私立中高進学通信
2024年9月号
基礎学力の育て方
駒沢学園女子中学校
『単元別テスト』で学習習慣と
基礎学力を身につける
『単元別テスト』の導入により、生徒が勉強する姿を見かける頻度が増えました。
「グループ学習や教え合いの様子が見られるようになったのも大きな変化です」(栗山先生)
中間・期末などの定期テストを廃止し、単元ごとにテストを行う『単元別テスト』を各教科で導入している同校。基礎学力の向上につながる取り組みの概要や、生徒の様子を紹介します。
スモールステップで着実に
学力を育む『単元別テスト』
駒沢学園女子は中学校の教育改革の一環として、2020年より定期試験を廃止し、各教科の単元が終わったところでテストを実施する『単元別テスト』を導入しています。そのねらいについて、社会科の栗山美緒先生は次のように話します。
「スモールステップの積み重ねで基礎学力の定着を図りたいという意図があります。以前は通常の定期テストを実施していましたが、範囲が広く、複数科目のテストを一気に受けることになるため、 “一夜漬け”の勉強につながりやすい面がありました。それでは本当の意味での学力向上にはつながりません。そこで範囲を細かく分け、単元ごとに学力を定着させ、生徒自身もそれを実感できる単元別テストを導入しました」
単元別テストは、各単元の学習が終わってすぐのタイミングで実施されます。単元の長さや学習進度は教科によって異なるため、満点の上限や実施のタイミングも異なります。
「テスト後も、合格点に満たなかった場合は再試験を行い、課題提出や補習でフォローしています。理解できるまで、ていねいにサポートを続けます」
各学期末には、総復習として『単元まとめテスト』を実施します。
「単元まとめテストの問題は、数学などで一部数字を変える以外は、単元別テストと同じ問題を出題します。学習範囲を繰り返し学習することで、着実に基礎学力が身についていきます」
学習習慣や自分なりの勉強法を習得
応用力育成へとつなげる
単元別テストの利点は、こまめにテストを実施することにより、日常的に勉強する習慣が身につき、苦手な単元を自覚しやすいところにあります。単元別テストの導入以降、生徒たちの学習態度にも成長が見られると栗山先生は言います。
「中1から単元別テストを積み重ねていくことで日々の学習習慣が身につき、学年が上がるにつれて自分なりの勉強方法を確立し、自主的に学習する生徒が増えています。また、生徒同士の教え合いがよく見られるようになったことも大きな変化です。学習に向き合おうとする工夫が見られ、授業中や授業後に質問する生徒が増えたことにも成長を感じます」
このほかにも英単語・漢字・計算の小テストを毎週実施するなど、さまざまな学力向上の取り組みを導入しています。こうしてコツコツ学習を積み重ねて基礎学力を上げる一方、中2・中3では、希望制で高校の学習や大学受験を見据えた発展問題を扱うステップアップ講座を実施。応用力の育成にも力を入れています。
「基礎学力を大切にしつつ、レベルアップを図ろうとする生徒のニーズにも応えていきたいですね。成長段階に合わせた学習機会を提供していきます」
生徒インタビュー
勉強に対する姿勢を育て、着実に学力が身につく
やる気が出る!『単元別テスト』が勉強の要に
生徒が学校の広報活動を主体的に担う『生徒広報部』に所属する中3のSさんとOさん。おふたりに『単元別テスト』を受けての感想や、駒沢学園女子に入って成長を感じる部分について聞いてみました。
――中1から『単元別テスト』を受けてきた感想や取り組み方を教えてください。
Sさん
単元別テストに向けて勉強することで、学習習慣が身につきました。テストが多くて大変だと思う時もありますが、苦手科目などはつい避けてしまいがちなので、テストがあることによっていい勉強のペースができています。
Oさん
単元が終わるごとにテストが行われるやり方は、私のペースにも合っていました。単元別テストには、単元のなかで特に重要なところがまとまっているので、授業中に先生がどこを大事だと示しているのか、集中して話を聞くようになりました。
Sさん
私も大事なところ、覚えるべきところを意識しながら勉強する習慣がつきました。授業中のノートにも板書だけを書き写すのではなく、先生が言っていた話やコメントを書き加えたり、豆知識を調べて追記したりしています。
――学期末の『単元まとめテスト』には、どのような対策をしていますか?
Sさん
私は何度も繰り返さないと覚えられないので、通常の単元別テストを何度も解き直しています。間違えた問題に印をつけてさらに繰り返し解いたり、問題に関連する知識を補足的に書き込んだり、自分なりにやり方を工夫しています。
Oさん
単元別テストを、単元まとめテストの勉強に使えるところがうれしいです。私も解き直しを繰り返して勉強しています。
私は弓道部で週6日活動しているので、なかなか勉強の時間を取れないのが悩みでしたが、朝学習にスケジュール管理の時間が設けられているので、自分で計画を立てる習慣が身について助かりました。
休み時間や通学時間など、隙間時間を見つけて勉強に充てています。授業の時間は集中して内容を吸収し、わからないところがあったら、授業後にすぐ聞くようにしています。
――最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
Oさん
勉強もやりたいことも、一生懸命努力する習慣をつけておくと、中学に入ってから役立つと思います。
Sさん
受験勉強は大変だと思いますが、中学に入ったら楽しいことがたくさん待っています。勉強を頑張ってください!
OさんとSさんの勉強用ノート。
単元別テストの答えを書いた横に大事な公式をメモしたり、
授業で学習した重要なポイントを自分なりにまとめたり、それぞれの工夫が見られます。
育成のポイント①
『単元別テスト』実施日を掲示
単元修了後すぐに実施されるため、『単元別テスト』の実施日は、教科ごとに異なります。テスト範囲や実施日は、黒板の隣にあるホワイトボードに記されます。生徒は予定を見ながら、自分で学習のスケジュールを組み立てていきます。
育成のポイント②
検定試験の成績を
テストに加算
同校では数検・英検・漢検の受検を推奨。加えて、学年や級に応じて、単元別テストや単元まとめテストに取得級の点数が加算される仕組みです。
「例えば、中3では英検3級なら+15点、漢検3級なら+10点など、テストの点数がアップします。毎回必ずプラスされるため、成果が目に見えやすく、生徒の自信と意欲につながります。この制度を取り入れたことで、モチベーションがアップし、検定の受検率も高まりました」(栗山先生)
育成のポイント③
教科担任が補習・再試験でサポート
小テスト、単元別テストのメリットは、各生徒の苦手分野が見えやすい点です。補習や再試験で教科担任の教員が徹底してサポートし、学習の土台をしっかりと固めていきます。補習で苦手意識が克服できると、生徒の勉強へのモチベーションも向上します。
育成のポイント④
『朝学習』の多彩な取り組み
毎日10分の朝学習では、英語のリスニングのほか、新聞を読んで意見をまとめる『NIE』(※)や、学習のスケジュール管理に取り組んでいます。
「曜日ごとに行う内容が決まっており、学習計画を立てる習慣も身についていきます」(栗山先生)
※NIE…Newspaper in Educationの略。新聞を教材にした学習活動。同校では朝の時間などに継続して新聞を読む活動「NIEタイム」を導入している。
(この記事は『私立中高進学通信2024年9月号』に掲載しました。)
駒沢学園女子中学校
〒206-8511 東京都稲城市坂浜238
TEL:042-350-7123
進学通信掲載情報
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