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上級者向け 受験マニアックス

2024年1月号 神奈川県の中学3年生の進路希望調査結果

神奈川県の教育委員会が11月27日に発表した、中学3年生の進路希望調査結果を紹介します。各校の募集人数、希望者数、希望倍率の詳細は、添付のPDFで確認してください。これから受験本番に向けて人気の動向は変動する可能性もありますので、あくまで参考程度にご覧いただければと思います。
なお、東京都と埼玉県2回目の進路希望調査結果は、次号で紹介する予定です。

全体的な傾向

下の表は、卒業予定者数、高校進学希望者数、進学希望高校の種別を、昨年と比較したものです。

項目 卒業予定者数 高校進学希望者数 全日制 県内公立定時制 通信制
県内 県外
公立 私立 国・公立 私立
人数 今回 67,019 64,842 51,019 5,462 362 2,910 855 2,961
昨年 67,984 65,902 51,899 5,595 391 3,090 795 2,826
前年対比 -965 -1,060 -880 -133 -29 -180 +60 +135
卒業予定者数対比 今回 100.0% 96.8% 76.1% 8.1% 0.5% 4.3% 1.3% 4.4%
昨年 100.0% 96.9% 76.3% 8.2% 0.6% 4.5% 1.2% 4.2%
前年対比 0.0% -0.2% -0.2% -0.1% 0.0% -0.2% 0.1% 0.3%

※率は少数第2位を四捨五入しているため、単純計算だと一部合わないところがある。

卒業予定者数は、昨年より965名減っています。高校進学希望者数は1060名減っていて、卒業予定者数より減少幅が大きくなっています。高校種別に見ると、全日制高校は県内の公立・私立、県外の国公立・私立とも減っています。

全日制県内公立高校の希望率はこの10年ほど減少傾向が続き、今回もわずかに下がり76.1%となりました。人気は下げ止まりになってきたと考えられます。2024年度は神奈川県公立高校選抜制度が変更される年ですが(変更の詳細は2023年7月号で紹介)、その影響は大きいものではなく、目立った公立離れなどは起きていないようです。

全日制県内私立高校の希望者は133名減少、全日制県外私立高校の希望者は180名減少した一方、県内公立定時制の希望者は60名増えていました。

近年人気が上がっている通信制の希望者は135名増えた2,961名、希望率は4.4%で、東京都などの全日制県外私立の希望者数2,910名、希望率4.3%を上回りました。僅差とはいえ、通信制が全日制県外私立を上回ったのは初めてのことで、特筆すべき事態だといえます。なお、神奈川県から入学できる通信制高校には、N高校やS高校に代表されるような在宅授業が中心の広域通信制高校と、県内に校舎があって頻繁にスクーリングする狭域通信制高校があります。首都圏の通信制人気は広域通信制高校が牽引してきた傾向がありますが、2024年度入試に向けて神奈川県では、県内の狭域通信制高校の人気が上がっている模様です。特に、秀英高校や清心女子高校など、全日制に近いタイプの通信制高校に人気が集まっています。一人ひとりの個性に合わせて面倒見の良い指導を行ってくれる部分、週1日〜5日と選べる登校スタイルなどが評価されているのかもしれません。男子校だった秀英が共学化することも人気につながっているのでしょう。

下のグラフは、県内私立高校、県外私立高校、公立定時制高校、通信制高校(公立私立合計)の希望率の推移を表したものです。

県内外の私立高校の希望率は近年上昇傾向でしたが、今年はやや下がっています。公立定時制高校は、昨年、今年とわずかに希望率が上昇してきましたが、ずっと1%台です。目立って動いているのは通信制高校。この10年の推移を見ても、2019年だけが横ばいで、それ以外は毎年上昇していて、前述のように今回は県外私立を上回っています。N高校やS高校のようなニュータイプの通信制高校も人気ですが、前述のとおり神奈川県の場合は、全日制に近い性質を持つ通信制高校もあわせて人気が上がっています。

地域別の県内全日制私立希望率

下のグラフは、昨年と今年の県内全日制私立高校の希望率を、旧学区別(厳密には一部異なる)に見たものです。

旧大和座間綾瀬は2.1%と大きく上がり、旧横浜臨海は1.1%上がっています。両地区とも昨年は一昨年並みの希望率でしたから、隔年現象というわけではなく、県内全日制私立の人気が上がっています。この他、旧相模原南北もやや人気が上がっていますが、こちらは隔年現象です。

