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上級者向け 受験マニアックス

2021年3月号 2021年首都圏入試を振り返る(公立高校編)

この記事は2020年度の情報です。最新の情報は2024年3月号をご覧ください。

2021年の高校入試が終了しました。今回の受験マニアックスでは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の公立高校の入試状況の振り返りを紹介します。
各校の詳しい応募者数や受験者数、応募倍率等については、添付のPDFをご覧ください。
なお、私立高校の入試状況の振り返りは、次号(2021年4月号)で行う予定です。

東京都・都立高校:全体の状況

今年1月に発表された公立中学3年生の進路希望調査によると、公立中卒業予定者数は72,991名で、昨年よりも2,342名減と大幅に減りました。高専を含む全日制都立高校への進学希望者数は男女とも少し減っていて、今年も男女とも都立志向が下がっています。しかし、推薦入試の応募者数は24,329名と、昨年の23,547名より782名増加していました。昨年まで、推薦の応募者数は6年連続で減少を続けていましたが、反転して増加した入試となりました。
一般入試は募集定員が29,509名と昨年より992名の減少です。志願変更後の最終の全日制応募者数は39,785名で、やはり昨年の42,577名から2,792名の大幅な減少になりました。
推薦入試の応募者増加の背景には、苦手な受験生が多い「集団討論」がコロナ禍で中止になり、昨年まで推薦出願を敬遠していた受験生が、このタイミングで出願をしたことが挙げられるでしょう。そのため、実質的には都立高校離れは継続していたことになります。

東京都・都立高校:推薦入試

1.概況

推薦の募集定員は8,768名で昨年より264名減、応募者数は24,329名で昨年より782名増でした。応募者数は昨年まで6年連続の減少でしたが、今年は反転して増加しています。平均の応募倍率は2.78倍で、昨年より0.23ポイント上がりました。

2.学年制普通科の人気校

学年制普通科の応募倍率上位10校を紹介します。推薦入試は一般入試と比べて志望校選びに妥協が少ないため、実際に受験生が行きたいと思う人気校を反映しているといえるでしょう。

推薦入試の応募倍率が高かった都立高校(学年制普通科、2019〜2021年)
  2021年男子 2020年男子 2019年男子 2021年女子 2020年女子 2019年女子
順位 校名 応募倍率 校名 応募倍率 校名 応募倍率 校名 応募倍率 校名 応募倍率 校名 応募倍率
1 青山 6.14 片倉 5.45 青山 5.86 青山 9.77 青山 7.08 青山 7.08
2 城東 5.75 城東 4.78 小岩 5.59 三田 7.5 松原 5.56 本所 6.05
3 足立西 5.05 紅葉川 4.71 城東 5.48 板橋 6.77 日本橋 5.32 鷺宮 5.46
4 片倉 4.9 大崎 4.64 南葛飾 5.45 広尾 6.42 神代 5.27 城東 5.37
5 三田 4.85 東村山 4.47 東大和南 4.36 城東 6.23 片倉 5.05 日本橋 5
6 板橋 4.79 東大和 4.46 鷺宮 4.29 本所 5.55 三田 5 小岩 4.91
7 足立 4.39 青山 4.36 高島 4.27 駒場 5.54 竹早 4.95 小山台 4.83
8 日野 4.25 狛江 4.22 足立 4.18 向丘 5.46 竹台 4.94 足立西 4.83
9 東大和南 4.25 小岩 4.11 石神井 4.14 上野 5.17 足立 4.88 松が谷 4.59
10 東大和 4.25 東大和南 3.93 片倉 4.04 深川 5.14 板橋 4.85 小平 4.56

トップは一昨年と同様に男女とも青山です。男子は1年おきにトップになっていて、昨年の7位から今年は復帰しています。2位は昨年と同様の城東ですが、昨年トップの片倉の応募倍率を上回っています。今年は推薦の応募者が全体に増えたことの表れの1つでしょう。3位は足立西です。2017年以来の登場です。4位は昨年トップの片倉で、順位は下がりましたが、上位10校に3年連続で登場する人気です。5位は三田で、男子よりも女子の人気が高い学校ですが、今年は男子の人気も上がりました。

女子も前述のとおり、トップは青山です。表に出ていない2018年に一度3位になりましたが、それ以外はトップを続けています。倍率は9.77倍と、かなり上がりました。2位は昨年の6位から上がった三田です。一昨年は登場していませんが、近年は3年に2回くらいのペースで登場しています。3位は板橋で、昨年の10位から上がりました。男子も人気が上がっていますが、女子は男子に先んじる形で人気が上がっています。4位は広尾です。2018年までは毎年のように表に登場していましたが、人気が上がりすぎたことによる敬遠なのか、一昨年は2.41倍と低水準で表に登場しませんでした。昨年は12位でしたが、今年は4位で人気が復活しました。5位は城東で、一昨年は4位、昨年は登場しないものの11位で、高い人気が続いています。

