Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット高校受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット高校受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

ツイッター フェイスブック

上級者向け 受験マニアックス

2020年1月号 神奈川県と埼玉県の中学3年生の進路希望調査結果

この記事は2019年度の情報です。最新の情報は2023年12月号2024年1月号および2024年2月号をご覧ください。

神奈川県と埼玉県の教育委員会が発表した中学校3年生の進路希望調査の結果から、卒業予定者数や進学希望者数、公立と私立、県内校と県外校の人気の傾向、希望倍率が高い高校などを紹介します。受験生の希望や人気の動向等は今後変わる可能性もありますので、あくまでも進路希望調査によるデータとして参考程度に留めてください。各校の募集人員、希望者数、倍率の詳細については、添付のPDFをご覧ください。

なお、東京都と埼玉県の2回目の結果は、2020年2月号で紹介しています。

神奈川県

1.全体的な傾向

公立中学校の卒業予定者数は、前年より1,621名少ない67,081名、高校等進学希望者数は前年よりも1,532名少ない64,581名です。高校等進学希望率は96.3%で、前年とほぼ同様です。公立の中学3年生は、2010年を例外として2005年~2013年まで増加が続き、2014年~2016年は7万人前後で増減を繰り返しました。この3年間は減少が続いており、減少幅は今回特に大きくなっています。生徒数の最少は今の中1ですので、今後2年は減り続け、そのあとは増加に転じる見込みです。

進路希望先では、全日制県内公立高校の希望率が79.5%と前年よりも0.5%上昇しています。全日制県外国・公立高校の希望率は0.6%と、前年と変わりません。一方、全日制県内私立高校の希望率は7.2 %で前年より0.1%減少、全日制県外私立高校の希望率は3.9%で前年と同じです。上昇傾向だった私立志向が止まり、公立志向が少し上がったことがわかります。また、通信制高校の希望率は2.3%で、前年と同様です。
公立定時制の希望率はじわじわ低下して、今年は1.1%に下がっていますが、通信制の希望率は2012年に上昇、2016年以降は定時制の希望率を上回って上昇を続けていて、昨年、今年は2.3%と、定時制の2倍以上の希望者がいます。

神奈川県には秀英高校や清心女子高校など、一見すると通信制とは思えない、毎日朝からスクーリングを行う全日制タイプの通信制高校が以前からあります。一方、「N高校」のような、ニュータイプの通信制高校が最近話題になっています。近年の通信制高校希望者の増加が、以前からある通信制とニュータイプのどちらが多いのかは今回の公表資料からはわかりませんが、他県の状況などから、ニュータイプの高校を希望する受験生が増えていることが考えられます。

また、神奈川県では来春、インクルーシブ教育の特別募集枠の新設があります。特別枠ができた学校は、今回の調査ではあまり希望倍率が高い学校ではありませんが、募集定員が削減された学校もあり、実際の入試の倍率は少し上がるかもしれません。

2.旧学区別の県内私立希望率

今回と前年の、旧学区別(厳密には一部異なる)の県内私立希望率を表したのが下の図です。

進路希望調査による県内私立希望率 前年対比
進路希望調査による県内私立希望率 前年対比

昨年より1%以上の上昇が、旧川崎北部、旧鎌倉藤沢、旧県西で、特に旧県西は2%近い大幅な伸びです。0.5%以上1%未満の地域はありません。逆に1%以上下がったのは旧横浜北部と旧平塚で、0.5%以上1%未満の低下が旧横浜東部、旧横浜南部、旧横浜臨海、旧横須賀三浦です。概ね昨年私立志向が上がった地域は今回下がり、昨年は上がらなかった地域が上昇していて、隔年的な変化が見られます。その中で旧川崎北部は連続して県内私立希望率が上昇しています。

