この記事は2016年度の情報です。最新の情報は2021年12月号をご覧ください。

併願校選びは、多くの受験生・保護者が頭を悩ませるところです。今号では、公立高校の普通科を受験する場合の併願校のデータをご紹介します。データは、2014〜2016年度分の「統一模試」の合否追跡調査から判明したものです。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の順に掲載します。

※ データは「統一模試」(㈱エデュケーショナルネットワークが提供している塾内模試)の結果をもとに、独自に集計したものです。
※ 学校名、課程名は2016年度のもので、略称も含みます。
※ 各校ごとの私国立高校併願校を、合否に関わらず件数の多い順に掲載しています。
※ 公立高校の方が志望順位が高い場合、私国立高校の方が志望順位が高い場合のどちらも含めます。
※ 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の公立高校普通科のデータを掲載していますが、合否追跡調査にご協力いただいた件数がわずかだった学校については掲載していません。

東京都

都立高校には、普通科にもいろいろなタイプの学校があります。学年制普通科、単位制普通科といった制度の違いや、進学指導重点校などに指定されている学校などです。ここでは、国公立大学や難関私大進学を目標としている1.　進学指導重点校・単位制の最上位校と、2.　公立普通科上位校に分けて、併願校の傾向をご紹介します。

1．進学指導重点校・単位制の最上位校

日比谷、戸山、青山、西、八王子東、立川、国立の7校。併願校には早慶の附属校が多く、国立高校を受ける受験生もいます。

この中で一風変わっているのは青山で、併願校のトップが青山学院になっています。これは、立地からおしゃれな雰囲気を高校選びのポイントにしている受験生が多いためだと思われます。

また、八王子東の併願校には早慶がほとんど出てきませんが、これは地元の受験生がほとんどという地域に根ざした学校であることが理由だと考えられます。併願校のトップは帝京大学、第2位は八王子学園となっていて、地域の高校が名を連ねています。

同様に、立川と国立の併願校には西武文理や拓殖大第一も見られますが、これは多摩地区の学校であることが理由でしょう。

単位制で特筆すべきは新宿。こちらは新宿高島屋の向かいという抜群の立地で、大変人気がある高校です。早慶の併願はあまり多くなく、GMARCHの附属校と私立の進学校（最難関レベルは除く）が中心となっています。

また、国分寺も多摩地区で非常に人気がある高校ですが、錦城、拓殖大第一、八王子学園などの地域の進学校を併願に選ぶことが多くなっています。

2．公立普通科上位校

併願校は地域毎に異なる傾向があります。

三田、小山台、駒場はおしゃれな雰囲気が人気で、遠方・多方面から通う学生が多くいます。そのため、併願校も広範囲にわたります。

それ以外の高校では併願校として、“私立学校に時折みられる「独特の校風、学校カラー」があまり強くなくてコースが複数にわかれていて募集定員が多いところ”を選ぶ傾向が見られます。田園調布の併願校として選ばれている目黒学院共学部スタンダードコース、朋優学院進学コースなどはまさにそのパターンです。また、距離も条件となっていて、広尾の併願校に駒場学園、目黒学院、國學院が見られるように、それほど遠くないところからそれぞれのレベルに合わせた高校が選ばれています。

東京

神奈川県

神奈川県の公立高校では、旧学区トップレベル校の中でも特に際立った存在が横浜翠嵐と湘南の2校です。ここでは、1．横浜翠嵐と湘南、2．旧学区トップレベル校、3．公立普通科上位校に分けて、併願校の傾向をご紹介します。

1．横浜翠嵐と湘南

両校ともに、早慶の附属校や国立のお茶の水大や学芸大の名前が見られます。これは神奈川県では非常にめずらしいケースです。横浜翠嵐では他に、渋谷幕張、開成などの名だたる進学校が選ばれています。湘南では、地元の山手学院も選ばれています。この2校は他の公立高校とは一線を画していて、徹底的に最難関進学校を受験する傾向が強いといえるでしょう。

2．旧学区トップレベル校

このグループは、川和、希望ヶ丘、横浜平沼、光陵、柏陽、多摩、相模原、鎌倉、茅ヶ崎北陵、厚木です。これらの高校の併願校には国立も選ばれていますが、どちらかというと附属校志向が強くなります。このグループ内でもレベル差はあり、比較的上位の学校では早慶の附属校を、それ以外ではGMARCHの附属校を選ぶ傾向が見られます。また、進学校でも前述の横浜翠嵐、湘南とは異なり、首都圏最難関クラスよりも、地元で定評がある進学校を選ぶ傾向が強くなります。

3．公立普通科上位校

東京都と同様に、“私立学校に時折みられる「独特の校風、学校カラー」があまり強くなくてコースが複数にわかれていて募集定員が多いところ”を選ぶ傾向があります。東急・小田急沿線の高校は通いやすいため、併願校には都内の高校の名前もよく見られます。横浜市内のJRや京急、相鉄などの沿線では、やはり横浜市内や横浜周辺の学校がほとんどになります。

