上級者向け 受験マニアックス
2021年11月号 2022年度首都圏高校入試の変更点(第2弾:2021年7月〜10月発表分)
この記事は2021年度の情報です。最新の情報は2023年7月号および2023年11月号をご覧ください。
受験マニアックスの7月号では、2021年4月〜6月に発表された首都圏高校入試の変更点を紹介しました。今号では、7月以降に発表された変更点を紹介します。ぜひ、7月号とあわせてご確認ください。私立・公立各校の変更点の一覧については、末尾添付のPDFをご参照ください
なお、現段階で全ての学校の入試変更点が発表されているわけではありませんので、ご了承ください。
都立高校の入試変更点
東京都
入試について全体的な変更点
全日制の各校では、2022年度も新型コロナウイルス感染症対策として、推薦入試での集団討論を全校で中止し、個人面接のみの実施になります。文化・スポーツ等特別推薦では、大会等の結果は求められません。一般入試では、2022年度もエンカレッジスクールを除く全日制高校では面接は行いません。全日制の通常の普通科では小論文・作文・実技の実施校がなく、専門系でも小論文・作文・実技などの実施校は芸術系など、わずかの学校・課程だけで実施されます。また、農業系と商業系、産業科では推薦の募集定員を拡大します。昼間定時制の各校は、大きな変更はありません。注目される変更として、男女別定員の学年制普通科全校で定員を10%拡大する緩和措置を実施します。2021年度入試までは、男女別緩和実施校も含めて男女の合格ラインの差が目立つ学校が見られましたが、この施策によってある程度改善される可能性があります。
なお、2021年度の入試では立川高校だけ実施したウェブ出願が、2022年度は20校に拡大します。実施校は次の通りです。
三田、豊島(全日制)、小松川、五日市(全日制・定時制)、小山台(全日制・定時制)、練馬、松が谷、工芸(全日制)、駒場、足立(全日制・定時制)、立川(全日制・定時制)、第五商業(全日制)、目黒、足立西、福生(全日制)、晴海総合、雪谷、江戸川、(全日制及び定時制)、清瀬、若葉総合
なお、ウェブ出願ではない従来方式の出願では、2021年度はコロナ禍対応で中学校単位まとめての郵送出願が原則でしたが、志願者が直接郵送(学校が指定する郵便局に局留めで郵送)する方式になります。
高校再編
大泉・両国:2022年度募集停止になります。
田柄(外国文化コース):募集停止となり、通常の学年制普通科に転換します。
五日市(ことばと情報コース):募集停止となり、通常の学年制普通科に転換します。
立川:創造理数科が新設されます。
足立地区チャレンジスクール:2022年度新設開校となる足立地区チャレンジスクールの校名が決まりました。校名は「東京都立小台橋高等学校」です。
そのほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
神奈川県
2022年度は横須賀工業に建設科が新設されます。また、海洋科学は海洋科学一般コースを水産食品、無線技術、生物環境の3つの学科に改編します。
そのほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
千葉県
大きな変更としては、佐倉南が全日制から昼間部をもつ定時制(サンスクール、松戸南や生浜・定時制と同じ)に転換します。入試の方法では学力検査の他に作文実施に変更ありません。また、次項で解説しているように、県千葉で「思考力を問う問題」が出題されます。
その他、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
思考力を問う問題について
2021年度は前後期一本化という大きな変更がありましたが、2022年度は小規模です。県千葉では2021年度コロナ禍の影響で、本来実施される予定だった「思考力を問う問題」が作文になりました。2022年度に向けては、「思考力を問う問題」が実施されます。
「思考力を問う問題」は教科横断型のイメージが強いかもしれませんが、実際は国語・数学・英語の3教科について、応用問題を出題しています。国語・数学・英語の応用問題を集めて60分の入試問題となっています。一つひとつの設問では、例えば英語で数学の問題を出題するということはありません。それぞれ独立した問題が一度に行われます。
出題方針は3教科で、「基礎的・基本的な知識及び技能を十分に活用して、様々な事柄を関連付けて、より正確に理解する力と、より深く思考する力を重視する。」となっています。
県教育委員会のWEBサイトにサンプル問題が掲出されています。奇をてらった問題はなく、私立上位校の入試問題の後半で出題されているような問題のイメージです。上位校レベルの私立高校の過去問などを解くなど、トレーニングを重ねていれば決して難しくはありません。ただし、特に読解で時間を取られると時間切れになるかもしれません。手のつけやすい問題から解いていくよう心がけましょう。
埼玉県
不動岡の外国語科が募集停止となって、普通科に転換します。伊奈学園総合は、人文系・理数系・語学系・生活科学系・情報経営系をまとめて普通学系として募集します。スポーツ科学系と芸術系には変更がありません。また、市立大宮北が学校選択問題を採用します。
そのほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
私立高校の入試変更点
東京都
共学化+校名を改称する学校
