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上級者向け 受験マニアックス

2022年1月号 神奈川県と埼玉県(1回目)の中学3年生の進路希望調査結果

この記事は2021年度の情報です。最新の情報は2023年12月号2024年1月号および2024年2月号をご覧ください。

神奈川県と埼玉県の教育委員会が発表した中学校3年生の進路希望調査の結果から、神奈川・埼玉各県の傾向・志向などをデータとともに紹介します。受験生の希望や人気の動向等は今後変わる可能性もありますので、あくまでも進路希望調査からみた傾向として参考程度に留めてください。各校の募集人数、希望者数、倍率の詳細については、添付のPDFで確認してください。
なお、東京都と埼玉県の2回目の調査結果は次号で紹介する予定です。

神奈川県

1.全体的な傾向

例年との大きな違いとして、生徒数が大幅に増加しています。これは神奈川県だけではなく、埼玉県にも共通しています。また、生徒数増加に対応して、公立高校では募集定員を拡大しています。一方、私立高校では、募集定員に関しては全県合計では15,151名と前年度より16名増えただけです。ただ、私立高校の募集定員は目立った動きはなく、公立高校とのバランスを調整する役割もあるため、生徒数増加なのに募集定員があまり増えていないからといって、各校が一斉に難化する、といったことは考えにくいでしょう。

公立中学校の卒業予定者数は、前年より1,955名多い67,081名です。高校等進学希望者数は前年よりも2,006名多い64,898名、高校等進学希望率は前年より0.1%上がった96.7%です。公立中学3年生の卒業予定者数は、2005年から2013年まで2010年を除き増加、以後2016年まで7万人前後で推移していましたが、2017年以降減少が続いていました。今年は久しぶりの増加となります。

進路希望先では、全日制県内公立高校の希望率が77.4%と前年よりも0.8%下がっています。また、全日制県外国・公立高校の希望率は0.5%で、前年よりも0.1%下がっています。一方、全日制県内私立高校の希望率は7.8%で前年より0.1%増加、全日制県外私立高校の希望率は4.3%で前年と変わりません。

公立定時制の希望率は前年と変わらず1.1%です。今回、特に動きが目立ったのが通信制で、希望率は2012年に上昇、2016年以降は定時制の希望率を上回って上昇を続け、今年は3.7%に上がりました。3.7%という率は、小さいという印象もありますが、県外私立希望率が低かった2012年の値よりも高い値です。

県内には秀英高校や清心女子高校など、一見すると通信制とは思えない、毎日スクーリングを行う全日制タイプの通信制高校が以前からあります。一方、「N高校」や「S高校」のような、ニュータイプの通信制高校が最近話題になっています。近年の通信制高校希望者の増加が、従来の通信制とニュータイプのどちらが多いのかは今回の公表資料から読み取ることはできませんが、他県の状況などから、ニュータイプの通信制高校が増えていることが考えられます。

2.旧学区別の県内私立希望率

今回と前年の、旧学区別(厳密には一部異なる)の県内私立希望率を表したのが下の図です。

進路希望調査による県内私立希望率 前年対比

旧鎌倉藤沢が大きく下がっていますが、前年大きく上がった反動でしょう。前年より1%以上の上昇が、旧横浜西部と旧相模原南北、0.5%以上1%未満の上昇が旧茅ヶ崎、旧秦野伊勢原、旧県西です。前年はもっと多くの地域で1%以上の上昇が見られました。県内私立高校人気が一段落したような感じに見えますが、毎年この推移を見ていると隔年現象が多く、前年上がった地域は下がります。今年下降が目立ったのは旧鎌倉藤沢の2%だけで、前年1%以上上がった旧横浜中部、旧横浜臨海、旧川崎南部、旧横須賀三浦、旧大和座間綾瀬は下がっても0.5%にも達しておらず、旧県西は一昨年が1.9%、前年が1.4%上昇、今年が0.7%の上昇で、珍しい動きです。だんだん上昇率は下がってきましたが、しっかり県内私立志向が根付いていると考えてよさそうです。

3.希望倍率が高い公立高校

今回と前年の公立普通科の希望倍率上位10校を比較してみます。

公立普通科 希望倍率上位10校(2021年調査・2020年調査)
普通科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 横浜翠嵐 1062 358 2.97
2 横浜緑ケ丘 768 278 2.76
3 多摩 681 278 2.45
4 新城 659 278 2.37
5 市立戸塚 747 318 2.35
6 鎌倉 726 318 2.28
7 市立金沢 699 318 2.2
8 湘南 784 358 2.19
9 上溝 511 238 2.15
10 市立幸 253 118 2.14
前年普通科 希望倍率上位10校
校名 希望者数 定員 倍率
1 神奈川総合 566 218 2.6
2 上溝 573 238 2.41
3 横浜緑ケ丘 652 278 2.35
4 市立橘 456 198 2.3
5 横浜翠嵐 799 358 2.23
5 湘南 799 358 2.23
7 鎌倉 699 318 2.2
8 新城 598 278 2.15
9 市立金沢 680 318 2.14
10 多摩 587 278 2.11