3.単位制他の人気校

単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の応募倍率上位10校を紹介します。

推薦入試の応募倍率が高かった都立高校(単位制他、2019〜2021年)
  2021年応募倍率 2020年応募倍率 2019年応募倍率
順位 校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率
1 赤羽北桜 調理 7.6 総合芸術 舞台表現 6.17 総合芸術 舞台表現 7.17
2 総合芸術 舞台表現 5.83 新宿 単位制普通 5.41 園芸 動物 6.2
3 総合芸術 美術 5.33 総合芸術 美術 5.33 総合芸術 美術 5.71
4 上水 単位制普通 5.33 工芸 デザイン 5.2 工芸 デザイン 5.2
5 園芸 動物 5.1 工芸 グラフィックアーツ 4.5 新宿 普通 5.03
6 赤羽北桜 介護福祉 5 駒場 保健体育 4.17 工芸 グラフィックアーツ 5
7 赤羽北桜 保育・栄養 4.71 工芸 インテリア 3.8 農業 食物 4.9
8 新宿 単位制普通 4.59 農業 服飾 3.7 駒場 保健体育 4.42
9 工芸 アートクラフト 4.4 芦花 単位制普通 3.696 国際 一般生徒 4.31
10 工芸 デザイン 4.3 国際 一般生徒 3.64 総合芸術 音楽 4

今年は都立高校再編の一環で、旧赤羽商業の校地に「家庭・福祉専門高校」として赤羽北桜が新設開校になりました。調理、介護福祉、保育・栄養の3つの課程が設定されており、高い人気となりました。コロナ禍で説明会等も不十分だったため、どれだけ受験生に浸透するか懸念する声も聞かれましたが、調理が1位、介護福祉が6位、保育・栄養が7位と、3つとも上位10校に入りました。調理と保育・栄養は都立高校で唯一、介護福祉は多摩地区の野津田に福祉科があるだけで、23区では唯一です。施設の新しさから同校を選ばれたと思われます。ただ、3つとも私立でもあまりメジャーな課程ではないため、今後も人気が継続するかどうかは1期生の状況次第でしょう。

2位は総合芸術の舞台表現、3位は同校の美術です。舞台表現は2018年から昨年までトップを続けていました。美術は今年で4年連続3位が続いていて、高い人気が続いています。4位の上水は2016年以来の登場です。少定員の課程が多い中で、同校は今年人気が目立っています。5位の園芸・動物は、一昨年が2位、昨年は登場していませんが11位と高い人気が続いています。

東京都・都立高校:一般入試(分割前期)

1.概況

一般入試の募集定員は、海外帰国生等も含め29,509名で、昨年より992名減少しています。志願変更後の応募者総数は39,785名で、昨年よりも2,792名減りました。実質倍率は1.32倍で、昨年より0.02ポイント下がりました。

2.応募者が多かった高校

学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の、応募者数上位10校を紹介します。

応募者が多かった都立高校(2020年・2021年)
  2021年男子 2020年男子 2021年女子 2020年女子 2021年単位制他 2020年単位制他
1 日比谷 297 戸山 328 三田 296 青山 270 新宿 545 新宿 576
2 戸山 289 青山 310 青山 293 戸山 254 国分寺 447 芦花 414
3 豊多摩 262 日比谷 296 上野 271 日比谷 252 芦花 396 国分寺 397
4 青山 261 豊多摩 264 小岩 257 三田 240 稔ヶ丘 291 稔ヶ丘 302
5 城東 250 上野 264 戸山 243 文京 237 上水 264 六本木 298
6 立川 240 西 251 城東 240 上野 231 多摩科学技術 259 国際一般 278
7 上野 232 小岩 249 日比谷 238 小岩 229 青梅総合 243 墨田川 270
8 江戸川 232 江戸川 244 狛江 230 西 227 墨田川 232 大江戸 258
9 石神井 231 城東 238 井草 215 豊多摩 226 六本木 228 多摩科技 239
10 小岩 230 立川 231 北園 215 江戸川 223 晴海総合 227 八王子拓真 220