東京都・北区の星美学園は2022年度から共学化し、校名をサレジアン国際学園に変更します。高校入試はグローバルスタディーズコース推薦一般各20名、本科コース推薦一般各30名募集で、推薦入試は1月22日でA推薦・B推薦(東京・神奈川以外、併願可)とも適性検査として小論文を実施、面接は受験生本人のみ。一般入試は2月11日で、第一志望優遇・併願優遇・フリーとも国語・数学・英語の3教科、面接はありません。
各学校の変更点
以下に取り上げる学校のほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
■既存コースの統合や難度の底上げを図る改編
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岩倉
S特コースと特進コースは統合して普通科7限制コース定員130名になります。L特コース・総進コースは統合して普通科6限制コース定員200名になります。運輸科は変更ありません。2年次から国公立・難関私大、7限制私大、6限制私大、L特の4クラス制を実施します。 -
工学院大附属
ハイブリッドサイエンスコース・ハイブリッド文理先進コース(ハイブリッド文理含む160名)は統合して先進文理コース定員90名、ハイブリッド文理コース(文理先進含む160名)は文理コース定員85名、ハイブリッドインターナショナルコースはインターナショナルコース定員25名になります。一般入試科目ハイブリッドサイエンスの英数理やハイブリッドインターナショナルの英語、全コースの思考力の問題を取りやめ、英数国の3科に統一します。 -
昭和第一学園
工学科が募集停止です。総合進学は総合進学コース文理進学クラスになります。また、総合進学コース探究クラス新設します。文理進学は従来の総進の若干上、探究は若干下の基準。特別選抜コースの定員は推薦一般各8名から各17名、総合進学コースの定員は推薦一般各160名から各200名になります。 -
東洋
総合進学コースが募集停止です。特進選抜コースの定員が推薦一般計60名から80名、特進コースの定員が推薦一般計60名から80名になります。 -
藤村女子
コース改編は7月号にてお伝えしております。各定員はアカデミッククエストコース推薦一般各20名、キャリアデザインコース推薦一般各60名、スポーツウェルネスコース推薦一般各35名となっています。 -
目黒日大
コース改編や推薦Ⅱの新設は7月号にてお伝えしております。選抜クラスの各定員は推薦17名・一般18名です。N進学クラスは推薦82名から66名・一般83名から66名に絞ります。スポーツクラスは推薦14名から17名になります。一般は変更ありません。芸能クラスは推薦7名から17名に、一般は19名から18名になります。
■レベルアップを図ったコース改編
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科学技術学園
理数コースが特進コース理数・情報になります。また、新たに特進コース文系が設置されます。 -
共立女子第二
APクラスが特別進学コース、Sクラスが総合進学コースになります。 -
自由が丘学園
コース改編については7月号にてお伝えしております。各定員はPGプログレス(国公立・難関私大)コース30名、ILA国際教養・STEAM理数コース計80名、GIグローバルイノベーション・SRサイエンスリサーチ・ASアスリートサイエンス・文理(ヒューマニティ&サイエンス)コース計160名となります。 -
朋優学院
国公立TGコースを新設、一般入試のみ25名募集です。また、国公立コースの一般の定員を115名から130名に拡大します。特進コース一般の定員180名から140名に絞ります。
■幅広い生徒の募集のためのコース改編
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十文字
特選コース40名、リベラルアーツコース40名、自己発信コース20名の定員となります。全コースの特別入試(1回1/22・2回2/10・3回2/18)を取りやめます。 -
鶴川
保育コース新設、在来コースは普通科総合コースとして、2コース制。カリキュラムが異なるため入学時点から別コースですが、出願基準等は同一で、難度に違いはありません。 -
日本女子体育大二階堂
ヒューマンケアコース(推薦一般各20名)・ダンスコース(推薦一般各20名)・スポーツコース(推薦一般各30名)を新設します。また全コース、帰国生入試を新設します。
神奈川県
学科試験を再開する学校
2021年度入試では、新型コロナウイルス感染症対策の関係で一般入試での学科試験を取りやめて、書類選考に変更した学校が多く見られました。2022年度では、横浜学園では学科試験を再開します。湘南工科大付属は、書類選考は継続ですが、オープン入試として入試相談がない3教科の入試を再開します。ただし、英理女子学院のキャリア部、向上、平塚学園、横浜創学館などの学校は、2022年度の一般入試の書類選考を継続します。また、三浦学苑は一昨年までは県内の学校で唯一書類選考と面接を実施していました。しかし、2021年度は面接を中止したため、完全に書類選考のみとなりました。この方針は2022年度も継続します。なお、推薦入試も含む当日学科試験を課されない入試においては、当日に面接を実施したり、作文などを提出するケースが増えています。
各学校の変更点
以下に取り上げる学校のほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
■既存コースの統合や難度の底上げを図る改編
