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上級者向け 受験マニアックス

2024年3月号 2024年首都圏入試を振り返る(公立高校編)

2024年の高校入試が終了しました。今回の受験マニアックスでは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の公立高校の入試状況の振り返りを紹介します。
各校の詳しい応募者数や受験者数、応募倍率等については、添付のPDFをご覧ください。

東京都・都立高校:全体の状況

2月号でもお伝えしたとおり、都内の公立中学校卒業予定者数は昨年より416名増の78,108名、高専を含めた全日制都立高校への進学希望者数は昨年より69名増の49,431名でした。

東京都立高校学年制普通科は2024年度から男女別定員を廃止し、一般入試、推薦入試ともに、男女合同定員に移行しました(詳細は2023年10月号)。よって、従来よりも女子が合格しやすく、男子が合格しにくくなった側面があります。今年の応募状況にも、その影響が一部に見られました。

東京都・都立高校:推薦入試

概況

全日制都立高校と新宿山吹高校情報科の推薦の募集定員は9,464名で、昨年の9,372名から92名増えました。応募総数は23,480名で、昨年の23,176名から304名増加しました。一昨年、昨年は卒業予定者が増えているのに応募者が減っていましたが、今年は増加しています。進路希望調査(昨年12月13日時点の調査)では全日制都立高校志向は低下していましたが、今年は推薦入試の定員を拡大したことで、第一志望の都立高校に推薦入試で入りたいと出願する受験生が増えたのでしょう。ただし、平均の応募倍率は昨年と同様の2.47倍で、過去最低倍率が続いています。

学年制普通科の人気校

学年制普通科の応募倍率上位10校を紹介します。推薦入試は一般入試と比べて志望校選びに妥協が少ないため、実際に受験生が行きたいと思う人気校を反映しているといえるでしょう。昨年までは男女別に算出されていましたが、男女合同定員への移行により、今年から男女合計になっています。参考までに、昨年の男女別の応募倍率を元に、男女合計の応募倍率を計算した数値も載せています。

  24年 23年男女合計参考 23年男子 23年女子
順位 校名 応募 倍率 校名 応募 倍率 校名 応募 倍率 校名 応募 倍率
1 三田 5.31 鷺宮 5.61 片倉 5.54 鷺宮 6.42
2 本所 5.21 小岩 5.08 小岩 4.86 西 5.80
3 板橋 5.00 片倉 4.96 鷺宮 4.86 富士森 5.52
4 城東 4.97 城東 4.56 東大和 4.52 小岩 5.32
5 豊島 4.66 広尾 4.368 東村山 4.30 広尾 5.00
6 小岩 4.53 西 4.365 雪谷 4.28 城東 4.97
7 日野 4.33 東村山 4.16 城東 4.18 竹台 4.88
8 広尾 4.20 深川 4.043 東大和南 4.04 青山 4.62
9 葛飾野 4.06 雪谷 4.036 保谷 3.91 戸山 4.50
10 南葛飾 3.91 東大和 3.98 武蔵村山 3.90 竹早 4.48

今年のトップは三田で、男女とも2021年以来のランキング登場です。応募者数は昨年の1.5倍以上となり、倍率が大幅にアップしました。今年は調査書満点を100点、面接と小論文を各250点満点として、小論文重視を打ち出しています。調査書の比率を下げたことで、内申点が不足気味の受験生に歓迎されたようです。2位の本所も2021年の女子以来の登場です。応募者数は昨年の1.6倍以上となり、高倍率になりました。昨年、一昨年は応募倍率がそれほど高くなかったため、狙い目と思われたようです。3位の板橋も男女とも2021年以来の登場で、応募者数は昨年の約1.4倍となりました。本所と同様に、狙い目だと思った受験生が集まったようです。4位の城東は、昨年は男子が7位、女子が6位で、参考値の男女合計では4位でした。昨年の参考値よりやや応募倍率が上がっていて、人気が上がっています。5位の豊島は近年女子の人気が上がってきた学校で、一昨年は15位、昨年は11位ともう少しでランキングに登場する位置でした。男女別の応募者数は公表されていませんが、今年も女子の人気が優勢なのでしょう。

単位制他の人気校

単位制普通科やコース制、総合学科、専門学科などの応募倍率上位10校を紹介します。これらの学校は元から男女合同定員です。網掛け部分は同倍率同順位です。

  24年応募倍率 23年応募倍率
順位 校名 課程 応募 倍率 校名 課程 応募 倍率
1 新宿 単位制普通 7.66 新宿 単位制普通 5.91
2 総合芸術 美術 5.46 総合芸術 美術 5.33
3 総合芸術 舞台表現 4.83 工芸 デザイン 5.20
4 工芸 グラフィックアーツ 4.70 赤羽北桜 調理 4.90
5 工芸 デザイン 4.50 総合芸術 舞台表現 4.42
6 園芸 動物 4.20 国際 一般生徒 4.24
7 駒場 保健体育 4.08 園芸 動物 4.00
8 赤羽北桜 調理 4.00 美原 単位制普通 3.75
9 総合芸術 音楽 3.83 農業 食物 3.70
10 大泉桜 単位制普通 3.73 瑞穂農芸 畜産科学 3.70

トップは新宿、2位は総合芸術の美術で、昨年と同じ順位になりました。両校とも高い倍率が続いています。新宿は応募者が増加し、7.66倍とかなりの高倍率になりました。7倍を超えたのは2017年以来です。3位は総合芸術の舞台表現で、昨年の5位から上がりました。応募者は少し増えています。4位は工芸のグラフィックアーツで、近年は隔年で登場しています。昨年は13位で、もう少しで上位10校に登場するところでした。5位は工芸のデザインで、昨年は3位でした。今年は応募者が少し減って5倍を切っています。