学年制男子では、2017年まで日比谷のトップが続いていましたが、2018年に戸山がトップとなり、昨年まで続きました。今年は日比谷が4年ぶりにトップです。戸山は2位に下がりました。3位は昨年同数4位から上がった豊多摩ですが、応募者数は若干減りました。4位は昨年の2位から下がった青山です。5位は応募者が増えて昨年の9位から上がった城東です。男子は10校中9校が昨年も登場していました。例年では4校程度は入れ替わりますが、今年は人気の固定化が顕著にみられました。

学年制普通科女子は、トップは昨年の4位から上がった三田です。トップ10に登場する年が多い同校ですが、トップになるのは2014年以来です。2位は昨年のトップから下がった青山ですが、応募者は増えていて、今年は三田の人気上昇が青山を上回りました。3位は応募者が増えて昨年の6位から上がった上野、4位も応募者が増えて昨年の7位から上がった小岩です。5位は昨年の2位から下がった戸山です。応募者は減っていますが、わずかな減少です。

単位制等では、今年も応募者がやや減ったものの新宿がトップです。10年以上トップを維持し続けています。2位は昨年の3位から上がった国分寺です。同校は2016年から2019年まで2位を続けましたが、昨年は芦花に代わられました。しかし今年は2位に戻っています。3位は昨年2位の芦花で、順位が入れ替わりました。4位は昨年と同様のフレッジスクールの稔ヶ丘で、応募者はやや減っています。5位は上水で、昨年は14位ともう少しで登場する順位でした。近年は隔年でトップ10に登場しています。7位は青梅総合ですが、昨年は1名差で登場しませんでした。近年人気が上がってきて、今年が初登場です。

3.応募倍率が高かった高校

学年制普通科と単位制他(単位制、コース制、専門学科、昼夜間定時制)の、応募倍率上位10校を紹介します。

応募倍率が高かった都立高校(2020年・2021年)
  2021年男子 2020年男子 2021年女子 2020年女子
1 日比谷 2.25 戸山 2.48 三田 2.99 三田 2.42
2 戸山 2.19 青山 2.38 青山 2.44 広尾 2.26
3 三田 2.07 日比谷 2.24 広尾 2.34 青山 2.25
4 田園調布 2.05 田園調布 2.2 上野 2.22 田園調布 2.23
5 石神井 2.009 豊多摩 2 田園調布 2.16 竹早 2.09
6 青山 2.008 上野 2 目黒 2.11 戸山 2.08
7 豊多摩 1.98 雪谷 1.94 竹早 2.07 日比谷 2.05
8 竹早 1.967 石神井 1.92 本所 2.065 向丘 2.04
9 豊島 1.965 西 1.9 深川 2.011 小平 2.01
10 駒場 1.92 三田 1.88 井草 2.009 豊島 1.97
  2021年単位制他 2020年単位制他
1 園芸 動物 2.64 国際 一般 2.84
2 芸術 舞台 2.32 工芸 グラフィック 2.4
3 国際 一般 2.2 工芸 デザイン 2.36
4 芸術 美術 2.14 総合芸術 美術 2.21
5 工芸 デザイン 2.12 総合芸術 舞台表現 2.14
6 赤羽北桜 調理 1.96 府中工業 情報技術 2.05
7 新宿 単位制普通 1.92 新宿 単位制普通 2.03
8 八王子桑志 システム情報 1.84 工芸 マシンクラフト 1.96
9 芦花 単位制普通 1.8 芦花 単位制普通 1.882
10 工芸 アートクラフト 1.8 園芸 動物 1.88

学年制普通科男子では、今年のトップは昨年3位の日比谷ですが、応募倍率は昨年より若干の上昇に留まりました。都立離れの1つの表れでしょう。2位は昨年トップの戸山で、応募倍率は少し下っています。3位は昨年の10位から上がった三田で、応募者の増加が倍率アップにつながりました。4位は昨年と同じ田園調布で、応募倍率は少し下がっています。5位は昨年8位だった石神井で、3年連続の登場です。初めて2倍台になりました。

学年制普通科女子は、女子のトップは昨年と同じく三田で、応募者数がトップになった分、倍率も上がっています。2位は昨年の3位から上がった青山、3位は昨年2位の広尾で、順番が入れ替わりました。4位は上野で隔年的に応募倍率が上下しています。今年は上昇する年で表に登場しました。

単位制その他では、募集定員が少ない学校・課程も多く、ちょっとした応募者の増加で高倍率になるケースがありますが、今年のトップは昨年10位だった園芸・動物でした。同校はトップ10の常連ですが、トップになるのは2017年以来です。2位は昨年5位の総合芸術・舞台表現です。園芸・動物も総合芸術・舞台表現も少定員ですから、倍率は上がっていますが、実際の応募者真増加数はあまり大きな人数ではありません。3位は昨年トップだった国際の一般です。2012年以来、2017年と今年はトップを園芸・動物に譲っていますが、それ以外の年はトップでした。こちらは募集定員も98名と、このグループの中では大きい方で、今年は応募者が減っています。

