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上級者向け 受験マニアックス

2017年9月号 英語教育のこれから

日本人は英語が苦手だといわれています。しかしグローバル化が急速に進む今、大学での研究や仕事、日常生活などあらゆる場面で英語力が必須となっており、日本の英語教育のあり方が見直されています。今号では、これから求められる英語力とはどのようなものなのかをご紹介します。

日本人に求められる英語力の変化

まず、一昔前の日本で必要とされてきた英語力について考えてみましょう。一般の方がプライベートで英語を使う主な機会といえば、海外旅行でした。そこで、旅先で観光や買い物をするための日常会話を身につけることが重んじられ、英語に苦手意識を持った人々は英会話スクールに通いました。仕事で英語を使う人は少なく、使うといっても、ビジネス文書を正確に英語から日本語に翻訳して読むといった内容が多かったのです。英語での交渉やプレゼンを行うような人は稀でした。そんな社会情勢に沿って教育現場でも、類型的な会話ができること、読解力、正しい文法などが重視されてきました。

ところが今は、必要とされる英語力が大きく変わってきています。流暢な会話ができればそれにこしたことはないものの、むしろあまり発音がうまくなくても英語で自分の意見を正確に発信したり、交渉を行うことが必要とされています。就職や昇進の場面でも、こういった実のある英語のコミュニケーション能力を身につけた人材が選ばれるようになっています。そして、それに対応した内容の教育が、大学、さらには高校に求められているのです。

高校入試の英語の出題内容

近年は、高校入試の英語の出題内容も変わってきています。単純に文章を翻訳するといったものはかなり少なくなっていて、以下のような斬新な内容が増えているのです。

  • 別の教科、例えば理科に関するトピックスがテーマになっていて、教科横断型の力が求められる。
  • 自分の意見を英語で書く必要がある。正解が一つではない。
  • 表やグラフといった資料を分析する必要がある。

こういった問題に解答するためには、別の教科の知識、自分の考えを伝える力、論理的な思考力などが必要になります。

教育現場で重視される英語4技能

文部科学省が公示した新学習指導要領では、2020年から小学校で英語が教科化されることになりました。そして、小・中・高校で、ただ単語や文法の知識を身につけるのではなく、実際に英語を使えるような英語教育を行っていくことが目標とされています。ここで求められるのは「読む」「聞く」「話す」「書く」の英語4技能です。世界的に見て日本の学生は、「読む」と「聞く」はそこそこのレベルにいます。しかし「話す」と「書く」については、残念ながらかなりレベルが低いといわれています。ここでいう「話す」「書く」とは、日常会話ができたり、単に日本文を英訳する力ではありません。自分なりの意見を、英語で話したり書いたりして伝えられる力のことです。

もちろん、目新しい取り組みにばかり力を入れるのではなく、従来から重視されてきた「読む」「書く」力も大切です。英語の基礎的な力が身についたかどうかの目安としては、英検を受けることをおすすめします。中学卒業までに英検3級を取得し、高校卒業までに、準2級、2級とチャレンジしていくとよいでしょう。

高校選びの際には

これからの社会で必要とされる英語力を身につけるためにどのような高校を選ぶべきか、そのポイントをご紹介します。

まず、英語のコミュニケーション能力を身につけるには、英語を話す機会がたくさんあることが大切です。例えば一部の高校では、英語しか使ってはいけない施設や時間を学校で設けていたり、民間の英語村のような施設を利用したりして、英語漬けになる機会をつくる取り組みを始めています。その他、スカイプなどのインターネット通話サービスを使って、ネイティブスピーカーと頻繁にコミュニケーションをとるといった試みも行われています。

また、自分の意見を英語で話したり書いたりできるようになることは、思いの外難しいものです。日本の学生は、英語以前に日本語でも、自分の意見を発信することが苦手なのです。「○ですか? ×ですか?」「答えは何ですか?」という問いには答えられても、「あなたの意見はどうですか?」と聞かれると、口ごもってしまいがちです。授業で先生の話を一生懸命聞いてノートを取り、テストでは覚えたことを書く――その繰り返しでは、いつまで経ってもこういった力はついてきません。先進的な教育に力を入れている高校では、普段からディベートのトレーニングをしたり、自分なりに課題に取り組んで発表をするような探究的な活動を行っています。こうした取り組みを行っている高校では、英語で自分の意見を「話す」「書く」力が、着実に伸びていくでしょう。

全ての人に英語は必要

近年、日本を訪れる外国人の数は右肩上がりで、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時にはさらに増えると見込まれています。「自分に英語は向いていない」と考えている学生でも、日常で外国人と英語で話す場面が出てくることでしょう。例えば、アルバイト先に外国の方が来たとき、道を聞かれたとき、困らずに対応できるような力が必要です。難関校や上位校を目指す学生に限った話ではなく、誰にとっても、英語のコミュニケーション能力が身につく取り組みを行っている高校を選ぶ必要があるのです。

機会があれば留学にも挑戦を

高校生のうちに海外留学に行き、異文化や生の英語に触れることは、英語力を伸ばすだけではなく、考え方や視野を広げる貴重なチャンスになります。費用の問題もありますが、機会があって条件が整うようなら、物怖じせずにぜひ挑戦していただきたいと思います。中には、留学費用の一部を学校が負担してくれるような高校もあります。これは、留学を考えている受験生にとって、高校選択時の一つのポイントになるでしょう。

まとめ

国境という垣根が低くなり世界が身近になった今、グローバル社会に対応できる人材の育成が求められており、そのための教育が高校でも始まっています。グローバル人材の条件とは、単に英語を流暢に話すことではありません。世界中の多様な文化や価値観について自らの頭でしっかりと考え、外国の方の考えを理解し、自分の意見を発信できること、そして自ら課題を発見し、解決法を探って行動ができることです。これから高校生になる皆さんには、高校3年間でどのように英語力を伸ばしグローバルな視点を身につけていくのかを、しっかりと考えていただきたいと思います。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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