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上級者向け 受験マニアックス

2018年2月号 公立中学校3年生の進路希望調査結果(東京都、神奈川県、埼玉県)

この記事は2017年度の情報です。最新の情報は2023年12月号2024年1月号および2024年2月号をご覧ください。

東京都、神奈川県、埼玉県の各教育委員会が発表した公立中学校3年生の進路希望調査の結果から、卒業予定者数や進学希望者数、公立と私立の人気の傾向、希望倍率が高い高校などを紹介します。各校の募集人員、希望者数、倍率の詳細については、添付のPDFをご覧ください。

公立中学校3年生の進路希望調査結果(東京都、神奈川県、埼玉県)

東京都

発表:2018年1月9日
調査:2017年12月

1.全体的な傾向

卒業予定者数は、前年よりも男子が716名減、女子が375名減、合計1,091名の減少です。近年の中学3年生在籍者数の推移を見ると、2016年がピークで、2017年はわずかに減少していましたが、2018年になって本格的な減少期に入りました。ちなみに、現在の小学6年生までは生徒数が減り続けますが、その後は一気に増加する見込みです。

全日制都立高校への進学希望者数は、前年と比べて男子が2.5%減、女子が3.4%減となりました。一方で全日制国立・私立・他県公立の希望者数は男女とも2.3%ずつ上がっています。都立志向が弱くなり、私立志向が強まっています。この背景には、私立高校の学費支援が増額されたことがあるのでしょう。

男子について、都立学年制普通科高校の偏差値帯別の希望状況を前年と比較すると、生徒数の減少にも関わらず、65以上の難関校は希望者が増えています。60~64、55~59、50~54は、概ね前年並みの希望者数です。一方、中堅から比較的入りやすい学校では、希望者の減少が目立ちました。これは、私立高校や通信制にこの学力層の生徒が流れたためと考えられます。一方で、女子については、全体的に前年とあまり変わらないものの、39以下は希望者が12%も減っていて、私立高校や通信制にこの学力層が流れている状況です。また、中3の生徒数は減っていても65以上の希望者数は昨年並みが維持されていますから、難関校人気は続いているといえるでしょう。

2.希望倍率が高い都立高校

都立高校学年制普通科、男女別の希望倍率上位5校を紹介します。

【男子】

戸山が前年の17位から上昇し、2015年以来の1位となりました。2位の三田、3位の駒場は、この5年間でトップ5に入ったことがある人気校です。4位の北園も前年7位の人気校です。5位の豊多摩は、前年は3位でした。例年はトップ5に進学指導重点校が少なくとも1校は入っていますが、前年は1校も入っておらず、中堅校の人気が目立ちましたが、今回は進学指導重点校の戸山が1位で例年並みの人気傾向に戻ったと言えるでしょう。

男子に人気の高い都立高校ベスト5

順位 校名 希望倍率
1 戸山 2.16
2 三田 2.08
3 駒場 2.00
4 北園 1.99
5 豊多摩 1.93
【女子】

1位の三田は、2017年と2016年はトップ5に入っていませんでしたが、2015年までは毎年トップ5に登場していて人気が高い学校です。2位の石神井は2009年以来のトップ5登場ですが、同校もやはりもともと高い人気の学校です。3位の竹早は前年2位でした。4位の小平南はここまでの高倍率になったことがなく、今回の人気が急上昇しています。5位の向丘はトップ5の常連校です。小平南以外については、例年通りの人気校が上位を占める結果となりました。

女子に人気の高い都立高校ベスト5

順位 校名 希望倍率
1 三田 2.46
2 石神井 2.27
3 竹早 2.25
4 小平南 2.24
5 向丘 2.18

神奈川県

発表:2017年11月21日
調査:2017年10月

1.全体的な傾向

卒業予定者数は前年より853名少ない69,112名、高校等進学希望者数は前年よりも457名少ない66,798名です。高校等進学希望率は96.7%と、前年よりも上がっています。

進路希望先では、卒業予定者数の減少にともない全日制公立の希望者数が80.3%と、前年よりも0.4%減っていますが、県内私立高校は0.5%増、県外私立高校(多くは東京)は0.2%増となっています。公立志向が弱くなり、私立志向が強くなっていることがわかります。

