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私立中高進学通信

2024年11月号

今こそ心の教育

玉川聖学院中等部

自分が世界から必要と
されていることに気づく

安藤理恵子先生

学院長・聖書科/安藤理恵子先生
「信仰・希望・愛。見えないものの中に大切なものがあります。スクールモットーには、
見えないものに対して怖がらずに、むしろ信頼して歩んでいけるということが表されています」

礼拝で聖書の言葉を聞き
自分と向き合う

 プロテスタントのミッションスクールとして、聖書の言葉をもとにした「信仰・希望・愛」をスクールモットーに、世界をつなげる心を育む女子教育を行う玉川聖学院。生徒たちの多くはキリスト教や聖書に初めて出会う者ばかり。同校では毎朝中高それぞれで行う礼拝、午後授業のあとに行うクラス毎の終礼として、賛美歌を歌い、聖書をひもとき、その言葉に耳を傾ける時間が設けられています。心が不安定になりがちな思春期に、神という存在からの言葉を聞くことで安心感が生まれると、学院長の安藤理恵子先生は言います。

「礼拝は、静かに誰と話すこともなく、前を向いて聖書の言葉を聞く時。自分と向き合う時間でもあります。悩みで心が揺らいでいても、聖書が教える新しい価値観によって、視点が変わり、心がリセットされる時間となるのです。自分を無理に飾ることなく『このままの自分で始めよう』と思えるような自己肯定感をもって、生活することを学んでいきます」

 中等部3年間と高3の「聖書科」や、高1・高2の「総合科・人間学」の授業で、聖書の言葉に触れていくことで、生徒たちは自分の可能性に向き合い、力強く歩み出していきます。

 一人の卒業生のエピソードが印象的です。

「本校はバリアフリーなので、車椅子や松葉杖でも自由に過ごせます。ある車椅子の生徒は、入学時には自分が他人と違うことにつらい思いを抱いていました。中1の聖書科教師が彼女に教えた聖書の言葉は、キリストが生まれつき目の見えない人について語っている箇所でした。『(この人の目が見えないのは)この人に神の業があらわれるためです』。それを読んだ時、目の前がぱぁーっと明るくなったと言うのです。『自分の障がいには目的があるのだ。それが何なのかは今はまだわからないけれど、やがてわかる未来が来るのだ』。その時から、何事にも前向きな心で挑戦する学校生活になったそうです。それは周りから見ても明らかで、高等部では広報スタッフとして受験生たちの学校案内をし、さまざまな体験学習に主体的に取り組みました。高齢者施設訪問で学んだことを『私にもできること、私だからできること』というタイトルで発表し、全国弁論大会で2位の表彰を受けました」

 自分が持っている力を見つけ、活かしていくために、同校には自分のできることを見つける機会がたくさんあります。多彩な分野から構成される「TAP 玉聖アクティブプログラム」という実践的な体験学習もそのひとつ。

「本校の3つの教育方針は、すべて『発見』という言葉で表されています。自分に与えられている力を発見できれば、女性はどのような状況でも自分にできることを見つけられるはずです。本校の6年間のいろいろな体験を通して、生徒たちが自分自身に向き合い、自分の中に軸をしっかり持てるようになることを願っています。自分を知ることは、他者を理解することにもつながりますから」

思いを聞いてもらう体験が
発表する力を育てる

 中等部の「探究」の学習では、中1で「私の宝物」という作文、中3で修了論文の作成に取り組み、発表を行います。また、終礼の時には、生徒たちは毎日ひとりずつ聖書の言葉から自分の思いを語ります。

「人に自分の思いを聞いてもらう体験が人間にとって大切なのです。自分の思うことを真剣に聞いてもらい、少しでも理解してもらえたという体験をした生徒は、次に発表する際にはより本音が伝わる表現を考えるようになります。ネット社会において人間同士の関わりは希薄になり、心も萎縮や分断が進む状況ですが、こんな時代だからこそ、若い時に人との信頼関係を育てる努力が今まで以上に重要だと思うのです」

「総合科・人間学」は、キリスト教の人間観に立ち、人間そのものを学びます。高1では「今、ここにいる私」をテーマに自分の存在と他者との関係性を考察し、高2では「人生の四季を生きる」をテーマに人の生から死までを丹念に見つめていきます。

「『人間学』では手書きノートを作成します。毎回授業の感想を書き、それに教師がコメントをつけて、やり取りを続けます。高2の後半には、人間の死についても考えます。現代は死と隣り合わせの現実の一方で、死を軽く扱う映像にも囲まれています。死の重さと向き合うことは、生きることに真剣になることでもあります。先人たちが死についてどのように悩み、それをどう書き残したのか。いつもより少し背伸びをした学びによって、自分の中のモヤモヤした思いに言葉を与えていくことは、大学進学における文章力にもつながります。
 礼拝から始まる本校の学校生活すべてで得た体験が、生徒のこれからの生き方に将来と希望を与えることを願っています」

高等部の「総合科・人間学」の授業風景。生徒同士で話し合いながら、テーマを深く掘り下げていきます。高等部の「総合科・人間学」の授業風景。生徒同士で話し合いながら、テーマを深く掘り下げていきます。
朝の礼拝は約20分間。中高分かれてホールで行います。生徒たちはパイプオルガンの伴奏に合わせ入場し、賛美歌、司会の生徒によるお祈り、クリスチャンの教師による聖書のお話と続きます。朝の礼拝は約20分間。中高分かれてホールで行います。生徒たちはパイプオルガンの伴奏に合わせ入場し、賛美歌、司会の生徒によるお祈り、クリスチャンの教師による聖書のお話と続きます。
高1夏休みに実施される希望者対象のアメリカ英語研修など、異文化とつながる楽しさを知るプログラムが数多く用意されています。写真は韓国の姉妹校と交流する、高2の修学旅行。高1夏休みに実施される希望者対象のアメリカ英語研修など、異文化とつながる楽しさを知るプログラムが数多く用意されています。写真は韓国の姉妹校と交流する、高2の修学旅行。
高齢者施設でのワークキャンプの夜。生徒たちがそれぞれの体験を分かち合い、他者に寄り添う力を育みます。高齢者施設でのワークキャンプの夜。生徒たちがそれぞれの体験を分かち合い、他者に寄り添う力を育みます。
午後授業のあとに行われる終礼はクラス単位。友人の発表に耳を傾け、生徒は互いを理解していきます。午後授業のあとに行われる終礼はクラス単位。友人の発表に耳を傾け、生徒は互いを理解していきます。

(この記事は『私立中高進学通信2024年11月号』に掲載しました。)

進学通信 2024年11月号
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