4.応募の欠席・定員割れについて

全日制の欠席率は5.5%で、昨年の5.7%からは下がっています。しかし、今年も多数の欠席が出ている学校があり、その分、応募倍率は高くても実質倍率は下がっています。欠席者数のトップは今年も日比谷で118名です。昨年は123名、一昨年は107名、その前年はちょうど100名でした。増加傾向が一段落しています。戸山は62名で、昨年は96名でしたから大きく減りました。全体的には多くの欠席者が出る学校数が昨年より減少しています、また同じ学校なら欠席者数が減っています。全体に安全志向が高まって、難関・上位私立高校の押さえで受験する生徒が減ったのでしょう。

全日制各校の合格発表段階での定員割れは、普通科は単位制を含め昨年は13校127名でしたが、今年は16校275名と大幅に増加、コース・専門・総合学科は29校・課程676名で、昨年の34校・課程合計882名より減っています。

神奈川県・公立高校

1.全体の状況

昨年10月に発表された公立中学3年生の進路希望調査によると、公立中卒業予定者数は65,126名で、前年度より1,955名減少しました。高校等進学希望者数は62,892名で、前年度よりも1,689名減少していて、高校等への進学希望率は前年度よりも0.3%上がった96.6%でした。この段階では前年度よりも公立志望が少し戻っていて、私立志向の上昇は足踏みしていました。

全日制公立高校の募集定員は39,730名で昨年より1,550名減、志願変更後の公立高校の最終応募者数は46,714名で、応募倍率は1.18倍でした。昨年まで応募倍率は毎年少しずつ下がっていましたが、今年は0.01ポイント上昇しました。進路希望調査では私立志向の上昇による公立志向の低下が目立っていましたが、実際の出願では若干公立志向が戻っています。

2.普通科の応募者数ランキング

普通科の応募者数上位10校は以下の通りです。

応募者が多かった神奈川県公立高校(普通科、2019〜2021年)
順位 応募者数トップ10 普通科
2021年度 2020年度 2019年度
1 横浜翠嵐 741 横浜翠嵐 705 横浜翠嵐 758
2 湘南 574 湘南 571 湘南 617
3 七里ガ浜 544 元石川 528 市ヶ尾 550
4 海老名 521 柏陽 516 生田 537
5 市ヶ尾 514 大船 510 住吉 530
6 希望ヶ丘 508 鶴嶺 485 希望ヶ丘 528
7 住吉 497 新羽 477 七里ガ浜 515
8 生田 490 市立桜丘 473 海老名 510
9 麻溝台 488 市ケ尾 471 市立桜丘 498
10 新羽 485 七里ガ浜 471 横浜緑ヶ丘 492
  • 単位制や昼間部定時制(定時制の場合は共通選抜)を含み、クリエイティブスクールを除く。

応募者数のトップは今年も横浜翠嵐で、入試制度が現行に変更になった2013年からトップの座を守り続けています。ただし、同校は応募者数の隔年現象が見られる学校で、昨年は減少していたため、今年は増加しています。2位も4年連続の湘南で、今年は昨年並みの応募者数です。3位は昨年の10位から上がった七里ガ浜で、隔年現象で応募者は増減していますが、トップ10に登場し続けています。4位の海老名も隔年現象で今年は応募者が増えました。昨年は12位で、もう少しで登場するところでした。5位の市ヶ尾も昨年の9位から上がっています。七里ガ浜と同様、昨年は応募者が減りましたが、トップ10には登場し続けています。毎年、トップ10をまとめていますが、例外はあるものの、毎年のように登場する学校、隔年で登場する学校が決まってきて、人気校は固定化しています。

3.普通科の応募倍率ランキング

続いて、応募倍率上位10校を紹介します。

応募倍率が高かった神奈川県公立高校(普通科、2019〜2021年)
順位 応募倍率トップ10 普通科
2021年度 2020年度 2019年度
1 横浜翠嵐 2.07 横浜翠嵐 1.97 横浜翠嵐 2.12
2 横浜緑ヶ丘 1.72 市立南 1.84 横浜緑ヶ丘 1.77
3 多摩 1.68 新城 1.68 湘南 1.72
4 湘南 1.6 柏陽 1.62 多摩 1.7
5 七里ガ浜 1.52 大和 1.6 光陵 1.62
6 大和 1.48 湘南 1.59 市立桜丘 1.57
7 新城 1.47 多摩 1.54 横浜平沼 1.503
8 市立戸塚 1.46 横浜清陵 1.52 市立東 1.5
9 川和 1.44 市立高津 1.493 市立金沢 1.497
10 鎌倉 1.43 市立桜丘 1.487 住吉 1.48