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湘南学院
サイエンス(特進理数)コースが新設。国公立アドバンスクラス・アドバンスクラスは統合してアドバンス(特進)コースになります。選抜スタンダードクラスはアビリティ(進学)コース、スタンダードクラスはリベラルアーツ(総合)コースになります。 -
白鵬女子
セレクトαコース→進学アドバンスコース、セレクトβコース→進学スタンダードコース、国際αコース→グローバルアドバンスコース、国際βコース→グローバルスタンダードコース、メディア表現α・βコース→統合してメディアアート表現コース、スポーツα・βコース→統合してスポーツコースにそれぞれ変わります。総合コース・保育コース・フードコーディネートコースは変更ありません。 -
藤沢翔陵
特進コースは文理融合探究コース、普通文理コースは得意分野探究コースになります。 -
緑ヶ丘女子
特進コースは特進・看護医療コースになります。 -
横浜学園
普通コースをアカデミーコースに変更。2年次からアドバンス(文系・理系)、アカデミー(文系・理系)、アートの5コースに再度分かれます。
■レベルアップを図ったコース改編
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平塚学園
特進・進学・文理の3つのコースでしたが、入りやすいレベルであった文理コースの募集を停止し、最上位コースとして特進選抜コースを新設します。
千葉県
前後期一本化の影響
2021年度に公立高校が前後期一本化したため、私立高校の後期入試の実施校が減少傾向です。2021年は、後期のスタートが2月5日から2月15日に繰り下がったこともあり、後期募集を取りやめる学校が多く見られました。2022年度に向けてもさらにこの傾向は続くと思われます。後期募集を中止するのは、暁星国際、敬愛学園、昭和学院、東京学館などの学校です。
各学校の変更点
以下に取り上げる学校のほか、各学校に細かな変更点があります。詳しくは添付の変更点一覧をご覧ください。
■既存コースの統合や難度の底上げを図る改編
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千葉商科大付属
特進・選抜・進学・商業科の4クラス制が特進選抜・総合進学・商業の3クラス制になります。
■幅広い生徒の募集のためのコース改編
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木更津総合
1年次から美術コース定員15名として別枠募集、入試では実技実施となります。
■レベルアップを図ったコース改編
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敬愛学園
進学α・進学βコースを統合して進学コースになります。特進コースの定員は80名から160名に拡大します。
埼玉県
中高一貫校の人気上昇
一時期に比べて、中学入試が活性化しており中学校の在籍者も増えています。そのため、高校からの生徒数を絞る傾向が見られます。
■既存コースの統合や難度の底上げを図る改編
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聖望学園
S特コースは特進コース選抜クラス、特選コースは特進コース一般クラス、選抜コースは進学コース選抜クラス、総合進学コース(スポーツクラス含む)は進学コース一般クラス(スポーツクラス含む)となります。 -
細田学園
進学βは募集停止し、各コース定員を拡大します。(特進H・特進は変更なし) -
山村学園
特別進学コースSAクラスは特別選抜SAコースに変更、特別進学コース文理クラス・総合進学コース選抜クラスは特別進学ELコースに統合、総合進学コース進学クラスは総合進学GLコースになります。
■レベルアップを図ったコース改編
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秋草学園
特選コースSクラスを新設し、特進選抜コースは特選コースAクラスに変更します。進学選抜コースは選抜コースとなり定員を70名に絞ります。進学コースはAGコースとなり110名の募集にします。幼児教育・保育進学コースは幼保コースと改称します。 -
浦和麗明
近年、人気が集まっている学校です。特進Ⅱ類は募集停止、特進Ⅰ類は特進コースに変更します。特選ⅠⅡⅢ類各60名だったのが、ⅠⅡⅢ計200名に拡大。特進コースの定員は70名から120名に拡大します。 -
叡明
近年、人気が集まっている学校です。特進選抜コースは特進選抜Ⅱ類に変更。特進選抜Ⅰ類を新設し、進学Ⅲ類は募集停止となります。 -
淑徳与野
T類を新設し、定員は40名となります。また、選抜A(定員40名)がSS類(定員40名)になります。選抜B・選抜C各定員40名を統合してSA類(定員80名)、S類文理コース(定員80名)はR類(定員40名)・併願募集を停止して単願のみに変更します。S類MSコース(定員40名)はMS類(定員40名)に変更します。 -
山村国際
特進Aコースが特進選抜コース、特進Bコースが特進コースとなります。
国立高校・高専の入試変更点
筑波大坂戸では試験日程の変更のほか、IBの海外在留生特別選抜の入試内容が本人面接と保護者同伴面接のみとなりました。
高専の大きな変更としては、東京工業高専、木更津工業高専の各学校の一般入試が一週間早くなります。
2022年度首都圏高校入試の変更点一覧
7月以降に発表された、2022年度首都圏高校入試の変更点一覧をご紹介します。