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上級者向け 受験マニアックス

2017年5月号 私立高校の授業料補助制度について

東京都は2017年3月、私立高校授業料無償化(正式には保護者負担軽減)の拡大を目的とした予算案を可決しました。目的は、教育の機会を平等にすることです。今回は、この東京都の新しい補助制度の詳細および、神奈川県、千葉県、埼玉県の私立高校授業料補助の仕組みについてご紹介します。
(以下の説明で、年収は目安です。世帯人数等で変わります)

国の就学支援金

はじめに、国の就学支援金について紹介します。こちらは全国共通です。世帯年収により、補助額は段階的に下がります。各都県では、国の就学支援金に上乗せする形で、独自の補助制度を設けています。

国の就学支援金

※上記は2017年度の制度に基づいています
※年収は目安です
※学費等が就学支援金等の支給上限額を下回る場合は、その金額まで

東京都の新しい補助制度

1.2017年度の制度の概要

新しい補助制度では、世帯年収760万円未満の家庭に都内私立高校の平均授業料目安の442,000円までの、国の就学支援金との差額分を支給することとなり、家庭の負担は昨年度と比べて大幅に軽減されることになりました。また、私立高校授業料の補助にかかる都の予算は138億円となり、昨年度の50億円よりもかなり増額されました。これは、小池百合子都知事の「未来を担う人材の育成」の理念を反映したものといえるでしょう。東京都の制度が適用される条件は、「都内在住」で、都内に住んでいれば近隣の県の高校に通う場合にも、補助は支給されます。

2016年度と2017年度の制度の大きな違いは以下の通りです。

2016年度
  • 生活保護世帯では、都内私立高校の平均授業料目安の440,000円までを支給。
  • 他の世帯では、世帯年収により段階的に支給額が下がり、補助金で足りない部分は各家庭負担。
2017年度
  • 世帯年収760万円までの全世帯に対し、都内私立高校の平均授業料目安の442,000円までを支給。
東京都の補助制度

※上記は2017年度の制度に基づいています
※年収は目安です
※東京都の上乗せ分…都内在住であれば、隣接県の高校に進学しても支給

2.どれだけの学校が「無償化」される?

実際にどれだけの学校で授業料が無償となるのでしょうか。以下の表は、都内私立高校の2017年度授業料を示したものです。こちらを見るとわかるように、大多数の私立高校の授業料は442,000円以下となっています。次に多いのが50万円未満の学校で、50万円以上の学校は少数派です。つまり、世帯年収760万円未満の家庭では、大多数の私立高校の授業料が無償となるわけです。

なお、授業料が442,000円以下の場合は、実際の授業料と同額が支給されます。授業料が442,000円以上の場合、超過分は家庭の負担になります。

東京都私立高校の2017年度授業料(東京都生活文化局記者発表資料より作成)
授業料年額 学校
442,000円以下 正則学園、成城、保善、京華、自由ヶ丘学園、世田谷学園、日本学園、佼成学園、本郷、足立学園、明法、神田女学園、麹町学園女子、千代田女学園、東京女子学園、成女、京華女子、淑徳SC、東洋女子、文京学院大学女子、村田女子、小野学園女子、品川エトワール女子、日本音楽(幼児教育)、蒲田女子、国本女子、佼成学園女子、下北沢成徳、日本女子体育大学附属二階堂、川村、十文字、豊島岡女子学園、安部学院、星美学園、瀧野川女子学園、北豊島、東京家政大学附属女子、潤徳女子、愛国、江戸川女子、東京純心女子、立川女子、藤村女子、鶴川、白梅学園、日体桜華、駒沢学園女子、文華女子、錦城学園、二松学舎大学附属、東海大学付属高輪台、郁文館(特進・進学)、京華商業、駒込、昭和第一、貞静学園、東邦音楽大学附属東邦、岩倉、上野学園(普通科)、安田学園、中央学院大学中央、文教大学付属、朋優学院、日本工業大学駒場、日出、大森学園、東京、東京実業、日本体育大学荏原、国士館、駒澤大学、駒場学園、松蔭、東京都市大学等々力、東京農業大学第一、関東国際、国学院、実践学園、東亜学園、新渡戸文化、宝仙学園女子部、国学院大学久我山、杉並学院、専修大学附属、東京立正、日本大学第二、淑徳巣鴨、城西大学附属城西、昭和鉄道、豊南、桜丘、駿台学園、成立学園、武蔵野、淑徳、大東文化大学第一、帝京、共栄学園、修徳、関東第一、工学院大学附属(ハイブリッドインター以外)、聖パウロ、帝京大学、帝京八王子、八王子学園八王子、八王子実践、昭和第一学園、啓明学園、日本大学第三、和光、東京電機大学、錦城、創価、明治学院東村山、国立音楽大学附属(普通)、東星学園、東海大学菅生
442,000~
499,999円
日本大学豊山、巣鴨、聖学院、開成、城北、桐朋、東京家政学院、日本橋女学館、日本音楽、トキワ松学園、八雲学園、玉川聖学院、富士見丘、文化学園大学杉並(ダブルディプロマ以外)、日本大学豊山女子、東京女子学院、武蔵野女子学院、東洋、正則、広尾学園、明治学院、目白研心、郁文館グローバル、東洋大学京北、上野学園(器楽声楽)、日本大学第一、かえつ有明、芝浦工業大学附属、青稜、多摩大学目黒、目黒学院、立正大学付属立正、大東学園、日本大学櫻丘、三田国際学園、宝仙学園共学部理数インター、中央大学杉並、日本大学鶴ヶ丘、豊島学院、順天、東京成徳大学、大成、明星、桜美林、中央大学附属、早稲田実業、自由学園、拓殖大学第一、多摩大学附属聖ヶ丘
500,000~
599,999円
明治大学付属中野、女子美術大学付属、共立女子第二、郁文館(東大)、東京音楽大学付属、上野学園(演奏家)、堀越、明治大学付属中野八王子、聖徳学園、法政大学、明治大学付属明治、国際基督教大学、国立音楽大学附属(音楽)
600,000~
699,999円
学習院、立教池袋、早稲田大学高等学院、慶應義塾女子、青山学院、工学院大学附属(ハイブリッドインター)、成蹊
700,000~
899,999円
成城学園、桐朋女子(音楽)、玉川学園(一般)
1,000,000円以上 玉川学園(IB)、文化学園大学杉並(ダブルディプロマ)
3.どれだけの生徒が「無償化」の対象となる?