応募者数同様、今年も横浜翠嵐がトップです。現行の入試制度になった2013年以降トップを維持していますが、昨年まで倍率は毎年少しずつ下がり続けていました。昨年は2倍を切っています。しかし今年は再び2倍台になりました。2位は横浜緑ヶ丘です。2017年以降トップ10に登場し続けていましたが、昨年、自己表現が学校独自問題から県共通問題に変更されたため、少し敬遠されたことでトップ10から姿を消しましたが、今年は人気復活です。3位の多摩、4位の湘南とも隔年現象は見られますが、それでも毎年登場しています。5位の七里ガ浜は、現行の制度になった2013年以降、トップ10に登場するのは初めてです。昨年までは応募者が増えても、倍率では13位くらいまでの順位でした。今年の応募者の増加が大きかったことを物語っています。

4.コース制他の応募倍率ランキング

次に、コース制や専門学科、総合学科などの応募倍率上位10校を紹介します。(少定員の学科が多く、応募者数でランキングを作ると登場校が固定化するため、倍率のみの紹介とします)

応募倍率が高かった神奈川県公立高校(コース制他、2019〜2021年)
順位 応募倍率トップ10 コース制・専門学科・総合学科・クリエイティブ(同順位あり)
2021年度 2020年度 2019年度
1 神奈川総合 舞台芸術 2.33 神奈川総合 国際文化 1.88 市立横浜商業 国際学 2.09
2 神奈川総合 個性化 2 市立橘 国際 1.769 神奈川総合 個性化 1.9
3 相模原弥栄 美術 1.85 神奈川総合 個性化 1.767 市立横浜商 スポーツマネジメント 1.872
4 神奈川総合 国際文化 1.8 市立横浜サイエンスフロンティア 理数 1.72 神奈川総合 国際文化 1.865
5 神奈川工業 デザイン 1.76 白山 美術 1.69 弥栄 美術 1.72
6 川崎総合科学 情報工学 1.64 横浜国際 IB 1.65 川崎総合科学 デザイン 1.56
7 みなと総合 総合 1.64 市立橘 スポーツ 1.54 川崎総合科学 電子機械 1.54
8 川崎総合科学 科学 1.56 川崎総合科学 科学 1.41 市立戸塚 音楽 1.46
9 相原 畜産科学 1.5 横須賀総合 総合 1.4 みなと総合 総合 1.44
10 相原 総合ビジネス 1.42 市立横浜商業 スポーツマネジメント 1.38 川崎総合科学 情報工学 1.41
相模原弥栄 美術 1.38

このグループは募集定員が小規模なものも多く、応募者数で見ると登場校が固定化してしまいますので、応募倍率のみの比較とします。

今年のトップは新設の神奈川総合の舞台芸術です。そもそも、こうした課程は、全国でも設置している学校が少なく、専門学校に通うケースが多かったのですが、首都圏の公立高校では埼玉県、東京都に続く3番目となり、ニーズが大きかったことがわかります。このグループの学校は、小規模な定員のものが多い分、変動も大きくなりがちですが、2位の神奈川総合・個性化、3位の相模原弥栄・美術(2019年の校名は弥栄で2020年に改称)、4位の神奈川総合・国際文化は連続して登場しています。5位の神奈川工業・デザインは初登場です。工業科の中でもデザインは女子を中心に高い人気で、今年は神奈川工業にスポットが当たりました。9位は相原・畜産科学、10位は同校の総合ビジネスです。畜産科学は2018年以来の登場、総合ビジネスは初登場です。2013年に現行制度になってから、普通科カラーが強い国際系などや、芸術・スポーツ系、総合学科の登場が多く、専門系は多くても1つか2つの登場ですが、相原はその中では人気が高い学校です。人気の秘密は新校舎と充実した設備です。同校は一昨年4月に、JR・京王線橋本駅前だった校地をリニア新幹線の駅用地として明け渡し、移転・新校舎になって人気が上がっています。

5.応募の取り消し・欠席・欠員について

全日制公立高校では応募先変更時に3,653名が応募先を変更、69名が取り消しました。応募先変更後の取り消し・欠席は475名(他に昼間定時制で7名)で昨年より増加、受検後取り消しは301名(同他に5名)で、こちらは昨年より減っています。応募の取り消し・欠席、受検後取り消しが目立ったのは、旧学区トップ校と、2番手校や中堅校では東京隣接地域の学校です。有名私立を第一志望にした受験生が、希望の私立に合格したための取り消しや欠席のようです。

