Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット高校受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット高校受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

上級者向け 受験マニアックス

2018年4月号 2018年首都圏入試を振り返る

この記事は2018年度の情報です。最新の情報は2024年3月号および2023年4月号をご覧ください。

2018年首都圏入試を振り返る

2018年の高校入試が終了しました。今回は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の公立・私立の入試状況の振り返りをご紹介します。今年の各都県に共通する傾向として、中堅から比較的入りやすい普通科系公立高校の応募者が減り、その学力層の受験生が私立高校に流れている様子が見られました。私立高校の面倒見の良さが評価されていること、自治体の学費助成が拡充してきたことが背景にあるのでしょう。
各都県の高校の詳しい応募者数や受験者数、応募倍率、実質倍率等については、添付のPDFをご覧ください。

東京都立高校(推薦入試)

1.全体の状況

推薦入試の募集定員は9,027名で昨年より70名減、応募者数は25,092名で昨年より2,213名減でした。応募者数は4年連続の減少で、推薦の人気は下がってきています。応募倍率は2.78倍で、昨年の3.00倍より0.22ポイント下がりました。

2.応募倍率が高かった高校(学年制普通科)

学年制普通科の応募倍率上位10校をご紹介します。推薦入試は一般入試と比べて、志望校選びに妥協が少ないため、実際に受験生が行きたいと思う人気校を反映しているといえるでしょう。

推薦入試の応募倍率が高かった都立高校(学年制普通科、2016〜2018年)

  18年男子 17年男子 16年男子 18年女子 17年女子 16年女子
順位 校名 応募
倍率
校名 応募
倍率
校名 応募
倍率
校名 応募
倍率
校名 応募
倍率
校名 応募
倍率
1 小岩 4.97 片倉 5.08 青山 7.21 三田 6.00 青山 8.15 青山 9.62
2 広尾 4.65 東大和南 4.91 小岩 5.08 竹早 5.86 竹早 6.43 小岩 6.15
3 城東 4.59 本所 4.83 東大和南 4.79 青山 5.67 高島 5.90 広尾 6.09
4 葛飾野 4.58 葛飾野 4.61 松が谷 4.67 国立 5.67 小岩 5.71 向丘 5.88
5 東大和南 4.50 東大和 4.50 足立新田 4.62 小岩 5.50 松原 5.50 文京 5.79
6 戸山 4.22 高島 4.48 片倉 4.46 足立 5.12 本所 5.44 松が谷 5.77
7 足立 4.21 松が谷 4.46 葛飾野 4.39 向丘 5.10 広尾 5.39 富士森 5.7241
8 青山 4.06 竹早 4.43 国立 4.21 広尾 5.00 向丘 5.15 松原 5.7222
9 南葛飾 4.05 足立西 4.30 城東 4.15 鷺宮 4.96 小平西 5.15 本所 5.58
10 松が谷 4.04 紅葉川 4.29 東大和 4.15 北園 4.67 江戸川 5.03 国立 5.47

男子は、昨年は上位10校の中に進学指導重点校が1校も登場しない特異な年でしたが、今年は戸山と青山が登場していて、例年の状況に戻ってきています。今年トップの小岩は一昨年が2位、昨年は12位でしたが、今年は人気が復活してトップになりました。4位の葛飾野と5位の東大和南は3年連続で登場していて、安定した人気です。全体を見ると人気校が固定化しているというよりは、隔年的に人気が変化している傾向です。

女子は、一昨年と昨年はおしゃれな雰囲気がある青山がトップで別格的人気でしたが、今年は三田がトップです。三田は一昨年、昨年はトップ10に登場しておらず、今年は一気に人気上昇です。3位の青山、7位の向丘、8位の広尾が3年連続の登場、2位の竹早は昨年に続く登場で、4位の国立と5位の小岩は、昨年は登場していませんが一昨年登場していました。男子よりも人気校の固定化傾向が強くなっています。

3.応募倍率が高かった高校(単位制他)

単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の応募倍率上位10校をご紹介します。

推薦入試の応募倍率が高かった都立高校(単位制他、2016〜2018年)

18年応募倍率 17年応募倍率 16年応募倍率
順位 校名 課程 応募
倍率
校名 課程 応募
倍率
校名 課程 応募
倍率
1 総合芸術 舞台表現 6.67 新宿 普通 7.56 総合芸術 舞台表現 6.42
2 新宿 普通 6.16 総合芸術 舞台表現 7.50 新宿 普通 6.34
3 総合芸術 美術 5.75 園芸 動物 6.90 総合芸術 美術 5.33
4 国際 一般生徒 4.95 総合芸術 美術 5.21 瑞穂農芸 畜産科学 4.80
5 駒場 保健体育 4.83 大泉桜 普通 4.65 園芸 食品 4.50
6 園芸 動物 4.60 農業 服飾 4.60 国際 一般生徒 4.40
7 農業 食物 4.40 農業 食物 4.50 大泉桜 普通 4.40
8 工芸 アートクラフト 4.00 飛鳥 普通 4.35 美原 普通 4.10
9 瑞穂農芸 畜産科学 4.00 駒場 保健体育 4.25 上水 普通 4.00
10 第五商業 ビジネス 3.94 六郷工科 デザイン工学 4.20 墨田川 普通 3.98

トップは総合芸術の舞台表現、2位は新宿で、昨年と1・2位が入れ替わっています。3位の総合芸術・美術は2014年以来登場し続けています。4位の国際・一般生徒と9位の瑞穂農芸・畜産科学は、昨年は登場しなかったものの、一昨年は登場していて、5位の駒場・保健体育、6位の園芸・動物、7位の農業・食物は昨年に続いての登場です。このグループは単位制普通科や総合学科を除いて募集定員が少なく、ちょっとした応募者数の変動で倍率が大きく変わりますが、学年制普通科よりも人気校の固定化傾向は強くなっています。

東京都立高校(一般入試)

1.全体の状況

都内公立中学卒業生数の減少に伴い、全日制都立高校への進学希望者数は男女とも目立って減少しました。減少幅は公立中学卒業生数の減少よりも大きく、都立高校人気が低下していることがうかがえました。

全日制高校の募集定員は全体で14学級530名減となりました。志願変更後の応募者総数は45,216名で、昨年より大きく減っています。応募倍率は昨年の1.50倍から1.44倍に下がりました。今回から実施された、インフルエンザによる追検査受検者を除いて、受検者総数は昨年より2,790名減った42,719名、合格者総数も昨年より1,024名減った31,006名で、実質倍率は昨年の1.42倍から1.38倍に下がっています。

2.応募者が多かった高校

以下の表は、学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の、応募者数上位10校です。

応募者が多かった都立高校(2017年・2018年)

  2018年男子 2017年男子 2018年女子 2017年女子 2018年単位制他 2017年単位制他
1 戸山 316 日比谷 326 文京 289 文京 276 新宿 655 新宿 682
2 日比谷 313 文京 307 北園 284 豊多摩 269 国分寺 404 国分寺 451
3 青山 304 豊多摩 298 小岩 258 北園 263 芦花 360 芦花 387
4 北園 291 戸山 282 青山 251 青山 250 稔ヶ丘 351 墨田川 341
5 文京 283 北園 281 向丘 247 日比谷 248 墨田川 328 稔ヶ丘 333
6 豊多摩 275 小岩 269 日比谷 243 小岩 244 六本木 295 晴海総合 309
7 西 272 西 259 武蔵丘 233 三田 237 国際 293 大江戸 302
8 立川 264 青山 258 雪谷 230 向丘 236 世田谷泉 291 六本木 279
9 狛江 257 狛江 249 三田 228 戸山 233 大江戸 282 上水 275
10 城東 243 上野 246 豊多摩 227 狛江 221 多摩科技 275 多摩科技 268
国立

※多摩科技→多摩科学技術

学年制普通科の男子は、日比谷がずっとトップを続けてきましたかが、今年は3名の差で2位に下がり、戸山がトップになりました。戸山の人気上昇で応募者がかなり増えたための逆転です。3位は昨年8位の青山で応募者が大きく増え、1〜3位を進学指導重点校が独占しました。7位の西と8位の立川も進学指導重点校で、10校中5校が進学指導重点校です。一昨年に内申を見ない特別選考が廃止された影響で、昨年は「テストでの一発勝負」にかける受験生が進学指導重点校を避けていましたが、今年は進学指導重点校を希望する受験生が日頃の内申対策もしっかり行うようになってきて、進学指導重点校の人気が復活しています。

学年制普通科の女子は、元々進学指導重点校志向が男子より弱く、今年のトップは昨年と同じ文京です。人気校は固定化傾向で、2位の北園、3位の小岩、4位の青山、5位の向丘、6位の日比谷、9位の三田、10位の豊多摩は昨年もトップ10入りしています。

単位制等は、昨年に続いて新宿がトップ、国分寺が2位、芦花が3位です。4位と5位は昨年と入れ替わりました。やはり人気校は固定化しています。

3.応募倍率が高かった高校

下の表は、学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の、応募倍率上位10校です。

応募倍率が高かった都立高校(2017年・2018年)

  2018年男子 2017年男子 2018年女子 2017年女子 2018年
単位制他
2017年
単位制他
1 戸山 2.39 秋留台 2.58 広尾 2.43 広尾 2.46 国際
一般
2.99 園芸
動物
3.04
2 日比谷 2.37 日比谷 2.47 北園 2.33 南葛飾 2.30 芸術
舞台
2.75 芸術
舞台
2.86
3 北園 2.20 富士 2.29 三田 2.30 竹早 2.29 園芸
動物
2.44 国際
一般
2.66
4 広尾 2.15 豊多摩 2.26 目黒 2.152 向丘 2.23 新宿 2.31 拓真
一般枠
2.53
5 三田 2.09 北園 2.13 雪谷 2.150 豊多摩 2.22 芸術
美術
2.07 新宿 2.40
6 豊多摩 2.08 広尾 2.12 足立東 2.13 北園 2.16 拓真
一般枠
2.00 芸術
音楽
2.21
7 秋留台 2.0612 文京 2.06 文京 2.11 青山 2.083 農業
食物
1.92 深川
2.18
8 西 2.0606 足立東 2.05 東村山 2.05 三田 2.079 工芸
デザ
1.92 桑志
システム
2.16
9 足立東 2.05 竹早 2.01 小平南 2.028 日比谷 2.033 芸術
音楽
1.89 大江戸 2.157
10 青山 2.04 青山 1.98 向丘 2.025 文京 2.029 瑞穂
畜産
1.88 芸術
美術
2.02

※ 拓真一般枠→八王子拓真一般枠、瑞穂・畜産→瑞穂農芸・畜産科学、工芸・デザ→工芸・デザイン、深川・外→深川・外国語、桑志・システム→八王子桑志・システム情報、芸術・舞台→総合芸術・舞台表現、芸術・音楽→総合芸術・音楽、芸術・美術→総合芸術・美術

学年制普通科男子は、応募者が大きく増えた戸山が昨年14位から一気にトップとなりました。2位は昨年同様に日比谷、3位の北園と4位の広尾は昨年より倍率が上がって順位を上げています。昨年は進学指導重点校がトップ10に2校しか入っていませんでしたが今年は4校になり、進学指導重点校、2・3番手校、エンカレッジスクールが混在しています。ただし、人気校は固定化傾向と言えるでしょう。

