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上級者向け 受験マニアックス

2021年10月号 2022年度首都圏高校入試の受験者数ついて

8月27日、文部科学省から学校基本調査の速報値が発表され、2021年5月1日時点の都道府県単位での学年別の生徒数が明らかになりました。今回は学校基本調査の速報値から来年度の首都圏高校入試の傾向についてお伝えします。(2021年10月21日「各高校の募集定員の対応・東京都」、2021年11月2日「各高校の募集定員の対応・神奈川県」を追記)

1都3県の公立中3生徒数

1都3県の公立中3生徒数

公立中学校の中3、義務教育学校の9年生に、東京都以外の各県の国立中学校の3年生も加えて5年間を比較しました(東京都の国立中学校は高校が設置されていますが、3県は中学のみのため)。

各都県で生徒数の規模は異なりますが、東京都(約7万7千人)、神奈川県(約6万7千人)、千葉県(約5万人)、埼玉県(約6万人)の1都3県は同じ動きで、昨年までの生徒数減少傾向から、今年は生徒数増加に転じています。このうち東京都は2018年並み、神奈川県と埼玉県は2019年並み、千葉県も増えていますが2019年の水準には届いていません。

メディア等では、新型コロナウィルス感染拡大により、東京一極集中の傾向が崩れるといった報道が往々にして行われていました。しかし、受験生の数という視点でみると、新型コロナの影響よりも出生率の変化の影響の方が大きいと考えられます。昨年は、いわゆる団塊ジュニア(第二次ベビーブーム)世代が出産適齢期を迎える中で合計特殊出生率が1.26と、最低を記録した年に生まれた受験生です。その翌年から合計特殊出生率が上昇に転じるため、今年の増加はその反動が生徒数に反映しています。

1都3県の公立中3生徒数の増加率

1都3県の公立中3生徒数の増加率

1都3県共通して、昨年まで連続のマイナスでしたが今年はプラスに転じています。東京都や神奈川県、千葉県では、昨年の減少率が2017年以降では最大で、今年の増加は昨年の大幅な減少の反動のような推移です。

今年の増加率の最高は東京都の4.7%、神奈川県は3.0%、千葉県と埼玉県は2%台の増加です。昨年の減少率と比べると、東京都は昨年の3.0%減が今年は4.7%増になっていて、神奈川県と埼玉県も昨年の減少率の値を上回る今年の増加率ですが、千葉県の増加率は昨年の減少率の値に届いていません。前述のように東京都は2018年並み、神奈川県と埼玉県は2019年並みの生徒数で、千葉県は2019年の水準に届いていません。東京都の増加は合計特殊出生率の向上だけでなく、東京一極集中の結果で、神奈川県や埼玉県も東京一極集中の結果、郊外の人口が増えたことによる増加でしょう。

各高校の募集定員の対応

このような人口の増減に対応して、各都県の高校でも募集定員を増やす動きが出ています。

  • 東京都
    2022年度の東京都立高校の募集定員を発表しました。9月の都内公立中学校(義務教育学校を含み、中高一貫校3年生を含まない)の卒業予定者数は、前年の73,602名から3,428名増えた76,490名となっています。都立高校は前年を1,400名上回る40,600名を受け入れることに決定しています。

    全日制
    立川に創造理数科(1学級)が新設されます。また、五日市の普通科ことばと情報コースが通常の普通科に転換(4学級)、田柄の外国文化コースも募集停止として、通常の普通科に転換(3学級→5学級)します。また、今春開校した赤羽北桜は、都立高唯一の保育・栄養科の高い人気が目立つこともあって、2学級増設されます。この他、次の31校で募集定員を1学級ずつ拡大します。

    普通科:竹早、千歳丘、広尾、杉並、竹台、大山、足立新田、足立東、淵江、葛飾野、片倉、富士森、府中西、拝島、小川、日野、東村山西、福生、清瀬、久留米西、武蔵村山、永山、秋留台、田無、墨田川、飛鳥、翔陽、上水

    総合学科:世田谷総合、町田総合、東久留米総合

    定時制
    新たなチャレンジスクールとして小台橋高校6学級がスタートします。
    このほか、通信制の募集定員には変更ありません。

  • 神奈川県
    神奈川県から2022年度公立高校の募集定員が公表されました。2022年春の県内公立中学校卒業予定者数は、2021年の卒業生数65,159名より1,920名増加の67,079名と見込まれています。全日制公立高校の募集定員は、中高一貫校の内部進学者を除いて2021年度より828名多い41,107名(中高一貫校の内部進学や転編入枠等を含めると41,829名)に増やすことが決まりました。増加の内訳はすべて県立高校で、市立高校は増減がありません。

