私立中高進学通信
2023年4月号特集
中学受験の選択~男女別学の意義~
玉川聖学院中等部
神に造られた存在としての自分

安藤理恵子先生
――女子校である玉川聖学院の魅力とは何でしょう。
ある意味、人生の大半は共学ですから、思春期における別学というのは、やはり特権的な環境であり、とても貴重な6年間といえます。特に女子の場合、就職しても “そのまままっすぐ”なんて人生はありませんから、人との関わり方において能力を発揮するための、心の原動力が必要です。女子だけの環境の中で、自己肯定されるということが思春期にしっかり入ると、女子は怖がらずに変化に対応していくことができると考えています。
――そこにミッションスクールとしての使命もあるということですか?
ミッションスクールの特徴として、能力以前に存在そのものが大切で、人にはすでに必要な能力が与えられていると考えます。この時代に生まれたのは偶然ではなく、神に造られたものとして生まれるべくして生まれたのだと、自分の存在を捉えるところからキリスト教の人間観が始まります。9割方はキリスト教が初めてという生徒が入ってきますから、誰もが驚いて聖書の話を聞きますが、そこから自分は生きていてもいいのだという理由を見つけていくのです。
――神の存在を受け入れられるかどうかですね。
実をいいますと、毎朝の礼拝で聖書のことばを聞き続けたから、コロナ禍でもやってこれたという経験が教職員にもあるのです。女子校であることに加えて、そこにキリスト教という土台があることが、居心地の良さや生きる力に結びついていくものと思います。
Column
自分の本当の心を言葉にしてみる~終礼の時間より

玉川聖学院の生活は、朝の礼拝から始まり、授業の終わりには、クラスごとの終礼で彩られています。安藤先生の「牧師」としてのお話も伺いました。
「クラスごとの終礼は、朝の礼拝に比べると小さな礼拝です。しかし、今日1日を振り返ることで、本当の自分の思いに気付くことができます。一人ひとりが順番に、聖書の中の言葉を選び、それに重ねる形で自分の今の考えや、近況報告を短く話します。一年間に3~4回ほど順番が回ってきます。あるときには誰かに、“今日の話、良かったよ”などと言ってもらえます。そこが大事なんですね。自分の本音を少し分かち合うことで、他者が共感してくれる。そんな温もりを体験するのです。実はこれが、コロナ禍のようなすさんだ時代を生き抜くためにも、とても重要な心の教育なのです」
「自分の本音」には、「自分の弱さ」や「ちょっとした矛盾」が含まれていると安藤先生は語ります。
「自分の弱さや矛盾した思いを言葉にしても、それで攻撃されなかったという体験は、人の心を自由にします。“なんだ、他の子も同じだったのか”という経験は“人に助けを求めてよい”と学ぶことであり、人と協力する勇気になります。ほんの小さなことでも、思春期に気持ちがさまざまに揺れ動くときに、お互いに関わろうとする優しさを与え合う経験をたくさんしてほしいのです。そしてそれを後押しするのが、ミッションスクールでは聖書の言葉なのです。女子校では、生徒の話を丁寧に聞いてくれる男性教師たちは、男女の“共生”に希望を与える存在です。男性との勝ち負けではなく、お互いを生かし合う関係性を、求める心を育てたいと思っています」

聖書に基づいた人格教育を、女子校という安全で特別な環境の中で実践しているミッションスクール。一人ひとりが神に造られたすばらしい存在であることに気づき、今の夢や願いを越えた、自分の使命を見つけることに力を入れている。
玉川聖学院中等部
〒158-0083 東京都世田谷区奥沢7-11-22
TEL:03-3702-4141
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