが、特別進学をアドバンストアカデミー、総合進学をジェネラルアカデミーに変更、新たに最上位コースとしてトップグレードアカデミー、スポーツと難関大学進学を両立するアスリートアカデミー、グローバル化対応のインターナショナルアカデミーを新設しました。各コース前後期合計の応募者数は昨年並みで、新たなコース制は少なくとも受験生に敬遠されていないことがわかります。トップグレードアカデミーは今までの同校よりも1ランク高い難度になったようです。アドバンストアカデミーは昨年の特別進学並み、アスリートアカデミーとインターナショナルアカデミーはアドバンストアカデミーとあまり難度は変わっていないようです。ジェネラルアカデミーも昨年の総合進学並みの難度でしょう。
  • 昭和学院秀英:後期を廃止しました。同校も前期の応募者が少し減っています。市川と同じ理由でしょう。こちらは合格最低点が少し下がっていますが、出題の関係で、難度はあまり変わっていないようです。
  • 専修大松戸:過去3年間、各類型前後期合計の応募者数があまり変わっていませんでしたが、今年は減っていて、E類型が減少の中心です。難度面ではE類型の方が上位コースで高難度ですから、少し敬遠されたのかもしれません。前期2回は両コースとも合格最低点が下がっていますが、出題難度の関係でしょう。難度はあまり変わっていないようです。前期1回と後期も昨年並みの合格最低点でした。
  • 拓大紅陵:一昨年までは各コース合計の応募者が毎年少しずつ減っていましたが、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。公立志向の低下も同校の人気に追い風になっているようです。各コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 千葉英和:特進選抜、特進文理、総進文理、英語の4コース制で、一昨年まで各コース合計の応募者数の増加が続いていましたが、昨年は減って、今年も少し減っています。他校に受験生が少し流れたのかもしれません。各コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 千葉商科大付属:同校は隔年現象が見られる学校で、各コース前後期合計の応募者数は、今年は順番通り増えました。合格最低点は前期選抜進学にやや下がっているものが見られるものの、それ以外は各コースとも昨年並みで、難度もあまり変わっていないようです。
  • 千葉日大第一:一昨年の応募者がかなり増えていて、昨年はその反動や、大学のスポーツサークルに起因する人気低下もあって、応募者が減少、今年は前期の増加が目立ちます。後期は昨年並みでしたが、前後期を通じて男子が増えています。合格最低点は前期が昨年並み、後期は上がっていて、難化したようです。
  • 千葉黎明:各コース合計の応募者は一昨年が減少、昨年は増加、今年は昨年並みでした。各コースとも難度は昨年並みだったようです。
  • 中央学院:各コース前後期合計の応募者数は、一昨年がやや減って、昨年は増加、今年は減りました。単願受験生が減少の中心でした。合格最低点は未公表ですが、各コース・前後期とも難度はあまり変わっていないようです。
  • 東京学館浦安:各コース合計の応募者数が一昨年は減っていましたが、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。同校は一昨年、特進コースに選抜クラスを新設するなど、レベルアップを狙ったコースの改編を行っていますが、昨年、今年とも増えているのは総合進学コースで、学力上位の受験生への浸透は今一つのようです。やはり併願受験生が多く、各コースとも難度は昨年並みでしょう。
  • 成田:一昨年は後期を廃止して応募者数が減りましたが、昨年は一昨年並み、今年はやや減っています。千葉市に向かう受験生が少し増えているのかもしれません。特進αと一般の2コース制で合格最低点は両コースとも昨年並みでした。難度も変わっていないでしょう
  • 二松学舎大柏:各コース前後期合計では一昨年が応募者増加、昨年は一昨年並み、今年は減りました。進学コースが減少して、スーパー特進や特進は増えています。合格最低点は各コースともに昨年並みですから、高学力層の受験生が増えてきたためにモ入りやすいコースの人気が下がったと考えられます。
  • 日大習志野:各回合計の応募者数は、以前は減少傾向でしたが、―昨年は前年並み、昨年は減っていて、今年は増加と、人気が回復してきました。前期併願、後期とも合格最低点は少し上がっていて、やや難化したかもしれません。
  • 日出学園:2017年の特進コース設置以降、教務面や生徒指導面での学校改革も含めて期待感が高まり、昨年まで各コース各回合計の応募者数は増加が続きましたが、難化が進んだことで敬遠傾向もみられるようになり、今年は減りました。人気は一段落しています。合格最低点は特進・進学子へ洲とも昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 八千代松陰:各コース合計の応募者数は一昨年がやや増加、昨年は一昨年並みで今年は減りました。1月19日の入試が減少の中心で、受験生が私立複数校受験をあまりやらなくなった影響でしょう。合格最低点は未公表ですが、各コースとも難度はあまり変わらなかったようです。
  • 流通経済大柏:隔年現象が目立つ学校で、各類型前後期合計の応募者数は、今年は順番通り減っています。1月17日のⅢ類の合格最低点が下がっていますが、得点分布の関係でしょう。他の日程や他の類型もやや下がっているものもありますが、難度に響くほどではなく、各類型とも昨年並みの難度だったようです。
  • 麗澤:叡智特選・叡智スーパー特進の2コース制で、一昨年はこの新体制で難化を懸念した受験生が避けたのか、各コース合計の応募者数がやや減っていましたが、昨年、今年と減少が続いています。しかし、合格最低点は各コース1・2回とも上昇、受験生が絞られたための減少だったようです。各コースとも少し難化したようです。
  • 推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。一部、二次募集等が含まれていない場合があります。