東京都・都立高校:一般入試

概況

都立高校一般入試の募集定員は30,343名で、昨年より482名減っています。応募総数は42,017名で、昨年より221名減りました。応募者数が最多の学年制普通科(島嶼部、コースを除く)の応募倍率が昨年の1.46倍から1.47倍に上がっていて、単位制普通科は1.42倍から1.46倍に上がっています。総合学科も1.28倍から1.33倍に上がっていますが、専門学科は1.02倍から1.04倍に上がったものの低水準で、普通科志向が目立っています。

応募者が多かった学校

学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制))の、応募者数上位10校を紹介します。学年制普通科は昨年までは男女別に算出されていましたが、男女合同定員への移行により今年から男女合計になっています。参考までに、昨年の男女別の応募倍率を元に男女合計の応募倍率を計算した数値も載せています。網掛け部分は同数同順位です。

  2024年 2023年男子 2023年女子 参考2023年男女計 2024年単位制他 2023年単位制他
1 豊島 574 日比谷 344 小岩 264 日比谷 581 新宿 686 新宿 637
2 城東 542 豊島 264 鷺宮 263 小岩 515 芦花 455 芦花 434
3 戸山 499 江北 264 豊多摩 262 豊島 506 晴海総合 412 国分寺 410
4 上野 491 戸山 260 神代 258 武蔵丘 497 国分寺 365 晴海総合 351
5 豊多摩 471 石神井 259 昭和 254 文京 495 稔ヶ丘 351 墨田川 346
6 小岩 471 武蔵丘 255 文京 250 豊多摩 491 墨田川 323 稔ヶ丘 332
7 武蔵丘 469 小岩 251 富士森 249 戸山 490 六本木 285 小台橋 308
8 駒場 460 文京 245 武蔵丘 242 神代 487 小台橋 281 六本木 291
9 狛江 460 上野 242 豊島 242 石神井 485 上水 263 大江戸 283
10 日比谷 459 狛江 242 日比谷 237 江北 481 大江戸 261 国際(一般) 279

学年制普通科のトップは豊島で、昨年は男子2位、女子8位でした。2位は城東で、昨年は男女ともに15位でした。今年は人気が上がっています。3位の戸山は例年男子人気が優勢の学校で、昨年は男子4位、女子11位でした。男女別の応募者数は公表されていませんが、今年も男子の人気が優勢なのでしょう。4位の上野も男子人気が優勢な学校で、昨年は男子9位、女子はランク外でした。5位は豊多摩で、昨年は女子が3位、男子はランク外でした。昨年だけを見ると女子人気が優勢のように思えますが、一昨年までは男子もほぼ毎年ランキングに登場しており、男女とも人気が高い学校です。6位以下で注目なのは、10位の日比谷です。昨年は参考男女計のトップ、男子のトップ、女子の10位でしたが、今年は応募者が目立って減りました。この背景には、男女別定員廃止によって「合格しにくくなる」と考えた男子が、日比谷を避けて他に流れたことが考えられます。
なお、今年のトップ10の顔ぶれを見ると、昨年の男子ランキングからは7校、昨年の女子ランキングからは5校が登場しているので、都立高校受検は男子からの人気が高いように感じるかもしれません。しかし、元々男子は特定校に人気が集中する傾向が強く、女子はいろいろな学校に人気が分散する傾向が強いという背景があります。従って、「今年の都立高校受検は男子の人気が強い」というわけではありませんので、ご注意ください。
なお、都立高校選びの傾向として、以前は男女ともトップレベルの進学指導重点校が人気で、応募者数上位10校にも必ず何校か登場していました。しかし、7〜8年前から女子の間で2番手3番手レベルの上位校を選ぶ傾向が強くなり、進学指導重点校はランキングにあまり登場しなくなりました。そして最近は男子の間でも、進学指導重点校より2番手3番手の学校が選ばれやすくなっています。つまり、男子の希望状況が女子に近づき始めているのです。今年からの男女別定員廃止の影響もあり、今は都立高校の人気の状況が変わりゆく過渡期であるといえるでしょう。

単位制等のランキングは、募集規模が大きい学校が中心になり、登場校は固定化する傾向があります。今年の結果を見ると、やはり例年とあまり変わらない顔ぶれが並んでいます。
今年トップの新宿は10年以上連続してトップで、応募者がさらに増えました。トレンドの発信地・新宿に立地しており、おしゃれ感のある高校生活に憧れる受験生を都内全域から集めています。2位は昨年と同じ芦花で、応募者が増えています。3位は昨年4位の晴海総合で、応募者が増えています。4位は昨年3位の国分寺で、応募者が減っています。5位は昨年6位の稔ヶ丘(チャレンジスクール)で、応募者が増えています。

表に登場しませんが応募者の増加が目立った学校は、学年制普通科(エンカレッジスクールを含む)で八潮、千歳丘、杉並、光丘、向丘、竹台、足立新田、青井、本所、南葛飾、町田、山崎、拝島、秋留台、小金井北、小平、清瀬、保谷、東村山西、永山、大泉桜、板橋有徳、松が谷・外国語、小平・外国語、大島海洋国際、大田桜台、総合芸術・音楽、杉並総合、青梅総合、農業・服飾、八王子桑志・システム情報、蔵前工科・建築、練馬工科、府中工科・電気、町田工科、多摩工科・デュアルシステム、六郷工科・システム、第五商業、農業・都市園芸、新宿山吹・普通、同・情報、一橋・2部、浅草・1部、八王子拓真・1部、桐ヶ丘でした。

応募倍率が高かった学校

学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制))の、応募倍率上位10校を紹介します。学年制普通科は昨年までは男女別に算出されていましたが、男女合同定員への移行により今年から男女合計になっています。参考までに、昨年の男女別の希望倍率を元に男女合計の希望倍率を計算した数値も載せています。昼間部定時制のフレッジスクールやチャレンジスクールは、各部の合計です。網掛け部分は同倍率同順位です。