学年制普通科の女子は、2014年以来、広尾のトップが続いています。女子はもともと進学指導重点校よりも2番手校や中堅校が高倍率になる傾向が強く、今年はついにトップ10から進学指導重点校が姿を消しました。

単位制その他の今年のトップは国際・一般で、一昨年まではトップを続けてきた学校です。昨年は応募者が減ってトップの座を明け渡しましたが、人気が復活しました。2位は昨年同様の総合芸術・舞台表現で、同校は3つの学科が今年もトップ10に入りました。3位は昨年トップの園芸・動物で、10位の瑞穂農芸・畜産科学も含め、これらは都立唯一の学科です。こうした学科は倍率が高くなる傾向が見られます。

神奈川県公立高校

1.全体の状況

全日制高校の募集定員は43,043名で昨年より550名減、志願変更後の最終応募者数は51,780名、応募倍率は1.20倍で、昨年に続いて今年も0.01倍下がりました。受検者数は50,037名で、昨年よりも1,000名以上減っています。合格者総数は42,763名でした。

2.応募者が多かった高校

普通科の応募者数上位10校は以下の通りです。

応募者が多かった神奈川県公立高校(普通科、2016〜2018年)

  応募者数トップ10 普通科(同順位あり)
年度 2018年度 2017年度 2016年度
1 横浜翠嵐 777 横浜翠嵐 719 横浜翠嵐 745
2 湘南 548 市ヶ尾 570 市ヶ尾 603
3 新羽 521 元石川 553 湘南 570
4 荏田 512 海老名 544 海老名 530
5 多摩 502 住吉 534 希望ヶ丘 509
6 希望ヶ丘 499 大船 520 七里ガ浜 504
7 港北 491 川和 511 茅ヶ崎 504
8 七里ガ浜 487 七里ガ浜 498 大船 503
9 市ヶ尾 485 荏田 496 新羽 500
10 川和 483 霧が丘 495 住吉 494

※ 単位制や昼間部定時制(定時制の場合は共通選抜)を含み、クリエイティブスクールを除く。

横浜翠嵐は、2013年から連続してトップを維持しています。2位は昨年11位だった湘南、3位は昨年13位だった新羽で、隔年現象で今年は応募者が増えています。4位の江田と10位の川和は昨年に続く登場です。8位の七里ガ浜と9位の市ヶ尾は3年連続のトップ10入りです。一方、元石川、海老名、住吉、大船、霧が丘はトップ10から姿を消しましたが、元石川は11位、海老名は15位、住吉は13位で、大船と霧が丘も400名台の応募者数ですから、人気校の中での変動です。全体的には今年も人気校が固定化傾向です。

3.応募倍率が高かった高校(普通科)

続いて、応募倍率上位10校をご紹介します。

応募倍率が高かった神奈川県公立高校(普通科、2016〜2018年)

年度 応募倍率トップ10 普通科(同順位あり)
2018年度 2017年度 2016年度
1 横浜翠嵐 2.17 横浜翠嵐 2.01 横浜翠嵐 2.08
2 多摩 1.81 新城 1.78 多摩 1.66
3 横浜緑ヶ丘 1.64 多摩 1.63 大和 1.62
4 新城 1.56 横浜緑ヶ丘 1.612 希望ヶ丘 1.61
5 湘南 1.531 川和 1.607 湘南 1.60
6 光陵 1.525 元石川 1.54 川和 1.55
7 川和 1.52 柏陽 1.53 市立東 1.53
8 大和 1.47 大和 1.500 市ヶ尾 1.519
9 市立高津 1.46 市立桜丘 1.497 元石川 1.517
10 市立戸塚 1.45 市立金沢 1.497 市立桜丘 1.51

応募倍率も、2013年以降横浜翠嵐がトップです。2位の多摩、7位の川和、8位の大和も連続して表に登場しています。3位の横浜緑ヶ丘と4位の新城は昨年に続く登場です。5位の湘南、6位の光陵、10位の市立戸塚も元々人気が高く、人気校の中での人気の上昇です。10位の市立高津は、昨年は1.2倍に達しておらず、急速に人気が上がりました。一方、元石川、柏陽、市立桜丘、市立金沢は、今年はトップ10から外れました。このうち、市立金沢は応募者が減って倍率が大きく下がっています。昨年は人気が少し過熱していたのかもしれません。元石川、柏陽、市立桜丘は1.3倍台なので、人気校の中での変動と考えてよいでしょう。

4.応募倍率が高かった高校(コース制他、2016〜2018年)

次に、コース制や専門学科、総合学科などの応募倍率上位10校をご紹介します。

応募倍率が高かった神奈川県公立高校(コース制他、2016〜2018年)

年度 応募倍率トップ10 コース制・専門学科・総合学科・クリエイティブ(同順位あり)
2018年度 2017年度 2016年度
1 市立橘 国際 1.85 市立橘 国際 1.92 上矢部 美術陶芸 1.74
2 上矢部 美術 1.79 市立橘 スポーツ 1.67 弥栄 美術 1.74
3 市立横浜商業 Sマネジメント 1.74 市立戸塚 音楽 1.64 市立橘 スポーツ 1.64
4 川崎総合科学 情報工学 1.67 サイエンスフロンティア 理数 1.55 弥栄 音楽 1.64
5 神奈川総合 国際文化 1.62 中央農業 畜産科学 1.513 神奈川総合 個性化 1.592
6 サイエンスフロンティア 理数 1.60 白山 美術 1.436 有馬 英語 1.590
7 川崎総合科学 建設工学 1.59 鶴見総合 総合 1.427 市立川崎 生活科学 1.590
8 横浜国際 国際 1.53 みなと総合 総合 1.42 サイエンスフロンティア 理数 1.55
9 相原 畜産科学 1.51 川崎総合科学 科学 1.41 市立橘 国際 1.49
10 川崎総合科学 電子機械 1.51 弥栄 スポーツ科学 1.41 弥栄 国際 1.47

※ 応募定員が極小の帰国生枠は含まない。
※ サイエンスフロンティア→市立横浜サイエンスフロンティア、市立横浜商業・Sマネジメント→市立横浜商業・スポーツマネジメント

3年連続で表に登場しているのは今年トップの市立橘の国際と6位のサイエンスフロンティアだけです。また今年注目されるのは、川崎総合科学の3つの学科がトップ10に入ったことです。2014年以降は職業系専門学科の人気が衰退していましたが、この状況を見て「今年は職業系専門学科の人気が上がった」と考えるのは早計で、専門系は募集定員40名の学校・課程が多く、ちょっとした応募者数の増減が倍率に直結しますから、普通科の人気低迷とあわせて、「専門系の人気がやや上がった」程度に解釈した方が良いでしょう。

5.定員割れについて

昨年に続いて2018年も定員割れした高校は多く、全日制の定員割れは18校23学科・コースとなりました(帰国枠、連携枠を除く)。

クリエイティブスクールでは、田奈、釜利谷、大楠と、昨年から転換した大井の4校が今年も定員割れです。通常の普通科では津久井が67名、永谷が60名の大幅定員割れとなりました。一昨年の大楠の110名に次ぐ、記録的な定員割れです。普通科ではこのほか、大師17名、寒川8名、平塚湘風と愛川各6名が定員割れです。全日制感覚で通える昼間定時制普通科も横浜明朋午前部23名、同午後部25名、市立川崎の定時制昼間部も2名の定員割れでした。数年前まで人気が高かった、「入りやすい普通科系の公立高校」の人気が下がっています。

千葉県公立高校(前期)

1.全体の状況

1月に新聞発表された志望校調査では、県内全日制公立高校の希望者は39,551人で前年より934人減、平均倍率は1.18倍で前年の1.20倍よりも下がっています。公立中卒業予定者数も減っていましたが、それよりも全日制公立高校の希望者の減少の方が大きく、公立人気が下がっている中で前期選抜が行われました。

全日制高校の募集定員は22,482名で昨年より706名減、応募者数は39,064名で昨年より765名減、応募倍率は昨年より0.01ポイント下がった1.74倍でした。

2.応募者数と応募倍率上位の千葉県公立高校(全日制普通科)

全日制普通科の応募者数と応募倍率の上位10校は以下の通りです。

前期選抜の応募者数が多かった千葉県公立高校(全日制普通科、2017・2018年)

順位 応募者数トップ10
2018年前期 2017年前期
校名 応募者数 校名 応募者数
1 幕張総合 990 幕張総合 1,118
2 千葉東 701 県船橋 653
3 県船橋 672 千葉東 618
4 東葛飾 590 磯辺 545
5 柏南 564 検見川 502
6 鎌ヶ谷 559 市川東 496
7 検見川 543 柏南 490
8 国分 508 津田沼 489
9 市川東 500 東葛飾 487
10 千葉西 492 市立千葉 478
津田沼

前期選抜の応募倍率が高かった千葉県公立高校(全日制普通科、2017・2018年)

順位 応募者倍率トップ10(同順位あり)
2018年前期 2017年前期
校名 応募倍率 校名 応募倍率
1 県船橋 3.50 県船橋 3.40
2 千葉東 3.25 県千葉 3.29
3 東葛飾 3.07 松戸国際 2.87
4 県千葉 3.00 千葉東 2.86
5 鎌ヶ谷 2.91 市立千葉 2.85
6 柏の葉 2.833 磯辺 2.84
7 成田国際 2.825 佐倉 2.78
8 生浜午前 2.74 薬園台 2.68
9 佐倉 2.70 幕張総合 2.59
10 国分 2.65 東葛飾 2.54

応募者数は、学校の規模が大きい幕張総合が例年通りトップです。2位の千葉東は応募者が大きく増え、順位を上げています。3位の県船橋も応募者は増えています。4位の東葛飾、5位の柏南、7位の検見川、9位の市川東、10位の津田沼は昨年に続くトップ10入りで、いずれも応募者は増えています。鎌ヶ谷、国分、千葉西は、昨年はトップ10に登場していませんが、いずれも応募者が増えて今年は登場しました。公立高校全体の応募者は減っていますが、人気校の多くは応募者が増えています。

応募倍率のトップは県船橋で4年連続トップ、2位は昨年の4位から上がった千葉東、3位は昨年の10位から上がった東葛飾、4位は昨年の2位から下がった県千葉で、この4校が3倍以上です。9位の佐倉は昨年に続くトップ10入りです。昨年は登場していなかった鎌ヶ谷、成田国際、国分はいずれもこの5年間にトップ10に登場したことがあり、人気校の中での変動と言えます。柏の葉と昼間定時制の生浜の午前部はこの5年間では初登場で、人気が上がっています。

3.応募者数と応募倍率上位の千葉県公立高校(コース制他)

専門学科、コース、総合学科や昼間定時制などの応募倍率上位校です。

前期選抜の応募倍率が高かった千葉県公立高校(専門系他、2017・2018年)