埼玉県・私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

埼玉県私立高校の応募者数(2014年〜2020年)

応募者数 男子校 女子校 共学校 合計
2020年速報値 6,081 2,698 55,620 64,405
2019年 6,437 2,637 56,952 66,026
2018年 6,727 3,080 59,120 68,927
2017年 6,456 4,360 58,312 69,128
2016年 6,471 4,529 58,019 69,019
2015年 6,582 4,498 58,471 69,551
2014年 8,719 4,773 55,573 69,065
  • 一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
  • 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

県内私立高校の応募者数は約64,000件で、昨年より2,000件近く減っています。未公表の入試結果が加わるともう少し増えますが、あと数百件というところでしょう。県内公立中卒業予定者数の減少は約1,000名なので、それ以上の幅で減っています。

神奈川、千葉同様に公立離れが進み私立志向が上がっているにも関わらず、私立の応募数が減っている理由は、大きく分けて2つの理由があります。1つは私立高校を複数受験せず、単願受験を選ぶケースが増えていることです。挑戦意欲を持って何校も受験する生徒が減っています。もう1つの理由は、県内ではなく都内の私立高校を選ぶ受験生が増えていることです。県外私立にいくと県の私立高校授業料補助は出ませんが、それでも都心志向もあって都内の私立高校を受験しているのです。

