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2017年2月号 公立中学校3年生の進路希望調査結果(東京都、神奈川県、埼玉県)
この記事は2016年度の情報です。最新の情報は2023年12月号、2024年1月号および2024年2月号をご覧ください。
東京都、神奈川県、埼玉県の各教育委員会が発表した公立中学校3年生の進路希望調査の結果から、卒業予定者数や進学希望者数の増減、人気の高い高校の傾向などをご紹介します。各校の募集人員、希望者数、倍率の詳細については、添付のPDFをご覧ください。
東京都
発表:2017年1月6日
調査:2016年12月
1.全体的な傾向
公立中学校卒業予定者数は、前年よりも男子が181名減、女子が132名増で、差し引き49名減でした。わずかな変動ですので、ほぼ前年並みと考えてよいでしょう。
全日制都立高校への進学希望者数は、男女とも増加しており、男女合計の希望率は71.1%と、前年よりも0.4%上がっていました。反対に、全日制国立・私立・他県公立の希望率は男女合計で20.8%で、前年よりも0.8%低下していました。この結果から、都立志向が高まり私立志向が低下していることがわかります。男女別に見ると、特に男子でこのような傾向が強く見られました。
男子について、都立高校の希望者数を都標準偏差値の偏差値帯別に見ると、偏差値65以上では減少し、偏差値60~64と39以下では増加しています。他の偏差値帯は前年とあまり変わっていません。トップレベルの高校を希望する生徒が減った背景には、入試制度改革によって内申点の実技科目の比重が高くなったり、内申点が必要ない入試枠が撤廃されたことにより、内申点が足りていない子が受験をあきらめたためだと思われます。トップレベルが減った分、そこに次ぐレベルの希望者数が増えているのでしょう。
一方女子について、都立高校の偏差値帯別の希望者数は、偏差値65以上ではあまり変化がなく、偏差値60~64で増えています。
2.希望倍率が高い都立高校
都立高校普通科、男女別の希望倍率上位5校をご紹介します。
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 調布南 | 2.11 |
2 | 竹早 | 2.10 |
3 | 豊多摩 | 2.03 |
4 | 駒場 | 2.00 |
5 | 江戸川 | 1.98 |
1位の調布南は、前年の33位から一気に上昇しました。2位の竹早、3位の豊多摩は、この5年間で初めてトップ5に入りました。4位の駒場は3年ぶりのトップ5入り、5位の江戸川は前年2位でした。今回の結果の特徴は、進学指導重点校がトップ5に一つも入っていないことです。今までには5校中4校が進学指導重点校だったこともあり、進学指導重点校が都立高校人気を引っ張ってきた面がありましたが、2番手、3番手のレベルの高校の人気が上がり、希望校が分散したことがうかがえます。
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 小平 | 2.53 |
2 | 竹早 | 2.49 |
3 | 青山 | 2.17 |
4 | 小金井北 | 2.12 |
5 | 調布南 | 2.09 |
1位の小平は前年は3位、2位の竹早と5位の調布南はこの5年間で初めてのトップ5入り、3位は前年2位の青山、4位は4年ぶりにトップ5に入った小金井北でした。女子も、以前は進学指導重点校がいつもトップ5に登場していましたが、近年は登場しなくなり、もっぱら2番手、3番手レベルの高校がベスト5を占めるようになっています。
神奈川県
順位 | 校名 | 希望者数 | 定員 | 希望倍率 |
---|---|---|---|---|
1 | 海老名 | 1002 | 398 | 2.52 |
2 | 市立橘 | 482 | 198 | 2.43 |
3 | 上溝 | 548 | 238 | 2.30 |
4 | 市立金沢 | 709 | 318 | 2.230 |
5 | 藤沢西 | 619 | 278 | 2.227 |
6 | 横浜翠嵐 | 786 | 358 | 2.20 |
7 | 多摩 | 607 | 278 | 2.18 |
8 | 新城 | 582 | 268 | 2.17 |
9 | 横浜緑ケ丘 | 575 | 278 | 2.07 |