3.希望倍率が高い公立高校

今回と前年の公立普通科の希望倍率上位10校を比較してみます。

公立普通科 希望倍率上位10校(2019年調査・2018年調査)
2019年調査 2018年調査
順位 校名 希望者数 定員 倍率 校名 希望者数 定員 倍率
1 市立橘 506 198 2.56 市立橘 491 198 2.48
2 神奈川総合 600 248 2.42 上溝 574 238 2.41
3 湘南 842 358 2.35 湘南 842 358 2.35
4 横浜翠嵐 826 358 2.31 横浜緑ケ丘 648 278 2.33
5 横浜緑ケ丘 634 278 2.28 市立金沢 721 318 2.27
6 藤沢西 627 278 2.26 横浜翠嵐 792 358 2.21
7 新城 603 268 2.25 多摩 602 278 2.17
8 市立幸 175 78 2.24 神奈川総合 523 248 2.11
9 市立戸塚 710 318 2.23 座間 581 278 2.09
10 大和 557 278 2.00 市立幸 160 78 2.05

昨年に続いてトップは市立橘でした。人気が上がって旧川崎南部地区の2番手校だった住吉を追い越す難度になって敬遠傾向が出ましたが、再び人気が上がって昨年に続くトップです。2位は神奈川総合で、希望者が大きく増えて昨年の8位から上昇しています。3位は昨年同様の湘南で、偶然ですが希望者数は昨年と全く同じです。4位は昨年の6位から上がった横浜翠嵐で、希望者はやや増えています。5位は昨年の4位から下がった横浜緑ヶ丘ですが、下がったといっても希望者の減少は僅かです。6位は藤沢西で、2015年、2016年とトップ10に登場していましたが、一昨年、昨年は登場しませんでした。もっとも、この2年間も2.02倍や1.97倍でしたから人気が下がっていたわけではなく、もう少しで登場する位置でした。7位は新城で、実際の入試での応募者数が普通科トップになったこともある人気校ですが、高倍率で敬遠されたのか昨年はトップ10から姿を消しました。今年は再び登場しています。8位は昨年10位だった市立幸で、商業科との併設校ですから募集定員は他校よりも少なくなっています。「絶対公立」の受験生が集まる傾向があり、希望者がやや増えて順位が上がっています。9位は市立戸塚で、一昨年まで連続してトップ10に登場していましたが、難化が避けられたのか昨年はやや希望者が減少、トップ10から姿を消しました。しかし新城と同様、今年は再び希望者が増加、登場しています。10位は大和で、同校も進路希望調査では2倍前後の希望倍率になることが多く、トップ10によく出てきますが、昨年は希望者が少し減っていました。今年は増えて復活です。

トップ10に登場しない学校では、相模原弥栄、伊勢原、市立高津、相模田名は20%を超える希望者の増加で、伊勢原は人数でも100名を超える増加です。川和、市立東、横浜清陵、湘南台、小田原、港北、伊志田、城郷、平塚湘風、菅、横浜旭陵、津久井も10%を超える希望者の増加です。率で見るならば実は市立南の希望者が50%増えています。

埼玉県(1回目の調査)

1.全体的な傾向

埼玉県では、1月に発表される2回目の進路希望調査もありますが、今回は1回目の結果です。中学校(私立・国立も含む)の卒業予定者数は62,537名で、前年より961名減っています。前年に続く大幅減です。高校進学希望者数は61,144名で、前年より949名減です。神奈川県と同様に埼玉県も生徒数減少期で、今後2年は減り続け、そのあとは増加に転じる見込みです。

進学希望先別に見ると、県内の全日制公立高校の進学希望者数は44,945名で、前年より2,016名減りました。割合で見ると71.9%で、前年よりも2.1%下がりました。また、県外の全日制国・公立高校の進学希望者数も、前年より16名減った492名でした。一方、県内の全日制私立高校の進学希望者数は8,971名と前年より486名増えていて、割合では前年より1.0%上がっています。県外の全日制私立高校の進学希望者数も3,292名と前年より232名増で、割合でも0.5%上がりました。