順位 応募者倍率トップ10(同順位あり)
2018年前期 2017年前期
校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率
1 県船橋 理数 3.00 県船橋 理数 3.25
2 小金 総合 2.83 小金 総合 2.95
3 市立稲毛 国際教養 2.73 市立千葉 理数 2.67
4 市立千葉 理数 2.63 生浜 午後部 2.54
5 幕張総合 看護 2.48 松戸国際 国際教養 2.43
6 佐倉 理数 2.23 市立稲毛 国際教養 2.30
7 県柏 理数 2.20 市立船橋 商業 2.16
8 市立松戸 国際人文 2.150 幕張総合 看護 2.15
9 松戸国際 国際教養 2.146 成田国際 国際 2.10
10 成田国際 国際 2.08 佐倉東 調理国際 1.93

トップは昨年に続いて県船橋・理数で、唯一の3倍台です。2位も昨年と変わらず小金で、高い人気です。3位の市立稲毛・国際教養、4位の市立千葉・理数、5位の幕張総合・看護、9位の松戸国際・国際教養、10位の成田国際・国際は昨年も登場しています。また、昨年登場しなかった佐倉・理数、県柏・理数、市立松戸・国際人文はこの5年間にトップ10に登場したことがあり、人気校は固定化傾向です。今年は商業科や生活科学科がトップ10から姿を消し、職業専門学科の人気が下がっています。

千葉県公立高校(後期)

1.全体の状況

後期の募集定員は11,599名と、昨年より25名増えています。全体の募集定員が280名削減されている中での後期の募集定員増加は異例なことで、公立高校の人気低下を表しています。

志願変更後の確定応募者数は16,281名と昨年より338名減って、応募倍率も昨年の1.44倍から1.40倍に下がりました。受検者総数は16,256名で欠席は25名と、昨年の11名から増加しています。全日制の合格者数は11,181名で昨年より286名減、不合格者は全県合計で5,075名と昨年に続いて5,000名を超え、厳しい入試となりました。しかし、全体では厳しくても今年も定員割れを起こした学校も目立ち、大原、九十九里、鶴舞桜が丘・園芸、君津青葉、行徳、上総・普通、館山総合・海洋、市原、関宿、大多喜、鶴舞桜が丘・総合ビジネス、多古・普通、同・園芸、下総・園芸、船橋豊富などは大きな定員割れを起こしました。このところ定員割れが特定の地域・学校に集中する傾向が続いています。全県では27校39学科651名が定員割れの二次募集になりました。

2.応募者数と応募倍率上位の千葉県公立高校(全日制普通科)

下の表は、全日制普通科の応募者数と応募倍率上位10校を示したものです。

後期選抜の応募者数が多かった千葉県公立高校(全日制普通科、2017・2018年)

順位 応募者数トップ10(同順位あり)
2018年後期 2017年後期
校名 応募者数 校名 応募者数
1 幕張総合 469 幕張総合 549
2 東葛飾 333 県船橋 301
3 県船橋 311 市川東 278
4 千葉東 305 千葉東 272
5 柏南 292 津田沼 272
6 鎌ヶ谷 272 柏南 261
7 市川東 269 東葛飾 252
8 柏中央 258 検見川 248
9 検見川 251 佐倉 248
10 津田沼 247 磯辺 246
船橋芝山

後期選抜の応募倍率が高かった千葉県公立高校(全日制普通科、2017・2018年)

順位 応募者倍率トップ10
2018年後期 2017年後期
校名 応募倍率 校名 応募倍率
1 東葛飾 2.60 県千葉 2.38
2 県船橋 2.43 県船橋 2.35
3 八千代 2.143 佐倉 2.21
4 成田国際 2.138 薬園台 2.13
5 鎌ヶ谷 2.13 市立稲毛 2.06
6 千葉東 2.10 松戸国際 2.05
7 柏南 2.03 市立千葉 2.03
8 県千葉 1.95 東葛飾 1.95
9 松戸国際 1.93 磯辺 1.907
10 県柏 1.92 幕張総合 1.906

応募者数は、学校の規模が大きい幕張総合が例年通りトップです。2位の東葛飾は応募者が大きく増えて昨年の7位から上昇、県船橋は昨年の2位から3位に下がっていますが、応募者は増えています。4位の千葉東、5位の柏南、6位の鎌ヶ谷、8位の柏中央、9位の検見川、同数10位の船橋芝山はいずれも応募者が増えています。人気校の応募者は増えていますが県全体では公立高校の人気は下がっており、人気校と人気に陰りが出ている学校の差が広がっています。

応募倍率トップは、昨年の8位から上がった東葛飾です。応募者が大きく増えて倍率も一気に上がりました。2位は4年連続の県船橋、3位の八千代・普通から7位の柏南までと、10位の県柏・普通は、いずれも昨年はランク外で、今年は応募者が増えてランクインしています。8位の県千葉と9位の松戸国際は、今年は応募者が減りましたが、それでもトップ10に登場する高倍率を維持しています。

3.応募倍率が高かった高校(コース制他)

続いて、専門学科、総合学科、コース制や昼間定時制の応募倍率上位校です。

後期選抜の応募倍率が高かった千葉県公立高校(専門系他、2017・2018年)

順位 応募者倍率トップ10
2018年後期(同順位あり) 2017年後期
校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率
1 市立稲毛 国際教養 3.30 松戸国際 国際教養 2.92
2 松戸国際 国際教養 2.63 市立千葉 理数 2.80
3 千葉工業 電気 2.50 市立習志野 商業 2.63
4 市立習志野 商業 2.38 市立稲毛 国際教養 2.50
5 佐倉 理数 2.30 県船橋 理数 2.19
6 市立千葉 理数 2.30 小金 総合 2.11
7 千葉工業 電子機械 2.00 生浜 普通・午前部 2.07
8 小金 総合 1.91 千葉工業 情報技術 2.00
9 県船橋 理数 1.69 生浜 普通・午後部 1.93
10 生浜 普通・午前部 1.63 京葉工業 電子工業 1.71

今年のトップは、2015、2016年とトップだった市立稲毛・国際教養で、3倍を超える高い応募倍率です。2位は昨年トップだった松戸国際・国際教養です。しかし実際の応募者数の変化は小さく、規模が小さいために少々の変動が倍率に大きく影響します。その他の学校も順位は上下していますが、概ね実際の応募者の増減は大きくありません。

例外は、募集規模が少し大きい昼間定時制の生浜の午前部・午後部と総合学科の小金です。生浜は午前部・午後部ともに応募者が減って、午前部はギリギリ10位に入りましたが午後部はランク外になりました。小金は一昨年総合学科に転換しましたが、普通科の人気校が総合学科になるのはかなりめずらしいケースです。募集のスタイルは普通科の時と変わらず、後期だけで128名の定員です。人気が高く今年も高倍率になりました。

市立稲毛や松戸国際の国際教養、市立千葉、佐倉、県船橋の理数、市立習志野・商業は、前期のみの募集にしてもよさそうなものですが、後期を実施していて毎年高倍率が続いています。学力上位の受験生を迎えたいと考えていて、期待通りに受験生が集まっているのでしょう。

埼玉県公立高校

1.全体の状況

1月に実施された埼玉県の中3生進路希望調査では、全日制公立高校の希望率は今年大きく下がり、県内私立高校の希望率は逆に大きく上がりました。

全日制の公立高校の全体の定員は38,560名と、24クラス960名分が大きく削減されました。志願変更後の最終応募者数も44,503名と昨年よりも2,116名も減少しています。このため、応募倍率も昨年の1.19倍から1.16倍に下がり、公立志向の低下が表れた入試でした。

定員割れによる欠員補充も大きく増えて、990名になりました。特に目立ったのは、皆野、北本、小鹿野、川越初雁、児玉・普通、妻沼、越生・普通、幸手桜、狭山工業・電気、岩槻商業・商業、鳩山・普通、上尾橘、浦和工業・電気、飯能南・スポーツ、羽生実業・ビジネス会計、栗橋北彩、岩槻北陵などです。昨年も定員割れになっている学校も多く、その地域で欠員募集の定番になっている学校・課程も見られました。

2.応募者が多かった高校

普通科と総合学科、専門学科、コース制等それぞれの応募者数上位10校をご紹介します。

応募者が多かった埼玉県公立高校(2017年・2018年)

  2018年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募者数 学校名 課程 応募者数
コース
1 伊奈学園 975 久喜北陽 総合 328
2 浦和西 573 滑川総合 総合 303
3 川越女子 549 川越総合 総合 282
4 越ケ谷 545 川口市立 文理スポーツ 259
5 川越南 537 寄居城北 総合 234
6 所沢 536 大宮商業 商業 221
7 川口北 516 幸手桜 総合 205
8 南稜 513 浦和商業 商業 202
9 川越 508 上尾 商業 175
10 川口市立 507 深谷商業 商業 174
  2017年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募者数 学校名 課程 応募者数
コース
1 伊奈学園 821 久喜北陽 総合 370
2 浦和西 622 滑川総合 総合 326
3 川越南 548 川越総合 総合 309
4 与野 546 市立川口総合 総合 256
5 浦和一女 539 幸手桜 総合 241
6 川越女子 538 寄居城北 総合 232
7 520 大宮商業 商業 224
8 所沢北 520 浦和商業 商業 215
9 春日部 510 狭山緑陽 Ⅰ部 189
10 所沢 504 深谷商業 商業 173

普通科では例年通り、規模が大きい伊奈学園がトップです。2位も昨年同様の浦和西です。3位は昨年の6位から上がった川越女子、5位の川越南と6位の所沢は、昨年も登場しています。他の5校は、昨年は登場しておらず、応募者が増えて今年はトップ10に入りましたが、4位の越ケ谷、7位の川口北、9位の川越は今までにもトップ10に登場したことがあり、人気校の中での人気上昇と言えます。8位の南稜は、市立川口・市立県陽・市立川口総合の再編や、市立大宮西の募集停止などの影響で、今年の応募者が大きく増えています。10位は、再編新校の川口市立がランクインしました。初年度から500名を超える応募者を集めた人気ぶりでした。

総合学科、専門学科、コース制等では、1~3位が昨年と同じです。4位には再編新校の川口市立・文理スポーツが入りました。5~7位は順位が変動していますが顔ぶれは同じ、8位と10位も昨年と同様です。登場校は全体的に固定化しています。

3.応募倍率が高かった高校

普通科と総合学科、専門学科、コース制等それぞれの応募倍率上位10校をご紹介します。

応募倍率が高かった埼玉県公立高校(2017年・2018年)

  2018年応募倍率トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 越ケ谷 1.714 川口市立 理数 2.28
2 市立浦和 1.707 大宮 理数 2.23
3 南稜 1.61 川口市立 文理スポーツ 2.16
4 浦和西 1.60 松山 理数 2.08
5 川口市立 1.58 市立大宮北 理数 1.83
6 所沢北 1.56 春日部女子 外国語 1.80
7 鳩ヶ谷 1.53 所沢北 理数 1.65
8 大宮 1.503 和光国際 外国語 1.59
9 川越南 1.500 不動岡 外国語 1.55
10 所沢 1.497 南稜 外国語 1.50
  2017年応募倍率トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 市立浦和 1.70 大宮 理数 2.50
2 1.64 市立大宮北 理数 2.28
3 所沢北 1.64 所沢北 理数 2.00
4 市立県陽 1.58 松山 理数 1.83
5 浦和西 1.57 市立川越 国際経済 1.81
6 市立川越 1.54 市立川越 情報処理 1.80
7 川越南 1.531 南稜 外国語 1.70
8 市立浦和南 1.528 春日部女子 外国語 1.70
9 与野 1.525 越谷北 理数 1.70
10 南稜 1.52 外国語 1.65

