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上級者向け 受験マニアックス

2023年12月号 埼玉県(1回目)の中学3年生の進路希望調査結果

この記事は2023年12月時点の情報です。最新の2024年2月号とあわせてご覧ください。

埼玉県の教育委員会が10月30日に発表した中学3年生の1回目の進路希望調査結果を紹介します。各校の募集人数、希望者数、希望倍率の詳細は、添付のPDFで確認してください。これから受験本番に向けて人気の動向は変動する可能性もありますので、あくまで参考程度にご覧いただければと思います。
なお、東京都、神奈川県、埼玉県2回目の進路希望調査結果は、次号以降で順次紹介する予定です。

全体的な傾向

下の表は、卒業予定者数、高校進学志望者数などを昨年と比較したものです。
春日部市と日高市には義務教育学校(小学校から中学校までの義務教育9年間を一貫して行う学校)があるため、中学校と義務教育学校の卒業予定者数を合計して紹介しています。

2023年10月 総卒業予定者 うち 中学・義務教育卒業予定者 うち 特別支援学校卒業予定者 高校進学希望者 進路希望未定等 左のうち進学は希望するが校名が未定
今回調査 62,714 62,125 589 60,557 1,886 1,493
昨年同期 63,429 62,830 599 61,243 1,962 1,520
増減 -715 -705 -10 -686 -76 -27

今年の中学校・義務教育学校の卒業予定者数は、昨年より705名少なくなっています。これに伴って、高校進学希望者数は686名減少しています。表の「進路希望未定等」は、具体的な進路先について、まだ希望を決めていない生徒数で、昨年より76名減った1,886名ですが、そのうち1,493名は高校などに進学したいとは考えるものの、どこの学校を希望するかが決まっていない生徒です。

表の、「中学・義務教育卒業予定者数」の希望先の内訳が下の表です。

  卒業予定者 全日制進学希望計 県内全日制高校 県外全日制高校 県内定時制希望 私立通信制希望県外含む
国立 公立 私立 国立 公立 私立
今回調査 62,125 55,478 292 41,598 9,882 118 378 3,209 795 2,715
昨年同期 62,830 56,722 274 42,467 10,158 137 315 3,372 733 2,276
前年差 -705 -1,244 18 -869 -276 -19 63 -163 62 439
今回調査 100% 89.3% 0.5% 67.0% 15.9% 0.2% 0.6% 5.2% 1.3% 4.4%
昨年同期 100% 90.3% 0.4% 67.6% 16.2% 0.2% 0.5% 5.4% 1.2% 3.6%
前年比 - -1.0% 0.0% -0.6% -0.3% 0.0% 0.1% -0.2% 0.1% 0.7%

全日制高校の進学希望者数は1,244名減っています。そのうち、県内全日制公立高校の進学希望者数は869名減少していて、公立高校の人気低下がわかります。また、県内全日制私立高校の希望率は、昨年は上がっていましたが、今年は0.3%下がっています。県外全日制私立高校は主に都内が中心ですが、やはり希望率は0.2%下がっています。一方、私立通信制高校の希望者数は昨年より439名増え、0.7%上昇しています。この5年ほどで増加幅は年々大きくなってきており、進学先の新しい候補として通信制が存在感を増していることがわかります。

地域別の進学先希望状況

地域別に、進学先希望状況を紹介します。下の表は、私立・国立中学校を除いた公立中学校のみの進路希望状況で、地域別に教育事務所単位で卒業予定者数、進学希望者数、進学希望先を昨年と比較した結果です。

今回 卒業
予定者
進学
希望者
 全日制高校希望者  定時制合計  通信制合計
県内公立 県内国・私立 県外
さいたま市立中学校 10,505 10,022 7,417 1,355 597 119 419
南部教育事務所管内 16,235 15,701 11,128 1,881 1,323 310 855
西部教育事務所管内 14,351 13,775 9,790 2,141 737 198 727
北部教育事務所管内 4,916 4,793 3,736 629 164 54 133
東部教育事務所管内 12,684 12,300 9,313 1,118 789 136 737
義務教育・西部東部管内 63 58 45 4 4 0 4
昨年の
1回目調査
卒業
予定者
進学
希望者
全日制高校希望者
定時制合計 通信制合計
県内公立 県内国・私立 県外
さいたま市立中学校 10,522 10,225 7,637 1,366 614 96 404
南部教育事務所管内 16,595 15,922 11,541 1,873 1,392 280 631
西部教育事務所管内 14,554 13,916 9,948 2,173 759 195 656
北部教育事務所管内 4,982 4,869 3,828 639 185 35 118
東部教育事務所管内 12,647 12,230 9,343 1,157 786 142 624
義務教育東部管内 24 24 15 3 4 0 2
  • 義務教育学校は春日部市と日高市にあるので、東部管内の下に合計で項目を設けた。
  • 定時制と通信制は公開資料の関係上、県内外・公立私立合計。

卒業予定者数は、さいたま市が0.2%減、南部地区が2.2%減、西部地区が1.4%減、北部地区が1.3%減となっていますが、東武スカイツリーライン沿線が中心の東部地区は0.3%増加しています。義務教育学校は、昨年までの1校から2校に増えたため増加しています。

進学希望者数は、全体的には卒業予定者数の増減とあまり変わらない動きですが、さいたま市が2.0%減と高い減少率になっていることが目立ちます。全日制高校の進学希望先は、義務教育学校は別として、公立高校は全地区で減少していて、特に南部地区は3.6%、さいたま市は2.9%、北部地区は2.4%と高い減少率です。

また、県外高校の希望者については、都内私立高校などだけでなく、埼玉県では千葉県、茨城県、栃木県、群馬県と隣接県協定を結んでいて、県境地域では隣の県の公立高校に通うこともできます。今回の調査ではこうした隣接県公立高校の人気が上がっていて、特に千葉県と群馬県の増加が目立ちました。

