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私立中高進学通信

2024年9月号

進化する高大連携

女子美術大学付属中学校

中高で美術大学の指導を体験
“好き”を未来につなげる

同校では高2から『絵画』『デザイン』『工芸・立体』の3コースに分かれます。『工芸・立体』コースの高3生に向けて女子美術大学の加藤尚子先生(右)が行う、ガラスの粉末を型の中で溶かして成型する「パート・ド・ヴェール」技法を用いた『ガラス造形』の授業を取材しました。『ガラス造形』は2コマ続きの授業を全13回、2学期の半ばまで行い、うち3回ほど加藤先生から直接指導が受けられます。

同校では高2から『絵画』『デザイン』『工芸・立体』の3コースに分かれます。
『工芸・立体』コースの高3生に向けて女子美術大学の加藤尚子先生(右)が行う、
ガラスの粉末を型の中で溶かして成型する「パート・ド・ヴェール」技法を用いた『ガラス造形』の授業を取材しました。
『ガラス造形』は2コマ続きの授業を全13回、2学期の半ばまで行い、うち3回ほど加藤先生から直接指導が受けられます。

“日本で唯一、美術大学の付属女子校”として知られる同校。
併設大学との連携プログラムにより、生徒が自らを知り、進路を見いだす機会を提供しています。

卒業生の8割以上が
美術系大学に進学

 美術や芸術が好きな生徒の集まる女子美術大学付属。美術教育を基幹としながら、全ての教科とリベラルアーツも重んじる教育を展開しています。

 美術系大学への進学率が約88%を占める同校では、母体となる女子美術大学との高大接続教育を通して、将来のさまざまな可能性を模索する機会を設けています。かつては同じ敷地内にある大学から先生がふらりと同校に立ち寄り、生徒の様子を見たり、ときには制作のアドバイスをしたりすることもあったそうです。その古き良き習わしを、キャリア教育の必要性が高まる現代に合わせ、連携プログラムとして発展させてきました。

大学准教授が直接指導
専門家の視点を学ぶ
広報部主任・主幹教諭/並木憲明先生広報部主任・主幹教諭/並木憲明先生

 同校では『中高大連携授業』として、中高の全学年を対象に、併設の女子美術大学芸術学部・短期大学部の教授陣による授業体験を実践しています。同校では高2から『絵画』『デザイン』『工芸・立体』の3コースに分かれるため、連携プログラムもコースごとに行われます。

「本校には18名の美術科教員がおり、多彩な技術を指導していますが、大学の先生とチームティーチングを行うことで、生徒はより専門的な指導が受けられます。芸術系の進路を考えるきっかけにしてほしいですね」(広報部主任・主幹教諭/並木憲明先生)

専攻・領域の選択は
生徒の主体性を重視

 高校では、生徒が大学の学びに触れ、進路や将来についてより具体的に考えられる3つのプログラムを用意しています。

『キャンパス見学会』では、高1生が女子美術大学・同短期大学部の相模原と杉並の両キャンパスを1日ずつ訪問。施設や制作現場を見学し、美術大学の雰囲気を感じ取ります。

『専攻領域別説明会』は高2生が対象で、15の専攻・領域を専門とする大学教員が同校を訪問。1教室に1つの専攻・領域の大学教員やスタッフらに入ってもらい、生徒は興味のある3つの専攻・領域の教室を回り、授業内容や卒業後の進路、どんな人が活躍しているのかなど最新情報を知ることができます。日本画専攻のように、「(はく)」を用いた実習が体験できる専攻・領域もあります。

『夏休み体験プログラム』は、夏休みに女子美術大学で実際に制作を体験できる希望制のワークショップです。20以上の講座が開かれ、自分の希望する進路や関心に合わせて参加できます。

 女子美術大学・同短期大学部への進学については、在校生全員が内部推薦の資格を有しています。高1からの出席日数と成績を考慮し、最終的には高3の2学期末に選考、その結果で進学する専攻・領域が決定します。