一方、旧秦野伊勢原と旧川崎北部は大きく下がっていますが、両地区とも隔年現象でしょう。旧平塚、旧横浜西部、旧県西も1%を超える下降で、このうち旧平塚は隔年的な変化ですが、旧横浜西部は昨年が一昨年並みの希望率だったものが、今年は低下に転じていて、旧県西は昨年も1%を超える下降で、今年も継続して下がっていますから、これらの地域では、県内全日制私立の人気が下がっていることがうかがえます。旧茅ヶ崎もやや下がっていますが、こちらは隔年現象です。

公立高校・全日制普通科の旧学区内希望率

神奈川県は2005年度入試から公立高校・全日制普通科の学区を廃止しています。旧学区内の高校を希望する割合は2005年以降ずっと低下してきましたが、ここ10年ほどは下降具合が緩やかになっており、そろそろ下げ止まりかと思われます。今年の旧学区内希望率は昨年より1.0%減った50.6%で、約半数となっています。

旧学区別の傾向として、旧学区内希望率が70%台と高いのは、旧横須賀三浦、旧相模原南北です。反対に、旧横浜中部、旧横浜西部、旧横浜南部、旧横浜臨海は30%台、旧横浜北部、旧茅ヶ崎、旧秦野伊勢原、旧平塚、旧大和座間綾瀬は40%台と低くなっています。残りの地域は50%台です。

希望倍率が高い公立高校

下の表は、公立普通科の希望倍率上位10校を、今年と昨年で比較したものです。

※昨年までは併設型中高一貫校の内部進学以外の特別募集枠(海外帰国生、在県外国人等、インクルーシブ特別枠と、愛川の連携枠)、コース制(神奈川総合の個性化と国際文化、市立戸塚の一般と音楽、横浜国際の国際一般と国際バカロレア)が区別されずに合算での公表でしたが、今回から区別して公表されることになりました。本記事では、2022年と比較する都合上、合算して紹介します。専門学科の小学科(工業科の中の機械科と電子科など)合算は変更ありません。

公立普通科 希望倍率上位10校(2023年調査・2022年調査)
2023年 普通科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 横浜翠嵐 939 359 2.62
2 横浜緑ケ丘 726 279 2.60
3 湘南 880 359 2.45
4 市立橘 472 198 2.38
5 多摩 640 279 2.29
6 鎌倉 716 319 2.24
7 新城 607 279 2.18
8 神奈川総合※1 457 218 2.10
9 上溝 486 239 2.03
10 七里ガ浜 723 359 2.01
2022年 普通科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 横浜翠嵐 945 358 2.64
2 市立橘 511 198 2.58
3 湘南 921 358 2.57
4 横浜緑ケ丘 674 278 2.42
5 神奈川総合※1 522 218 2.39
6 多摩 635 278 2.28
7 新城 602 278 2.17
8 岸根 678 318 2.13
9 市立金沢 664 318 2.09
10 市立戸塚※2 632 318 1.99

※1 神奈川総合は小学科では国際文化と個性化の合計。舞台芸術は含まない。
※2 市立戸塚は大学科単位なので音楽コースを含む。

トップは今年も横浜翠嵐で、昨年並みの希望者数です。希望倍率は2.62倍と極めて高めで、厳しい入試が続きそうです。2位は昨年の4位から上がった横浜緑ケ丘で、希望者が増えて順位が上がりました。3位は昨年と同じ湘南で、希望者は減っていますが、順位に変動はありません。4位は昨年2位だった市立橘で、希望者が減っています。昨年上がった人気が少し落ち着いた状況です。5位の多摩は昨年の6位から上がりました。希望者数は昨年並みです。6位の鎌倉は一昨年以来の登場です。昨年は14位で、もう少しで登場する位置でした。今年は隔年的な変化で希望者が増えています。7位は昨年と同じ新城で、希望者は昨年並みです。8位は昨年5位だった神奈川総合で、希望者が減っています。9位は一昨年以来の登場の上溝で、昨年は12位と、もう少しで登場する位置でした。隔年的な希望者数の変化です。10位の七里ガ浜はこの10年で初登場の学校です。希望者は100名を超える大幅な増加で、希望倍率が一気に上がりました。

トップ10に登場しなかった学校で、前年対比で10%以上、かつ人数が2ケタ以上の増加で、希望倍率が1倍以上の基準で増えているのは、白山、横浜緑園、保土ケ谷、舞岡、市立桜丘、横浜南陵、市立南、横浜立野、(県)川崎、川崎北、市立高津、上鶴間、橋本、追浜、藤沢西、茅ケ崎、茅ケ崎西浜、高浜、大磯、足柄、有馬でした。