普通科トップの越ケ谷は、2015年以来のトップ10入りで人気が上がっています。2位は、2014年から昨年まで続けてトップだった市立浦和です。3位の南稜、4位の浦和西、6位の所沢北、9位の川越南は昨年もトップ10に登場していて、人気が安定しています。5位は改編新校の川口市立で、初年度から高い人気です。7位の鳩ケ谷、8位の大宮、10位の所沢は、応募者が増えて今年はトップ10に入りました。

総合学科、専門学科、コース制等では、再編新校の川口市立・理数がトップでした。受験生の期待の高さがわかります。2位は現行の入試制度になってからトップを続けていた大宮・理数です。3位も再編新校・川口市立の文理スポーツで、同じ学校の2つの課程が同時にランクインするのは大変珍しいことです。4位〜7位と10位は昨年もトップ10に入っている学校で、再編新校の川口市立以外の人気は固定化しています。

なお、今年のトップ10には商業系などの専門学科は登場せず、理数や外国語といった普通科系コースで占められました。川口市立の登場で、専門系がランク外に押しやられた結果でした。

東京都私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

東京都私立高校の応募者数(2016〜2018年)

地域 23区 多摩 合計
区分 入試 18年 17年応 16年応 18年 17年応 16年応 18年 17年応 16年応
速報値 募者数 募者数 速報値 募者数 募者数 速報値 募者数 募者数
男子校 推薦 1,683 1,661 1,632 70 53 50 1,753 1,714 1,682
一般 7,302 7,458 7,631 363 376 488 7,665 7,834 8,119
合計 8,985 9,119 9,263 433 429 538 9,418 9,548 9,801
女子校 推薦 3,839 3,976 3,883 1,098 999 1,041 4,937 4,975 4,924
一般 4,784 5,274 5,592 2,420 2,600 2,601 7,204 7,874 8,193
合計 8,623 9,250 9,475 3,518 3,599 3,642 12,141 12,849 13,117
男女校 推薦 14,458 14,412 14,520 4,268 3,822 4,350 18,726 18,234 18,870
一般 45,341 46,841 45,871 19,811 19,898 19,636 65,152 66,739 65,507
合計 59,799 61,253 60,391 24,079 23,720 23,986 83,878 84,973 84,377
合計 推薦 19,980 20,049 20,035 5,436 4,874 5,441 25,416 24,923 25,476
一般 57,427 59,573 59,094 22,594 22,874 22,725 80,021 82,447 81,819
合計 77,407 79,622 79,129 28,030 27,748 28,166 105,437 107,370 107,295

※ 3/20までに編集部に到着した各校のアンケートを集計、一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
※ 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。
※ 神奈川県対応の書類選考型入試は、正式には一般入試の扱いですが、学力試験が行われないこともあり、併願可能な入試も含め、ここでは推薦に含んでいます。

推薦入試・一般入試を合計した都内私立高校の応募総数は、昨年より約1,800件減少した105,400件でした。地区別では23区が減少、多摩地区はやや増加しています。

多摩地区では、都立志向の低下=私立志向の上昇の図式が成り立ちますが、23区は都立志向の低下=私立志向の上昇、とはなかなか言いにくい状況です。挑戦志向が低下して、私立高校を複数出願する受験生が減っていることが指摘できますが、それだけでなく、都立高校の専門学科・コースや、入りやすい普通科・総合学科を選んでいた受験生が、通信制高校、特に毎日登校するタイプの通信制に進路を変えたために、従来タイプの全日制私立高校に向かわなくなっているのでしょう。

2.学校別の状況

項目別に、特に応募者数が増えた学校、難関・有名校、特筆事項がある学校などについて、ご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈23区・男子校〉
  • 開成:昨年は神奈川県の慶應義塾と入試日が重なった影響で応募者が減りました。今年も昨年並みの応募者数です。昨年は応募者数の減少に伴って合格最低点もやや下がりましたが、今年の合格最低点は大きく上がっていました。すでに難度が上限に近い学校ですから、難化したというよりも、やや得点しやすい問題だったのでしょう。
  • 本郷:推薦、一般とも応募者数は昨年並みでした。推薦は合格最低点が上がりましたが、出題によるもので難度に変化はないでしょう。一般は昨年並みで、難度に変化は見られません。
  • 城北:推薦・一般入試とも応募者数は昨年とあまり変わりませんでした。推薦、一般とも合格最低点はやや上がっていたので、受験生の学力層がやや上にスライドしたのかもしれません。
  • 巣鴨:小規模な入試の学校です。今年は、受験生が受けやすくするため、公立高校の発表まで入学手続き金の延納を認める制度を実施しました。それが功を奏して、応募者数は大幅に増加しています。合格者も増やしていますから、難度は昨年並みでしょう。
  • 早大学院:昨年は神奈川の慶應義塾の入試日程変更の直接の影響は受けなかったものの、10日の慶應義塾の受験を諦めた受験生が流れ込んだ様子で、応募者が少し増えました。今年もこの傾向は続いていて、推薦は応募者がやや減ったものの、一般入試は帰国生も含めて少し増えています。合格最低点は未公表ですが、すでに高難度なので特に変化はなさそうです。
  • 明大中野:昨年は神奈川の慶應義塾の日程変更の影響で新たな併願受験者層を獲得し、受験生が増えました。今年も昨年並みの応募者が集まっています。受験者層が広がり、人気が上がっている様子です。合格最低点は上がっていて、昨年よりも厳しい入試になりました。
  • 学習院:小規模な入試の学校ですが人気は安定していて、今年は応募者が増えていました。合格者は絞っていて実質倍率は上がっていますが、合格最低点は昨年並みでした。
  • 立教池袋:小規模な入試の学校で、今年も昨年と同様の入試でした。
  • 佼成学園:一昨年は応募者が増えていましたが、昨年、今年と減少が続いています。合格最低点では、難関国公立は昨年並みかやや下がった程度でしたが、文理は少し入りやすくなったかもしれません。
  • 京華:進学校としての評価・難度が徐々に上がっている学校です。昨年は人気や難化を少し敬遠されて学校全体の応募者が減りましたが、今年はV字回復で大幅に増えました。合格最低点は各コースとも昨年とあまり変わりませんでしたが、上位コースはふさわしい学力レベルがないと合格させない姿勢が表れた入試でした。
  • 成城:来春から完全中高一貫化で募集を停止しますので、最後の入試でした。昨年、募集定員を大きく削減し、応募者数も減りました。今年もやや減っていますが、合格最低点は昨年とほぼ同様でした。
〈23区・女子校〉
  • 慶應女子:今年の応募者数は推薦が昨年並み、帰国生は減っていて、一般が増えています。合格最低点は未公表ですが、例年同様にかなり高水準の入試だったと言えるでしょう。
  • 豊島岡女子:今年、帰国生を別枠で募集しました。今年の応募者数は推薦が大きく増加、一般も増加しています。帰国生枠が設けられてグローバル色が強くなる点が、受験生に支持されたのかもしれません。推薦の合格最低点はかなり大幅に上昇、一般も上がって少し難化しています。
  • 江戸川女子:2月16日に一般の2回を新設しました。一昨年は応募者が増えていましたが、昨年は一昨年並み、今年の応募者数は帰国がやや減少、推薦は減少しています。回数を増やした一般も減りました。人気が一段落して沈静化したのでしょう。応募者が減っても難度はしっかり維持しており、一般の合格最低点は昨年並みでした。帰国と推薦の難度も変わっていないようです。
  • 十文字:応募者が増えました。昨年は減っていましたので、その反動もあるでしょう。コース別に見ると、選抜の応募者数は昨年並み、他2コースの応募者数は増えています。合格最低点は、スーパー特選の一般は上がり、やや難化したようです。その他のコース・回は、多少の上下はありますが大きくは変わりませんでした。
  • 日大豊山女子:推薦入試の日程を1月22日のみから22日と23日の選択制にして受けやすくしました。学校側の狙い通り、今年の推薦入試の応募者数は昨年より7割増と大幅に増えています。一般入試も大幅に応募者が増えました。合格最低点は未公表ですが、各コースともに少しずつ難度が上がったかもしれません。
  • 文京学院大女子:理数キャリアと国際教養それぞれのアドバンストクラスをTクラスに、それぞれのスタンダードクラスをAクラスに改称しました。同校は今年の学校全体の応募者数の増加が目立っています。スポーツ科学は昨年並みの応募者数ですが、理数キャリアはやや増加、国際教養は大きく増加しました。合格最低点は、各コースともに昨年とあまり変わりませんでした。
  • 京華女子:特奨入試を新設し、従来のAO入試を芸術スポーツ選抜に変更しました。応募者数は昨年並みでした。総じて各コースとも難度に変化はなさそうです。
  • 富士見丘:応募者が減少しました。一昨年、グローバル化対応で大きな改編を行いましたが、受験生にはまだあまり浸透していないようです。各コースの推薦や併願優遇の難度はあまり変わっていないようですが、一般受験はやや入りやすくなったかもしれません。
〈23区男女校〉

数が多いため、①今年共学化した2校→②内部進学率が高い大学附属校(概ね4割以上)→③進学校・進学校カラーが強い大学併設校(中央線・総武線の北側)→④進学校・進学校カラーが強い大学併設校(中央線・総武線の南側)の順でご紹介します。

① 今年共学化した2校

  • 武蔵野大附属千代田:旧・千代田女学園。共学クラスを新設しました。共学クラスは、国際バカロレア(IB)、文理探究(IQ)、グローバルアスリート(GA)の3コース、従来からの女子クラスは特進、進学、グローバルリーダーの3コースから、リベラルアーツ(LA)とメディカルサイエンス(MS)の2コースに改編しました。男子はのべ40名が応募、女子は各コース合計で昨年よりもやや応募者が増えていますが、女子クラスは少し減っています。難度を昨年の千代田女学園と単純に比較することは難しいですが、共学クラスの文理探究(IQ)は従来の特進程度、グローバルアスリート(GA)は従来の進学より少し入りやすい水準、国際バカロレア(IB)はかなり高度な英語力を求められたようです。女子クラスは、リベラルアーツ(LA)が従来の進学程度、メディカルサイエンス(MS)は従来の特進程度の難度だったようです。
  • 文化学園大杉並:2015年に日本とカナダ両方の高校卒業資格を取得できる「ダブルディプロマコース」を開設して注目され、男子も受け入れて欲しいという声が集まっていた学校です。共学化と同時に国際コースの募集を停止し、これまで国際コースを中心に行っていたイギリスのホームステイを全コース対象に拡大、従来の総合コースは進学コースに変更しています。男子はのべ206名が応募し、女子も共学化を歓迎して応募者が大幅に増えています。特進は従来の特進と国際の間の難度、ダブルディプロマは昨年並み、進学は昨年の総合並みの難度だったようです。