 最終決定までには進路希望調査や面談を重ね、後悔のない選択にしていきます。その際、中高大連携プログラムでの体験が、自分に合った進路を選ぶ指針となっています。

2024年度 中高大連携授業
対象学年 授業の概要
中1 色について
中2 キャンペーングッズを作ろう
中3 立体造形「スペースデザイン」
高1 絵画コース 着彩 卓上静物
高2 工芸・立体コース 「立体制作」彫塑
高2 デザインコース 女子美祭ポスター
高3 絵画コース 作家への道/彫塑
高3 工芸・立体コース 「工芸制作」ガラス
高3 デザインコース 映像制作
イメージをドローイングし、その後、それを基に油粘土で立体に起こしていきます。イメージをドローイングし、その後、それを基に油粘土で立体に起こしていきます。
国内外のガラス作家の作品を紹介し、テーマを形にする「ドローイング」の役割を解説。この後、生徒は「うたかた」「静謐(せいひつ)」「ゆらぎ」などの語群から作品テーマを一つ選び、関連する言葉やイメージを広げるマインドマップを作成。国内外のガラス作家の作品を紹介し、テーマを形にする「ドローイング」の役割を解説。この後、生徒は「うたかた」「静謐(せいひつ)」「ゆらぎ」などの語群から作品テーマを一つ選び、関連する言葉やイメージを広げるマインドマップを作成。
加藤先生のアドバイスを受ける生徒。粘土で原型が完成したら、石こうで型を取り、中にガラス粉末を詰めて高温で溶融させて成形します。加藤先生のアドバイスを受ける生徒。粘土で原型が完成したら、石こうで型を取り、中にガラス粉末を詰めて高温で溶融させて成形します。
ガラス造形の授業を受け持つ、高校の柗井(まつい)圭太郎先生。校内にある共通工房の電気窯で、生徒の作品を焼成します。柗井先生自身もアーティストとして、さまざまな素材と技法を駆使した作品を発表しています。ガラス造形の授業を受け持つ、高校の柗井(まつい)圭太郎先生。校内にある共通工房の電気窯で、生徒の作品を焼成します。柗井先生自身もアーティストとして、さまざまな素材と技法を駆使した作品を発表しています。
生徒インタビュー
穏やかな雰囲気の中、自分のペースで学べます
Y.Y.さん(高3/工芸・立体コース)Y.Y.さん(高3/工芸・立体コース)

 この学校では、穏やかな雰囲気の中で自分が作りたいものを制作し、マイペースに学べます。今回のガラス工芸では、「ゆらぎ」をテーマに、水の流れや柔らかさを水色と白のグラデーションで表現したいと思っています。高大連携の授業では、大学の先生から一人ずつアドバイスをいただけるのでありがたいです。それぞれの分野の難しいところがわかり、自分に向いているかどうかに気づけたと思います。インテリアに興味があるので、女子美術大学の『環境デザイン専攻』への進学を目標にしています。


連携授業の体験から進路が明確に
Y.M.さん(高3/工芸・立体コース)Y.M.さん(高3/工芸・立体コース)

 中高大連携授業では、中3で経験した水彩画の授業が印象的でした。モチーフによって筆をどのように走らせたら立体感が出るかを大学の先生にご指導いただき、これまでそうした部分は意識せずに描いていたのでハッとしました。連携授業でさまざまな体験をしたことで、自分は作品をつくるよりも、美術史や芸術理論を学んでそれを社会で活かすほうが向いているのではと考え、女子美術大学では『国際芸術文化専攻』を希望しています。将来は学芸員やアートディレクターをめざしたいです。

女子美術大学の先生にインタビュー
作品づくりを通じて
独自性の発揮を後押し
女子美術大学芸術学部 デザイン・工芸学科 工芸専攻 准教授の加藤尚子先生。ガラス造形作家としても活躍中。女子美術大学芸術学部 デザイン・工芸学科 工芸専攻 准教授の加藤尚子先生。ガラス造形作家としても活躍中。

 生徒たちは自信がなかったり、不安を感じたりして、独自性を発揮するのをためらってしまうこともあります。そのため授業では、自分のアイデアを形にする面白さを伝え、自分の感覚を大事にしてほしいと背中を押すことを心がけました。

 美術への関わり方は多種多様で、さまざまな仕事があります。また、アーティストにならなくても、アートの勉強をすることは人間性を深めるうえで意義があると思います。美術には正解や、どちらが良い悪いもありません。それはほかの教科にはない美術ならではの学びです。課題に直面した時に力を発揮したり、価値観を変えたりできるのは、美術という教科がもつ力ではないかと思うのです。

進学通信 2024年9月号
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