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上級者向け 受験マニアックス

2021年9月号 数学教育のこれから

2021年度からの中学校学習指導要領の改訂により、数学科にも変化がありました。今回の受験マニアックスでは、数学科の学習内容の変更点とともに、現在社会で求められている分野「データサイエンス」について解説します。

学年ごとの学習内容の主な変更点

中学1年生

今回の改訂で、確率・統計などの「データの活用」分野(以前までの「資料の活用」分野)がかなり変更されました。もともと中1で学んでいた代表値(平均値、中央値、最頻値等)といった内容は小学校に移行し、新たにヒストグラムや度数(相対度数、累積度数等)、中2で学んでいた基本的な確率が学習内容に加わりました。また、中3で学んでいた素因数分解が中1から学ぶことになりました。
正の数・負の数、文字式、方程式などの「数と式」分野、平面図形や空間図形などの「図形」分野、比例・反比例といった「関数」分野などの学習内容には大きな変更はありません。

中学2年生

中2の数学では、図形分野で証明を学びますが、今回の指導要領から「反例」が加わりました。「反例」は、ある事柄が正しくないときに、その例を具体的に示すことです。また、中3で学んでいた確率の応用と、新たに統計分野にデータのばらつきをあらわす「四分位範囲」や「箱ひげ図」が高校の範囲から移動して学習内容に加わりました。「文字と式」、「連立方程式」、「一次関数」、「三角形と平行四辺形やそれらの合同」などは今まで通りです。

中学3年生

これまでの平方根、展開因数分解、二次方程式、図形の相似、円周角、三平方の定理、二乗に比例する関数などの学習範囲に大きな変更はありませんが、確率の応用が中2に移行し、新たに統計分野の「誤差や近似値」が中1から移行しました。

確率・統計分野が重視されるきっかけと社会的背景

今回の学習指導要領では、「数と式」、「図形」、「関数」の分野に「反例」が加わったこと以外、基本的に大きな変更はありません。注目すべきポイントとなるのが、確率・統計などの「データの活用」分野の比重が、特に中1と中2で大きくなっていることです。

この背景には、現代社会においてデータサイエンス分野が注目されていることが挙げられるでしょう。近年大学の新設学部などにおいても、「データサイエンス」を冠する学部が増えてきているなど、高校や大学で非常に重視される分野となっています。こうした動きを受けて、中学校の段階から確率・統計などのデータの活用に関する分野に取り組んでいこうというのが、今回の学習指導要領にあらわれています。

データサイエンス分野が注目されているということは、すなわち、データというエビデンスをベースにした論理的な考え方が社会で求められているということです。また、前述した証明問題で扱われる「反例」のように、ある事例を考える際、一面的な情報によって正誤を判断するのではなく、いろいろな角度から多面的に考えていくという思考力が求められています。コロナ禍の現在においても、「感染者数」をはじめとした、さまざまな「数字」が日々取り上げられます。こうした「数字」は、見せ方によっては恣意的に扱うこともできますし、受け取り方によっては実際の状況とは異なるケースに誘導されてしまうことも多々あります。数字に惑わされないような思考力を養うことが「データの活用」分野の充実の目的の一つといえるでしょう。

これからの数学教育について

「データの活用」分野は、学校教育のICTの進捗と結びつく形で今後さらに拡大していくと思われます。統計処理においては規模が大きくなるほど、コンピューターでのデータ処理のスキルが必要になっていきます。一方で、これまで学習してきた図形や関数、方程式などの内容は変わらないため、基本的には数学科は従来よりも学習内容が増えていくことになります。

これまでの学習指導要領でも、「資料の活用」として確率や統計の分野を学んできましたが、この分野は比較的年度末にバタバタと学ぶことも多く、どうしても文字式や方程式、関数、図形などの分野よりも十分に学習時間が確保されないことが多々見られたかと思います。高校入試においても、出題の頻度が少なかったり、基本的な出題のみにとどまり、応用問題があまり見られない分野でした。

しかし、これからは「データの活用」分野においても、本格的な問題が出題される可能性は高くなると考えられます。タブレット端末やノートPCを活用すれば、手計算では難しかった多くのデータの処理が楽にできるからです。「GIGAスクール構想」で、公立中学校では今春までに「1人1台の端末」の配備が終わっています。タブレット端末やノートPCなどを直接使って高校入試問題を解くような活用は、まだしばらく先のことになると思われますが、データ処理の結果をもとにした考察などの出題は今後入試問題で増えていくと思われます。

繰り返しになりますが、今まで「データの活用」分野は、特に塾の先生方からは軽視されがちでした。実際、入試問題では方程式や関数、図形の配点が高く、複雑な応用問題も出題されていて、入試対策ではどうしてもこれらの内容に重点を置くことが求められてきました。しかし、今後は「データの活用」も高校入試で扱われる比重が高くなるでしょう。しっかりと重要性を認識し、学習に取り組んでいきましょう。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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