②内部進学率が高い大学附属校(概ね4割以上)

  • 青山学院:昨年、例年の一般入試日の2月12日が日曜日に当たったために11日に入試を行いましたが、今年は例年通りの12日に戻しました。推薦入試と帰国生入試の応募者数は昨年とあまり変わりませんでしたが、一般入試は増えています。しかし一般入試は欠席も多く、実質倍率は男子が昨年並み、女子は昨年より下がりました。合格最低点は未発表ですが、難度はあまり変わらなかったようです。
  • 中大杉並:昨年、慶應義塾の日程移動の影響を受けて一般入試の男子応募者が減って、一般入試の合格最低点も少し下がりました。今年は人気が戻り始めたようで、一般入試の応募者がやや増えています。推薦と帰国は昨年並みでした。今年は合格最低点が大幅に上がっています。得点しやすい問題だった面もあるかもしれませんが、難度もやや上がったと言えそうです。
  • 中央大学:一昨年、昨年と応募者が減っていて、受験生が青山学院などに流れている傾向が見られました。今年は推薦の応募者が少し減りましたが、青山学院の日程移動もあって、一般入試は増えています。合格最低点は推薦の男子が少し下がりましたが、推薦の女子と一般は昨年並みでした。
  • 明治学院:応募者が減りました。昨年は応募者が増えて少し難化していたので、その反動でしょう。合格最低点は未公表ですが、一般は昨年よりやや入りやすくなったかもしれません。
  • 成城学園:このところ応募者数が安定していましたが、今年は一般入試が減りました。進学校に受験生が流れたようです。補欠を出しており、難度は特に変わっていないようです。
  • 駒澤大学:特に推薦の応募者が減りました。昨年は大幅に増えていたので敬遠された面と、神奈川県の桐蔭学園が大人気になった影響も出ています。併願優遇の応募者は微増、一般は約1割減りました。一般の合格最低点も下がり、少し入りやすくなったようです。
  • 専修大附属:応募者は増えています。大学附属校人気の影響を受けているのでしょう。合格最低点も上がっています。
  • 芝浦工大附属:昨年、板橋から豊洲に校舎を移転し、女子クラスを新設しています。今年は男子の推薦応募者が減って一般入試が増えるなどの変動はありましたが、全体的には昨年とあまり変わらない応募者数となりました。男女ともに昨年とあまり変わらない難度だったようです。
  • 日大第一:推薦、一般ともに応募者が大幅に増えました。人気が上がっています。一般の合格最低点も大きく上がり、難化した入試となりました。
  • 日大第二:昨年に続いて今年も応募者が増加しました。特に推薦単願が大きく増えていて、同校を強く志望した受験生が多かったことが伺えます。一般はA、Bともに合格最低点が上がり、やや難化したかもしれません。
  • 日大桜丘:昨年は特別進学Sクラスを新設して応募者が増えていましたが、今年はその人気が落ち着いたようで、推薦、一般ともに応募者が減っています。昨年は日大鶴ヶ丘からの受験生の流れも見られましたが、今年は逆になったようです。難度面では昨年とあまり変わらなかったようです。
  • 日大鶴ヶ丘:応募者が大幅に増えました。昨年、日大桜丘に流れた受験生が戻ってきた面もありますが、首都圏の大学附属校人気を受けているのでしょう。合格最低点は未公表ですが、やや難化したようです。

③ 進学校・進学校カラーが強い大学併設校(中央線・総武線の北側)

  • 東洋大京北:昨年比約8割増と、大幅に応募者が増えました。2015年に男子校から共学化した学校で、共学化直後に応募者が急増し一気に難化、一昨年と昨年は敬遠ムードが出て応募者は減っていましたが、今年は人気が一気に回復です。1回、2回ともに合格最低点も大幅に上がり、厳しい入試となりました。
  • 順天:特選類型サイエンスコースを理数選抜類型に改編、特選類型の募集を停止しました。昨年までは難化による敬遠ムードが出ていましたが、今年は応募者が大幅に増えました。学力上位層に支持されている様子です。併願受験生が多いことから、各コースの難度は昨年並みか、やや上がった程度でしょう。
  • 安田学園:応募者がやや増えました。以前は隔年現象が目立っていましたが、昨年は一昨年並み、今年は少し増えて人気が上向いています。全コースとも合格最低点が大きく上がっています。得点しやすい出題だった面もありますが、受験生の学力層が上がっている様子です。
  • 豊南:隔年現象的な変化で今年は応募者が増えています。一昨年完成の新校舎人気が続いている面もあるでしょう。難度面では各コースとも昨年とあまり変わっていないようです。
  • 郁文館:特進コース内に英語を重視したe特進クラスを新設しました。一昨年、昨年と応募者が増えて人気が上がっていた学校で、今年の応募者数は昨年並みとなりました。東大、特進、進学の各コースの難度は、昨年とあまり変わらなかったようです。新設のe特進クラスは、特進と同程度かやや上くらいの難度になったと思われます。
  • 岩倉:今年は部活動等に注力しながら上位大学を目指すL特コースを新設、S特、特進、L特、総合進学、運輸の5コース体制になりました。昨年までは各コース合計の応募者が減少傾向でしたが、L特の効果で今年は増加に転じました。L特の合格最低点は特進と同じ、他の各コースも昨年と変わりませんでした。
  • 豊島学院:特進、選抜進学、普通進学の3コース制でしたが、最上位のコースとしてスーパー特進コースを新設しました。一昨年、昨年と応募者が増加していて、難度もやや上がっていた学校ですが、今年は難化傾向が敬遠されたようで、応募者が減っています。合格最低点は、特進、選抜進学、普通進学ともに少し下がり、昨年よりもやや入りやすくなったようです。新設のスーパー特進コースの難度は、特進よりもワンランク上となりました。
  • 東京成徳大:昨年に続いて応募者が減っています。埼玉県からの受験生も多い学校で、埼玉県からの生徒は推薦入試が中心、都内の併願受験生は一般入試中心ですが、今年は推薦入試の応募者数は変わらず、一般入試が減っていることから、都内の受験生の動きが変わってきたのでしょう。合格最低点は各コースともあまり変わりませんでした。
  • 城西大城西:今年は男子を中心に応募者が大幅に増えました。他校併願の受験生が多く、難度は昨年とあまり変わっていないようです。
  • 淑徳:昨年までは隔年現象で応募者数が増減していましたが、今年は昨年に続いて減りました。進学校としての評価が上がり、難化してきたことで少し敬遠されているようです。合格最低点は未公表ですが、難度はあまり変わらなかったようです。
  • 上野学園:ここ数年安定した人気が続いていましたが、今年は応募者が増加、人気が上がっています。合格最低点は入試回次やコースによって上下のバラツキが見られますが、学校全体では難度はあまり変わっていないようです。
  • 駒込:アドバンス本科を募集停止とする一方、国際教養コースを新設しました。難化傾向から敬遠ムードが起きたようで、各コース合計の応募者数は減りましたが、学校側も承知の施策でしょう。新設の国際教養は理系先進に近い難度、他のコースは昨年とあまり変わらない難度だったようです。
  • 共栄学園:昨年は応募者が減っていたので、今年はその反動もあって応募者が増えています。各コースの合格最低点は昨年並みで、難度は維持しています。
  • 淑徳巣鴨:昨年は増えた応募者が今年は減って一昨年並みです。隔年的な変化ですが、人気が落ち着いた結果でしょう。難度は各コースとも昨年とあまり変わっていないようです。
  • 成立学園:応募者が減りました。昨年、従来は4つあったコースをスーパー特選と特進の2コース制として実質的には上位コースに統合、今年は2月の一般入試を特待に合わせて5教科に変更したため、ハードルが高いと感じて避けられたのかもしれません。レベルアップの過程ですから学校側も応募者減を承知の施策です。合格最低点は、推薦Ⅰ期がやや上がり、推薦Ⅱ期は出題が難しかったようで下がっています。一般は満点の変更で単純比較はできませんが、やや得点率が下がって、難化傾向です。
  • 大東文化大第一:隔年現象的な変化で、今年は応募者が増えています。公立併願の受験生が中心のようです。各コースとも、難度は昨年とあまり変わっていないようです。

④進学校・進学校カラーが強い大学併設校(中央線・総武線の南側)

