私立中高進学通信
2024年9月号
卒業生が語る私の成長Story
日本大学豊山中学校
子どもたちと理科の楽しさを
共有できる教員をめざして
東京学芸大学 教育学部
中等教育教員養成課程理科専攻4年
川田 健太郎さん
「大学に入って驚かされたのが、実験の多さです。実験が終わるたびに
何枚ものレポートを提出しなければならないのですが、中高時代に養った
川田健太郎さんは、中学時代に所属していた卓球部の顧問であり、理科を教えてくれた恩師との出会いによって、理科の教員をめざすようになったと振り返ります。教育実習で母校に帰ってきた川田さんにお話を聞きました。
中2で生徒会役員に
『豊山祭』では縁日を企画
「中学受験をする時、大学の付属校に行きたいと考えていました。そして、共学校よりも男子校のほうが自分に合っていると感じていました。それが、この学校を選んだ理由です」
やわらかな物腰でこう語る川田さん。同校に入学すると卓球部に入部しました。卓球初心者の川田さんでしたが、練習に打ち込み、腕を磨いていきました。また、入学当初から自分の意見をしっかりと持っていた川田さんは、毎年9月に開催される『豊山祭(文化祭)』の、『青春メッセージ』のクラス代表者に選ばれました。これは『豊山祭』の1日目に行われる伝統行事。各クラスの代表者1名が全校生徒の前で、勉強や部活動、社会に対する考えなどをテーマに書き上げた原稿を読み上げます。川田さんがテーマにしたのは、点字ブロックについてでした。
「何を書こうかと考えながら歩いていた時、点字ブロックの上に自転車が置かれているのを見たのです。点字ブロックは目の不自由な方が、白杖を頼りにして安全に歩けるよう道路などに敷設されています。そのため、絶対に物を上に置いてはいけません。そこで、点字ブロックをテーマに原稿を書き、みんなに注意を呼びかけました」
大勢の前で発表する経験を通して、大きな自信を得た川田さん。中2になると、担任から生徒会の役員になることを勧められます。
「生徒会の活動に興味があったので総務に立候補し、高3まで役員を続けました。思い出に残っているのは『豊山祭』です。『豊山祭』では各クラスが展示を企画します。近隣の子どもたちも来場するので、生徒会役員は毎年縁日を開催していました。ダーツやボーリングを用意し、来場者が的に当てたり、ピンを倒したりするとポイントをあげます。そのポイントをお菓子と交換できるようにしました。定期テストが近づくなかで、準備をするのは大変でしたが、当日は多くの子どもたちに喜んでもらえて、大きな達成感を得られました」
『国公立併願方式』で
東京学芸大学の受験に挑む
中3になった川田さんは『特進コース』に進みました。『特進』は日本大学の医歯薬系学部や国立大学、難関私立大学をめざすコースです。
「僕は中学生の頃から理科が好きでした。中3の時、卓球部の顧問でもある理科の先生が、僕が理科について質問するたびに圧倒的な情報量で答えてくださったのです。ますます理科に魅力を感じるようになりました。
そして高校に入ってからは特に化学が好きになり、進学先は日本大学の理工学部物質応用化学科か文理学部化学科にするか迷っていたのです。そんな時に先生方から『国公立併願方式』を活用して、国公立大学にチャレンジしてみないかと勧められました」
同校の生徒は主に『基礎学力到達度テスト』の総合成績によって、希望する日本大学の各学部・学科への推薦が決まります。これは日本大学付属校で学ぶ全生徒が受験する試験で、日本大学の一部の学部では『基礎学力到達度テスト』の結果次第で、国公立大学を併願することを認めています。これが『国公立併願方式』です。日本大学への推薦権を保持したまま、国公立大学にチャレンジできるので、心に余裕を持って共通テストや二次試験に臨めるメリットがあります。
「僕はこの方式を使って、東京学芸大学教育学部中等教育教員養成課程理科専攻を受験することに決めました。中3の時に理科を教えてくださった先生の影響から、教員という職業に憧れを抱いていたからです」
理科の楽しさを
生徒に伝えたい
川田さんは、もし学芸大が不合格の場合でも日本大学理工学部物質応用化学科に進めるため、安心できたと語ります。ただ、不安もありました。塾や予備校に通っていなかったので、これまでの勉強方法が国公立の受験に合っているか自信が持てなかったのです。
「そんな不安を取り除いてくださったのが、日大豊山の先生方でした。アドバイスを欠かさず、二次試験に向けて過去問を何枚もコピーして渡し、小論文の対策をしてくださいました。そして僕と同じように『国公立併願方式』で国立大学をめざし、ともに勉強した友人の存在も大きな支えでした」
こうして学芸大に進学した川田さんは現在、中高の理科の教員をめざしながら、小学校や中学校を訪れて子どもたちと実験を楽しむサークルで活動しています。そんな川田さんに母校での教育実習の感想や、これからのビジョンを聞いてみました。
「教育実習では高1に化学を教えました。日大豊山の生徒たちは元気いっぱいでかわいいですね。子どもたちは知的好奇心が旺盛なため、本来は理科が好きだと思うのです。ところが、中学生になると難しいと思いこんでしまい苦手意識を持つ生徒もいます。僕はそんな子たちと理科の楽しさを共有できる中学の教員をめざしています。もちろん、母校で教えることが目標です」
恩師からの応援メッセージ
理解できるまで努力を重ねること
その大切さを生徒に伝えてほしい
川田くんは常に周囲を見渡せる生徒でした。クラスでもリーダーシップを発揮し、タイミングを見計らってクラスメイトたちに自分の意見を述べたり、アドバイスをしたりしていたのです。川田くんは自分が好きな化学だけでなく、ほかの全ての教科に強い関心を示し、理解できるまで努力を積み重ねてきました。そんな姿勢が彼の知見を大きく広げ、魅力ある大人へと成長させたのだと感じています。あきらめずに努力することの大切さを、教員となって生徒たちに伝えてほしいと思います。(理科/中川康先生)
(この記事は『私立中高進学通信2024年9月号』に掲載しました。)
日本大学豊山中学校
〒112-0012 東京都文京区大塚5-40-10
TEL:03-3943-2161
進学通信掲載情報
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