2.学校別の状況

応募者数が増えた学校、難関・有名校、特筆事項がある学校などについてご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈埼玉県・男子校〉
  • 川越東:各コース合計の応募者数は安定した状態が続いていましたが一昨年は増加、昨年、今年と減少が続いています。今年の減少は城北埼玉の影響も見られました。合格最低点は各コースともあまり変化がなく、難度は安定しています。
  • 慶應義塾志木:一昨年は推薦、一般、帰国とも少しずつ応募者が増えていましたが、昨年は帰国が一昨年並み、推薦と一般は少し減っていました。今年は推薦がやや増加、一般が少し減って帰国は昨年並み、合計でも昨年並みです。今年も補欠も出していて、難度は高水準で安定しています。
  • 城西大川越:各コース合計の応募者数は一昨年が減少、昨年は増加、今年は再び減少して隔年的な変化になっています。併願受験生が多く、難度面では各コースともあまり変化がなかったようです
  • 城北埼玉:フロンティアコースを新設、従来のコースを本科コースとして、コース制に踏み切りました。昨年まで各回合計の応募者の減少が続いていましたが、コース制を歓迎した受験生が多く、今年は両コース合計で増加に転じました。5科入試も新規に実施したことも増加の理由だったようです。合格最低点は本稿執筆段階では公表されていませんが、本科は昨年並み、フロンティアは1ランク高い難度だったようです。
  • 立教新座:毎年、応募者数が少しずつ増え続けていて人気が上がっています。補欠を出していることもあって、今年も高難度で安定しています。
〈埼玉県・女子校〉
  • 秋草学園:特進選抜、進学選抜α、同β、進学、幼児教育・保育進学の5コース制で、各コース合計の応募者数は一昨年が増加したものの、昨年、今年と減っています。首都圏全体の女子校不人気の影響も見られます。併願受験生が多く、各コースとも難度は変わっていないようです。
  • 大妻嵐山:一昨年、昨年とコースの改編を行って、スーパーアドバンスSS、スーパーアドバンス、大妻グローバルの3コース制になっています。一昨年は各コース合計の応募者が大きく減りましたが、昨年、今年と増えてコース改編の効果が出てきました。難度面では昨年とあまり変わっていないようです。
  • 淑徳与野:各類型合計の応募者数は、以前は安定していましたが、一昨年は減少、昨年は増加、今年は減少と隔年的な変化になってきました。併願受験生が多いことには変わりがないので、受験生の動きが変わってきたのでしょう。各コースとも難度は昨年並みだったようです。
〈埼玉県・男女校〉
  • 青学大浦和ルーテル:今年は募集定員を増やしたこと、単願だけでなく併願受験を認めたこともあって、応募者数は昨年の3.7倍です。小規模な入試の学校ですが、同校の存在が附属校志向の受験生への浸透が広まるにつれて人気が上がってきました。合格最低点は本稿執筆時点で未公表ですが、単願でも不合格者が出ていて、難化は間違いないところでしょう。
  • 浦和学院:各コース合計の応募者数が3,000名台のマンモス入試です。一昨年は少し減って、昨年はまとまって減りましたが、今年は昨年並み、厳密には微増で、再び3,000名台になりました。同校もコース数が多いので細かい紹介は割愛しますが、併願受験生が多いので、特進各コース、進学各コースとも難度はあまり変わっていないようです。
  • 浦和実業:県内応募総数最多の同校は、一昨年は各コース合計の応募者数が前年並み、昨年は増えて、今年は昨年並みですが、4,000名に迫る応募者数です。合格最低点はコースが多いため、1つ1つの細かな紹介は割愛しますが、合格者数の少ないコース、入試日程で上下の動きが見られます。総じて上位コースの特進選抜、特進、選抜α、選抜は昨年並み、進学、商業科総合進学、同情報進学といった比較的入りやすいコースで上昇しているものが目立ちます。同校によると、必ずしも全員が上位コースを希望するわけではないため、やさしめのコースの合格最低点が上位コースと並ぶこともあった、とのことです。
  • 浦和麗明:共学化を挟んで3年間毎年コース改編を続け、進学校の体制整備を進めてきました。今年はコースの改編はありません。一昨年の共学化時は各コース合計の応募者数が一気に1.5倍に増えましたが、昨年はレベルアップを図ったため、大きく減少、今年は再び増えました。受験生にレベルアップした同校の存在が浸透してきたようです。特選Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類、特進Ⅰ・Ⅱ類とも、難度そのものはあまり変わっていないようですが、受験生全体の学力層は少し上がったようです。
  • 盈進学園東野:昨年、特進I(インターナショナル)コースを新設するなどで、特進S、特進I、進学の3コース制になっています。各コース合計の応募者数は一昨年が前年並み、昨年はコース改編人気で増加、今年はその反動で減っています。同校も併願受験生が多く、各コースの難度は昨年並みだったようです。
  • 大宮開成:急速に進学校化が進んでいる学校です。入り易いコースの募集を停止したため、各コース合計の応募者数は、一昨年は減っていましたが、昨年、今年と増加が続いています。特進選抜先進、同Ⅰ類、同Ⅱ類、同Sの4コース制で、単・併願各回ともほぼ全コースで増えました。併願受験が多いこともあって、各コースとも難度は昨年並みだったようです。昨年の1月24日から22日に移った、入試相談なしの特待生入試は特に高難度でした。
  • 開智:各コース合計の応募者数は一昨年が増加、昨年、今年と前年並みが続いて、人気を保っています。合格最低点は本稿執筆時点でDコースしか公表されていませんが昨年並みで、T・Sコースも難度はあまり変わっていないようです。
  • 開智未来:一昨年は各コース合計の応募者が大きく増えましたが、昨年、今年と減っています。併設中学からの内部進学生が増えるにつれて高校入学のレベルアップが進んでいて、敬遠する受験生も見られます。1月23・25日の入試は合格最低点が各コースともやや上がっているものが見られますが、難度面では各コースともやや難化したかどうか、といったところでしょう。