神奈川

千葉

千葉県には御三家と呼ばれるトップレベルの公立高校があります。県立千葉、県立船橋、県立東葛飾の三校です。ここでは、1．御三家と2．公立普通科上位校に分けて、併願校の傾向をご紹介します。

1．御三家（県立千葉、県立船橋、県立東葛飾）

この3校は千葉県の公立高校のトップレベル校です。併願校には、渋谷幕張、市川、昭和学院秀英など、県内のトップレベルの私立高校が選ばれています。東京の高校では、早慶の附属校や国立の高校などの最難関進学校が名を連ねています。

3校のうちで際立った存在は県立千葉で、都内国立高校など選ぶ傾向が特に強くなっていますが、県立船橋と県立東葛飾では、芝浦工大柏、専修大松戸などの進学校を併願するケースも見られます。

2．公立普通科上位校

東京都、神奈川県と同様に、“「独特の校風、学校カラー」があまり強くなくてコースが複数にわかれていて募集定員が多いところ”を、それぞれのレベルに合わせて選ぶ傾向があります。

千葉市内の私立高校では、千葉敬愛、千葉商科大、敬愛学園、昭和学院がよく選ばれています。松戸や船橋地区では、千葉商科大、東京学館浦安、昭和学院、常磐線沿線では、芝浦工大柏、専修大松戸、麗澤、二松学舎柏、流通経済大柏の名前がよく見られます。

佐倉や成田の方では地元の高校を併願することが多く、そういった意味では成田高校が伝統的によく選ばれています。他に、八千代松陰、千葉英和、東京学館なども見られます。それ以外の地域、佐原から銚子方面だと、敬愛八日市場や鹿島学園。内房の方では木更津の拓殖大紅陵、志学館などが定番となっています。

千葉

埼玉

埼玉県が他の都・県と異なるのは、公立志向が比較的強いことでしょう。また、公立の男子校・女子校がある点も特徴的です。

男子校の県立浦和と女子校の浦和第一女子は、公立トップレベル校の中でも際立った存在と言えるでしょう。ここでは、1．県立浦和と浦和第一女子、2．公立トップレベル校、3．公立普通科上位校に分けて、併願校の傾向をご紹介します。

1．県立浦和と浦和第一女子

早慶の附属校、都内の国立高校や、最難関進学校が名を連ねます。地域の中では、栄東、開智が選ばれています。

2．公立トップレベル校

このグループは、春日部、川越、川越女子、市立浦和、大宮、蕨、所沢北、越谷北です。早慶の附属校、国立高校も併願として受験しますが、東京志向は少し薄まり、栄東、開智、川越東などの県内の進学校を併願校とする受験生が多く見られます。GMARCHの併願校も選ばれています。

地域別だと、西部地区では西武文理、城西川越、狭山ヶ丘、南部地区だと大宮開成、東部地区だと獨協埼玉や春日部共栄、昌平などが選ばれています。

3．公立普通科上位校

東京都、神奈川県、千葉県と同様に、“「独特の校風、学校カラー」があまり強くなくてコースが複数にわかれていて募集定員が多いところ”を、それぞれのレベルに合わせて選ぶ傾向があります。

また、埼玉県全体として、南部地区のさいたま市に、「ひと・もの」が流れている傾向があります。

人気の南部地区では、併願校も地域の高校を選ぶケースが多くなっています。南部地区の併願校としては、大宮開成、武南、浦和学院、浦和実業、埼玉栄、栄北、国際学院がありますが、受験生それぞれが自分の学力に応じた高校・コースを選んでいます。南部地区の併願はパターン化してきていて、ここに挙げた私立以外はほとんど出てきません。

東武スカイツリーライン沿線の草加、越谷、春日部などの東部地区でも、南部地区の私立高校を併願に選ぶケースが増えています。そればかりか、第一希望の公立でも南部地区の高校を選ぶことが多くなっています。東部地区の併願校としては、獨協埼玉、春日部共栄、昌平などがありますが、選ぶ受験生は以前よりも減っています。

西武池袋線、東武東上線、西武新宿線あたりの西部地区でも、東部地区とまったく同様のことが言えます。西部地区の併願校としては、西武文理、狭山ヶ丘、聖望学園、山村学園、山村国際など、有名な高校があるのですが、やはり南部地区の高校を選ぶケースも増えてきています。

大宮以北では、併願校として国際学院や秀明英光がありますが、やはり南部地区の高校が選ばれるケースが増えています。

北部地区は他の地区とは少し情勢が異なります。併願校には南部の大宮近辺の高校も多いものの、幅広い地域の学校が選ばれています。また地域柄、本庄・深谷地区の本庄東、本庄第一、東京成徳大深谷、正智深谷などの名前がよく見られます。少し西の方に行って東京農大第三、武蔵越生、大妻嵐山、埼玉平成を選ぶ受験生もいます。

埼玉