私立中高進学通信
2024年9月号
基礎学力の育て方
玉川聖学院中等部
『学習手帳』で
書くことの習慣化を徹底
学びを可視化し自己評価を高める
補習では卒業生が個別指導を担当。
苦手意識を克服しながら基礎学力を高めることができます。
自ら学び、考え、行動できる人になるため、自己管理能力の養成を重視。その入り口となる基礎学力の向上は、学習手帳や試験対策レポートで「書く」習慣を身につけることから始まります。
基礎学力とは
自ら学び・考え・行動する力
キリスト教系のミッションスクールとして『信仰・希望・愛』をスクールモットーとする玉川聖学院では、キリスト教に基づいた人間教育を行っています。同校では、「学ぶ過程」そのものが、自分を知り、自分に自信をもつための大切な土台だと捉えています。
「基礎学力の育成とは、知識や技能を詰め込むことではなく、生徒一人ひとりを大切にしながら、それぞれの考える力、行動する力を伸ばすことだと考えています」(中等部教頭・広報部長/笠井洋子先生)
そのため、中等部の学習指導では、自学自習の習慣づけに力を注ぎ、入学直後にA5サイズの『学習手帳』を配って活用を促しています。手帳の活用が習慣化するよう、見開き1週間のダイアリーに、生徒本人がその週の学習時間やイベントを書き込み、月曜日の朝に担任の先生へ提出。先生はクラス全員分の手帳に目を通し、コメントを添えて返却します。これを中等部の3年間続けるのです。
学習の習慣化に向け
「3つの時間」を固定
学習手帳を活用するうえでポイントになるのが、自学自習の習慣化に必要な「3点固定」です。1日のうち、「起床時間」「家庭学習開始時間」「就寝時間」の3点を毎日決まった時刻にすることで、規則正しい生活へと導く考え方です。
「『平日は2時間、休日は4時間机に向かう』『日付が変わる前に就寝する』ことを勧め、手帳にも3点の時刻が記録されているかを担任が確認します。
中等部3年の後期にさしかかると、自立に向けて提出を免除しています。高等部では学習手帳は配らず、個人の裁量に任せています」
学習の質と量を見える化
卒業生による補習も
中等部でもう一つ、手書きにこだわって取り組んでいるのが『試験対策レポート』です。2期制を敷いている同校では、1年間に定期テストを4回実施しています。そこに向けてレポート用紙を使って勉強し、試験最終日には全ての用紙をまとめて提出します。
「用紙の束の厚みが増すにつれ、試験勉強の励みになります。また、厚みでクラスメートの学習量がわかるほか、勉強法を見る良い機会にもなります。教員側にとっても生徒の努力が具体的にわかるので、すぐに点数へ結びついていなくとも、この勉強法を続けていればいずれ伸びるという生徒の伸びしろを把握できる点も良いところです」
試験答案の返却後は、間違えた問題を解き直して『復習チェック表』を提出します。英語と数学で規定の得点率に届かなかった生徒は、毎週土曜日に行われる無料の指名補習に参加します。補習には、同校を卒業した大学生にTA(Teaching Assistant)として入ってもらい、少人数のグループ指導や個別指導で、その学期中に必要な範囲の定着をめざします。
さらに、前期・後期の期末試験後には、教科が定める基準点に達していない生徒を対象に、英語・数学・社会科で再試験や補習も行っています。
こうして苦手な教科や分野は早めに、そしてコツコツと克服をめざすことで、基礎学力が定着していきます。生徒自身が自分なりの学習習慣を身につけられるよう、中等部の早い段階で手厚く指導しているのです。
育成のポイント①
学習手帳を毎日「書く」ことで
家庭学習を習慣に
学習手帳は見開き1週間表示のバーティカル式です。起床から登校、1日の時間割、放課後の部活動や習い事、帰宅から就寝までの時間の使い方や、宿題や試験、提出物、持ち物などの予定を書き込み、毎週月曜日の朝に担任の先生へ提出します。
タスク管理や計画欄、振り返り、先生・保護者のコメント欄もあり、生徒・先生・保護者を結ぶコミュニケーションツールにもなっています。中3の後期からは、自立に向けて使い方を生徒に任せ、高校からはどのような手帳を使うかも自由にしています。
育成のポイント②
定期試験対策レポートで
試験へのモチベーションをアップ
漢字練習や計算、授業ノートのまとめなど、定期試験に向けた学習をレポート用紙で行い、試験最終日に全て提出。レポート用紙の厚みで学習量が一目瞭然です。好成績を出す生徒の試験対策レポートには、みんなが「見たい」と集まってくるそう。効果的な時間の使い方や目標の立て方、自分に合う勉強方法を知る手がかりとなっています。月例の小テストや定期試験後は、解けなかった問題を解き直す『復習チェック表』を提出します。
育成のポイント③
「積み残し」や「苦手分野」を
持ち越さない土曜日『指名補習』
同校は土曜日に授業はありませんが、英語と数学の定期試験で下位15%(約20名程度)の生徒に対し、土曜日午前に各教科1時間30分の指名補習が実施されています。部活動があっても補習が優先で、次の定期試験まで毎週続きます。卒業生がマンツーマンもしくは2対1で指導にあたるため、苦手分野を克服できる機会とポジティブに捉え、意欲的に取り組む生徒も多いそうです。
育成のポイント④
「話す」「聞く」を分かち合う
少人数指導・終礼
英会話と数学は、中1から少人数のクラス編成となっており、発言したり、質問したりが当たり前の雰囲気を醸成。生徒は楽しく授業に参加しています。
また、1日の授業が終わると、クラスの『終礼』が開かれます。毎日1人ずつ前に出て、今日自分が学んだこと、感じたことを振り返り発表します。聖書の言葉を引用しながら話すことで、自分の考えや心の状態を深く省みることができます。
Topic
基礎学力を伸ばして挑戦!
充実した英語活動
東京バプテスト教会で行われる『インターナショナル・デイ』。
同校には4名のネイティブ教員がおり、英会話の授業やネイティブ教員と自由に話せる『イングリッシュラウンジ』を備えるなど、生きた英語に触れる機会を豊富に提供しています。
中3の春の行事『インターナショナル・デイ』では、東京・代官山にある東京バプテスト教会と協力して、約20カ国の文化を紹介するブースを巡り、異文化体験をしながら英語でのコミュニケーション力が試せます。そのほかスピーチコンテストや英検受検も盛んです。
(この記事は『私立中高進学通信2024年9月号』に掲載しました。)
玉川聖学院中等部
〒158-0083 東京都世田谷区奥沢7-11-22
TEL:03-3702-4141
進学通信掲載情報
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