10 | 市立戸塚 | 654 | 318 | 2.06 |
発表:2016年11月22日
調査:2016年10月
1.全体的な傾向
公立中学校卒業予定者数は前年より404名減った69,965名、高校等進学希望者数は前年より766名減った67,455人でした。高校等進学希望率は96.4%で、過去最高だった前年よりも0.5%下がりました。
県内の公立高校を希望する生徒の割合は、前年より0.6%減の80.7%でした。これは、2017年春から本格的に公立高校再編が始まることで、入試状況が変わるのを懸念しての結果かもしれません。県内の私立高校を希望する生徒の割合は、2008、2009年頃に大きく下がり、その後横ばいが続いていましたが、前回、2015年秋の調査では大きく上昇しました。今回は再び下がって、6.6%という結果でした。
神奈川県では、科やコースの改編・新設、高校の統合などの公立高校再編が、2017年から本格的にスタートします。ですから、難易度や希望倍率の見通しが立ちにくいのが現状です。今回ご紹介したデータは、2016年10月時点で調査したものです。進路希望調査結果を見てから、志望校を大きく変える生徒も出てくると思います。今後も、各校の難易度や倍率は変動すると考えておいてください。
2.希望倍率が高い公立高校
公立普通科の希望倍率上位10校をご紹介します。
1位の海老名は、希望者数が1000人を超えています。人気がある学校ですが、トップ10に入るのは3年ぶりです。3年前の希望者数は779人だったので、今回はとても人気が上がっていることが分かります。2位の市立橘は前年1位でした。3位の上溝は2年ぶりのトップ10入りで、希望者数が大きく増えています。4位の市立金沢、5位の藤沢西、6位の横浜翠嵐は、前年もトップ10に入っていた人気校です。希望者数はいずれも前年より30~50名程度増えています。7位の多摩は、この5年間で初めてのトップ10入りです。8位の新城は前年は4位、9位の横浜緑ケ丘は前年8位でした。どちらも順位は下がりましたが、希望者数は増えています。10位の市立戸塚は前々年に上位10校に登場しており、隔年で人気が上がっていることがうかがえます。
埼玉県
順位 | 校名 | 希望倍率 |
---|---|---|
1 | 市立川越 | 2.56 |
2 | 蕨 | 2.27 |
3 | 市立浦和 | 2.26 |
4 | 南稜 | 2.08 |
5 | 所沢北 | 1.96 |
6 | 市立浦和南 | 1.90 |
7 | 越ヶ谷 | 1.88 |
8 | 上尾 | 1.874 |
9 | 市立川口 | 1.867 |
10 | 川越南 | 1.78 |
発表:2017年1月12日
調査:2016年12月
1.全体的な傾向
公立中学校卒業予定者数は62,092名で前年から108名の増加、高校進学希望者数は61,242名で,前年から132名の増加でした。いずれもわずかな増加です。
県内の全日制公立高校を希望する割合は前年から0.4%減の76.2%、県内の全日制私立高校を希望する割合は前年から0.3%増の11.3%でした。公立高校を希望する生徒が減り、私立高校への進学を希望する生徒が増えていることが分かります。
公立高校の希望者数を偏差値帯別に見ると、最も希望者が多いのは県偏差値で55~59、次いで50~54、その次が60~64で、これは前年と同様でした。偏差値帯55~59と45~49、44未満では、前年よりも希望者数、希望倍率ともに増加していました。反対に、65以上と60~64では、希望者数、希望倍率ともに減少していて、上位校がやや敬遠されている傾向が伺えます。それでも、希望倍率は1.5~1.6倍程度と高い水準ですので、入りやすくなっているわけではありません。
2.希望倍率が高い公立高校
公立普通科の希望倍率上位10校をご紹介します。
1位の市立川越は前年6位でした。ここ数年は高い倍率が続いている高校です。2位の蕨は前年も2位、こちらは3年間希望倍率が2倍を下回っていません。3位の市立浦和は前年の1位です。上位3校は、安定の人気校といえるでしょう。4位の南稜は前年は18位で1.56倍でした。今回は希望倍率が大きく上がり、2.08倍となりました。9位の市立川口は、前年から大きく希望倍率が上がりました。この背景には、川口市立の3校が2018年度から統合され、在学中に新校舎に移ることがありそうです。