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上級者向け 受験マニアックス

2014年11月号 過去問題演習の方法

この記事は2014年度の情報です。最新の情報は2022年12月号をご覧ください。

未習単元の取りこぼしがないようにしよう

2014年6月号

高校入試は中学校3年間の単元から出題されます。まだ学校で教わっていない単元があるうちは過去問題演習に取りかかると効果がうすくなってしまいます。まず、未習の単元をカバーすることを考えましょう。

とくに、数学、理科、社会は入試1か月前にはすべての単元が終わるようにしましょう。この3教科は単元の区切りがはっきりしている教科ですから、どこがまだ残っているかがはっきりわかるはずです。

三平方の定理に関数のグラフを融合している、日本史の流れの中で日本国憲法の内容を取り上げているような、分野融合の応用問題対策として、そのタイプの問題に取り組む日を設けましょう。塾向けのテキストの「総合問題」や市販の問題集でも取り扱っているものがあります。独力で探さなくても、塾の先生や家庭教師の先生にきいてみるとよいでしょう。独力で探す時間がもったいないですから、先生を上手に利用したいものです。出版社やテキスト名、どのあたりのページに載っているか教えてくれます。

教科の学習バランスは志望校ごと

得意科目ばかり勉強したり、苦手な科目ばかり中1や中2の範囲に戻って勉強している受験生がいますが、バランスは大切です。住んでいる地域や志望校ごとに教科のウエイトに違いがあります。

  • 5教科の私立・国立を受験する…
    国・数・英と同時並行して、理・社も同じバランスで勉強しましょう。
  • 神奈川の公立を受験する…
    国・数・英と同時並行して、理・社も同じバランスで勉強しましょう。
  • 都立(5教科校)を受験する…
    2月10日の私立入試の前までは、「国・数・英」:「理・社」=2:1くらいの割合で勉強するのが一般的です。私立入試が終わったら、都立入試までは2週間あります。今度は国・数・英を1の割合にして、理・社の勉強時間を2の割合に増やして追い込みをかけましょう。
  • 千葉の私立を受験する…
    1月17日からの私立入試の前は、「国・数・英」:「理・社」=3:1くらいの割合で勉強するのが一般的です。私立入試が終わったら、割合を逆転させます。公立前期入試までは3週間半ほどあります。

ここまでの受験生は、私立入試前に理・社の未習単元は残さないようにしましょう。例外は埼玉の受験生です。

  • 埼玉の受験生(公立でも私立でも)…
    私立入試までは国・数・英の3教科に絞って勉強します。私立入試の後に「国・数・英」:「理・社」=1:3くらいにして勉強しましょう。1ヵ月半ありますから、理・社に、少々未履修単元があっても間に合います。

書店で販売している過去問題集で十分

追い込みの時期に重要となってくる過去問題の演習。どのような問題集を使えばよいでしょうか。入試直前の、仕上げ時期での演習は、本番の形式に慣れるために実物コピーに取り組むことが大切になります。各校の説明会で過去問が配付されたり販売されていたと思います。それを活用するのが一番ですが、学校によっては書店でも販売しているものがあります。ただし、これは入試直前に1~2年分程度、形式慣れのためにやればよいもので、入試2週間~2ヵ月前に取り組むメインは、書店で販売している冊子スタイルのモノで十分でしょう。形式に慣れることより内容をしっかり押さえましょう。

過去問題の演習に教科ごとに取り組んできた人も、入試2週間前から本番を意識して5教科、ないしは3教科まとめて、古い年度から取り組んでいきましょう。志望別の分量の目安は次の通りです。

  • 難関私立・国立・都立の独自問題校…
    過去5年分
  • 中堅私立・都立の共通問題校・千葉県公立…
    過去3年分
  • 神奈川公立…
    13年・14年度のほか、都立、千葉公立の問題を過去3年分
    ※神奈川県は2年前から出題方式を変更したので、現行のスタイルの過去問題が2年分しかありません。都立や千葉の問題を使うことをおすすめします。
  • 神奈川難関公立…
    自己表現問題が出る高校は、小論文型、教科横断型の出題があります。過去問題が少ないので他校の問題を解いていきましょう。都立進学指導重点校の推薦入試の小論文が参考になります。各校のホームページに載っています。傾向が似たところを参考にしてください。ただし横浜サイエンスフロンティアは出題傾向に際立った特徴があるので、独自の対策が必要です。塾の先生に相談してください。
  • 埼玉公立…
    基本的には過去3年分は最低でも取り組みたいところですが、埼玉の公立入試問題は高度な記述が多く、他県より難しいことで知られています。部分点がありますから、中堅校希望の受験生も、一通りできる範囲で高度な記述問題に取り組むことは大切ですが、かえって自信をなくすこともあります。どこまで手をつけるかは、塾や家庭教師の先生と相談してください。公立難関校を希望する受験生は、高度な記述の過去問に正面から取り組む必要があります。

過去問題集を活用するにあたり、ひとつ気をつけてほしいことがあります。過去問題集をコピーして使うのはお勧めしません。実力をつけるには5~6年分の過去問題を解くことが必要ですが、入試前はコピーにかかる時間とお金を無駄にしてはいけません。過去問題集を購入したほうが安くつきますし、何より勉強する時間が増やせます。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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