上級者向け 受験マニアックス
2016年1月号 2016年公立高校入試・中学3年生の進路希望調査
この記事は2015年度の情報です。最新の情報は2023年12月号、2024年1月号および2024年2月号をご覧ください。
神奈川・埼玉・東京の、公立高校入試の傾向がわかる「進路希望調査」の結果が各教育委員会から発表されています。その中から、人気の高い高校を紹介し傾向を探ります。千葉県はまだ発表がありませんので、随時追加していきます。
神奈川県の中学3年生進路希望調査
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 市立橘 | 2.55 |
2 | 川和 | 2.23 |
3 | 湘南 | 2.19 |
4 | 新城 | 2.15 |
5 | 市立金沢 | 2.11 |
6 | 鎌倉 | 2.08 |
7 | 横浜翠嵐 | 2.045 |
8 | 横浜緑ケ丘 | 2.043 |
9 | 藤沢西 | 2.03 |
10 | 大和 | 2.02 |
神奈川県の公立中3生で卒業予定者数は70,369名と昨年から500名以上増加しています。高校等進学希望者数は68,221名と、進学希望率も96.9%と過去最高になりました。
県外の高校への進学希望者は国・公立、私立とも減少、定時制も減少しています。一方、県内私立は希望率の伸びが目立っています。全日制公立の希望率は0.1%下がっていて、私立志向が上がり、公立人気に陰りが出てきたようです。
以前はこうしたランキングを作ると、毎年登場校がかなり入れ替わっていましたが、2013年以降は特定の5~6校が連続して上位10校に入るようになってきて、人気校の固定化が徐々に進んできています。しかし、以前は上位10校によく登場していた横浜市立南は昨年、今年と人気校から外れています。これは同校が中高一貫化し、今春初めて内部進学生が高校に上がったため、一般からの募集定員が一気に38名に削減されたからで、狭き門を嫌って受験生が他校に流れました。今年もその傾向が続きました。
埼玉県の中学3年生進路希望調査
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 市立浦和 | 2.59 |
2 | 蕨 | 2.16 |
3 | 市立大宮西 | 2.11 |
4 | 川越南 | 2.04 |
5 | 大宮 | 1.99 |
6 | 市立川越 | 1.96 |
7 | 上尾 | 1.93 |
8 | 浦和西 | 1.87 |
9 | 和光国際 | 1.82 |
10 | 越谷南 | 1.75 |
12月15日現在の県内中3生の第2回進路希望調査が発表されました。中学校卒業予定者数は、昨年よりも微減ですが、高校進学希望者は95名の増加となっています。10月の第1回進路希望調査で全日制公立を希望していた生徒の中から県内・県外私立に希望を変更した生徒が数多く出ています。埼玉県内では公立志向が上がり、人気が高くなった学校が増えました。
トップは3年ぶりに市立浦和で、前年の2位からトップに上がっています。2位は蕨で、前年の11位から上昇です。両校とも人気が上がっているだけでなく募集定員1クラス削減の影響が見られます。
3位は前年も3位の市立大宮西、4位は前年の6位から上昇の川越南で、ここまでが2倍を超えています。5位は大宮で、前年は1.5倍を超えていませんが、今年は人気が上がったことと募集定員の削減で2倍に近い水準になりました。6位は2年連続でトップだった市立川越です。同校は人気が一段落してきたようです。
浦和、草加、浦和第一女子の3校は、今年は倍率が1.5倍に達しませんでした。草加は、人気が一段落しているようですが、浦和、浦和第一女子は募集定員が拡大されたことも影響しています。ただ、この両校は今回倍率が低かったといっても、都内難関私国立校との併願を考えている受験生が多いでしょうから、その合否結果によっては実際の出願では高倍率になるかもしれません。
また、前述の大宮をはじめ、越谷南、川口、川越女子、大宮南、市立大宮北、八潮南、川越、熊谷西、越谷西が今年は1.5倍以上になりました。このうち、川口、川越女子、市立大宮北、川越、越谷西は大宮同様、募集定員が削減されます。
今回の調査は募集定員変更の発表後に行われていますが、他の受験生の様子見、ということなのか、募集定員削減校を希望していた受験生が、削減の発表を聞いてを他校に流れる動きはあまり大きくはないようです。
東京都公立中3生の進路希望調査
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 青山 | 2.15 |
2 | 江戸川 | 2.12 |
3 | 調布南 | 2.03 |
4 | 昭和 | 1.96 |
5 | 上野 | 1.95 |
東京都教育委員会が1月7日、都内公立中3生の進路希望状況を発表しました。卒業予定者数は前年より761名増加しています。全日制高校進学希望者数、全日制都立希望者数もこの10年では最多で、特に全日制都立希望者数は2001年に次ぐ水準です。その当時よりも都立志向が強くなっています。
今年の特徴は、青山、江戸川、昭和、上野と、この5年間でベスト5に登場しなかった学校が一気に4校登場したことで、これは日比谷、戸山、駒場といった、ベスト5常連校が低倍率だったことが理由です。トップの青山の2.15倍も、1位としては最低の倍率になりました。
日比谷や戸山といった進学指導重点校7校のうち、日比谷、戸山、西、国立、立川、八王子東の6校はいずれも希望者を減らしています。これは、今回の入試制度改革で、入試の当日点のみで選考する「特別選考」が廃止されたためです。当日の点数勝負を考えた受験生が、私立難関校に流れたと考えられます。
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 広尾 | 2.63 |
2 | 青山 | 2.48 |
3 | 小平 | 2.46 |
4 | 目黒 | 2.3 |
5 | 向丘 | 2.29 |
女子も以前は進学指導重点校がベスト5に登場していましたが、近年は登場しなくなり、もっぱら2番、3番手校がベスト5を占めるようになっていました。2位に青山が入っていますが、久しぶりの進学指導重点校のランクインです。高い人気で希望者が増えただけでなく、募集定員も減ったため、高倍率になりました。
なお、女子は青山に限らず応募者が増えている進学指導重点校もあり、男子ほどは特別選考廃止の影響は大きくありません。むしろ今回の入試制度改革が有利に働く受験生も男子より多いからです。今回の女子の1位には広尾が2年ぶりに返り咲きました。同校と3位の小平、5位の向丘はベスト5の常連校で、今回も高い人気です。4位の目黒は人気が上がっています。
下のデータは2015年度の情報です。最新情報は2019年7月号および2019年10月号をご覧ください。
2016年度 首都圏高校入試変更点 |
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・2016年度 首都圏高校入試変更点(2015年11月26日現在) |