定員割れは、昨年よりは減少しましたが、今年も1,000名を超えています。普通科では永谷97名、津久井66名、寒川31名、生田東25名、山北23名、菅20名やクリエイティブスクールの田奈76名、大井50名、大和東21名、昼間定時制では横浜明朋・午後部73名、相模向陽館・午後部26名、市立川崎昼間部75名などが目立ちます。専門学科では平塚工科74名、海洋科学・一般40名、藤沢工科39名、小田原城北工業・機械31名、同・電気29名、横須賀南・福祉30名、神奈川総合産業29名、向の岡工業・建設24名、横須賀工業・化学23名など、今年は工業系が目立っています。

千葉県・公立高校

1.全体の状況

今年は、前後期が一本化された初めての入試となりました。
全日制の当初の応募者数は33,627名で応募倍率は1.09倍、志願変更時点では33,517名、応募倍率は1.08倍でした。昨年の前期選抜は募集定員21,758名に対して応募者数が36,644名、応募倍率1.68倍、後期選抜は募集定員11,351名に対して応募者数が14,740名、応募倍率は1.30倍で、前後期の統合の影響とともに、公立志向が低下したことで、昨年よりも応募倍率は大きく低下しました。

2次募集は昨年が37校54学科927名でしたが、今年は63校103学科1,937名と倍以上の人数となっています。2次募集は2017年まで400名前後で推移しましたが、2018年は651名、一昨年は870名でしたから増加の一途をたどっています。

2.全日制普通科の人気校

全日制普通科の応募者数と応募倍率の上位10校です。(昨年の前後期と比較しています)

千葉県公立高校の応募者数・応募倍率ランキング(全日制普通科、2020・2021年)
順位 応募者数トップ10
2021年 2020年前期 2020年後期
校名 応募者数 校名 応募者数 校名 応募者数
1 県船橋 563 県船橋 650 県船橋 296
2 柏南 539 津田沼 591 柏南 288
3 津田沼 504 柏南 549 津田沼 262
4 国府台 444 千葉東 518 鎌ヶ谷 248
5 東葛飾 436 鎌ヶ谷 503 船橋東 242
6 検見川 430 検見川 482 東葛飾 239
7 千葉東 428 船橋東 461 市川東 237
8 佐倉 419 市川東 455 千葉東 233
9 市立千葉 418 市立千葉 453 市立千葉 222
10 船橋東 415 佐倉 436 国府台 215

今年のトップは昨年の前後期と同じ県船橋です。以前は募集規模が大きいこともあって前後期とも幕張総合がトップでしたが、2019年に総合学科に移行したため、普通科としては3年連続県船橋がトップとなりました。県船橋の応募者数は昨年の前期よりも減っていますが、公立中3生徒数が減っていること、全体に私立志向が高くなっていることから、人気に変化はないと考えてよいでしょう。2位と3位は昨年の後期と同様、柏南と津田沼で、昨年の前期とは順位が入れ替わっています。やはり昨年の前期の応募者数より減っていますが、特に柏南は昨年の前期にかなり近い応募者数ですから、人気が上がったようです。

応募倍率を見ると、トップは昨年の後期と同様の東葛飾、2位も昨年の後期と同じ県船橋で、それぞれ昨年の前期は3位と1位でした。応募者数と同様に高い人気が続いています。3位の柏の葉は昨年の前期が4位、後期は同率8位でした。応募者数の表には登場しませんが、同校も人気が継続しています。4位の津田沼は昨年の前期が2位、後期は今年と同じ4位、5位の柏南も昨年の前期は10位、後期は今年と同じ5位で、応募者数の表のように高い人気が続いています。

3.専門学科などの人気ランキング

専門学科、コース、総合学科や昼間定時制などの応募倍率上位校です。(昨年の前後期と比較しています。少定員の学科が多く、応募者数でランキングを作ると登場校が固定化するため、倍率のみの紹介とします)