  2024年 2023年男子 2023年女子 参考
2023年男女計
2024年単位制他 2023年単位制他
1 豊島 2.27 日比谷 2.59 広尾 2.49 日比谷 2.29 立川・理数 2.71 立川・理数 3.66
2 広尾 2.16 目黒 2.29 鷺宮 2.48 広尾 2.26 国際・一般 2.418 国際・一般 2.85
3 青山 2.07 調布南 2.22 竹早 2.20 目黒 2.15 新宿 2.415 新宿 2.24
4 本所 2.01 広尾 2.06 豊多摩 2.17 鷺宮 2.07 農業・都市園芸 2.33 工芸・デザ 2.16
5 向丘 2.00 府中 2.03 神代 2.13 田園調布 2.06 科学技術・理数 2.26 芸術・美術 2.14
6 戸山 1.98 田園調布 2.02 昭和 2.0992 調布南 2.05 新宿山吹・普通 2.21 園芸・動物 2.08
7 目黒 1.96 豊島 2.00 田園調布 2.0988 府中 2.02 新宿山吹・情報 2.20 新宿山吹・普 2.00
8 上野 1.95 江北 2.00 青山 2.06 青山 2.01 芸術・美術 2.18 芦花 1.97
9 三田 1.93 雪谷 1.99 三田 2.02 豊島 2.00 八王子桑志・システム 2.16 科学技術 1.881
10 井草 1.91 戸山 1.97 府中 2.01 武蔵丘 1.96 工芸・グラ 2.16 北桜・調理 1.880
工芸・グラ 1.880
  • 工芸・グラ→工芸・グラフィック、工芸・デザ→工芸・デザイン、立川・理数→立川・創造理数、科学技術・理数→科学技術・創造理数(24年新設、23年9位の科学技術は科学技術科)、北桜・調理→赤羽北桜・調理、芸術・舞台→総合芸術・舞台表現、芸術・美術→総合芸術・美術、八王子桑志・システム→八王子桑志・システム情報

学年制普通科のトップは応募者数でもトップだった豊島です。応募者数が増えて倍率が上がっています。2位の広尾は、募集定員が小さいので応募者数ランキングには登場しませんが、応募倍率は昨年も参考男女計で2位です。3位の青山は例年高い人気で、特に女子人気が優勢です。昨年は男子がランク外(11位)、女子が8位で参考男女計は8位でした。今年はやや倍率が上がっています。4位の本所は2019年男子以来のランキング登場で、募集定員削減の影響もあり倍率が上がっています。応募者も増えています。5位の向丘は元々女子人気が優勢の学校で、女子はほぼ隔年でランキングに登場しています。募集定員削減の影響で倍率が上がっています。
なお、昨年のランキングには調布南や田園調布といった多摩地区の学校も登場していましたが、今年は多摩地区の学校が1校も姿を見せず、都心志向が高まっていることが窺えます。

単位制等は、募集定員が少ない学校・課程も多く、応募者数がわずかに増減するだけで倍率が大きく変動することもあります。人気校は固定傾向です。
1位は昨年同様に立川・創造理数で、応募者が少し減って倍率が下がっていますが、高い人気を保っています。普通科にスライド合格できる制度があることも、人気の理由の一つでしょう。2位、3位は昨年と同じで、国際・一般と新宿です。国際・一般は倍率が下がり、新宿は倍率が上がっています。4位の農業・都市園芸は、近年トップ10に登場したことはありません。少定員の学科で、今年は応募者が大きく増えて倍率が上がりました。5位の科学技術・創造理数は、今年新設された学科です。都立高校の創造理数科は立川に次ぐ2校目です。進路希望調査の段階では目立った人気が見られなかったのですが、実際は応募者がたくさん集まり、高倍率になりました。立川・創造理数と同様に、不合格でも科学技術科にスライド合格できる仕組みがあるため、挑戦してみる受験生が集まったのでしょう。6位、7位には、新宿山吹・普通と新宿山吹・情報が続きます。同校は、自分で時間割をつくる定時制の学校ですが、自分のペースで学べるところが人気を集めているのかもしれません。

応募の欠席・定員割れについて

2月21日の学力検査(エンカレッジスクールなどの学科テストがない学校も含む)の受検者は全日制が39,054名で昨年より554名減、六本木や一橋などの昼間部を含む定時制のチャレンジスクール、フレッジスクールは2,736名で昨年より55名増えています。欠席者は全日制が2,831名で331名増加、チャレンジスクール、フレッジスクールは135名で8名の増加でした。
全日制の欠席率は6.8%で、昨年の6.0%から上がっています。多数の欠席が出ている学校があり、その分、応募倍率は高くても実質倍率は下がります。

欠席者数のトップは今年も日比谷で105名です。昨年の107名とあまり変わっていません。欠席者数の2位は戸山で98名です。昨年も2位でしたが、71名から98名と欠席者が増加しています。3位は新宿の76名で、昨年の63名から増えています。4位は目黒の67名、5位は豊多摩の64名でした。この中にはコロナなどの感染症で追検査を受けることになったケースもありますが、私立高校や国立高校を高い志望順位として、都立高校は押さえで考えた受験生が、高い志望順位の学校に合格したための欠席が大多数です。

島嶼部を除く全日制各校、チャレンジスクールやフレッジスクールの一般(分割前期)合格発表段階での定員割れは1,411名で、昨年よりやや増えています。普通科では単位制も含めて、102名の大森が最多、次が五日市の88名です。この他、1クラス分にあたる40名以上の定員割れになったのは、大山、野津田、羽村、多摩です。専門学科や総合学科では、杉並工科・IT・環境の71名が最多で、次が北豊島工科・都市防災技術の58名でした。この他、1クラス分にあたる40名以上の定員割れになったのは、墨田工科・電気、荒川工科・情報技術です。