こういったデータから、私立志向が上昇し、公立志向が減少していることがわかります。ただし、公立も募集定員を削減しているので、倍率が下がって入りやすくなるとは限りません。

県外校を志望する受験生にはいくつかのパターンがあります。埼玉県内にはない高専を目指す場合や、三郷市などの武蔵野線沿線東部に住む生徒が、地元よりも千葉県の高校を選ぶ場合などです。千葉県の高校を希望するのは、隣接県協定で受検できるからで、今回の調査結果では三郷市などで、隣接県協定を利用して千葉の県立高校を選ぶ生徒が増えている模様です。
しかし、最も多いのは東京の私立高校を選ぶ場合で、今回の調査でも希望者が増えています。埼玉県内の私立高校に行けば手厚い学費助成が受けられるのにもかかわらず、東京の私立高校を目指す背景には、大学附属校志向の高まりがあるのでしょう。大学入試改革や私立大学定員厳格化による難化を踏まえて、今のうちに大学進学の目処をつけておきたいと考える受験生や保護者が多くなっているようです。

2.希望倍率が高い公立高校

公立普通科で、希望倍率が高い高校をご紹介します。下の表は、今回と前年の調査で、希望倍率が2倍以上だった高校を記したものです。

公立普通科 希望倍率上位校(2019年調査・2018年調査)
2019年調査 2018年調査
順位 校名 倍率 2018年同期倍率 校名 倍率 2017年同期倍率
1 市立川越 3.30 4.04 市立川越 4.04 3.28
2 川口市立 2.58 3.34 川口市立 3.34 2.59
3 市立浦和 2.56 3.26 市立浦和 3.26 2.64
4 浦和西 2.41 2.55 浦和西 2.55 2.48
5 上尾 2.35 2.53 上尾 2.53 2.81
6 川越南 2.34 2.24 越ケ谷 2.45 2.46
7 鳩ケ谷 2.06 1.46 所沢北 2.36 2.3
8 川越南 2.24 2.42
9 南稜 2.15 2.43
10 大宮 2.08 2.19

今回の調査で希望倍率が2倍を超えたのは上の表の左の各校で、右は昨年同期の調査結果です。今回は昨年より3校減った7校が登場していますが、2倍を超えた学校は2016年、2017年が12校、昨年が10校、今年が7校と学校数が減少、公立志向の低下を反映しています。市立川越が今年もトップ、これで5年連続です。昨年は希望倍率が4倍を超えましたが、今年は3倍台に戻りました。2位は川口市立、3位は市立浦和、4位は浦和西、5位は上尾で、いずれも昨年と同順位です。川口市立は昨年、市立の3校を統合して開校した学校で、昨年、今春と、入試では多くの受験生が集まりました。開校3年目ですが、人気は衰えていません。市立浦和は3年連続3位で、昨年は募集定員が1クラス削減されたため、希望倍率は大きく上がりましたが、今年は一昨年並みの倍率に戻りました。募集定員は戻っていませんから、その分希望者は減っています。浦和西は一昨年が5位で、昨年4位に上がって順位をキープ、上尾は一昨年が2位で、昨年5位に下がりましたが、こちらも順位をキープしました。6位は昨年の8位から上がった川越南、7位は希望者が大きく増えた鳩ケ谷です。昨年は2倍を超えていて、今年は2倍を切って姿を消したのは所沢北、南稜、大宮で、3校とも募集定員は変わっていませんから、希望者が減ったわけですが、大宮は1.92倍ですからあまり減っておらず、所沢北も1.73倍ですから高倍率の部類でしょう。南稜は1.59倍で人気は落ち着いたようです。