前年と今回の県内私立希望率の変化を旧学区別に見ると、旧川崎南部、旧横浜中部、旧大和座間綾瀬で1%を超える上昇です。また、0.5%以上1%未満の上昇は旧川崎北部、旧相模原南北、旧横須賀三浦、旧秦野伊勢原で、これらの地域を中心に私立志向が強くなっています。

2.希望倍率が高い公立高校

公立普通科の希望倍率上位10校を紹介します。

1位の市立幸と2位の市立川崎のように募集定員が2桁の学校がトップになったことはこれまでになく、今回はかなり珍しいケースです。市立幸は2017年の入試から普通科を設置して改称した学校、市立川崎は中高一貫校で、2017年の入試から内部進学者が現れたため、募集定員を大きく減らしています。いずれも前年の調査では目立った倍率にはなりませんでしたが、今回は希望者が大きく増えました。前年は「様子見」だったのかもしれません。

3位の横浜翠嵐、5位の横浜緑ケ丘、6位の多摩、8位の市立戸塚は前年もトップ10に登場していました。4校とも希望者が増え順位が上がっています。4位の上溝は前年3位、7位の新城は前年8位でした。3~7位は、前年のトップ10校が占めています。9位の弥栄は、前年はトップ10に入っていません。2017年の入試から理数科と国際科を統合して普通科に転換していますが、2年目の今回に希望者が増えました。10位の川和は、かつては1位になったこともある人気校で、今回は人気復活といったところです。

神奈川県公立高校で人気の高い10校(普通科)

順位 校名 希望者数 定員 希望倍率
1 市立幸 191 78 2.449
2 市立川崎 93 38 2.447
3 横浜翠嵐 855 358 2.39
4 上溝 565 238 2.37
5 横浜緑ケ丘 639 278 2.30
6 多摩 623 278 2.24
7 新城 566 268 2.11
8 市立戸塚 657 318 2.07
9 弥栄 295 143 2.06
10 川和 653 318 2.05

埼玉県

発表:2018年1月12日
調査:2017年12月

1.全体的な傾向

公立中学校の卒業予定者数は61,206名で、前年より886名減っています。今後、現在の小6まで毎年1,000名程度ずつ減少し、その後増加に転じる見込みです。うち高校進学希望者は60,360名で、前年から882名減少しました。

進路希望先では、県内の全日制公立の進学希望率は74.1%で、前年よりも2.1%と大きく下がりました。一方、県内の全日制私立の進学希望率は1%上がっています。県外全日制(多くは東京の私立)も0.6%上がりました。東京都、神奈川県と同様に、公立志向が弱まり、私立志向が強まっていることがわかります。

公立普通科普通コースの学校について、偏差値帯別の希望状況を前年と比較すると、60~64が微増で、他の偏差値帯は全て希望者が減っています。卒業予定者数自体が減少したことや私立志向が高まっていることが理由ですが、東京都や神奈川県では上位校の人気が安定しているのに対して、埼玉県は全般的に希望者が減っている点が目立ちます。65以上のトップレベル校でも希望者が減っている背景には、前年から実施された学校選択問題への敬遠傾向が続いていることがあるようです。

2.希望倍率が高い公立高校

公立普通科の希望倍率上位10校を紹介します。

1位は前年に引き続き市立川越で、この5年間は前々年を除いてトップです。前々年を除いて2倍を切ったことがなく、高倍率が続いています。2位は前年の3位から上がった市立浦和で、こちらもこの5年間2倍を切ったことがない人気ぶりです。3位は再編統合によって開校する川口市立で、高い人気となっています。4位は越ヶ谷、5位は浦和西で、それぞれ前年の7位と12位から順位を上げています。トップ10のうちの7校が前年に続いての登場で(川口市立は除く)、人気校は固定化しています。

埼玉県公立高校で人気の高い10校(普通科)

順位 校名 希望倍率
1 市立川越 2.31
2 市立浦和 2.24
3 川口市立 2.19
4 越ケ谷 2.14
5 浦和西 2.07
6 南稜 1.96
7 所沢北 1.953
8 上尾 1.945
9 大宮 1.81
10 川越南 1.78


[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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