トップは横浜翠嵐で、希望者が大きく増えて、前年の同率5位からトップになりました。2位は前年3位だった横浜緑ケ丘で、希望者が100名以上増えました。3位は前年10位だった多摩で、同校も100名近く希望者が増えました。4位は前年の8位から上昇した新城で、やはり応募者が増加しています。5位は前年登場しなかった市立戸塚で、希望者は100名以上増えて倍率が一気に上がりました。6位は鎌倉で、応募者がやや増えて倍率も少し上がり、前年の7位から上がりました。7位の市立金沢も応募者がやや増えて倍率も少し上がっています。8位は前年同率5位だった湘南で、こちらは応募者が少し減って、倍率も小幅ですが下がっています。9位の上溝は前年が2位で、応募者が減少、倍率も下がりました。10位は前年登場しなかった市立幸で、応募者が増えて今年は表に登場しました。

トップ10に登場しない学校では、鶴見、白山、旭、百合丘、追浜、逗葉、七里ガ浜、湘南台、茅ケ崎西浜、厚木清南は20%を超える希望者の増加で、城郷、岸根、市立東、市ケ尾、荏田、横浜平沼、舞岡、横浜桜陽、(県)川崎、住吉、麻生、上鶴間、茅ケ崎北陵、秦野、伊勢原、海老名、綾瀬も10%を超える希望者の増加です。

このように書くと公立人気が上がっているように見えますが、下線の5校は希望者が増えても希望者数が募集定員に達していない定員割れです。また、人気校とそうではない学校の二極化が進んでいる印象です。希望倍率が10%以上減った学校は40校あります。

埼玉県(1回目の調査)

1.全体的な傾向

埼玉県では、1月に発表される2回目の進路希望調査もありますが、今回は2021年10月1日実施の1回目の結果です。中学校(私立・国立も含む)の卒業予定者数は62,794名で、前年より1,619名の増加です。高校進学希望者数も61,382名で、前年より1,584名増えています。神奈川県と同様に埼玉県も前年より中3生徒数が増えたことが大きな変化です。

進学希望先別に見ると、県内の全日制公立高校の進学希望者数は43,433名で、前年より480名増加しましたが、割合で見ると69.2%で、前年よりも1.0%下がっています。また、県外の全日制国・公立高校の進学希望者数も、前年より62名増えた481名でした。一方、県内の全日制私立高校の進学希望者数は9,831名と前年より447名増えていて、割合では前年より0.4%上がっています。県外の全日制私立高校の進学希望者数も3,372名と前年より40名増で、割合は前年同様5.4%です。

神奈川県と同様に、前年から引き続き私立志向の上昇と公立志向の低下が見られます。次項でも紹介しますが、今回は1回目の調査の段階から希望倍率の高い学校が前年と比較して大幅に減りました。やはり公立高校の人気の低下とともに安全志向の高まりも影響していると思われます。2回目の進路希望調査がある埼玉の場合、例年2回目に私立希望者が増加するパターンが多いので、今年度の第2回も同じような結果になるのではないかと考えられます。

また、人気が目立つのは、神奈川県同様に県外の通信制高校です。埼玉県内にも通信制の私立高校は多くあり、人気も上がっているのですが、多数派となるのは「N高校」などをはじめとする県外の通信制私立高校となります。

2.希望倍率が高い公立高校

公立普通科で、希望倍率が高い高校をご紹介します。下の表は、今回と前年同時期の調査で、希望倍率が2倍以上だった高校を抽出したものです。

公立普通科 希望倍率上位校(2021年調査・2020年調査)
2021年 倍率 前年同期倍率
市立川越 3.95 4.34
市立浦和 3.53 2.73
川口市立 3.34 3.06
川越南 2.318 2.45
浦和西 2.316 2.34
鳩ケ谷 2 1.73
2020年 倍率 前年同期倍率
市立川越 4.34 3.3
川口市立 3.06 2.58
市立浦和 2.73 2.56
川越南 2.45 2.34
浦和西 2.34 2.41
上尾 2.26 2.35
越ケ谷 2.23 1.97
大宮 2.19 1.92
越谷南 2.04 1.86

今回の調査で希望倍率が2倍を超えたのは上の表の左の各校で、右は前年同期の調査結果です。今回は前年より3校減りました。2倍を超えた学校は2016年、2017年が12校、2018年が10校、一昨年が7校と、公立志向の低下を反映して学校数が減少していましたが、前年は増加、今年は再び減りました。

今年も市立川越がトップ、これで7年連続です。表でわかるように隔年的な変化で、今年は4倍を切りましたが、トップは維持しています。2位は前年3位だった市立浦和、3位は前年2位の川口市立で、順位が入れ替わりました。川口市立は3位に下がりましたが、人気そのものは上がっていて、希望倍率は上昇しています。5位と6位は前年同様の川越南と浦和西で、今年も高い人気です。7位の鳩ケ谷は、前年は2倍に達していませんでしたが、今年は希望者が増えてちょうど2倍です。鳩ケ谷は、前年は登場していませんが、他校は前年も登場していて、人気校は固定化しています。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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