2017年度、都内在住の新高校1年生のうち、私立高校に進学した生徒は約28,000名でした。このうち、世帯年収760万円未満の家庭が、442,000円までを支給する対象となります。編集部で東京都生活文化局に問い合わせたところ、2016年度に支給を受けたのは44,680名でしたが、2017年度は約15%増の51,600人、1学年あたり17,200人が支給申請をすると見込んでいます。これは、都内在住の私立高校進学者の6割以上にあたります。

しかし、対象者全員が申請をするわけではありません。授業料を祖父母が負担する場合、祖父母から孫への非課税の教育資金贈与を利用する場合、あるいは体裁を気にして申請しないケースもあるようです。東京都としては、教育の機会を平等にするため、授業料補助の制度を整えています。支給を受けるのは当然の権利なので、より積極的に制度を利用してもらいたいと思います。

4.今後の課題

今後の課題は支給の時期です。現行の制度では、申請は6〜7月、支給が決定するのが12月、実際の振り込みは12月末が基本となっています。つまり、無償化といっても授業料を払わなくてよいわけではなく、4月以降支給が決定する12月までは各ご家庭が立て替えて払っておいて、年末に戻ってくるというわけです。立て替えるお金がない場合は、教育ローンなどを活用して何とか工面せざるを得ず、支給時期の改善が求められています。

5.私立高校人気は上がる?

新制度によって、私立高校授業料の家庭負担は大幅に軽減されます。今後はこの影響で、私立高校の人気が上がると考えられます。実際、東京都よりも早く2011年度から私立高校の授業料無償化を始めた大阪府では、同年度から私立高校の専願率が目立って上昇しました。

一方都立高校は、トップ校や2番手校の人気が盤石なので、大きく下がることはあまりないと思われますが、中堅校や比較的入りやすいレベルの学校を選ぶ学力層では、私立ならではの面倒見の良さを求め、都立より私立を選ぶケースが増えるのではないでしょうか。

神奈川県の補助制度

県内在住で県内の私立高校に通う生徒が対象。年収750万円未満の世帯すべてに、入学金補助10万円が給付されるのが特徴です。神奈川県も国の就学支援金との差額分をここまで支給します、という制度です。昨年度の制度と比べると、年収590万円未満の家庭への支給額が増額しています。年収590万円以上の額は昨年度と変わりません。

神奈川県の補助制度

※上記は2017年度の制度に基づいています
※年収は目安です

千葉県の補助制度

県内の私立高校に通う生徒が対象で、居住地は県外でも構いません。年収350万円未満の家庭には、国の制度との差額で、授業領分が無償となるように支給され、年収540万円までは授業料の三分の二の額まで支給されます。固定の金額ではありませんので、図では県内最高額で示しています。また、入学金補助もつくのが特徴です。昨年度の制度からの変更はありません。

千葉県の補助制度

※上図は2017年度の制度に基づき、年間授業料396,000円を基準に作成
※年収は目安です
※千葉県の上乗せ分…県内私立高校のみ支給、ただし居住地は県外も可

埼玉県の補助制度

県内在住で県内の私立高校に通う生徒が対象。年収609万円未満の家庭すべてに入学金補助10万円が給付され、年収500万円未満の家庭には、施設費等補助20万円が支給されるのが特徴です。

国の就学支援金との差額を県が支給する仕組みで、昨年度までは、年収500万円未満の家庭と500万円以上609万円未満の家庭では支給される金額が異なっていました。2017年度はこれが変更され、年収609万円未満の家庭すべてに、県内私立高校の平均授業料目安の375,000円までが支給されることになりました。

埼玉県の補助制度

※上記は2017年度の制度に基づいています
※年収は目安です

4都県の比較

国の就学支援金と合算した各都県の年収ごとの支給金額を比較すると、以下のグラフのようになります。昨年度はどの都県も年収が上がるにつれ支給額は減少していて、そこまで大きな違いはなかったのですが、2017年度は東京都の補助制度の手厚さが際立っています。

4都県の比較

※上記は2017年度の制度に基づいています
※年収は目安です
※千葉県は授業料額や授業料額の2/3が支給額(グラフは授業料年額396,000円で作成)

まとめ

今年度の東京都の補助制度の大幅な増額は注目すべきものであり、今後、東京都内では私立志向が高まることが予想されます。この動きを受け、近隣の県が今後どのように制度を変えていくのかも、注目したいところです。

こういった補助制度の目的は、所得に関わらず教育の機会を平等とし、生徒の個性や将来の希望に合った学校に通えるようにすることです。ぜひしっかりと申請をして、利用していただきたいと思います。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

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