  • 広尾学園:応募者が増えています。昨年は難化が敬遠されて応募者が減り、合格最低点も下がったので、その反動で受験生が戻ってきたのでしょう。合格最低点は1回の医進・サイエンスが昨年並み、本科は上がり、2回は医進・サイエンスがやや下がり、本科は昨年並みでした。インターナショナルは合格最低点を公表していませんが、難度は昨年並みでしょう。
  • 東京農大第一:応募者が増えています。昨年は難化が敬遠されて応募者が減り、合格最低点も下がったので、その反動で受験生が戻ってきたのでしょう。一般の合格最低点はやや下がっていますが、出題によるもので難度は変わらなかったと思われます。
  • 国学院:昨年は2月12日に一般入試を増設して応募者が大幅に増えましたが、今年も人気が続いて、各回合計の応募者は少し増えています。合格最低点は全ての回次でやや下がりましたが、出題が少し難しかったのでしょう。難度は変わっていないと思われます。
  • 宝仙学園・共学部:一般2回を新設、3科の他に日本語リスニングとプレゼンテーションのユニークな入試を始めた他、一般1回は3科・5科選択から3科のみとなりました。一般入試の2回を新設したことが受験生に歓迎されたようで、今年の応募者は増えています。一般2回にもまとまった受験生が集まりましたが、ほとんどの受験生が3科目入試を選んでいます。難度は昨年とあまり変わっていないようです。
  • かえつ有明:グローバル対応が有名な学校で、昨年に続いて今年も応募者が増えていますが、その特殊性で今年も小規模な入試です。難度は昨年並みのようです。
  • 青稜:昨年は応募者の増加が目立ってやや難化していましたが、今年も人気を維持して昨年並みの応募者数となりました。問題が難しかったようで合格最低点は下がりましたが、難度はあまり変わっていないでしょう。
  • 国学院久我山:応募者が減りました。昨年の応募者が目立って増えていたので、その反動で減った部分もあるでしょう。青山学院が入試日を移動して日程が重なった影響も見られます。また、女子は理系コースのみの募集になっている点も、ハードルが高いと感じる受験生が増える一因です。一般の合格最低点は男子が昨年並み、女子は上がっていて、応募者が減っても入りやすくはなっていません。
  • 東洋:各コース合計の応募者が減っています。最近難化が進んで、昨年も合格最低点が上がっていた回次やコースが多く見られたので、同校を諦める受験生も増えたようです。合格最低点は2月11日の総合進学が少し下がっているものの、他のコースと回次は上がっているか昨年並みで、難度は維持しています。
  • 朋優学院:今年、一番入りやすい進学コースの募集を停止したため応募者が減りました。人気が高く難度が上がってきていた学校なので、学校全体の学力レベルアップを図る狙いがあるのでしょう。特進コースと国公立コースは応募者が大幅に増えています。国公立コースの合格最低点が下がっていますが、出題によるもので難度は変わっていないでしょう。特進コースの合格最低点は昨年並みでした。
  • 東京都市大等々力:昨年までは応募者数が隔年的に動いていましたが、今年は昨年に続いての減少です。進学校としての評価が上がっている学校なので、難化を警戒されたのかもしれません。難度は昨年とあまり変わっていないと思われます。
  • 二松学舎大附属:今年の応募者数が昨年の2倍以上と、かなり大幅に増えました。昨年が減っていたので隔年的な変化ですが、特進コースの出願基準に3教科を加えて受験しやすくしたことも増加の理由です。特進、進学の両コースともに合格最低点も大幅に上がり、難化しました。
〈多摩地区男子校・女子校〉
  • 桐朋:昨年、神奈川県の慶應義塾の入試日程変更の影響を受け、同校を併願先に選ぶことができなくなったために応募者が減っていました。今年も慶應義塾と同じ入試日でしたが、応募者はやや増えて人気が回復しました。合格最低点は昨年並みとなりました。
  • 明法:今年、従来の特進・総合進学のコース分けの他に、GSP(グローバルスタディプログラム)参加希望者向けの入試を設定しました。応募者数は昨年並みで、合格最低点もあまり変わっていません。来春から高校の共学化を予定しており、大きく変わった入試になるでしょう。
  • 白梅学園:昨年に続いて応募者が減っています。選抜以外の各コースの一般入試の応募者が減っていて、都立併願の受験生が他校に流れているようです。併願優遇の受験生が多いこともあって、難度は各コースともあまり変わっていないようです。
  • 武蔵野女子学院:昨年に続いて各コース合計の応募者が大きく増えました。理系医療、国際交流、文系創造、総合進学の4コース制ですが、コース別に見ると理系医療と総合進学の一般入試の増加が目立ちます。合格最低点は、受験生が少ないコースで昨年並みや上昇が見られますが、一番人数が多い総合進学が上がっているので、全体にやや難化したかもしれません。
〈多摩地区男女校〉
  • 早稲田実業:昨年に続いて応募者が減っています。男女別に見ると、男子が減っていて、女子はほぼ変わりません。昨年から慶應義塾が2月10日に入試を移動して、併願できなくなった影響でしょう。合格最低点も男女ともに下がっていて、高難度ですが若干入りやすくなったようです。
  • 国際基督教大:応募者が減りました。減っているのは帰国生で、一般の応募者数は昨年並みです。海外帰国生の数はあまり変わっていないのに、帰国生入試を行う学校が増えている影響でしょう。帰国生、一般ともに、難度は特に変わっていないと思われます。
  • 明大明治:昨年は慶應義塾の入試日程変更の影響を受けて男子の応募者が大きく増えていて、今年の応募者数は男女ともに昨年並みでした。青山学院の日程移動の影響はあまり見られません。合格最低点は推薦が上がってやや難化、一般は男女とも昨年とあまり変わりませんでした。
  • 明大中野八王子:男女ともに応募者が大幅に増えています。昨年もやや増えていて、大学附属校人気が表れています。推薦だけでなく一般も増えていて、公立トップ校の併願先として選ぶ受験生も多くなっています。推薦は合格最低点が上がって少し難化しました。一般の合格最低点は昨年並みです。
  • 中大附属:昨年は慶應義塾の入試日程変更の影響を受けて一般男子の応募者が減りましたが、今年は推薦の男女、一般の男女全ての応募者が増えていて、特に増えたのは推薦の男子でした。大学附属校人気の影響もあるのでしょう。推薦の難度はあまり変わっていないようです。一般の合格最低点はやや上がりました。
  • 法政大学:応募者数は大幅に増えました。特に女子の増え幅が大きくなっています。一昨年は法政大学第二、今年は法政大学女子(いずれも神奈川県)の共学化が続いて、共学・附属校志向の女子に、法政大学への関心が高まったことも増加の理由でしょう。合格最低点は、推薦、一般ともにやや上がっています。
  • 成蹊:男女ともに一昨年、昨年、今年とほぼ同じ応募者数で、安定した人気が続いています。合格最低点は、昨年は男女ともに上がって難化しましたが、今年も昨年並みで難度を保っています。
  • 創価:推薦の応募者が増えて一般の応募者が少し減りました。難度は昨年とあまり変わっていないようです。
  • 錦城:昨年とあまり変わらない応募者数でした。特進の応募者は増えて進学はやや減っています。進学校としての評価の表れでしょう。特進・進学ともに合格最低点は上がり、やや難化傾向かもしれません。
  • 帝京大学:応募者が減っています。隔年現象とともに、JR線沿線からの応募者が減少気味になっている影響もありそうです。小田急・京王線沿線からの応募者は増えています。難度は特に変わっていないでしょう。
  • 日大第三:応募者の増加が目立ちます。推薦・一般、男女ともに増えています。日大系列校の中では他大学への挑戦受験が多いことが人気を集めているのでしょう。合格最低点は昨年とあまり変わりません。
  • 拓殖大第一:応募者の増加が目立ちます。進学校として評価が上がっているようです。合格最低点は昨年とあまり変わりません。
  • 東京電機大:昨年に続いて応募者がやや増えました。応募者増加の中心が一般入試の男子で、理系志向の併願受験生が増えているようです。合格最低点は昨年とあまり変わりません。
  • 聖徳学園:応募者の増加が続いていて、人気が上がっている学校です。今年の応募者も大きく増えました。3年前から進学色を強めるコース改編が続いていて、こうした姿勢が受験生に支持されているのでしょう。難度は、難関国公立、文理進学ともに昨年並みでした。
  • 桜美林:応募者の減少が目立ちました。他校併願の受験生が日大第三や桐蔭学園などに流れたようです。合格最低点は昨年と同様です。
  • 八王子学園:隔年現象で応募者が少し減っています。スライド合格も多く、各コースともに難度はあまり変わっていないようです。
  • 啓明学園:帰国生への支援教育で定評があります。一般の受験生の広報活動が強化されて、昨年に続く応募者の増加になりました。

神奈川県私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

神奈川県私立高校の応募者数(2014〜2018年)

区分 推薦入試 一般入試
年度 18速報 17年 16年 15年 14年 18速報 17年 16年 15年 14年
男子校 417 371 445 365 389 2,905 2,780 3,336 3,731 4,247
女子校 721 633 673 680 727 2,042 2,110 2,289 2,201 2,461
共学別学校 3,805 3,579 3,579 3,661 3,690 33,944 36,677 37,455 37,877 39,543
合計 4,943 4,583 4,697 4,706 4,806 38,891 41,567 43,080 43,809 46,251
区分 書類選考入試 オープン入試
年度 18速報 17年 16年 15年 14年 18速報 17年 16年 15年 14年
男子校 838 771 853 1,321 1,328 181 207 158 155 141
女子校 481 567 492 444 265 98 106 123 88 86
共学別学校 8,854 5,716 5,302 2,807 569 2,245 1,656 1,797 1,260 1,133
合計 10,173 7,054 6,647 4,572 2,162 2,524 1,969 2,078 1,503 1,360
区分 合計

オープン入試は、オープンやフリーと銘打った入試
をカウントしていて、以前はオープンと銘打たなか
ったのに、現在はオープンと銘打つようになった学
校は、その時点からオープンに含めており、慶應義
塾のようにオープン型でもオープンと銘打たない学
校は一般入試として集計しています。

年度 18速報 17年 16年 15年 14年
男子校 4,341 4,129 4,792 5,572 6,105
女子校 3,342 3,416 3,577 3,413 3,539
共学別学校 48,848 47,628 48,133 45,605 44,935
合計 56,531 55,173 56,502 54,590 54,579

※ 3/20までに編集部に到着した各校のアンケートを集計、一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
※ 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

県内私立高校の応募総数は、この5年間で最多の56,500件あまりになりました。県内公立中学卒業生数は減っていますから、私立高校の人気が上がっていることがわかります。

学校の区分では、女子校の応募者が減っていますが、これは法政大学女子が共学化して法政大学国際になった影響が大きく、同校をカウントから外すと女子校も増加しています。入試区分では推薦入試、書類選考入試、オープン入試の応募者が増加、特に書類選考の増加が目立っていて、その分、一般入試は減少しました。「入りやすい普通科系の公立高校」離れも影響しているでしょう。

