上級者向け 受験マニアックス
2020年7月号 2021年度首都圏高校入試の変更点(公立高校編)(第1弾:2020年4月〜6月発表分)
この記事は2020年度の情報です。最新の情報は2023年7月号および2023年11月号をご覧ください。
今号では、来年度の首都圏公立高校入試について、現時点で発表されている変更点をご紹介します。大勢が判明する秋頃に、第2弾をご紹介する予定です。来年度の首都圏私立高校入試については、次号(8月号)でご紹介します。
公立高校の選抜日程
首都圏各都県の選抜日程が発表されましたので、まとめてご紹介します。
【東京都】
★推薦による選抜
項目 | 日程 |
---|---|
願書受付日 | 2021年1月21日(木) |
実施日 | 2021年1月26日(火)・27日(水) |
合格者の発表 | 2021年2月2日(火) |
分割後期募集は、あらかじめ定員の一部を割り振って必ず実施されるのに対して、二次募集は、一次募集を終えて定員に満たない場合に実施されます。
★学力検査等による選抜(一般入試)
第一次募集及び分割前期募集 | 分割後期募集及び第二次募集 | |
---|---|---|
項目 | 日程 | 日程 |
願書受付日 | 2021年2月5日(金)・8日(月) | 2021年3月5日(金) |
実施日 | 2021年2月21日(日) | 2021年3月10日(水) |
合格者の発表 | 2021年3月2日(火) | 2021年3月16日(火) |
インフルエンザ等対応の追検査は分割後期募集・第二次募集の日程ですが、取下げ・再提出はできません。
【神奈川県】
共通選抜 | 募集期間 | 2021年1月28日(木)・29日(金)・2月1日日(月) |
---|---|---|
志願変更 | 2021年2月4日(木)・5日(金)・8日(月) | |
学力検査 | 2021年2月15日(月) | |
面接・特色検査 | 2021年2月15日(月)・16日(火)・17日(水)※ | |
追検査 | 2021年2月22日(月) | |
合格者の発表 | 2021年3月1日(月) | |
定通分割選抜 | 募集期間 | 2021年3月3日(水)・4日(木) |
志願変更 | 2021年3月5日(金)・8日(月) | |
学力検査 | 2021年3月12日(金) | |
面接・特色検査 | 2021年3月12日(金)・15日(月)※ | |
合格者の発表 | 2021年3月19日(金) | |
二次募集(全日制) | 募集期間 | 2021年3月3日(水)・4日(木) |
志願変更 | 2021年3月5日(金)・8日(月) | |
学力検査 | 2021年3月10日(水) 面接実施の学校あり | |
合格者の発表 | 2021年3月17日(水) |
二次募集は、全日制では共通選抜を終えて定員に満たない場合に実施されます。
クリエイティブスクールは学力検査を実施せず、面接・自己表現活動です。
- 学校によって異なります。
【千葉県】
入学願書等の提出期間 | 2021年2月9日(火)・10日(水)・12日(金) |
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変更受付期間 | 2021年2月17日(水)・18日(木) |
学力検査等の期日 | 第1日目 2021年2月24日(水) 学力検査国数英 |
第2日目 2021年2月25日(木) 学力検査理社 各高校で定めた検査実施 | |
《面接・集団討論・自己表現・作文・小論文・適性検査・学校独自問題・その他の検査など》 | |
追検査受付期間 | 2021年2月26日(金)・3月1日(月) |
追検査の期日 | 2021年3月3日(水) |
入学許可候補者の発表 | 2021年3月5日(金) |
(第2次募集、地域連携アクティブスクールを含む、通常の全日制では欠員が出た場合のみ実施) | |
入学願書等の提出期日 | 2021年3月10日(水) |
変更受付期日 | 2021年3月11日(木) |
学力検査等の期日 | 2021年3月15日(月) 学力検査、必要に応じて各校が定めた面接等 |