神奈川県・公立高校

全体の状況

1月号でもお伝えしたとおり、県内公立中学卒業予定者数は67,019名で、昨年より965名減っています。高校等の進学希望者数は64,842名で、昨年より1,060名減りました。全日制公立高校の募集定員は、公立中高一貫校の内部進学を除いて899名減少しています。

実際の出願状況については、特別募集と中途退学者募集を除いた全日制募集定員が前年より983名減った39,947名、志願変更後の最終応募者数が47,329名、応募倍率は前年より0.01ポイント上がった1.18倍となりました。

神奈川県公立高校の選抜制度は2024年度から変更され、これまでは必須だった面接が特色選抜に移行し、全校実施ではなくなりました。また、調査書の評定(内申)と学力検査の比率を変更した学校もありました(神奈川県公立高校選抜制度変更の詳細は2023年7月号)。こうした変更を受けた受験生の動きが注目されていましたが、実際はあまり影響はなかったようです。

応募者が多かった学校

下の表は、普通科の応募者数上位10校です(単位制や昼間部定時制〈定時制の場合は共通選抜〉を含み、学力検査のないクリエイティブスクールを除く)。

順位 応募者数トップ10 普通科
2024年度 2023年度 2022年度
1 横浜翠嵐 770 横浜翠嵐 708 横浜翠嵐 804
2 湘南 586 湘南 572 市ケ尾 592
3 七里ガ浜 520 住吉 551 七里ガ浜 569
4 元石川 508 希望ケ丘 550 希望ケ丘 551
5 厚木 506 海老名 538 湘南 537
6 大船 494 荏田 531 住吉 503
7 海老名 489 多摩 519 多摩 495
8 市ケ尾 486 七里ガ浜 516 海老名 488
9 希望ケ丘 485 市ケ尾 513 鎌倉 486
10 荏田 484 港北 511 厚木 485

1位は今年も横浜翠嵐です。応募者数は隔年で増減していて、今年は増えています。2013年から連続トップという別格の存在です。2位は昨年と同じ湘南で、応募者はやや増えています。3位は昨年8位だった七里ヶ浜で、応募者数はほぼ昨年並みですが、受験生の母数が減り他校の応募者数が伸び悩むなかで順位が上がりました。4位の元石川は2020年度以来の登場で、2021年は12位、2022年は11位と、もう少しでランキングに登場する位置でした。2023年度は高倍率が敬遠されたようで順位が下がっていましたが、今年は人気が回復しています5位の厚木は隔年で応募者数が増減していて、昨年は登場していませんが一昨年は10位でした。この10年を振り返ると、応募者数が500名を超えたことはなく、今年は特に人気が上がっています。

神奈川県の応募者数のランキングによく出てくるのは、旧学区のトップ校や2番手校です。また、田園都市線沿線の学校はエリア的な人気も高く、周辺の地域からも受験生を集めています。

応募倍率が高かった学校

下の表は、普通科の応募倍率上位10校です(単位制や昼間部定時制〈定時制の場合は共通選抜〉を含み、学力検査のないクリエイティブスクールを除く)。

順位 応募倍率トップ10 普通科
2024年度 2023年度 2022年度
1 横浜翠嵐 2.14 横浜翠嵐 1.98 横浜翠嵐 2.25
2 湘南 1.632 多摩 1.87 多摩 1.78
3 多摩 1.631 湘南 1.60 横浜緑ケ丘 1.68
4 横浜南陵 1.594 新城 1.58 湘南台 1.67
5 横浜緑ケ丘 1.591 住吉 1.539 新城 1.60
6 市立高津 1.58 希望ケ丘 1.536 市立南 1.55
7 市立南 1.55 大和 1.532 希望ケ丘 1.54
8 鎌倉 1.52 市立東 1.526 鎌倉 1.53
9 横浜清陵 1.50 岸根 1.49 横浜平沼 1.513
10 横浜立野 1.47 横浜栄 1.47 茅ケ崎北陵 1.511

1位は応募者数もトップの横浜翠嵐です。応募者が増えた分、倍率も上がっています。2位は応募者数も2位の湘南、3位は多摩で、両校は順位が昨年と入れ替わっています。上位3校は、根強い人気が続いている学校です。4位の横浜南陵は2013年の入試改革以来トップ10に登場していませんでしたが、今年は応募者がかなり増え、募集定員削減があったため、応募倍率が一気に上がっています。5位の横浜緑ケ丘は昨年はランク外でしたが、3年に2回くらいのペースでランキングに登場している学校です。6位以下で目立ったのは10位の横浜立野で、2013年の入試改革以来トップ10に登場したことがない学校です。応募倍率アップの主な原因は募集定員削減ですが、応募者自体も少し増えています。これは、面接を実施した近隣の学校・舞岡を避けた受験生が流れてきた影響があるのでしょう。

今年の神奈川県公立高校の応募倍率のランキングには、川崎地区、横浜地区の学校が多く見られました。また、中堅レベルの学校も名を連ねていて、受験生の安全志向の高まりが読み取れます。

なお、応募者数や応募倍率のトップ10には登場しませんが応募者の増加が目立った学校は、新栄、川崎北、生田東、横須賀、茅ケ崎西浜、橋本、横浜緑園、厚木清南、相模原城山でした。