  • 埼玉栄:同校は進学体制の強化を図ってコース改編や入試科目の増加などの変更を行ってきたため、一昨年は各コース合計の応募者数が減っていましたが、昨年は一昨年並み、今年は増加に転じました。今年は併設中学からの内部進学生の関係もあって、αコースをα医学・α難関クラスとして選択制としたことも、受験生が歓迎したのでしょう。合格最低点は本稿執筆時点で未公表ですが、αコースは医学・難関とも昨年のα並み、S・特進コースと保健体育科も昨年とあまり変わっていないなどのようです。
  • 埼玉平成:特進選抜コースをS特進コースに改編、特進Ⅰ・Ⅱコースは統合して特進コースとしました。進学コースに変更はありません。特進系のコース内の学力差が縮まってきたことへの対応でしょう。各コース合計の応募者数は一昨年、昨年と少しずつ増えていましたが、今年は改編が受験生に支持されて大きく増えました。人気上昇です。S特進は昨年までの特進選抜よりもやや入りやすい難度、特進は昨年までの特進Ⅱよりも少し上の難度だったようです。進学は昨年並みでしょう。
  • 栄北:隔年現象で各コース合計の応募者数が増減していて、今年は順番通り減少していますが、減少幅はあまり大きくありません。同校も併願受験生が中心で、特類選抜、特類、Ⅱ類、Ⅰ類とも昨年並みの難度だったようです。
  • 栄東:各回合計の応募者数は、一昨年は前年並みでしたが、昨年、今年と増加が続いて人気が上がっています。増加の中心は、昨年は1月22日の1回でしたが、今年は24日の2回の増加が目立ちます。今年も県外も含め、最上位レベルの受験生が集まりました。合格最低点は本稿執筆時点では未公表で、得点で東医とαに分かれますが、どちらも難度は特に変わっていないようです。
  • 狭山ヶ丘:隔年現象で応募者が動いている学校で、今年は順番通り各コース合計の応募者数が少し減っています。難度面ではⅠ類最難関国公立、Ⅱ類特別進学、Ⅲ類総合進学とも一昨年に近く、Ⅳ類はⅢ類とあまり変わらなかったようです。
  • 秀明:寮制で2015年に高校募集を再開した同校は、2017年から通学生も受け入れていますが、性格上今年も小規模な入試でした。
  • 昌平:各コース合計の応募者数は、一昨年は少し減り、昨年は一昨年並み、今年は再び減っています。以前よりも高学力層の受験生が増えてきたことで、少し敬遠する受験生も見られました。難度面では、各コースとも昨年とあまり変わっていないようです。
  • 西武文理:今年は部活単願の普通科スペシャルアビリティ入試を新設しました。各コース合計の応募者数は一昨年が増加、昨年は減少、今年は昨年並みでしたが、今年は単願受験生が大きく増えて人気が上がりました。合格最低点は本稿執筆時点で未公表ですが、各コースとも昨年並みでしょう。
  • 東京成徳大深谷:昨年まで各コース合計の応募者数の増加が続いていましたが、今年は減りました。人気が一段落したのでしょう。併願受験生が多いため、各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 東京農大第三:今年はⅠコース内にグローバル課程を新設しました。グローバル化への対応強化です。一昨年は各コース合計の応募者数が少し減っていましたが、昨年は大幅増加、今年は昨年並みです。Ⅰコースはグローバル課程を新設しましたが、難度変化は見られなかったようです。ⅡコースやスポーツのⅢコースも昨年並みでしょう。
  • 獨協埼玉:一昨年、昨年と応募者数が小幅の変動に留まっていましたが、今年は減っています。併願受験生が一部他校に流れたのかもしれません。難度面は昨年並みだったようです。
  • 花咲徳栄:αが理数選抜、特別選抜、文理選抜の3コース、アドバンスが選抜進学、特別進学、総合進学の3コースで他に食育実践科がある計9コースです。各コース合計の応募者数は、一昨年が前年並み、昨年は減りましたが、今年は増えて人気を回復しました。併願受験生が多く、各コースとも難度面は昨年とあまり変わっていないようです。
  • 星野・共学部:各コース合計の応募者数は一昨年、昨年と減っていました。人気が上がりすぎて入学者を絞るため、出願基準等を見直したためですが、今年は合格最低点が各コースとも上昇、受験生の学力層の上昇に対応して少し難化しています。
  • 星野・女子部:昨年、募集を停止した文理特進コースを復活、Ⅱ類選抜コースを文理選抜コースに、Ⅰ類を文理コースに改編しました。共学部同様に人気が上がりすぎてキャパシティの関係で入学者を絞る必要から、昨年は臨時的なコースの改編で、今年は受け入れが増えたこともあって応募者が増加しています。合格最低点は、最上位のⅢ類特進選抜が昨年並み、文理特進コースが復活した分、文理選抜、文理コースは一段階ずつ下がった形ですが、一昨年並みに戻ったと考えればわかりやすいでしょう。
  • 細田学園:昨年、併設中学校を開校してイメージが変わってきました。一昨年は各コース合計の応募者が減少、昨年は増加、今年は減少と、隔年的に変化しています。難度面は同校も併願受験生が多く、各コースとも昨年並みだったようです。
  • 武蔵越生:S特進、選抜Ⅰ、選抜Ⅱ、アスリート選抜の4コース制で、各コース合計の応募者数は一昨年が減少したものの、昨年、今年と前年並みが続いています。やはり併願受験生が多く、各コースの難度は昨年並みだったようです。
  • 山村学園:特進SA、特進文理、総進選抜、総進・進学の4コース制で、各コース合計の応募者数は、一昨年は増えていましたが、昨年、今年と減少が続きました。同校も併願受験生が多く、各コースの難度はあまり変わっていないようです。
  • 早大本庄:一般入試と帰国生入試について、筆答試験の合格者に課している2次の面接を廃止しました。各回合計の応募者数は今年も増えていますが、合格者はそれ以上に増やしています。高難度ではあるものの、若干入りやすくなったのかもしれません。
  • 推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。一部、二次募集等が含まれていない場合があります。

