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私立中高進学通信

2024年9月号

今こそ心の教育

駒込中学校

食育とカウンセリングで
生徒たちの心の教育を実践

左から菅原先生、南先生、嶋野先生。生徒たちの憩いの場である「サンクンガーデン」にて。

左から菅原先生、南先生、嶋野先生。生徒たちの憩いの場である「サンクンガーデン」にて。

アレルギー対策として
代替食を積極的に活用

 創立340余年の歴史を誇り、最澄の言葉「一隅を照らす」を教育理念に、社会の宝を育てる“人間教育”を実践している同校。仏教的情操教育のなかで、給食を中心とする「食育」のプログラムにも力を入れています。そのため、日々の給食の献立にも細心の注意が払われています。

養護教諭/嶋野しのぶ先生 生徒の心身の相談に乗り、必要がある生徒にはスクールカウンセリングを勧めています。養護教諭/嶋野しのぶ先生
生徒の心身の相談に乗り、必要がある生徒にはスクールカウンセリングを勧めています。

「本校では入学時にアレルギーの診断書を提出してもらい、それに従って給食を提供しています。宗教上の理由や持病による摂取制限など、アレルギー以外の理由で食事に配慮が必要な生徒にも個別対応しています」(養護教諭/嶋野しのぶ先生)

 取材当日の給食には、卵が練り込まれたシュウマイが提供されていましたが、卵アレルギーをもつ生徒には代替食としてジャガイモが出されていました。

「食べられないものがあると、品数が減って寂しい思いをするので、代替食を出して『残さず食べようね』と生徒たちに声をかけています。校外活動での食事も同様の考え方をしています。安全対策をしながら、食育を通じて“感謝”の気持ちを育む心の教育となるように取り組んでいます」(嶋野先生)

 普段の給食では、生徒個人の嗜好(好き嫌い)によって食べ残すことも認められていますが、中2で実施される日光山研修では「好き嫌いなく残さず食べよう」と伝えています。

中学部長/南純子先生 ハラスメント委員会のメンバーとして、教員の心のケアも行っています。中学部長/南純子先生
ハラスメント委員会のメンバーとして、教員の心のケアも行っています。

「日光山研修では、坐禅・写経・写仏・護摩行など日常にはない体験を通して精神を統一し、自分の内面を見つめます。食事に関しては『音を出してはいけない』『残さず全部いただく』という決まりがあります。最後に沢庵を1枚残しておき、食べ終えたお碗やお皿にお茶を入れ、その沢庵でご飯粒やおかずの残りをきれいに集めて残さずいただきます。非日常の修行体験に最初は戸惑う生徒もいますが、友達が頑張っている姿を見て、『自分も頑張らなきゃ』と思う生徒が多いですね。この研修を乗り越えることで、達成感も味わえると思います」(中学部長/南純子先生)

 さらなる食育の一環として、同校では田植えや玉ねぎの収穫など、農業体験プログラムも行われています。

「実際に自分たちの手で苗を植えると『米づくりは大変なんだ』と気づきます。また、玉ねぎが育つのに9カ月もかかることを聞くと、『日頃何気なく口にしていた米や野菜も、農家の方々が苦労して育てたものをいただいているんだ』と実感できます。私たちは仏教系の学校として、命あるものをいただいていることへの感謝を伝えています。このような食と向き合う体験を通して、豊かな心を育んでほしいと考えています」(南先生)

 
カウンセラーと教員が連携して
生徒を見守る

 同校では、約20年前からスクールカウンセリングを導入しています。生徒はもちろん、その家族も含めてカウンセリングを受けることができます。

スクールカウンセラー/菅原久美先生 同校に着任して12年目。週5日勤務で、日々生徒たちのケアに心を砕いています。スクールカウンセラー/菅原久美先生
同校に着任して12年目。週5日勤務で、日々生徒たちのケアに心を砕いています。

「高校生は本人が自主的に相談に来ることも多いですが、中学生は自分から進んで受けに来ることは少なく、親御さんと一緒に来たり、親御さんだけがいらっしゃる場合もあります。相談の内容はさまざまですが、生徒が抱えている問題に対して私たちが一方的にアドバイスをするのではなく、対話をしながら一緒に考えていきます。話すうちに『もしかしたら、こうしたらいいかもしれない』と自ら気づく形になるよう心がけています」(スクールカウンセラー/菅原久美先生)