下の表は、専門学科・コースや総合学科などの応募倍率上位10校です。

順位 応募倍率トップ10 コース制・専門学科・総合学科・クリエイティブ(同順位あり)
2024年度 2023年度 2022年度
1 サイエンスフロンティア 理数 1.67 神奈川総合 個性化 1.97 横浜国際 バカロレア 2.10
2 市立橘 国際 1.64 神奈川総合 舞台芸術 1.93 神奈川工業 デザイン 2.00
3 神奈川総合 個性化 1.58 神奈川工業 デザイン 1.82 神奈川総合 国文帰国 1.80
4 市立横浜商業 国際学 1.51 横浜国際 IB帰国 1.80 横浜国際 IB帰国 1.80
5 神奈川総合 舞台芸術 1.500 神奈川総合 国際文化 1.73 神奈川総合 舞台芸術 1.67
6 みなと総合 総合 1.496 サイエンスフロンティア 理数 1.60 市立横浜商業 国際学 1.66
7 川崎総合科学 情報工学 1.49 相模原弥栄 スポーツ 1.58 サイエンスフロンティア 理数 1.56
8 横浜国際 バカロレア 1.45 相模原弥栄 美術 1.56 市立横浜商業 Sマネジメント 1.51
9 市立橘 スポーツ 1.44 川崎総合科学 情報工学 1.513 中央農業 畜産科学 1.385
10 神奈川総合 国文帰国 1.40 市立横浜総合 総合Ⅱ部 1.510 みなと総合 総合 1.384

今年のトップはサイエンスフロンティア・理数で、一昨年7位、昨年5位、今年1位と、順位も倍率も上がってきています。2位の市立橘・国際は2020年以来の登場で、今年は倍率が上がっています。ただ、少定員なので応募者数の増加は6名のみです。3位の神奈川総合・個性化は昨年トップでした。昨年の高倍率の反動で、応募者が減っています。4位は市立横浜商業・国際学で、ほぼ隔年で応募倍率が上下しています。5位は神奈川総合・舞台芸術で、昨年は2位でした。応募者は少し減っていますが、唯一無二の学科なので、それでも高い人気が続いています。

今回のランキング結果を見ると、新型コロナウイルス感染症が収束してきたことで、国際系を考える受験生が増えてきたことが窺えます。また、近年注目が集まるデータサイエンスを学びたいと考える受験生も増えているようで、川崎総合科学・情報工学が昨年は9位、今年は7位に登場しています

専門学科・コースや総合学科などで、トップ10以外で応募者の増加が目立ったのは、相原・畜産科学、同・総合ビジネス、中央農業・畜産科学、商工・総合技術、平塚農商・総合ビジネス、秦野総合、市立横須賀総合でした。

「インクルーシブ特別枠」について

神奈川県では、「すべての生徒が同じ場で共に学び、共に育つことを通して、お互いを理解し、尊重し合う共生社会の実現を目指して、障碍を持つ生徒と障碍のない生徒とがともに学ぶ場」を県立高校で実現するため、2020年度から「インクルーシブ特別枠」を設けています。これは、発達障がいなどを持つ生徒が特別支援学校ではなく一般の高校に通い、ともに学校生活を送ることを目指すものです。インクルーシブ特別枠は2020年度に普通科14校に設定され、今年は4校増えて18校になりました。しかし、2020年度は全校で定員割れ、2021年度・2022年度は1校以外が定員割れ、2023年度と今年は2校以外が定員割れという結果で、まだあまり浸透していないようです。共生社会を目指すという理念はすばらしいものですが、障がいを持つ本人や保護者の方にとって、十分な教育環境なのかなど、あり方についてはさらに検証や議論の余地がありそうです。

応募先変更と受検者数

全日制公立高校では応募先変更時に3,698名が応募先を変更、14名が取り消しました。昨年がそれぞれ3,950名と44名でしたから、どちらも減っています。2月14日に行われた学力検査は、全日制の全県合計で45,890名が受検しました。学力検査がないクリエイティブスクールやインクルーシブ特別枠、連携募集、コロナ等での追検査も含めた総受検者数は46,877名で、応募先変更後(受検前)の取り消し・欠席は696名です。

合格者数と応募の取り消しや欠員について

全日制の受検後取り消しは314名で、併願の私立に入学を決めたケースが多かったと考えられます。2月28日の合格発表では、38,516名が合格しました。特別枠を除いて上記の応募の取り消し・欠席、受検後取り消しを合計すると全日制は1,003名、昼間部定時制は17名で、今年も最多は横浜翠嵐の61名です。私立高校だけでなく都内の国立高校に進学を決めて欠席や取り消したケースもあっての人数です。以下、24名が多摩と市ヶ尾、湘南が23名、新城が21名、川和が20名、10名台は港北、柏陽、大船、荏田、新栄など24校で、今年も旧学区トップ校と川崎市、旧横浜東部・旧横浜北部学区の地域で目立っています。

全日制の定員割れは特別枠を除いて全県では1,456名で、二次募集は転編入枠の調整等もあって、31校47学科・コース、合計1,448名で実施されることになりました。昼間定時制は3校196名です。全日制普通科では寒川129名、永谷108名、津久井72名、三浦初声69名、愛川53名など、クリエイティブスクールでは田奈87名、釜利谷72名など、専門・総合学科等では麻生総合105名、平塚工科82名、小田原東・総合ビジネス53名、川崎工科50名、藤沢工科48名、昼間部定時制普通科では横浜明朋94名、市立川崎66名などが目立ちました。

千葉県・公立高校

全体の状況

今回は、前後期一本化から4年目の選抜となりました。千葉県内公立中学校の卒業予定者数と、隣接県協定で千葉県公立高校に出願が可能な茨城県・埼玉県からの公立高校出願予定者数の合計は50,006名で、昨年より203名増えています。しかしながら、全日制高校志向の低下を踏まえて、全日制公立高校の募集定員は昨年より280名削減され、30,680名になりました。

全日制公立高校の志願変更後の確定応募者数は34,478名で、昨年より315名減っています。応募倍率は1.12倍で、昨年と同じです。

なお、2023年10月号で既報のとおり、千葉県公立高校入学者選抜においては、2024年度からマークシートが導入されました。大きな変更だと注目されましたが、県内の私立高校でマークシート式を取り入れている学校がすでにいくつかあることもあり、実際には応募状況に大きな影響はありませんでした。