入学許可候補者の発表 | 2021年3月17日(水) |
【埼玉県】
出願期間 | 2021年2月15日(月)・16日(火) |
---|---|
志願変更 | 2021年2月18日(木)・19日(金) |
学力検査 | 2021年2月26日(金) |
面接・芸術系の実技検査等 | 2021年3月1日(月) |
追検査 | 2021年3月3日(水) |
入学許可候補者発表 | 2021年3月8日(月) |
一都三県の募集停止予定の学校
【東京都】
- 富士、武蔵:2021年度から高校募集停止予定。
- 両国、大泉:2022年度から高校募集停止予定。
- 白鷗:年度未定・高校募集停止予定。
【神奈川】
- 市立川崎:2021年度から全日制普通科を募集停止、完全中高一貫化予定、全日制福祉科、生活科学科は募集続行、昼間定時制は募集定員増加を予定。
- 瀬谷西:2021年度募集停止、2023年度から瀬谷と統合予定。
- 逗子:2021年度募集停止、2023年度から逗葉と統合、逗葉は単位制普通科に転換予定。
- 相模原総合:2021年度募集停止、2023年度から城山と統合予定。
【千葉】
- 市立稲毛:2022年度から中等教育学校へ移行、中学段階の募集定員を拡大、高校募集は段階的な定員削減で2025年度からは募集停止、国際教養科は全学の取り組みとして発展的解消を図ることになります。
【埼玉】
- 児玉、児玉白楊:2校は2023年度から統合し、普通科・工業科・農業科の併設校とする予定。現在の普通科体育コースは今後も内容を継承しますが、別枠募集を続けるかどうかは今後決定となります。
一都三県の入試学力検査の出題範囲除外について
新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により各中学校で休校が長期化したことを受けて、一都三県では来春の公立高校入試で出題範囲の除外が行われることになりました。それぞれの対応についてご紹介いたします。
【全体的な傾向】
一都三県の入試学力検査の出題範囲除外については、大幅に除外をする東京・埼玉のグループと小規模な除外をする神奈川・千葉のグループの2つに大きく分けることができます。基本的な前提として、出題範囲の除外を公表した以上、出題範囲が追加で除外されることはあっても増えることはありません。例えば新型コロナウイルス感染拡大の第二波という事態になった場合、神奈川や千葉が「出題範囲を短くします」と発表することは可能性としてあります。また、仮に新型コロナウイルス感染拡大が抑えられたとしても、東京や埼玉が「出題範囲を増やす」ということはないでしょう。
今回の出題範囲の除外について、まず神奈川・千葉のグループは、大きな影響はないといえるでしょう。社会と理科の場合、単元割が明確なので、削減される範囲の優先度を下げて、勉強を進めてください。数学については神奈川と千葉、どちらも標本調査の単元が除外となります。標本調査は学習範囲でも最後に学習する単元のため、もともと出題頻度が多くありません。そのため、こちらも実質的には変化はありません。
東京・埼玉のグループでは、まず国語に関しては、どちらも共通しているのが中3範囲の漢字、また埼玉では知識事項として四字熟語・慣用句を直接問う出題はありません。漢字や四字熟語・慣用句については、学習する範囲が学年配当として決まっていないため、教科書によって違いがあります。そのため、「どの教科書でも共通した」範囲から出題されることが東京・埼玉両方で公表されています。また、除外範囲の漢字や四字熟語・慣用句は、直接問われる出題はされなくても、長文問題中にルビを振るなどの対応がされて出てくる可能性はありますので手を抜かずに学習してください。
英語に関しても、国語同様にどの教科書でも共通した範囲からの出題となります。長文問題や並び替え作文問題、文章中の指定箇所を日本語訳する問題などから関係代名詞あるいは間接疑問文が出てきません。ところが、編集部で問い合わせたところ、埼玉の場合は「語彙はすべて出題範囲になる」という回答がありました。そのため、長文問題のなかで注釈つきで出題されるかもしれません。一方、東京では、除外範囲については、例外なく長文中からも除外されるという回答がありました。このことを踏まえると、関係代名詞を使わずに中学2年生までの範囲で長文問題が出題されるか、あるいは会話文形式での長文が出題される可能性がありますので準備をしておくことが大切です。