2.学校別の状況

地域別に、特に応募者数が増えた学校や、難関・有名校、特筆事項がある学校などについて、ご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈川崎・横浜地区〉
  • 慶應義塾:昨年入試日程変更を行い、1次の入試日程を2月12日から10日に、2次の入試日程を2月15日から13日に繰り上げました。今年も2月10日が1次です。昨年は応募者が600名以上減少しましたが、今年は増えています。1次合格者に2次を行う2段階選抜になっていることもあって、難度面では例年通り厳しい入試でした。
  • 日本女子大附属:隔年的に応募者が増減していて、今年は順番通り増加しています。一般入試の合格最低点も上がって、やや難化したようです。
  • 法政大学国際:共学化して校名を法政大学女子から改称しました。国際バカロレアコースを開講し、海外大学進学を推進。在来のコースでも、国際バカロレアのエッセンスを取り入れ、探究の取り組みや課題解決学習など、主体的・能動的・協働的な学びを推進していきます。法政大学の3つの附属高校の中でも、グローバル志向を全面に出した教育を進めていきます。国際バカロレアコースは帰国生やかなり高レベルの英語力を持った生徒が対象のため受験生が絞られ、高難度の入試となりました。グローバル探究コースは、男女ともに海外に興味のある生徒が多く集まりました。こちらも一般の学科入試の合格最低点は昨年並みでしたが、実質倍率は一気に上がり、厳しい入試となりました。
  • 法政第二:一昨年共学化した学校。男女とも昨年並みの応募者数でした。現在の応募者数の水準で定着したようです。合格最低点は男女とも昨年並みで、難度面も変わっていません。
  • 中大附属横浜:昨年に続いて今年も応募者が減りました。特に書類選考の併願受験の応募者の減少が目立ちました。書類選考の基準がかなり高くなったことが理由でしょう。併設中学からの内部進学者も多いことから、学校としては入学者を絞りたいようです。受験生の一部が桐蔭学園に流れた影響もありそうです。オープン入試は、下がったとはいえ今年も高い実質倍率ですが、合格最低点が下がっていて、少し入りやすくなったようです。
  • 日本大学(日吉):各回合計の応募者数は昨年並みでした。一昨年、昨年と応募者が増えていましたから、人気が一段落したのでしょう。SGは合格最低点が下がり、少し入りやすくなったようです。特進と総合進学は昨年並みの難度でした。
  • 桐蔭学園:今年から体制を大きく変更。男子部と女子部を統合して共学とし、中学入学生と高校入学生は完全別クラスに再編されました。新しい共学のコースは、プログレス、アドバンス、スタンダードの3コース制となりました。各回各コース合計の応募者数は、昨年までの2,000名台から、一気に5,000名を超えて大幅に増加しました。増加の中心は他校併願可能な書類選考ですが、推薦、オープンも大きく増えています。アクティブラーニングを前面に打ち出した教育改革と進学校としての合格実績向上の両方を目指そうとする学校の姿勢に、期待する受験生が多いのでしょう。難度面では、スタンダードは従来の同校よりも少し入りやすい難度だったようで、この点も受験生が増えた一因です。プログレスは従来の理数、アドバンスは従来の普通と同じぐらいの難度だったようです。
  • 桐光学園:応募者数は昨年並みでした。上記のように今年は桐蔭学園が人気爆発でしたが、特に影響はなかったようです。合格最低点は、1回が男女とも昨年並み、2回は男女とも少し下がって、やや入りやすくなったようです。
  • 山手学院:推薦入試を廃止。その分オープン入試の定員を増やして進学体制の強化を図りました。各回合計の応募者数はほぼ昨年同様ですが、B日程オープン入試の応募者が男女とも減っています。桐蔭学園に流れた受験生もいたようです。合格最低点はA、Bとも下がっていて、少し入りやすくなったかもしれません。
  • 横浜翠陵:推薦入試と公立中との入試相談を実施する一般入試が中心です。一昨年、昨年と各コース合計の応募者が増えていましたが、今年は推薦入試、一般入試とも減りました。桐蔭学園の改革の余波を被ったようです。難度面では各コースとも特に変化はなかったようです。
  • 横浜隼人:昨年まで各コース合計で2,000名台の応募者数が続いていましたが、今年は減りました。小田急線方面からの受験生の一部が桐蔭学園に流れたようです。入試相談が中心ですから、各コースとも難度はあまり変わっていないようです。
〈横須賀三浦地区、鎌倉~茅ヶ崎方面〉
  • 鎌倉学園:各回合計の応募者数は増えました。書類選考が増加の中心です。オープン入試の合格最低点は昨年並みでした。
  • 慶應湘南藤沢:一昨年、昨年と応募者が増えていましたが、今年は減りました。特に帰国生の男子が減少の中心です。昨年が高倍率だったことから、少し敬遠されたのかもしれません。難度面では今年も高水準で厳しい入試でした。
  • 日大藤沢:昨年の応募者が一昨年並み、今年はやや増えていて、人気が少し上向いたようです。入試相談が中心のため、難度に目立った変化はなかったでしょう。
  • 横須賀学院:各回合計の応募者数がやや減りました。隔年現象でしょう。書類選考入試の応募者数は昨年並みで、減少したのは従来からの筆記入試なので、筆記入試を避ける受験生が増えてきたのかもしれません。入試相談が中心のため、難度に目立った変化はなかったようです。
  • 平塚学園:昨年並みの応募者数で、人気が安定しています。入試相談が中心のため、難度に目立った変化はなかったようです。
〈県西地区〉
  • 相洋:ここ数年各回各コース合計の応募者数があまり変わらず、安定しています。各コースとも難度に目立った変化はなかったようです。
〈相模原・厚木・大和・伊勢原地区〉
  • 相模女子大:応募者数は一昨年以来増加を続けていて、人気が上がっています。特進・進学の2コース制で、今年は特に特進の増加が目立ちます。女子大の付属校ですが、むしろ他大学進学に力を入れる点を支持する受験生が多いのでしょう。両コースとも入試相談が中心ですから、難度に目立った変化はありませんでした。
  • 麻布大附属:応募者の減少が目立ちます。桐蔭学園が大人気になった影響も出ています。難度は昨年並みだったようです。
  • 向上:昨年に続いて各コース合計の応募者が少し減っています。人気に少し陰りが出ているのかもしれません。公立中堅校の併願受験生が減ったことになりますが、同校は伊勢原市唯一の私立高校ですから、地域の生徒数減少の影響も大きいのでしょう。難度は昨年並みだったようです。

千葉県私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

千葉県内私立高校の応募総数は55,800件弱で、昨年より800件余り増加しました。県内公立中学卒業生数はわずかに減少しているので、私立志向はやや上がっていると言えるでしょう。

千葉県私立高校の応募者数(2014〜2018年)

区分 18年速報値 17年 16年 15年 14年
前期 53,309 52,294 53,082 54,196 54,220
後期 2,464 2,617 3,561 3,916 4,755
55,773 54,911 56,643 58,112 58,975
前期の割合 95.7% 95.2% 93.7% 93.3% 91.9%
女子校の割合 3.3% 3.4% 3.1% 3.1% 3.4%

※ 3/20までに編集部に到着した各校のアンケートを集計、一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
※ 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

下のグラフは、受験生1人あたりの私立高校の出願数の推移を示したものです。私立高校の出願数は2014年から下降していて、私立を複数校受験するケースが減っていることがわかります。私立は公立の押さえとしてどこか1校合格すればよい、とする受験生が増えています。また、房総半島の第5~第9学区では生徒数の減少が著しく、公立高校の倍率が低下しているため、公立第一志望の受験生が併願の私立に出願しない動きも出てきています。

千葉県の公立中学校3年生1人あたりの私立高校出願数の推移
千葉県の公立中学校3年生1人あたりの私立高校出願数の推移

2.学校別の状況

地域別に、特に応募者数が増えた学校や、難関・有名校、特筆事項がある学校などについて、ご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈総武線・京葉線・東葉高速線方面〉
  • 国府台女子:今年、後期を廃止しました。応募者数は後期を廃止したにも関わらず昨年並みで、前期だけに限って見れば増えていました。人気は上がっています。選抜・普通・英語とも合格最低点は上がって、得点しやすい出題だった面もあるようですが、少し難化したようです。美術デザインの難度は昨年並みでしょう。
  • 渋谷幕張:応募者数はわずかに減少しましたが、合格最低点は反対に少し上がっています。同校を強く希望する受験生たちによる厳しい入試になったと言えるでしょう。
  • 市川:昨年とあまり変わらない応募者数となりました。前期はやや減、後期は増加となっていて、同校を最後まで希望した受験生が多いことがうかがえます。前期の難度は昨年並み、後期は問題が難しかったようで合格最低点はやや下がりましたが、応募者が増加したことによりボーダーライン付近は厳しくなったようです。
  • 昭和学院秀英:前後期合計の応募者がわずかに増えました。特に後期の男子が増えていて、最後まで同校を高く志望した男子が多かったことがわかります。合格最低点は、前期は昨年とあまり変わらず、後期は上がっていました。後期はやや難化したかもしれません。
  • 日大習志野:前後期合計では昨年とあまり変わらない応募者数を集めました。前期が増加していて、後期は反対に減少していることから、前期で決めたい受験生が多くなっています。難度は、前期・後期ともに昨年とあまり変わらなかったでしょう。
  • 千葉日大第一:前期・後期ともに応募者が増えました。首都圏全体で大学附属校人気が高まっている影響もあるでしょう。前期の合格最低点は上がり、厳しい入試となりました。後期の合格最低点はやや下がりましたが、入りやすくなってはいないでしょう。
  • 東海大浦安:今年の応募者は増えていて、大学附属校人気の高まりを反映しています。合格最低点は、受験生が少ない入試区分は別として、昨年より少し上がっています。やや難化したかもしれません。
  • 日出学園:昨年新設した特進コースの応募者数がかなり大幅に増えました。進学コースも応募者が増えています。合格最低点は昨年とあまり変わらず、難度は昨年並みでしょう。
  • 東京学館浦安:学力アップを図って特進コースの選抜クラスを新設し、進学Sコースを特進コースに、進学A・Bコースを統合して総合進学コースに、国際を国際教養に、体育コースをスポーツ進学コースに、それぞれ改編しました。学校全体の応募者はやや減っていますが、特進コース選抜クラスは昨年のSコースよりも増えていて、同校を希望する受験生の学力レベルが上がってきたようです。難度面では、特進コース選抜クラスは昨年のSコースよりもやや難化したようですが、それ以外は各コース・各回ともあまり変わっていないようです。
〈常磐線・北総線方面〉
  • 芝浦工大柏:応募者がやや増加して、人気が上がっています。合格最低点は、グローバル・サイエンスコースは1回、2回ともに昨年並みでした。ジェネラルラーニングコースは1回、2回ともに下がっていますが、決して入りやすくなったわけではなく、出題がやや難しかったのでしょう。
  • 専修大松戸:応募者数は昨年とあまり変わらず、安定した人気が続いています。合格最低点は前期1月18日がE・A類型とも上がりましたが、少し得点しやすい出題だったようです。17日や後期は昨年とあまり変わらず、難度も安定しています。
  • 麗澤:文理コースを叡智特選コースに、特進コースを叡智スーパー特進コースに改称して、進学体制の強化を図りました。難化を懸念する受験生が避けたのか、応募者数はやや減っています。合格最低点は、叡智特選コースは従来の文理コース程度、叡智スーパー特進コースは従来の特進コース程度となり、今年はまだ特に難化することはありませんでした。
  • 二松学舎大柏:全てのコースの応募者が増えています。比較的広い学力層から同校が支持されていることがわかります。合格最低点は、各コースともに昨年並みでした。
  • 流通経済大柏:隔年現象で応募者がやや減ったものの、人気は安定しています。合格最低点も、Ⅰ類・Ⅲ類ともに昨年とあまり変わっていません。学科試験のないスポーツのⅡ類も難度は特に変わっていないようです。
〈京成・東葉高速線北部~県中央部〉
  • 成田:後期一般を廃止してその分前期一般の定員を増やしました。学校全体の応募者数は、前期だけなら微減、合計なら後期を廃止した分減っています。しかし、上位コースである特進αは大幅に応募者が増えていて、学力上位層への人気は確かです。一般コースは反対に応募者が減りました。合格最低点は各コースとも目立って変わらず、難度は安定しています。
  • 東京学館:応募者がやや減っています。隔年的な変化です。併願受験生が多いこともあり、難度は各コースとも昨年並みとなりました。
  • 千葉英和:応募者数がやや増えました。昨年に次ぐ増加で人気が上がっています。コース別に見ると、特進選抜はやや減、総進文理は大きく増加、英語科は増加となっています。各コースとも難度は安定していて、特に変わっていないようです。
  • 八千代松陰:昨年後期入試を復活させましたが、今年はまた廃止しました。昨年の後期の応募者数はわずかでしたので、入試情勢への影響はあまりありません。同校は昨年まで応募者の減少が続いていましたが、今年はやや増加しました。合格最低点は未公表ですが、IGS、進学の両コース各回ともに、難度はあまり変わらなかったようです。
〈県東部・県南部〉
  • 東海大市原望洋:昨年応募者の増加が目立ち、今年も昨年並みの応募者数を維持しています。スクールバスの強化で遠方からの受験生を集めていて、地域の生徒数が減っている中でも人気を保っています。合格最低点は、スーパー特進が下がっていますが、少し得点しにくい出題だったようで、難度は特に変わっていないでしょう。総合進学の合格最低点は昨年並みでした。
  • 市原中央:一昨年まで応募者が増えていましたが昨年は減少、今年はやや増加して人気が戻りました。各コースとも難度はあまり変わっていないようです。
  • 志学館:応募者数は増えています。進学校としての評価が上がっていて、木更津高校などの併願先としての人気も高いようです。合格最低点は昨年並みで難度は変わっていないようです。