全日制普通科の人気校

全日制普通科の応募者数と応募倍率の上位10校を紹介します。網掛け部分は同数同順位です。

順位 応募者数トップ10
2024年 2023年
校名 応募者数 校名 応募者数
1 県船橋 641 県船橋 569
2 柏南 551 柏南 516
3 船橋東 508 船橋東 500
4 船橋芝山 501 国分 491
5 東葛飾 466 柏の葉 486
6 津田沼 463 おおたかの森 486
7 鎌ヶ谷 459 市立千葉 480
8 市立松戸 457 東葛飾 480
9 磯辺 439 津田沼 462
10 佐倉 435 市立松戸 462
順位 応募倍率トップ10
2024年 2023年
校名 応募倍率 校名 応募倍率
1 県船橋 2.00 東葛飾 2.00
2 東葛飾 1.94 県船橋 1.78
3 市立松戸 1.63 柏の葉 1.74
4 船橋東 1.59 市立千葉 1.71
5 船橋芝山 1.57 市立松戸 1.65
6 佐倉 1.55 県千葉 1.58
7 成田国際 1.54 成田国際 1.57
8 柏南 1.53 船橋東 1.56
9 市立千葉 1.52 国分 1.534
10 薬園台 1.51 松戸国際 1.530

応募者数1位は今年も県船橋で、現行制度になってから4年間ずっとトップを維持しています。今年は応募者数が増えています。2位の柏南もこの4年間ずっと2位で、今年は応募者が増えています。3位の船橋東は近年人気が上がってきた学校で、昨年も3位でした。4位の船橋芝山は2018年後期以来のランキング登場で、今年は人気が上がっています。5位の東葛飾は昨年同数7位で、順位は上がりましたが応募者は少し減っています。

応募倍率1位は、応募者数も1位の県船橋です。2021年から昨年まで2位でしたが、今年は応募者が増えてトップになりました。2位の東葛飾は反対に、2021年から昨年まで1位でしたが、今年は応募者が減って2位になっています。3位の市立松戸は、昨年は5位で応募者が若干減り、応募倍率も下がっています。4位の船橋東は応募者が少し増え、昨年の8位からランクアップしました。5位の船橋芝山は前述のように今年人気が目立って上がっており、昨年の確定応募倍率1.19倍から一気に応募倍率が上がって1.57倍になりました。

千葉県で人気が高い学校は、第2学区とその周辺(第1学区・第3学区・第4学区の一部)に多く、人口の多さと対応しています。

なお、表に登場しない学校では、犢橋、船橋啓明、松戸六実、市立習志野、柏陵、柏中央、野田中央、我孫子、白井、松尾、木更津、君津、袖ヶ浦の応募者の増加が目立ちました。

専門学科などの人気ランキング

専門学科、コース、総合学科や昼間定時制などの応募倍率上位10校を紹介します。網掛け部分は同倍率同順位です。

応募倍率トップ10
順位 2024年 同順位あり 順位 2023年 同順位あり
校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率
1 県船橋 理数 2.18 1 市立千葉 理数 1.73
2 市立千葉 理数 1.78 2 県船橋 理数 1.68
3 佐倉 理数 1.70 3 幕張総合 総合 1.58
4 小金 総合 1.634 4 小金 総合 1.53
5 柏の葉 情報理数 1.625 5 佐倉 理数 1.48
5 県柏 理数 1.625 6 柏の葉 情報理数 1.48
7 幕張総合 総合 1.528 7 幕張総合 看護 1.48
8 おおたか 国際コミュ 1.525 8 おおたか 国際コミュ 1.45
8 市立松戸 国際人文 1.525 9 千葉女子 家政 1.43
10 市立習志野 商業 1.51 10 市立船橋 商業 1.43

今年のトップは昨年2位だった県船橋・理数です。募集定員は小規模ですが応募者がかなり増えていて、倍率は2倍を超えました。2位は昨年トップだった市立千葉・理数で、応募者が若干増えて倍率が上がっています。3位は昨年同倍率5位だった佐倉・理数で、今年は隔年現象で応募者が増え、倍率も上がりました。4位は昨年と同じ小金で、今年は応募者が増えて倍率も上がっています。5位は同倍率2校で、柏の葉・情報理数と県柏・理数です。柏の葉・情報理数は昨年も5位ですが、今年は応募者が少し増えて倍率が上がっています。県柏・理数は一昨年以来の登場です。昨年は応募者が減ってランキング外になりましたが、今年は応募者が増えて人気が復活しました。

なお千葉県では、今年の10位に市立習志野・商業、昨年の10位に市立船橋・商業が見られ、首都圏ではめずらしく商業科がトップ10に入っています。これは、市立習志野ではボクシング部、市立船橋ではサッカー部が強く、人気を集めていることが背景にあるのでしょう。「商業科で学びたい」というよりは、人気の部活に入りたいと考えて、商業科を選ぶケースが増えているようです。

全体の傾向としては、人口が多い第2学区とその周辺(第1学区・第3学区・第4学区の一部)の学校の倍率が高く、また、理数系の人気が高くなっています。

表に登場しない学校では、市立稲毛・国際教養、松戸国際・国際教養、成田国際・国際、袖ヶ浦・情報コミュニケーション、京葉工業・電子工業、千葉工業・情報技術、八千代・体育、茂原樟陽・電子機械の応募者の増加が目立ちました。なお、市立稲毛は完全中高一貫化で今回が最後の入試になります。