3.市ごとの希望状況の変化
2019年 2018年 差異
自治体 公立 私立 県外 公立 私立 県外 公立 私立 県外
さいたま市 76.0% 10.9% 6.2% 77.2% 9.6% 5.9% -1.2% 1.4% 0.3%
川口市 75.7% 6.8% 7.9% 78.4% 6.2% 7.8% -2.7% 0.7% 0.1%
上尾市 78.4% 11.2% 3.1% 79.3% 9.7% 3.3% -0.9% 1.5% -0.1%
草加市 74.2% 7.1% 8.3% 78.0% 7.6% 6.9% -3.8% -0.5% 1.4%
戸田市 73.9% 7.8% 9.5% 76.2% 7.1% 8.5% -2.3% 0.7% 1.0%
朝霞市 67.5% 13.7% 10.7% 71.0% 12.6% 11.1% -3.5% 1.1% -0.4%
新座市 71.9% 11.5% 9.7% 74.7% 8.7% 9.5% -2.7% 2.9% 0.2%
川越市 72.1% 13.3% 4.4% 74.7% 13.1% 3.9% -2.6% 0.2% 0.6%
所沢市 71.7% 9.6% 10.5% 75.8% 7.1% 8.5% -4.1% 2.5% 2.1%
狭山市 73.1% 11.2% 6.0% 75.5% 9.9% 6.0% -2.4% 1.3% 0.0%
入間市 74.5% 9.8% 7.0% 75.3% 7.2% 5.9% -0.8% 2.6% 1.1%
ふじみ野市 65.2% 13.6% 5.0% 73.4% 13.5% 6.3% -8.3% 0.0% -1.3%
熊谷市 81.8% 10.6% 2.4% 80.2% 12.0% 3.1% 1.5% -1.4% -0.6%
深谷市 81.4% 12.6% 1.9% 83.0% 10.4% 2.4% -1.6% 2.2% -0.4%
春日部市 80.3% 7.1% 4.6% 82.9% 6.3% 4.6% -2.6% 0.8% -0.1%
越谷市 78.0% 8.6% 6.2% 79.6% 8.6% 5.0% -1.6% 0.0% 1.2%
久喜市 79.4% 6.9% 6.3% 79.8% 7.9% 6.4% -0.4% -1.0% -0.2%
三郷市 71.5% 4.0% 14.9% 74.7% 4.2% 13.2% -3.2% -0.1% 1.7%

上の表は全体集計なので、卒業予定者数1,000名以上の市について、全日制の公立高校、県内私立高校、県外の高校(国公私立計)の希望状況を、昨年と比較しています。
※1%以上増加している場合はピンク、1%以上減少している場合はブルーのアミカケをつけています。

全日制公立希望率は多くの市で低下していて、ふじみ野市の8.3%低下が一番下降しています。所沢市も4.1%低下、3%台の低下は草加市、朝霞市、三郷市で、ふじみ野市と朝霞市は70%を切りました。

公立志望率が上がったのは熊谷市だけです。県内私立希望率が1%以上上がったのはさいたま、上尾、朝霞、新座、所沢、狭山、入間、深谷の各市で、川口市、戸田市や春日部市も1%には達しないものの、上昇しています。熊谷市と久喜市は1%以上下がりました。県内私立希望率が10%台だったのは昨年が朝霞、川越、ふじみ野、熊谷、深谷の5市でしたが、今年はさいたま、上尾、新座、狭山の4市が加わっています。

県外希望率が1%以上上がったのは草加、戸田、所沢、入間、越谷、三郷の6市で、10%を超えたのは昨年の朝霞市、三郷市に加えて今年は所沢市も10%を超えました。1%以上下がったのはふじみ野市です。公立希望率の低下が県内私立希望に結びつかず、県外の希望率上昇につながったと考えられるのは草加市、戸田市、越谷市、三郷市です。



[筆者紹介]

首都圏中学受験・高校受験に関わるようになって○十年。現在でも多くの私立学校説明会やイベント、研究会などに顔を出し、日々私立学校の情報を収集・発信している。

一覧に戻る

ページトップ