続いて、専門学科や総合学科の希望倍率上位10校を紹介します。

公立専門・総合学科 希望倍率上位10校(2023年調査・2022年調査)
2023年 専門・総合学科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 市立みなと総合 637 238 2.68
2 市立橘・スポーツ 80 39 2.05
3 サイエンスフロンティア 308 158 1.95
4 神奈川総合・舞台芸術 58 30 1.93
5 市立横浜商業・国際学 70 39 1.79
6 市立横須賀総合 546 320 1.71
7 市立橘・国際 61 39 1.56
8 川崎総合科学・科学 59 39 1.51
9 市立川崎・生活科学 56 39 1.44
10 藤沢総合 400 279 1.43
2022年 専門・総合学科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 神奈川総合・舞台芸術 91 30 3.03
2 市立みなと総合 476 238 2.00
3 サイエンスフロンティア 288 158 1.82
4 相模原弥栄・スポーツ科学 136 78 1.74
5 相模原弥栄・美術 65 39 1.67
6 藤沢総合 422 278 1.52
7 金沢総合 415 278 1.49
8 市立横須賀総合 465 320 1.45
9 市立横浜商業・国際学 54 39 1.38
9 市立橘・国際 54 39 1.38
9 相原・農業各科 162 117 1.38

トップは昨年2位だった市立みなと総合で、希望者が大幅に増加し、希望倍率も大きく上がりました。これまでにないような人気ぶりですが、実際の出願者はやや減ると考えられます。2位の市立橘・スポーツは、昨年は登場していませんが一昨年は登場していました。定員39名と小規模な学校なので、倍率変化は大きくなっています。3位は昨年と同じサイエンスフロンティアです。希望者は少し増えていて、根強い人気です。4位は昨年トップだった神奈川総合・舞台芸術です。定員39名と小規模なので、倍率の変化の幅が大きくなっています。5位は昨年同率9位だった市立横浜商・国際学です。やはり39名定員ですが、今年は希望者が増えて希望倍率も上がっています。6位の市立横須賀総合は、希望者が増えて昨年の8位から上がっています。7位は昨年同率9位だった市立橘・国際です。希望者は7名増えただけですが、定員39名なので倍率が大きく上がっています。8位の川崎総合科学・科学と9位の市立川崎・生活科学は、この10年では初登場です。両校とも39名定員と小規模ですが、今年は希望者が増えて表に登場しました。10位は昨年6位だった藤沢総合で、今年は希望者が少し減りました。

トップ10に登場しない学校・課程で、希望者数10%以上かつ2ケタ以上の増加で、希望倍率が1倍以上の基準で増えているのは、上矢部・美術と吉田島・生活科学でした。

神奈川県の進路希望調査から見えてきた傾向

1.学力中堅層以下の生徒の挑戦志向低下

学力上位層の受験生は難関校に積極的にチャレンジする姿勢が見られますが、学力中堅層以下のボリュームゾーンの受験生の間では、挑戦志向の低下が目立っています。志望校を選ぶ際も、学びの内容や校風に魅力を感じて、というよりも、現状の学力で確実に合格できるところを探す傾向が強くなっています。高校受験が、「入りたい学校選び」から「入りたい学校探し」になっているのです。また、「ここでいいかな」という学校を見つけたらそれ以上は探さなかったり、1校合格したら早々に受験を終わりにしたりする早期決定志向も目立っています。

この背景には、大学進学実績が高い高校、大学受験に向けた学習指導が充実している高校を選んで、難関大学に合格したいと考える層が減ってきたことがあると考えられます。多様性を重視する時代に伴い、難関大学に入って一流企業に就職することに魅力を感じる層が減り、無理をせずに自分らしく高校生活を楽しみたいと考える層が増えてきたのでしょう。大学入試全体の競争倍率が低下していることもあり、高校選びの際に大学入試の圧力を感じることが少なくなってきているのでしょう。

2.通信制高校の人気上昇

通信制高校の人気が上がり、進学先として通信制高校を選ぶ生徒が目立って増えています。その理由の一つとして、世界の舞台で活躍する高校生アスリート、芸能活動をしている生徒、研究やボランティアなど興味関心のある活動に打ち込みたい生徒などが、自分のやりたいことと学業を両立できる場として、選んでいるということがあります。また神奈川県では、毎日通うこともできるなど全日制に近いタイプの通信制高校も人気がありますので、自分のペースで勉強しながら先生にしっかり相談できるという理由で選ばれている面もあるでしょう。さらにコロナ禍を経て、「面倒な人間関係に煩わされたくない」「家で一人で勉強していた方が楽」などと考える生徒も出てきたようです。通信制高校を選ぶ理由は、多様になってきています。

ただ、高校は勉強だけするところではなく、さまざまな人と交流して視野を広げたり、部活や学校行事で多彩な経験を積んだりするところでもあります。通信制高校への進学を考える際は、「〜がしたくない」という後ろ向きな理由ではなく「〜がしたい」という、前向きな理由で決めていただきたいと思います。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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