数学では、特に目立つのが「相似な図形のうち、日常生活で相似な図形の性質を利用する場面」、「円周角と中心角」の単元を除外する埼玉です。これらの単元が除外されると、応用的な問題は数量系に偏るかもしれません。図形に関する出題ならば、立体図形の問題などは出題される可能性があります。
ここまで述べてきたことを踏まえると、理科・社会を含めた5教科では、例年以上に中1や中2の範囲の出題が増える可能性があります。特に中2の後半は各教科とも、それなりの難度の応用問題を入試で出すことができます。中3範囲の勉強を進めていくのに並行して、中2範囲の内容もしっかりと復習することを心がけていただきたいと思います。
また今回除外される範囲については、おそらく中学校卒業までには、駆け足になるかと思われますが学習する機会は作られるはずです。受験生の皆さんからすれば、入試に出題されない範囲の優先度は低くなるかと思われますが、やはり中学校の学習範囲を学んだ上で高校1年生の学習が積み上げられるため、除外される範囲も高校入学までにしっかりと学ぶ場所を確保していただきたいと思います。
【東京都】
前号(6月号)でも紹介した通り、除外する範囲は以下の通りです。
国語
中学3年生の教科書で学習する漢字
数学
中学3年生で学習する内容のうち、次に挙げる内容
- 三平方の定理
- 標本調査
英語
関係代名詞のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法
- 同様の働きをもつ接触節も出題しない。
社会
公民的分野のうち、次に挙げる内容
- 『私たちと経済』の「国民の生活と政府の役割」
- 『私たちと国際社会の諸課題』
理科
各分野のうち、次に挙げる内容
○第1分野
- 『運動とエネルギー』の「力学的エネルギー」
- 『科学技術と人間』
○第2分野
- 『地球と宇宙』の「太陽系と恒星」
- 『自然と人間』
- 編集部で東京都教育委員会に問い合わせた内容については、前号(6月号)で紹介しています。
【神奈川】
除外する範囲は以下の通りです。
数学
中学校第3学年で学習する内容のうち、「資料の活用(標本調査)」
社会
公民的分野で学習する内容のうち、「私たちと国際社会の諸課題」
理科
- 第1分野で学習する内容のうち、「科学技術と人間」
- 第2分野で学習する内容のうち、「自然と人間」
国語・英語
漢字や英単語を問う問題(読み・書き・意味)において、中学校第3学年で新たに学習する漢字及び英単語は出題範囲から除きます。なお、国語の問題文に中学校第3学年で新たに学習する漢字が含まれる場合は、その漢字にはふりがなを表記し、英語の問題文に中学校第3学年で新たに学習する英単語が含まれる場合は、その英単語には、注釈を表記します。
- 編集部で神奈川県教育委員会に問い合わせたところ、国語と英語については県内公立中で採択されている各社の教科書で共通する漢字、英単語とのことです。県内では国語は光村図書、東京書籍、三省堂、教育出版の4社、英語は光村図書、学校図書、三省堂、東京書籍、開隆堂の5社が採択されています。
【千葉】
出題範囲の除外の対象は社会、数学、理科となっています。国語と英語については除外する範囲はありません。除外する範囲は以下の通りです。
数学
「標本調査」。
社会
公民的分野のうち、「私たちと国際社会の諸課題」。
理科
「科学技術と人間」のうち、「エネルギー資源」、「科学技術の発展」及び「自然環境の保全と科学技術の利用」、「自然と人間」のうち、「自然環境の調査と環境保全」、「自然の恵みと災害」及び「自然環境の保全と科学技術の利用」。なお、3年生で扱う実験の操作方法及び観察の手法については出題しない。
トピックス:2021年度入試から前後期1本化と来春の入試内容
