Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2024年9月号

進化する高大連携

共立女子中学校

東邦大学理学部と連携し
“理科好き”を増やす
実験講座を開講

サツマイモ、ブドウ、ブルーベリー、玉ネギ、ナスといった身近な野菜や果物の皮を刻んで色素を抽出。ピンクやパープルの色のグラデーションが現れると、「キレイ!」と声が上がります。

サツマイモ、ブドウ、ブルーベリー、玉ネギ、ナスといった身近な野菜や果物の皮を刻んで色素を抽出。
ピンクやパープルの色のグラデーションが現れると、「キレイ!」と声が上がります。

理系進学者数を伸ばしている同校は、2022年の東邦大学理学部との高大連携協定締結を機に中学生向けのアカデミックな講座を開講。さらなる理科教育の強化を推進しています。

遺伝子診断実験が
理科への興味を喚起
理科教諭・高大連携担当/坂本彩子先生理科教諭・高大連携担当/坂本彩子先生

『時代を超えて輝き、翔ばたく女性の育成』を教育目標に掲げる共立女子では、高度な学力のみならず、自分らしく社会に貢献し、協働していく力を育む教育を行っています。

 もともと、実験を多く行う理科授業に定評のある同校ですが、2011年からは東邦大学理学部の先生を招いて、高2の理系コース(生物選択)の生徒を対象に『バイオテクノロジー実験講座』を開催しています。この講座では、頬の内側から細胞を取り出し、PCR法でDNAを増幅させて、アルコールの感受性の遺伝子診断を行います。大学レベルの実験ができるだけでなく、自分のアルコールへの強さもわかるので、生徒たちは毎回大いに盛り上がるそうです。

「この講座をきっかけに、東邦大学理学部をはじめ、理系大学への進学を希望する生徒は多く、毎年多くの生徒が理系の大学・学部へ進学しています。
 こうした大学レベルの学びを広げて中学生にも経験させ、理科への興味を引き出したいと考え、2022年12月に同学部との連携協定を締結しました」(理科教諭・高大連携担当/坂本彩子先生)

 協定締結以降は、前述の『バイオテクノロジー実験講座』の回数を増やし、文系生徒も含め高校生の希望者全員が受講できるようになりました。さらに中3~高3が対象の『アニメーションプログラミング講座』、中学生対象の『CGアニメーションプログラミング入門』などの連携プログラムを開講。2023年度は年間7回の連携講座が行われました。

「いずれの講座も大人気で、毎回定員いっぱいの約40名の生徒が参加しました。講座内容は理系分野を幅広くカバーできるテーマをリクエストして、講師を務める東邦大学理学部の先生に考案していただいています」(坂本先生)

中学生向けに驚きと
発見のある実験を実施

 2024年3月には、『色の七変化! pHで変わる色彩の科学』を開講。東邦大学理学部の武藤梨沙先生が講師を務め、中1~中3の希望者35名が参加。ブドウなど身近な食物の皮を刻んで抽出した色素を使って実験を行いました。

「この実験で見てほしかったのは、抽出した色素にクエン酸を加えて色を変化させた後、炭酸水素ナトリウムを加えて元の色に戻る可逆反応です。色の変化に皆、目を輝かせていたので、科学への興味の種をまくことはできたのではないでしょうか」(東邦大学 理学部 生物分子科学科・博士(理学)/武藤梨沙先生)

 参加した生徒から『次はこんなことをやりたい』などの声が上がっており、今後は講座数や扱う分野を増やす予定です。

「講座では、東邦大学の先生方が難しい内容をかみ砕いて説明してくださるので、生徒たちも理系への興味が高まるようです。理科が好きなのに『数学が苦手だから』と理系進学を諦めてしまう生徒は少なくありません。モチベーションを上げて、生徒が自分の好きな分野へと進んでいけるよう、手厚くサポートしていきます」(坂本先生)

生徒の質問に答える東邦大学の武藤先生(中央)。実験後に武藤先生が行った解説に、生徒たちは興味深く聞き入っていました。生徒の質問に答える東邦大学の武藤先生(中央)。実験後に武藤先生が行った解説に、生徒たちは興味深く聞き入っていました。
最新設備が整った4つの実験室を完備する同校。天井からぶら下がっているのは、実験で生じた臭気を吸い込む局所排気装置です。最新設備が整った4つの実験室を完備する同校。天井からぶら下がっているのは、実験で生じた臭気を吸い込む局所排気装置です。
生徒インタビュー
科学の不思議を体感!
理科をより好きになりました
Hさん(中1)Hさん(中1)

 専門用語や色素の仕組み、単位など、難しい部分もありましたが、東邦大学の武藤先生が、「アントシアニンは、アイスの『ガリガリ君』にも使われている天然色素なんだよ」と教えてくれました。これによって、科学が身近に感じられ、理解が深まりました。生活に密着した科学の重要性に改めて気づき、理科がますます好きになりました。


Aさん(中1)Aさん(中1)

 ブドウの皮から抽出した色素に炭酸水素ナトリウムを加えたら、色がなくなってしまいました。そのため、「色が変わるはずなのに!」と焦りましたが、武藤先生から「これが色の可逆反応だよ」と教えてもらい、こんな反応があることを知り、感動しました。内容は難しかったですが、刺激を受け、理系に進みたい気持ちがますます強くなりました。


Mさん(中3)Mさん(中3)

 光の波長が色の見え方に与える影響や、物質量のモルという単位など、専門的な話を聞けてとても興味深かったです。文房具が好きなので、将来は自分でボールペンの設計やインクの調合をして、書き心地の良いペンを作ることが夢です。科学部に所属しており、将来は理系の道に進みたいので、今回学んだ内容が将来に役立つことを先取りで知れたのは大きな収穫でした。


Nさん(中3)Nさん(中3)

 小学生の頃から理科が大好きで、理科教育に定評のある共立女子に入学しました。普段行っている授業の実験とは異なり、講座の実験では予測できない結果にワクワクします。実験の後には、食物から抽出したアントシアニンの構造式について説明があり、これからより高度な内容を学べることが楽しみになりました。

東邦大学の先生にインタビュー
ロマンあふれる
科学の魅力を生徒に伝えたい
東邦大学 理学部 生物分子科学科・博士(理学)/武藤梨沙先生東邦大学 理学部 生物分子科学科・博士(理学)/武藤梨沙先生

 科学を楽しいと思ってもらうことが目的なので、見てすぐにわかる「色の変化」をテーマに、“身近にあるもの”を意識した実験を行いました。

 私が所属する理学部は、世の中のさまざまな自然現象の真理を探究する学問です。世の中で解明されていないことを一番最初に自分が知ることができ、そこから新しい研究が生まれる可能性を秘めた、とてもエキサイティングな分野です。そんな科学の魅力を中高生に伝えていきたいですね。

 今後は1年間を通して継続的に研究を行い、中高生向けの学会で発表するような取り組みもできればと考えています。

(この記事は『私立中高進学通信2024年9月号』に掲載しました。)

進学通信 2024年9月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