国立高校

1.全体の状況

国立高校は、都内の学芸大附属、筑波大附属、筑波大駒場、お茶の水女子大附属、東工大附属、東京藝大附属音楽の6校、埼玉県の筑波大坂戸の計7校です。都内では、近年はいずれの学校も入試情勢が大きく変化することは少なく、「固定ファンの別格的な存在」になっています。

2.学校別の状況
  • 筑波大駒場:国立高校唯一の男子校で、男子進学校の最難関です。近年応募者数の変動は少なく、今年も昨年並みの応募者数で安定した人気が続いています。昨年に続いて合格最低点が今年も下がりましたが、出題の難化が続いているようです。難度面では今年も高水準で厳しい入試だったようです。
  • 筑波大附属:一昨年は男子の応募者が増加、昨年と今年は前年並み、厳密にはやや増加、女子は一昨年、昨年、今年と前年並みが続いています。昨年は女子の合格者の増加が目立ちましたが、今年はそのようなことはなく、男女とも昨年並みで、難度面では今年も厳しい入試でした。
  • 学芸大学附属:以前は一般入試で1次の筆記試験合格者に2次の面接を行い、合格者を決定していましたが、一昨年から面接を廃止しました。帰国生入試は面接があります。昨年は男女とも応募者が大きく増えて、合格者数は一昨年の半分に絞り込みましたが、繰り上げが多く出て日比谷や横浜翠嵐などに影響を及ぼしました。今年は昨年の反動で応募者が減少、合格者は増やしましたから実質倍率が緩和しています。本稿執筆時点で合格最低点は公表されていませんが、男女とも高難度でありながらも、やや入りやすくなったのかもしれません。
  • お茶の水女子大附属:隔年現象が見られた学校で、昨年は順番通りなら応募者が減る年でしたが、一昨年並み、今年は減って、周期が変わったようです。合格者数は昨年並みで、実質倍率はやや緩和していますが、難度面では少し入りやすくなったかどうか、といったところでしょう。
  • 東工大附属:一昨年は推薦・一般入試とも応募者が減少、昨年は両方とも増加、今年は推薦がやや減、一般入試は減少して隔年的な変化です。推薦入試は小規模で難度の変化を評価することは難しいですが、難度はあまり変わっていないようです。一般入試も、少し入りやすかったかもしれません。
  • 東京藝大附属音楽:大学との一貫芸術教育を行うユニークな学校で、受験生も限定されます。今年は応募者が昨年より減っていますが、学力面の難度は特に変わっていないようです。
  • 筑波大坂戸:国際バカロレア認定校のため、SGクラスで国際バカロレア対応の入試(SGⅢ型)を実施していましたが、今年はこれをIB入試として独立させました。IBは性格上今年もかなり小規模な入試で、IGは隔年現象が見られ、今年は順番通り応募者が増加、IB以外のSGの入試は応募者が減って、合計では昨年並みの応募者数でした。各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 推薦、一般、前後期、書類選考、帰国生入試など、各入試の合計です。一部、二次募集等が含まれていない場合があります。


[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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