 中学生の場合は、「昨日まで仲良く話していた子が急に冷たくなった」など、日常の人間関係に関する相談が多いと菅原先生は言います。

「やはり私たちが生徒と一緒に悩むことに意味があると思います。すぐに答えが見つかれば良いのですが、100%の解決策はなかなかありません。試行錯誤してチャレンジする、それでうまくいかなかったら、ほかに良い方法はないかと次の方策を練る――という過程がとても大事で、そのことが生徒自身の心の教育にもなると考えています」(菅原先生)

 同校のスクールカウンセリングは菅原先生1人が担うものではなく、生徒本人の承諾を得たうえでほかの先生方と情報を共有し、常に連携をとりながら行っています。

「1人の生徒に対して、私たち教員みんなで見守っていくというスタイルです。そのほうが教員同士の負担が軽減されますし、生徒もいろいろな先生から話を聞けます。気持ちを吐き出す場がたくさんあることが大切なのです」(南先生)

 また、同校では教員自身の悩みにもハラスメント委員会で対応しています。「教員も生徒も1人で抱え込ませない」(南先生)ことをポリシーとして、より良い学校生活が送れる環境作りに日々努めています。

給食は月~金の週5日。配膳は当番制です。学年カラーのエプロンをつけ、おかずやスープなどをよそい、ドリンクを手渡します。麺類やカレーライスなど人気メニューの時は、おかわりをする生徒が多いそうです。給食は月~金の週5日。配膳は当番制です。学年カラーのエプロンをつけ、おかずやスープなどをよそい、ドリンクを手渡します。麺類やカレーライスなど人気メニューの時は、おかわりをする生徒が多いそうです。
この日のメニューは、焼きそば、バンバンジー、シュウマイ、スープ、パイナップルジュース。この日のメニューは、焼きそば、バンバンジー、シュウマイ、スープ、パイナップルジュース。
給食時には、クラスみんなで「食前観」や「食後観」という短いお経を唱えます。「命をいただくことのありがたさや作り手への感謝を感じて食事をするのが『駒込の給食』です。クラスメイトと楽しく食べるということはもちろん大切にしながら、『食育』も兼ねて毎日いただいています」(南先生)給食時には、クラスみんなで「食前観」や「食後観」という短いお経を唱えます。
「命をいただくことのありがたさや作り手への感謝を感じて食事をするのが『駒込の給食』です。クラスメイトと楽しく食べるということはもちろん大切にしながら、『食育』も兼ねて毎日いただいています」(南先生)
田植え体験では、みんなで田んぼに入り、一列になって苗を植える作業を約1時間行います。「初めて田んぼに入った時、土の感触に慣れずにいた生徒も頑張って最後まで取り組んでいました。作業後は、お昼に出していただいたうどんやおにぎりを喜んで食べていました」(南先生)田植え体験では、みんなで田んぼに入り、一列になって苗を植える作業を約1時間行います。
「初めて田んぼに入った時、土の感触に慣れずにいた生徒も頑張って最後まで取り組んでいました。作業後は、お昼に出していただいたうどんやおにぎりを喜んで食べていました」(南先生)
玉ねぎの収穫体験。農家の方から作物を育てるには大変苦労があるというお話を聞き、それをきっかけに「食べ物を大切にしよう」「給食を残さず食べよう」と意識を変える生徒も多いようです。玉ねぎの収穫体験。農家の方から作物を育てるには大変苦労があるというお話を聞き、それをきっかけに「食べ物を大切にしよう」「給食を残さず食べよう」と意識を変える生徒も多いようです。
日光山研修での食事風景。お皿を一つひとつ持ち上げて、一切の音を立てず、目の前の食事だけに集中します。「慣れない所作に生徒たちは緊張しながらも、最後まで懸命にやり遂げていきます。その姿に、教員も“頑張れ、頑張れ”と温かく応援しながら見守っています」(南先生)日光山研修での食事風景。お皿を一つひとつ持ち上げて、一切の音を立てず、目の前の食事だけに集中します。
「慣れない所作に生徒たちは緊張しながらも、最後まで懸命にやり遂げていきます。その姿に、教員も“頑張れ、頑張れ”と温かく応援しながら見守っています」(南先生)
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