千葉県は、来春から公立高校入試が前後期一本化されます。それにともなう来春の公立高校各校の入試内容が千葉県教育委員会から発表されました。来春からの新入試制度では、2日間の入試のうち初日に国・数・英の学力検査を、2日目に理・社の学力検査と学校設定検査を行います。学校設定検査は「面接」「作文」「小論文」「自己表現」「適性検査」「集団討論」「独自問題」「その他の検査」から1つ以上が実施されます。そのうち「その他の検査」での「思考力を問う問題」は新型コロナウイルス感染症の影響により中学3年生に過度な負担がかからないように来春の入試では実施しないことを公表しました。
来年度の千葉県公立高校の入試内容についての詳細は千葉県の公式HPよりご確認ください。
千葉県教育委員会「令和3年度千葉県公立高等学校入学者選抜「一般入学者選抜」等における学校設定検査の内容等について」
全体的な傾向としては、パターン化が進んでいます。もともと推薦入試を前期選抜としたときに、学力検査を実施するとともに、各校の特色に基づいた選抜を実施する、という目的で「面接」「作文」「小論文」「自己表現」「適性検査」「集団討論」「独自問題」「その他の検査」というメニューが用意されていました。しかし、「独自問題」については千葉東が取りやめてからは実施する学校がなくなりました。
また「その他の検査」についても、八街が取りやめたため、制度上のみの存在になりました。前述の通り、公式には新型コロナウィルス感染症への対応から「その他の検査」のうち、「思考力を問う問題」は出題しないとしていますが、その影響ではありません。八街の「その他の検査」は集団適性検査で「人の話をよく聞き、他人と協力して行動できるか」といった集団生活への適性を見るものであり、思考力を問うものではありません。
「集団討論」は八千代・普通のみ、「小論文」は松戸南が取りやめたため、市立千葉の普通と理数だけでの実施です。学校や学科への理解とともに受験生の前向きさを見る「自己表現」は幕張総合・総合、鎌ヶ谷、行徳で新たに実施されますが、千葉工業や茂原樟陽、木更津東などで取りやめとなり、一気に実施校・学科数が減りました。同じように専門系の学科内容に対する適性を見る「適性検査」は市川工業が取りやめています。「面接」を実施する学校が大多数となり、学科数を基準に数えると7割近くが面接を実施します。県船橋の普通・理数のように「面接」を取りやめて「作文」を新設する学校もありますが、こうしたケースは少数派です。なお、「面接」と「自己表現」の両方を実施していた学校は、一方に絞る事例が見られます。例えば、松戸六実は「面接」を取りやめましたが、佐倉南は「自己表現」を取りやめています。
【埼玉】
除外する範囲は以下の通りです。
国語
「第3学年における言葉の特徴やきまりに関する事項のうち、慣用句・四字熟語などに関する知識」、「県内市町村立中学校で使用している第3学年の教科書で学習する漢字の読み書き」。
数学
「相似な図形のうち、日常生活で相似な図形の性質を利用する場面」、「円周角と中心角」、「三平方の定理」、「標本調査」。
英語
「関係代名詞のうち、主格の that、which、who 及び目的格の that、which の制限的用法(接触節も出題しない。)」、「主語+動詞+what などで始まる節(間接疑問文)」※ただし、教科書で扱う語彙はすべて出題範囲とする。
社会
「私たちと経済」「私たちと国際社会の諸課題」。
理科
- 第1分野「科学技術と人間」
- 第2分野「地球と宇宙」、「自然と人間」。
- 編集部で埼玉県教育委員会に問い合わせたところ、学校選択問題も対象となるとのことです。また、国語については「長文の問題に、注釈や解説などが付いたうえで除外される範囲の四字熟語等が出題されることがあるか」、また英語では「注釈付きで表現が出題されることがあるか」について質問しました。国語については「公表した内容について、それ以上でもそれ以下でもない」、英語については「語彙はすべて出題範囲になる、と理解してほしい」とのことでした。
2020年4月〜6月に発表された変更点一覧
現段階(2020年7月時点)で判明している2021年度首都圏高校入試(公立高校)の変更点一覧をご紹介します。