埼玉県私立高校

1.全体の状況

以下の表は、編集部のアンケート集計による、私立高校応募者数の推移です。

埼玉県私立高校の応募者数(2014〜2018年)

応募者数 男子校 女子校 共学校 合計
2018年速報値 6,727 3,082 58,518 68,327
2017年 6,456 4,360 58,312 69,128
2016年 6,471 4,529 58,019 69,019
2015年 6,582 4,498 58,471 69,551
2014年 8,719 4,773 55,573 69,065

※ 3/20までに編集部に到着した各校のアンケートを集計、一部に未公表校や二次募集が含まれていないケースがあるため、最終数値ではありません。
※ 昨年度の数値は、昨年のマニアックスでの速報以後の判明分、修正分を反映させています。

埼玉県内私立各校の応募総数は68,300名あまりで、昨年より約800件減っています。県内公立中学校の卒業予定者数の減少分だけ応募者が減ったと考えるのが妥当でしょう。学校種別では女子校は大きく減っていますが、これは浦和麗明が共学化したためです。

2.学校別の状況

地域別に、特に応募者数が増えた学校や、難関・有名校、特筆事項がある学校などについて、ご紹介します。なお、速報集計に基づいて記載していますので、記事作成段階で未公表だった合格最低点などが今後公表された場合、内容が変わることがあります。

〈県南部(さいたま市ほか)〉
  • 浦和麗明:女子校から共学化しました。共学化に合わせ、体育館などの新築も行っています。最上位コースとして特選Ⅰ類を新設、中堅レベルの進学αコースと進学コースは、(新)進学コースとして一つに統合されました。専門系の調理パティシエは募集を停止しました。各学科合計の応募者数は大きく増え、昨年の1.5倍になりました。共学化の人気だけでなく、東部地区の系列校、叡明からの受験生の流入も見られました。新設の特選Ⅰ類は昨年までの特選よりもワンランク上の難度、進学コースも昨年の進学αに近い難度、他のコースも、ボーダーラインは少し上がっているようです。
  • 淑徳与野:マルチスタディ(MS)コースを新設しました。これは、2020年の大学入試改革を視野に入れて、思考力や表現力を伸ばすことに重点を置いたコースで、入試も思考力テストと英語です。MSコースはそれほど多くの受験者を集めることはありませんでしたが、今後が注目されます。他コースについては今年は応募者が減りました。昨年までは安定した応募者数が続いていましたので、首都圏全般に見られる女子校離れが影響したのかもしれません。各コースとも難度については変化はないようです。
  • 栄東:昨年並みの応募者数でした。今年も県内だけでなく、隣接都県も含め、最上位レベルの受験生が集まった入試でした。難度は特に変わっていないようです。
  • 開智:応募者数は増えました。一昨年までの応募者の増加傾向が戻ったようです。各コースとも難度に変化は見られません。
  • 大宮開成:急速に進学校化が進んでいて、同校受験生の学力水準が変わっています。昨年は入り易い特進SⅡコースを募集停止として応募者が減りましたが、これは順調に在籍生が増えているための募集停止とのこと。今年も応募者は少し減りましたが、難化が進んだからでしょう。各コースの合格最低点は概ね昨年並みでした。
  • 埼玉栄:これまで併願受験の入試科目が国数英の3教科以外にも国英社と英数理が選択できましたが、国数英に統一されました。進学体制強化の一環です。昨年は入りやすい総合進学コースの募集を停止したため応募者が減っていて、今年も各コース各回合計の応募者は減っています。各コースの難度に特に変化はなかったようですが、以前に比べて難化傾向になっていますので、受験生の学力層が少し変化してきています。
  • 栄北: 2015年に自動車科の募集を停止、進学校カラーが強くなって、期待する受験生が増えています。今年は隔年現象で応募者が減りました。各コースとも難度面では特に変化は見られません。
  • 浦和学院:特進類型が大幅改編となり、リーダーズ、サイエンス、プログレス、アブソルートの4コースを、T特、S特、特進の3コースとしました。各回各コース合計の応募者数は一昨年が前年並み、昨年は少し減っていましたが、今年もやや減っています。公立併願受験生が少し他校に流れたようです。しかし依然として県内最大規模の入試です。難度面ではT特が昨年のリーダーズ、サイエンス相当、S特がプログレス相当、特進がアブソルート相当で、他の各コースとも昨年並みでしょう。
  • 武南:昨年に続き今年も応募者が増えました。以前は隔年現象が見られましたが、5年前に中学を開校してから地域でのイメージが変わってきて、応募者数が安定してきました。各コースとも昨年並みの難度だったようです。
  • 浦和実業:昨年並みの応募者数でした。合格最低点は一部で上下が目立つコースや入試日程がありますが、各コースの難度は概ね昨年並みでしょう。
〈県西部(川越・所沢周辺など)〉
  • 慶應志木:推薦、一般、帰国とも昨年より少しずつ応募者が増えています。人気は安定しています。難度も高水準での安定です。
  • 立教新座:応募者がやや増えました。昨年に続く増加で、人気は安定しています。昨年に引き続き難関校、附属校志向の受験生が集まったことになります。補欠を出していることもあって、難度に変化はありません。
  • 城北埼玉:昨年に続いて今年も応募者が減っています。人気に陰りが出ているようです。難度面ではあまり変化がなかったようです。
  • 川越東:一昨年、昨年と前年並みの応募者が続いていましたが、今年は増えました。もともと人気は安定していましたが、同校の進学指導体制を支持する受験生が増えたようです。難度は昨年並みでしょう。
  • 城西大川越:2015年から応募者が増加傾向でしたが、今年は減りました。併願受験生が他校に少し流れたのかもしれません。合格最低点にはあまり変化が見られませんでした。
  • 星野女子部:例年は隔年現象で応募者が増減しますが、今年は昨年に続いて応募者が増えました。首都圏全般で女子校の人気が下がっていますが、川越地区の伝統校だけあって、同校は人気を維持しています。難度は昨年並みだったようです。
  • 秋草学園:応募者が増えました。特に進学コースの応募者が増えています。各コースの難度に変化はなかったようです。
  • 細田学園:ここのところ学校改革を進めていて、今年は選抜コースを、選抜Lコースとより上位の選抜Gの2コースに分けて募集を行いました。一昨年、昨年と応募者が増加していましたが、改革で難化することを警戒されたのか、今年は減りました。選抜Gコースは予想通り選抜Lコースよりもやや高い難度だったようです。それ以外は各コースとも、難度は特に変化がなかったようです。なお、同校では2019年度に併設中学校の開校を予定しています。
  • 狭山ヶ丘:以前から隔年現象で応募者数が増減していて、今年は順番通り減っています。各類型とも、難度は特に変化がなかったようです。
  • 山村学園:昨年に続き応募者が増えました。同校は昨年、特進SAと特進文理の2コースをクラスとして募集しました。上位大学を目指す進学系のコースを手厚くする改編が多い中でこのような施策は珍しいのですが、受験生の状況に合わせた改編で、だからこそ今年も応募者が増えたのでしょう。各コースの難度は特に変化がなかったようです。
  • 聖望学園:応募者数は昨年並みで、人気は安定しています。各コースの難度も昨年並みだったようです。
  • 星野共学部:一番入りやすかった総合教養コースの募集を停止しました。その影響もあって応募者は減っています。存続しているコースの合格最低点は各コースとも昨年並みで、学校全体では総合教養コースがなくなった分、少し難化した結果でした。
  • 西武文理:応募者が大きく増えました。近年応募者の減少が続いていましたが、人気の下降に歯止めがかかったようです。難度面では、各コースとも昨年並みでしょう。
  • 西武台:一昨年、昨年に続き応募者がやや減りました。かつては隔年現象が目立つ学校でしたが、この数年は人気に陰りが出ているようです。公立併願の受験生が少し他校に流れているのかもしれません。各コースとも難度は維持しているようです。
〈県北部〉
  • 大妻嵐山:これまでの選抜コースを大妻グローバルコースに改称、大学との接続を鮮明にしました。昨年は隔年現象で応募者が減っていましたが、今年も減りました。首都圏に限らず女子大の人気が以前ほどではなくなってきていることから、大学とのつながりを鮮明にしたことが、受験生に少し抵抗感を持たれたのかもしれません。これにともない、やや入りやすくなったようです。
  • 東京農大第三:昨年に続き、今年も応募者が少し減りました。一昨年にコースを改編していて、一昨年は改編を歓迎して応募者が増えましたが、昨年、今年と、新コースが定着するにつれて、併願受験生の動きが変わってきたのかもしれません。各類型とも難度は昨年並みだったようです。
  • 武蔵越生:応募者が減っています。一昨年、昨年と応募者増加が続き人気が上がっていたので、敬遠傾向が出たのかもしれません。各コースの難度に変化はなかったようです。
  • 本庄第一:応募者が減っていますが、隔年現象によるものでしょう。併願受験生が多いこともあって、各コースの難度はあまり変わっていないようです。
  • 本庄東:応募者が増えました。昨年も東大合格者が出ており、進学指導体制が強化されてきたことから、支持する受験生が増えているのでしょう。各コースの難度はあまり変わっていないようです。
  • 早大本庄:2次試験の日程について、神奈川県・千葉県の公立高校と試験日が重複する受験生は日程を変更することができる柔軟な対応を行いました。応募者数はやや増えました。都内など県外からの受験生も多く、地元の公立高校受験とは全く乖離した人気動向です。もともと難度が高いためさらに難化することはありませんが、今年も厳しい受験となりました。
〈県東部(東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線方面)〉
  • 叡明:2015年に南浦和から越谷レイクタウンに移転、男子校から共学化していて、昨年は応募者が大きく増えました。今年も人気は継続していますが、同校が少し厳しい受験生の一部は、系列校で今春共学化した浦和麗明に流れました。このため各コース合計の応募者数は減少していますが、各コースの難度はかえってやや上がっているようです。
  • 花咲徳栄:安定した応募者数が続いて、人気は安定しています。併願受験生が多く、各コースの難度は昨年並みでしょう。
  • 開智未来:開校8年目の新しい学校です。難度が浸透するにつれて応募者が減少しましたが、大学合格実績が出た一昨年は大きく増えました。昨年は前年並みで、今年は再び大きく増えました。人気が定着してきたようです。合格最低点は特待認定が少しずつ上がっているほか、一番入りやすい開智コースが一部の回次で上がっていて、やや難化しています。
  • 昌平:応募者数は少し減っています。人気が上がって難化したことから、受験生の一部が避けたのかもしれません。合格最低点が上がっているコースが多く、難度はやや上がっています。
  • 春日部共栄:応募者が増えました。昨年は前年並みだったので、人気が少し上がっているのでしょう。各コース各回とも合格最低点は昨年並みです。
  • 獨協埼玉:隔年現象で応募者数が増減している学校で、今年は増えるところでしたがやや減りました。都内からの受験生の動きが少し変わっているのかもしれません。難度面は特に変化していないようです。


[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

一覧に戻る

ページトップ