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上級者向け 受験マニアックス

2015年7月号 高校の見方、選び方

2015年7月号

先日、中学3年生のお子さんを持つ保護者の方から「高校の選び方」について相談を受けました。お子さんの希望は「公立高校が第1志望で、第2志望は私立高校」とのこと。「どんな私立高校を受けようとお考えですか?」とたずねると、お住いの近くの1校と、都内有名私立大学の付属校を挙げられました。心の中で「もったいない!」と叫んでしまいました。首都圏には個性豊かな私立高校がまだまだたくさんあるからです。でも、もしかしたら保護者の方ははじめてのお子さんで、高校選びに関する情報が手に入りにくいのかもしれません。ならばこのマニアックスの出番です。今回は高校の見方や選び方について解説します。

どこなら受かる? という発想を切り替える

じつは冒頭の保護者の方のようなケースは珍しくありません。多くの保護者が「行ける高校は限られている」と感じているようなのです。義務教育である小学校や中学校は、私立を除き、通う範囲がある程度決まっています。しかし高校は義務教育ではありません。公立か私立かのチョイスも自由です。入試で問われる学力レベルも幅が広いので、お子さんに合う学校は探せばいくつも見つかります。「どこなら受かる」から、「どこに通いたいか」と発想転換する気持ちを持ちましょう。

私立は付属校か進学校か2タイプ

私立高校の選び方の基準として、併設大学がある「付属校」と、上の大学がなく、全員進路選択をしなければならない「進学校」があります。お子さんが習い事などをしていて大学入学後も続けたいと考えているなら、大学入試のない「付属校」をおすすめします。もし、そうしたものがない場合は「進学校」がおすすめです。早稲田、慶應義塾、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)、日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修)など、大学のネームバリューから付属校は安定した人気があります。けれどもどの付属校もというわけではありません。大学入試なしに大学に進学できるのが付属校の大きなメリットですが、就職活動や進学・留学などを視野に入れたときに、その環境が子どもに合うかどうかは保護者がしっかり考えてあげてください。

私立の併願校にはパターンがある

一方「進学校」を見てみると、1つの高校の中に「コース」が複数設定されている場合があります。「特進」や「総合」という名前や、目標大学を掲げているコースもあります。これが進学校系の私立高校の特徴で、コースごとに偏差値が違います。さまざまな学力レベルの生徒を受け入れているのです。そうなると、学力や通学範囲からみて複数の学校が候補にあがってくるでしょう。

私立が第1希望なら、おすすめは「居心地がよさそうな校風」から選ぶこと。3年間で確実に大学などの次のステップに進むためには、自分に合った環境で力を蓄え、発揮することが大切だからです。「公立が第1志望で、私立は第2志望」の場合は、希望する公立高校のレベルや地域により、併願する私立高校にある程度「定番」があることを知っておいてください。どこが定番なのかは、友だちのきょうだいの体験談や、中学校の先輩保護者とおつきあいする中で大まかにわかるでしょう。

夏休みはオープンキャンパスや合同相談会が数多く開かれますので、ぜひ足を運んでみてください。パンフレットを見て「嫌いじゃない」と感じたら学校に足を運んでみる価値があります。学校の公式ホームページがあっさりしていても、行ってみたら雰囲気がいい、子どもが気に入った、という場合もよくあります。そんなふうに情報収集をしているうちに、出願基準が自分の成績と合いそうかが見えてくるでしょう。秋から学校を選び直すことになっても、まず自分の足で学校を見に行く。秋以降は模擬試験などが忙しくなってくる時期ですから、情報収集を先にすることが大事です。入試直前になって「知らない高校を併願する」ことほど、子どもにとって怖いものはないのですから。

首都圏で高卒・就職は少数派

ここまで高校卒業後は進学することを前提に、高校選びについて説明してきましたが「就職という生き方もあるのでは?」と思った方もいると思います。首都圏では高校を卒業して就職する人は多くありません。大学か短期大学、専門学校などへの「進学」がスタンダードです。首都圏は大学が集中しているので必然的に進学する高校生が多いのです。全日制普通科が人気で、職業教育をおこなう商業科や工業科などの専門学科の人気がいまひとつなのは、そうした環境による部分が多いといえるでしょう。

下のデータは2015年度の情報です。最新情報は2019年7月号および2019年10月号をご覧ください。

2016年度 首都圏高校入試変更点
・2016年度 首都圏高校入試変更点(2015年11月26日現在)


[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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