千葉県公立高校の応募倍率ランキング(専門系他、2020・2021年)
順位 応募者倍率トップ10
2021年 同順位あり 2020年前期 2020年後期 同順位あり
校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率 校名 課程 応募倍率
1 柏の葉 情報理数 1.88 小金 総合 2.79 松戸国際 国際教養 2.88
2 県柏 理数 1.78 市立千葉 理数 2.7 市立千葉 理数 2.4
3 県船橋 理数 1.63 幕張総合 総合 2.68 市立稲毛 国際教養 2.1
4 おおたかの森 国際C 1.53 幕張総合 看護 2.25 市立習志野 商業 2
5 小金 総合 1.51 柏の葉 情報理数 2.23 県船橋 理数 2
6 県松戸 芸術 1.5 佐倉 理数 2.2 市川工業 建築 2
7 市立千葉 理数 1.5 松戸国際 国際教養 2.17 小金 総合 1.95
8 幕張総合 総合 1.481 生浜 午前部 2.13 幕張総合 総合 1.91
9 佐倉 理数 1.475 生浜 午後部 2.1 佐倉 理数 1.9
10 松戸国際 国際教養 1.47 松戸南 午後部 2.06 生浜 午前部 1.67

昨年の後期については、2016年以降前期の募集定員を100%にすることができるようになったため、専門学科や総合学科では後期を実施しない学校も多くなっていて、トップ10に出てくるのは実施校のみです。

今年のトップは昨年の前期が5位、前期のみの募集の柏の葉・情報理数です。近年、人気が上がっていて、今年はトップになりました。こうした学科がトップになるのは時代のニーズに合致したからでしょう。2位は県柏・理数です。同校も前期のみの募集校ですが、2018年、2019年と連続して表に登場したものの、高倍率が避けられたようで昨年は登場せず、今年は再登場です。3位は県船橋・理数です。トップ10の常連校で、2017~2019年は連続で前期のトップでした。もともと前期のみの募集ですが、昨年は高倍率が敬遠されたようで登場しませんでした。今年は人気が戻ってきたようです。

前述のように、このグループはもともと後期募集を行っていない学校や、昨年の県船橋・理数、市川工業・建築のように欠員が出たために後期を実施した事例もあることから、昨年の後期と今年の結果があまり結びつかないケースも見られます。昨年の前期と今年は比較的関係が深いのですが、先に紹介した普通科ほどは登場校の重なりは多くありません。少定員の学科が多く、少々の応募者数の増減が倍率に直接的に影響することから、普通科よりも変化が大きくなります。

埼玉県・公立高校

1.全体の状況

伊奈学園と市立浦和の内部進学を除く県内公立中学校の卒業予定者数は57,850名で昨年より1,380名減りました。12月に実施した2回目の進路希望調査では、高校進学希望者も1,341名の減少、全日制公立高校希望者も2,051名の減少となりました。全日制の公立高校の全体の定員は昨年と同様、760名分が削減されました。転編入枠と中高一貫校の内部進学を除いた当初の募集定員も36,040名と、今年も大きく削減されました。

全日制の当初の応募者数は39,475名と、昨年を2,013名も下回り、志願変更後の最終応募者数も39,305名で昨年より2,088名減少しました。応募倍率は昨年の1.12倍から1.10倍に下がりました。 今年は全日制の事前取り消しと当日欠席が特に増加しました。例年見られる都内国立や難関私立高校の繰り上げ合格者のほか、今年は新型コロナウイルス感染症対応で、出願を中学校からの郵送に切り替えた結果、昨年までの受験生による窓口出願よりも中学校に提出する〆切が早くなったため、都内国立や難関私立高校の正規合格者の出願取り消しも見られました。また、昨年までと同様、出願したものの結局併願で合格している地域の私立高校への進学を決めたケースもあります。

定員割れによる欠員補充については、2018年が990名、一昨年が915名、昨年が780名と減少傾向でしたが、今年は1,458名と大幅に増加しました。

2.応募者数ランキング

普通科、総合学科・専門学科・コース制等の応募者数上位10校を紹介します。

応募者が多かった埼玉県公立高校(2020年・2021年)
順位 2021年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募 学校名 課程 応募者数
者数 コース
1 伊奈学園 834 久喜北陽 総合 318
2 川越南 599 滑川総合 総合 285
3 浦和一女 495 川越総合 総合 231
4 浦和西 495 寄居城北 総合 194
5 県川越 486 進修館 総合 192
6 川口市立 484 大宮商業 商業 182
7 県浦和 480 熊谷商業 総合ビジネス 179
8 大宮 479 吹上秋桜 Ⅰ部 163
9 川越女子 461 幸手桜 総合 162
10 市立浦和 457 深谷商業 商業 161
春日部 457
順位 2020年応募者数トップ10
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 応募者数 学校名 課程 応募者数
コース
1 伊奈学園 799 久喜北陽 総合 337
2 浦和西 554 川越総合 総合 327
3 県浦和 534 滑川総合 総合 286
4 川越 520 大宮商業 商業 243
5 川口北 499 浦和商業 商業 206
6 川越女子 497 進修館 総合 205
7 浦和一女 495 幸手桜 総合 199
8 479 熊谷商業 総合ビジネス 195
9 春日部 478 寄居城北 総合 193
10 与野 476 深谷商業 商業 186