通信制高校の希望者数は全地区で増加しています。地区別に見ると、南部地区が224名増、東部地区が113名増と、大幅に増えています。N高・S高をはじめとする県外の私立通信制高校を希望する生徒が多く、こうした動きが全県に広がってきています。

希望倍率が高い公立高校

下の表は、全日制公立高校普通科で希望倍率が2倍以上だった学校を紹介したもので、昨年と今年の比較です。

2023年 倍率 前年同期倍率 昨年 倍率 前年同期倍率
市立川越 3.79 2.95 川口市立 3.66 3.34
市立浦和 2.82 3.30 市立浦和 3.30 3.53
川口市立 2.48 3.66 市立川越 2.95 3.95
上尾 2.11 2.16 越谷南 2.24 1.92
浦和西 2.08 2.10 上尾 2.16 1.85
越谷南 2.06 2.24 大宮 2.13 1.99
川越南 2.05 2.12 川越南 2.12 2.32
大宮 2.01 2.13 浦和西 2.10 2.32
越ケ谷 2.01 1.98

希望倍率が2倍以上になったのは8校で、昨年より1校減りました。全体的に公立高校の人気が下がっている中でも、例年の人気校は希望者を集めています。
トップは昨年の3位だった市立川越で、一昨年までトップが続いていましたが、高倍率への敬遠から昨年は希望者が減少、今年は人気が戻ってきました。2位は市立浦和で、一昨年、昨年、今年と2位が続いていますが、希望者が減って倍率は下がっています。3位は昨年トップだった川口市立です。昨年は人気が過熱していましたが、今年はかなり落ち着きました。倍率の下降は、希望者の減少に加えて募集定員の増加もあってのことです。4位は昨年5位だった上尾で、やや倍率が下がったものの順位は上がりました。5位は昨年の8位から上がった浦和西で、同校も若干ですが倍率が下がっています。6位の越谷南は昨年の4位から下がり、倍率も少し下がりました。7位は昨年と同様の川越南で、同校もやや倍率が下がりました。8位は昨年の6位から下がった大宮で、やはり少し倍率が下がっています。

なお、全日制公立高校の学科別希望者数は、普通科が8割程度を占めていて、専門学科と総合学科は少数派です。各校を合計した専門学科の希望倍率は例年同様、今年も1倍を切っています。総合学科の合計の希望者数は今年増えて、3年ぶりにわずかに1倍を超えています。学校ごとでは、専門学科、総合学科で今年希望倍率が2倍以上になったのが、大宮光陵・美術、大宮・理数の2校でした。

希望者が増えている私立高校

私立高校で人気の上昇が目立つ学校を紹介します。昨年よりも希望者が2桁かつ10%以上の増加を基準としました。
併設中学がある学校では、春日部共栄、西武文理、栄東、東京成徳大深谷、東京農大第三、武南の増加が目立っています。特に、西武文理は内部の中3生徒数を差し引いた希望者数は昨年の2倍以上と大幅に増えています。コースの新設が受験生を惹きつけていることがわかります。また、春日部共栄も大きく増えています。併設中学がない学校では、武蔵越生と秀明英光の増加が目立っていて、特に武蔵越生は大きく増えました。

埼玉県1回目の進路希望調査から見えてきた傾向

1.学力中堅層以下の生徒の受験志向低下

学力上位層の生徒の間には難関校に意欲的にチャレンジする姿勢が見られますが、学力中堅層以下のボリュームゾーンの生徒の間では、受験志向が目立って低下しています。私立を希望する場合は、単願で1校だけ受けて手っ取り早く決めてしまう、入試相談によって安全に合格できる学校を選ぶといったケースが多く見られますし、公立高校を希望する場合も、現状の学力でほぼ確実に合格できる学校を志望するケースが多くなっています。
高校の選択は将来にとって大きな影響力を持ちますので、安易に決めず、本当に行きたい高校を積極的に探して、挑んでいただきたいと思います。入試相談や併願校選びで安全を確保しつつ、本当に行きたい学校に果敢にチャレンジする受験をしてみてはいかがでしょうか。

2.通信制高校の人気上昇

通信制高校の注目度が上がり、進学先として通信制高校を選ぶ生徒が着実に増えています。通信制高校を選ぶ理由としては、世界の舞台で活躍する高校生アスリート、芸能活動をしている生徒、研究やボランティアなど自主的な活動に打ち込みたい生徒などが、自分のやりたいことと学業を両立することができる場として、魅力を感じているということがあります。
一方で最近は、違った観点で通信制高校を選ぶケースが出てきているようです。今の中学生はコロナ禍中にオンライン授業を経験したこともあり、学校に行かなくても自分だけで勉強ができると考える生徒が出てきたのです。全日制ではなく通信制を選ぶ理由は前述のケースとは異なり、「他人とコミュニケーションを取ったり、学校行事や部活動に参加したりすることが煩わしい」「家で一人で勉強していた方が楽」というものです。まだ少数派ではありますが、こうした理由で通信制を選ぶことについて、筆者は懸念しています。高校は勉強だけするところではなく、色々な個性を持つ先生や友達と交流したり、部活や学校行事で多彩な経験を積んだりするところ。視野を広げたり発想力や問題解決能力を身につけたりする舞台です。通信制高校を選ぶときには、それが自分にとって前向きな志望理由になっているかを、今一度考えていただきたいと思います。

3.人気の二極化は拡大

一部の人気校には希望者がたくさん集まる一方で、人気が低い学校にはますます希望者が集まらなくなっています。これは昨年までも続いていた傾向ですが、ますます顕著になっています。特に公立高校では、定員割れになる学校が増えています。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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