受検者数と欠席者、合格者数と二次募集

2月20日に行われた学力検査は、全日制の全県合計で34,089名が受検、途中棄権等や2日目のみの受検、追検査受検などもあって、最終的な実受検者数は34,200名でした。全県で278名が欠席・棄権したことになります。3月4日の合格発表では海外帰国生などの特別選抜を含めて28,422名が合格しました。募集定員は30,680名ですから2,258名の欠員が出ていることになります。二次募集は86校・課程で2,259名です。昼間定時制は2校・課程で6名が二次募集になりました。八千代西108名、我孫子東105名、船橋豊富97名、九十九里93名、沼南90名、関宿86名、浦安南84名、行徳77名のほか、60名台は泉、流山北、大原、君津青葉、50名台は鎌ヶ谷西、市原・普通、40名台は天羽と成田西陵・園芸で、人口減少が進んでいる地域よりも都市圏の入りやすい学校で多くの欠員が生じています。通信制高校も含めた私立高校人気の影響です。

埼玉県・公立高校

全体の状況

県内公立中学校(義務教育学校を含む、伊奈学園と市立浦和の内部進学を除く)の卒業予定者数は58,726名で、昨年より600名減っています。12月に実施した2回目の進路希望調査では、全日制高校進学希望者数は1,247名減少、全日制公立高校希望者も666名減っていました。

なお、今年は高校再編で和光、岩槻北陵、皆野、鳩山、八潮、浦和工業の6校が一気に募集を停止しました。全日制公立高校の全体定員は872名削減され、転編入枠と中高一貫校の内部進学を除いた当初の募集定員は35,130名となりました。6校が一気に募集を停止するのは、近年はあまり例がなく、大きな変更だといえます。結果としては、募集停止の6校を選んでいた受験生は近隣の入りやすい学校に分散して流れただけでなく、私立高校にも流れたようです。ただ、元々定員割れの学校もあり、全体的な情勢への影響は見られませんでした。

全日制の志願変更後の最終応募者数は39,414名で、昨年より507名減りました。応募倍率は1.12倍で昨年より0.01ポイント下がりました。

応募者が多かった学校

応募者数が多かった学校を、普通科、総合・専門学科・コース制等にわけて紹介します。網掛け部分は同数同順位です。

順位  2024年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募者数 学校名 課程 応募者数
コース
1 伊奈学園 849 久喜北陽 総合 342
2 春日部 537 川越総合 総合 311
3 川口北 528 滑川総合 総合 297
4 県川越 526 浦和商業 商業 224
5 所沢 513 大宮商業 商業 202
6 浦和西 512 寄居城北 総合 194
7 川越南 496 進修館 総合 193
8 県浦和 495 深谷商業 商業 187
9 浦和一女 490 幸手桜 総合 184
10 477 上尾 商業 173
不動岡 477
順位  2023年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募者数 学校名 課程 応募者数
コース
1 伊奈学園 887 久喜北陽 総合 315
2 県浦和 555 滑川総合 総合 282
3 川口市立 542 川越総合 総合 247
4 市立浦和 528 幸手桜 総合 208
5 浦和西 520 熊谷商業 総合ビジネス 201
6 川越南 505 寄居城北 総合 199
7 県川越 502 狭山緑陽 Ⅰ部 193
8 川越女子 487 進修館 総合 191
9 浦和一女 482 浦和商業 商業 188
10 所沢 480 大宮商業 商業 172

普通科では、規模が大きい伊奈学園が例年通りトップです。応募者数は昨年より少し減っています。2位の春日部は2021年以来の登場で、今年は目立って人気が高くなっています。3位の川口北は2020年以来の登場で、同校も今年は人気が上がっています。4位は昨年7位だった県川越で、ランキングによく登場する人気校です。今年は応募者が少し増えています。5位は昨年10位の所沢で、応募者が増えて順位が上がっています。全体的に、上位校レベルの学校に人気が集まり、例年と同じような傾向が見られた結果となりました。

なお、県立トップ校で男子校の県立浦和高校は、昨年の2位から8位に下がり、今年は人気が伸び悩んでいます。この背景には、昨年8月に「県立の男子校、県立の女子校は共学化を実現するべき」という勧告が出され、今年の8月までにどのような措置をとるか報告することになっている点があるのかもしれません(詳細は2023年10月号)。つまり、浦和高校に入学しても、在学中に共学化して、別の学校になってしまい、歴史と伝統が失われてしまうかもしれないという声や、公立の男子校や女子校には、旧地域のトップ校が多いことから、現在は男女それぞれにトップ校があるのに共学化されるとトップ校の椅子が一つになってしまうという懸念の声があがっているようです。これまで通りに男子校や女子校のトップ校を選ぶことを躊躇する動きが出始めているのかもしれません。

総合・専門学科・コース制等の登場校は、募集定員が大きい学校に偏り、固定化する傾向があります。今年も1位は久喜北陽・総合で、2015年からずっとトップです。今年は応募者が少し増えています。2位の滑川総合・総合、3位の川越総合・総合は2020年から交互に2位と3位になっている学校で、今年も昨年の順位と入れ替わっています。4位の浦和商業・商業は、応募者が増えて昨年の9位から上がっています。5位の大宮商業・商業も応募者が増え、昨年の10位からランクアップしています。浦和商業、大宮商業ともに2020年以来となる200名超えで、今年は人気が上がっています。首都圏では商業科の人気が低迷していますが、埼玉県では商業科の人気が持続しています。入りやすい学校を探す層の中で、施設面が優れた商業科を選ぶケースがあるようです。