普通科では、規模が大きい伊奈学園が例年通りのトップでした。2位の川越南は昨年登場していませんが、今年は人気が上がっています。3位は浦和第一女子と浦和西です。浦和第一女子は昨年の7位から上がっていますが、応募者数は同じでした。公立志向の低下でトップ10に登場する応募者数の水準が下がったことで、今年は順位が上がっています。浦和西は昨年の2位から下がっています。応募者が減りました。5位は昨年4位だった県川越です。同校も今年は応募者が減っています。

総合・専門学科やコース制・昼間定時制等では、今年もトップは久喜北陽で、2015年からトップを続いています。応募者数は少し減りました。2位の滑川総合と3位の川越総合は、昨年と順位が入れ替わっています。滑川総合は昨年とほとんど同じ応募者数ですから、川越総合の応募者の減少で順位が入れ替わっています。4位の寄居城北は昨年の9位から上がっていますが、応募者数は昨年とほぼ同じですから、他校の応募者減少で順位が上がりました。5位は昨年の6位から上がった進修館・総合ですが、応募者数は少し減っています。やはり全体的な応募者数減少が影響しています。

3.応募倍率ランキング

普通科、総合学科・専門学科・コース制等の応募倍率上位10校を紹介します。

応募倍率が高かった埼玉県公立高校(2020年・2021年)
順位 2021年応募倍率トップ10 同順位あり
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 市立浦和 1.9 大宮 理数 2.35
2 川口市立 1.73 市立大宮北 理数 2.35
3 川越南 1.67 川口市立 理数 2.08
4 市立川越 1.64 松山 理数 1.75
5 大宮 1.51 越谷北 理数 1.75
6 所沢北 1.43 所沢北 理数 1.73
7 浦和一女 1.38 浦和商業 情報処理 1.6
8 浦和西 1.38 久喜工業 情報技術 1.6
9 1.36 市立川越 国際経済 1.6
10 越ヶ谷 1.36 越谷南 外国語 1.53
越谷北 1.36
順位 2020年応募倍率トップ10 同順位あり
普通科 総合・専門学科、コース
学校名 倍率 学校名 課程 倍率
コース
1 市立浦和 1.58 市立大宮北 理数 2.08
2 浦和西 1.55 大宮 理数 1.98
3 1.51 大宮光陵 美術 1.75
4 浦和 1.49 松山 理数 1.73
5 川越 1.45 所沢北 理数 1.55
6 川口北 1.394 市立川越 国際経済 1.51
7 川越女子 1.388 外国語 1.5
8 浦和一女 1.38 川口市立 理数 1.45
9 市立浦和南 1.3656 川越工業 デザイン 1.45
10 和光国際 1.3655 和光国際 外国語 1.43

昨年に続いて普通科トップは市立浦和です。2014年から2017年までトップを続けていた市立浦和は2018年、僅かの差でトップを越ヶ谷に譲りました。しかし、一昨年から再びトップに復活しています。また今年は応募者が増えて、倍率が上がっています。2位と3位は昨年登場しなかった川口市立と川越南で、両校とも応募者が増加、特に川口市立は定員削減にもかかわらず増加しました。また両校とも応募者の増加とともに倍率が上がっています。4位の川越南、5位の大宮も昨年は登場していません。川越南は2017年以来、大宮は2018年以来の登場です。両校とも今年は応募者が増えました。

総合学科、専門学科、コース制等では、今年は特に理数科の人気が高く、6位まで理数が並んでいます。大宮・理数と市立大宮北・理数は同倍率でトップです。大宮・理数は2017年までトップを続けていましたが、それ以後は隔年でトップになっています。今年は応募者が増えて倍率が上がり、昨年の2位からトップになりました。市立大宮北・理数は昨年に続いてトップを維持しました。応募者は少し増えています。3位は昨年の8位から上がった川口市立・理数です。同校は再編統合で2018年に開校し、そのまま人気トップとなり、その後もトップ10の登場が続いています。今年は応募者が増えて順位が上がりました。

このグループは、少定員の学校・課程も多く、本来は普通科よりも登場校の変化が大きくても不思議ではないのですが、ここ数年は理数科や外国語科など、普通科カラーの強い学校・課程がトップ10を占めることが多くなってきて、特に今年は理数科人気が目立つ結果でした。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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