    募集定員が1学級拡大されるのは次の学校です。

    普通科(単位制を含む):横浜立野、横浜南陵、横浜桜陽、横浜緑園、保土ケ谷、港北、大師、金井、七里ガ浜、深沢、平塚湘風、西湘、秦野曽屋、厚木北、横須賀大津、三浦初声、綾瀬西

    総合学科:鶴見総合、麻生総合、秦野総合

    その他に、横須賀工業の建設科が1学級新設されます。一方、同校の化学科が1学級削減、厚木商業が1学級削減となります。また、専門学科も含めて多くの学校で転編入枠の調整など、細かい変更があります。定時制は夜間部ばかり横浜翠嵐、希望ケ丘、湘南、厚木清南の4校各35名、計140名定員が削減になりました。

  • 千葉県
    来春の千葉県公立高校の募集定員を公表しています。県内中学校卒業予定者数は2021年よりも1,630人増えた53,000人と予想されることから、全日制公立高校は全県で10学級400名の定員を増やすことになりました。16校で募集定員を拡大しますが、高校再編関係で募集定員を削減する学校も2校あります。

    再編で募集定員を減らすのは佐倉南と市立稲毛です。佐倉南は三部制定時制の「サンスクール」と呼ばれる学校に転換します。全日制としては4学級削減です。市立稲毛は中等教育学校(市立稲毛国際中等教育学校)に転換し、2025年度から高校募集を停止します。2022年度は第一段階として普通科2学級を削減し、3学級120名募集になります。国際教養科1学級募集は変更ありません。

    募集定員が拡大されるのは次の16校で、いずれも普通科の定員を1学級拡大します。

    千葉北、磯辺、八千代東、八千代西、船橋啓明、船橋二和、船橋法典、船橋北、県立松戸、松戸六実、柏の葉、佐倉東、佐倉西、四街道北、成東、市原八幡

    県立松戸、柏の葉、佐倉東、成東は芸術科や理数科など、他の学科も設置されていますが、定員を拡大するのは普通科だけです。定時制では佐倉南の三部制転換で午前部・午後部各2学級、夜間部1学級が増加となるほか、行徳と佐倉東は定時制の募集を停止し、県立船橋の定時制は普通科を総合学科に転換します。

  • 埼玉県
    埼玉県は、来春の公立高校入試の募集定員と学科改編を公表しています。県内中学校の卒業予定者数は久しぶりに増加し、2021年度の61,183名が62,797名になることが見込まれるため、全日制は全県で680名の定員増加になります。内訳は学科転換も含め、1クラス40名増加が19校、募集停止学科は2校2学科です。募集定員が増えるのは次の通りで、いずれも普通科です。( )内の数字は、2022年度の定員です。外国語科などが併設されている学校がありますが、こうした学科は定員が拡大されません。

    上尾鷹の台(240)、朝霞(360)、朝霞西(360)、伊奈学園総合(800)、浦和北(360)、大宮東(280)、桶川(320)、春日部女子(280)、川口(360)、川越総合(240)、川越西(360)、熊谷西(280)、越ヶ谷(360)、志木(280)、庄和(200)、草加南(280)、所沢西(360)、富士見(240)、不動岡(360)

    また、不動岡の外国語と羽生実業のビジネス会計が募集停止になります。羽生実業のビジネス会計は今春の入試で応募者が1人もおらず、定員がすべて欠員になっていました。羽生実業は学校全体の募集定員が200名から160名に減ります。不動岡は学科転換扱いなので学校全体の募集定員は360名で変更はありません。この他、定時制では川口市立が80名から60名に20名削減します。

  • 私立高校
    私立高校に関しては、元々公立高校の併願で受験する学生が一定数いるため、募集定員を大きく減らすことはありません。特にボリュームゾーンの私立高校に関しては、受験生の増加により難易度が上がるということは考えにくいです。
    難関校や上位校に関しては、近年の傾向として安全志向が続いているため、その動向により若干動きがあると思われます。しかし、私立高校全体としては、やはり募集定員の増減によって難易度が変わるなどの大きな変化はあまりないと思われます。

まとめ

冒頭でもお話ししたとおり、新型コロナ感染拡大の影響により東京都を離れる人は実際にいるかもしれません。しかし、受験生の数に実際に大きな影響を与えているのは出生率の変化です。そのため、昨年の受験者数の大幅な減少の反動が、今年の受験者数の増加につながっています。また、脱東京一極集中といわれていますが、少なくとも中学3年生のご家庭は積極的に地方へ移動しようということは現段階では考えにくいです。
来年も引き続き安全志向が続いていきますので、受験者数が増えたからといって人気が急に高まることもありません。むしろ公立高校の募集定員の拡大によって、間口が広がった受験になるでしょう。恐れずに積極的に挑戦していきましょう。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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