応募倍率が高かった学校

応募倍率が高かった学校を、普通科、総合・専門学科・コース制等にわけて紹介します。網掛け部分は同倍率同順位です。

順位 2024年応募倍率トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 市立浦和 1.75 大宮 理数 2.48
2 1.50 市立大宮北 理数 1.98
3 春日部 1.50 市立川越 国際経済 1.66
4 市立川越 1.49 川口市立 理数 1.65
5 川口北 1.475 大宮光陵 美術 1.65
6 県川越 1.469 川口市立 スポーツ 1.64
7 和光国際 1.46 松山 理数 1.58
8 所沢 1.433 戸田翔陽 Ⅰ部 1.56
9 浦和西 1.430 戸田翔陽 Ⅱ部 1.55
10 越谷南 1.42 越谷北 理数 1.53
順位 2023年応募倍率トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 市立浦和 2.20 大宮 理数 2.65
2 川口市立 1.94 川口市立 理数 2.05
3 県浦和 1.55 越谷北 理数 1.98
4 市立浦和南 1.46 市立大宮北 理数 1.80
5 浦和西 1.453 大宮光陵 美術 1.775
6 越谷南 1.447 新座総技 デザイン 1.575
7 大宮 1.440 川口市立 スポーツ 1.55
8 和光国際 1.437 所沢北 理数 1.55
9 越ケ谷 1.43 松山 理数 1.55
10 川越南 1.41 熊谷工業 情報技術 1.45

普通科では、今年もトップは市立浦和で6年連続です。一昨年、昨年は応募倍率が2倍以上でしたが、今年は応募者が減って2倍を切りました。2位は同倍率同順位で蕨と春日部です。蕨は一昨年以来の登場で、昨年は応募者が減り倍率が下がりましたが、今年は応募者が増えて倍率も上がっています。春日部は2015年以来の登場で、今年は目立って人気が上がっています。4位は市立川越で一昨年以来の登場です。今年は応募者が増え、倍率が回復しています。5位の川口北は2020年以来の登場で、今年は応募者が増え倍率が上がっています。人気校の顔ぶれに大きな変化はなく、例年の人気校がランキングに登場する結果となっています。

総合・専門学科・コース制等は、定員が少ない学校・課程が多いため、ちょっとした応募者数の増減で登場校が大きく変化してもおかしくないのですが、人気校は固定化しています。今年もトップは大宮・理数で、4年連続です。昨年より倍率は下がりましたが、それでも2.48倍と高い人気を維持しています。2位は市立大宮北・理数で、昨年は4位でした。少定員で、応募者が7名増えた結果、倍率も上がっています。3位の市立川越・国際経済は、ほぼ毎年登場している人気校です。昨年は応募者が減ってランク外となりましたが、今年は応募者が増え、倍率が回復しました。4位は同倍率2校で、川口市立・理数と大宮光陵・美術です。川口市立・理数は昨年2位で、隔年で倍率が上下している学校です。大宮光陵・美術は少定員で、倍率はやや下がっていますが目立った動きではないでしょう。なお、6位以下で注目なのは、8位と9位の戸田翔陽・Ⅰ部とⅡ部です。同校はトップ10に登場したことがない学校で、午前、午後、夜間の3部制の定時制高校です。Ⅰ部とⅡ部は全日制感覚で通えること、自分のペースで学べること、面倒見が良い点などが評価され、普通科の賑やかな雰囲気が苦手だと感じる層に選ばれているのかもしれません。

なお、応募者数と応募倍率のトップ10以外で応募者の増加が目立ったのは、普通科では市立大宮北、県川口、志木、ふじみ野、坂戸西、小川、妻沼、越谷東、三郷、松伏、杉戸、白岡、総合・専門学科、コース制等では、和光国際・外国語、越谷南・外国語、岩槻・国際文化、春日部東・人文、越生・美術、吉川美南・全日制総合、同・昼間定時制Ⅰ部、吹上秋桜・Ⅰ部、狭山経済・情報処理、熊谷農業・生物生産技術、市立川越・情報処理、春日部工業・建築、深谷商業・会計、川越工業・電気、川口工業・機械、同・電気、八潮南・商業、鳩ケ谷・情報処理でした。普通科の妻沼は、交通の便が悪く定員割れしたこともある学校ですが、小規模校ゆえの温かい指導が評価され、地域の中で存在感を獲得しているようです。

埼玉県の傾向として、理数系人気の根強さが窺えます。ただ、理数系=学力上位のコースという位置づけだったり、理数系を学んでおいた方が大学入学共通テストの科目選択の幅が広がったりといった背景もあるので、理数系を選択する受験生が一概に科学の世界に関心があるというわけではなさそうです。また、埼玉県では最近、国際系の学科やコースがトップ10に入りにくくなっており、人気が下火になっています。地域的に、グローバル教育より国公立志向が強い傾向があるようです。

受検者数と合格者数

2月21日に行われた学力検査は、全日制の全県合計で39,011名が受検しましたが、途中棄権等や2日目のみの受検などもあり、最終的な実受検者数は39,004名でした。追検査は含みません。3月1日の合格発表では33,935名が合格しました。募集定員は35,130名ですから1,195名の欠員が出ていることになりますが、募集定員自体が転編入枠を除いて計算しているため、中には募集定員を少し上回った合格者数の学校・課程もあり、全県で85校・課程1,251名が欠員補充になりました。昨年の1,485名よりは減っていますが、今年も1,000名を超える規模です。

事前の取り消し、当日の欠席

全日制の事前取り消しは265名、当日欠席は138名で合計は403名です。2023年度の304名から大幅に増えています。2022年度は380名でしたが、これを上回りました。当日欠席には、コロナ等で追検査対象になる受験生もいますから、403名がすべて公立高校入試を放棄したわけではありませんが、高水準です。事前取り消しと欠席の合計の最多は今年も県浦和の42名で、次が大宮・普通の22名、10名台は浦和第一女子の19名、大宮・理数が14名、与野が10名です。今年も都内国立高校の合格発表が2月15日と16日で、2月14日と15日の志願変更までに合格発表になっていないことから、都内国立高校との併願受験生は志願変更後に取り消しているために、このような状況になっています。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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